77 :
空の王な俺:2011/01/18(火) 00:30:37.06 ID:iN/iO/hx0
― 基地 ―
ミーナ「それは厄介な敵ね」
坂本「ああ。なんせあの男が墜とされるほどだ」
余「余計な事を……!」
男は苦虫を噛み潰したような顔。ミーナが怪訝そうに尋ねる。
ミーナ「あら、じゃあそこに立っているのは幽霊なのかしら?」
エーリカ「『王にできることできぬことを決するのは、王自身である(キリッ)』って突っ込んでいってー」
ウルスラ「高度を上げすぎて失速、墜落した」
余「ぐぬぬ。」
ミーナ「あらあらうふふ。……でも、攻撃が効かないのは問題ね」
坂本「何か対抗策を考えねばな。幸いにしてやつは足が遅い。時間はある」
ミーナ「ええ。連合軍が監視を付けてくれることになったわ。詳しい情報が得られ次第、作戦計画を立てましょう」
78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:32:47.34 ID:joGqwpbE0
陛下ktkr
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:33:43.04 ID:fQzugHS0O
トマ…陛下支援
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:35:37.85 ID:GjBDvj3L0
よっさん支援
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:35:45.48 ID:J7bQ2Aew0
とまとんファイト♪
82 :空の王な俺:2011/01/18(火) 00:37:47.66 ID:iN/iO/hx0
その夜。
ウルスラは夜具の中で悶々としていた。
眠ろうとして目を閉じると、抱きかかえた男の感触が生々しく蘇ってくるのである。
広い背中、体温、匂い、早鐘の鼓動。ウルスラは一つずつ鮮明に思い出す。
自分が両腕で締め付けて……締め付けて?
改めて考えると、あれはまるで自分から強く抱きしめたようではないか。
シャーリーさんのことで意地になっていたとはいえ……。
というか、冷静に考えて何故自分はあんなに腹を立てたのだろう?
焼きモチ?まさか。いやしかし。あの日以来、どうにも以前ほど彼を苦手に感じなくなっている。
「その不器用さが、余にはたまらなく愛おしい。」
あのときの言葉をふと思い出すたびに、胸の奥がふわふわする。
恋愛ごとになんて興味は無かったはずなのに。
急に恥ずかしくなり、シーツを頭からかぶって丸くなった。顔が熱い。頭が茹っている。
冷静に分析しようとしても、思考はとりとめなく千々に乱れる。
こんなことは
初めてだ。まったく、自分らしくない。
ウルスラ「……はぁ……」
どうしても眠れない。
ウルスラは眠ることを諦め、夜風に当たるべく部屋を抜け出した。
83 :空の王な俺:2011/01/18(火) 00:42:17.56 ID:iN/iO/hx0
で、なぜ出くわすのだろう。
ウルスラは頭を抱えたい思いだった。
男はバルコニーの入り口に背を向け、手すりの上に胡坐をかいて空を見上げている。
落ちそうで危ないが、この男なら落ちたところで問題ないだろう。
古い城を改修したこの基地には、夜風に当たるのに具合がいいバルコニーや中庭がいくつもある。
いくつもある。
なのによりにもよって何故私が足を向けたところにいるのか。運命だとでもいうのか。
そこまで考えて、ウルスラは自分の思考に赤面した。
運命はない。運命は、ない。なぜそこでそんな単語が出てくる。そんなに茹ってるのか、今の私は。
ウルスラは赤面したまま、とにかくその場を立ち去ろうと踵を返した。
今はとにかく彼と顔をあわせるわけにはいかない。
僅かに足音がなった。
余「曲者か!」
余「<●><●>」ギン!
閃光が走り、基地の壁に大穴が空いた。
84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:45:46.91 ID:NWySMUZX0
よっさんアブねえなww
85 :空の王な俺:2011/01/18(火) 00:47:56.01 ID:iN/iO/hx0
ウルスラと男は大穴越しに目を合わせた。
男の『勅視』は壁だけを爆風すら生じさせずに穿ち、反対側にいたウルスラに傷一つ付けなかった。
ウルスラはもちろん動けなかったし、撃った男の方もなぜか硬直した。互いに慌てて目を逸らす。
余「驚いたぞ。」
ウルスラ「こっちのセリフ。殺されるかと」
余「余の『勅視』は奴ばらのビームのような下賎で雑な兵器とは違う。そのようにも使えるが。加減し損なうようなことなどない。」
ウルスラ「……」
余「……」
奇妙な沈黙が流れた。そもそも会話していた段階から、お互いに相手の目を見ようとしていない。
ウルスラはここに夜風に当たりに来た理由が理由であるので当然なのだが、男の方に至っては、顔すら思い切りそむけている。
86 :空の王な俺:2011/01/18(火) 00:52:27.37 ID:iN/iO/hx0
ウルスラ「……?」
ウルスラ「どうしてこっちを見ないの?」
余「うつけ者!お前は、自分の格好に気づかんのか!」
ウルスラ「……?」
余「いやしくも余の妃となろうという者が、そう易々と肌を晒すとはなにごとか!」
ウルスラは寝巻き姿である。ズボンの上に、ぶかぶかのタンクトップ。彼女の姉と同じスタイルである。
確かに普段の軍服より露出は多いが、そもそも普段から脚は晒している。新たに見えているのは肩と二の腕くらいだ。
大して変わりはしない、とウルスラには思えるのだが、男には大事らしい。
首が捩れそうなほど横を向き、決してこちらを見ようとしない。
ウルスラ「普段と変わらない。あと妃には――」
余「変わる!」
ウルスラ「……」
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:54:13.23 ID:GjBDvj3L0
よっさんが可愛く見えてきたw
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:54:54.60 ID:2gyfKVAb0
初心なよっさんいいよ
89 :空の王な俺:2011/01/18(火) 00:57:30.02 ID:iN/iO/hx0
言っていることが滅茶苦茶だ。面白いくらいに自分を意識している。もしかしたら、昼間のシャーリーさん以上に。
そう思うとウルスラは少し楽しくなり、そして滅多に出さない悪戯心が芽生えた。
ウルスラ「分かった。何か羽織って来る。でもその前に……」
余「うむ?」チラ
ウルスラ「えい」ペラ
男が横目でこちらを向いた瞬間に合わせて、タンクトップの裾を少しだけ捲って見せた。
といっても、ほんの少しだ。おへその端が見える程度。
姉なら、面白がってもっと大胆に捲って見せたかも知れないが、自分にはこれが精一杯だ。
そしてそれでも効果は十分だった。
余「ぶほっ!ななななななな何をしておるか痴れ者が!!!」
男は鼻血を噴かんばかりに狼狽し、慌ててそっぽを向いた。手すりからずり落ちそうだ。
横顔が真っ赤、トマト再びである。ウルスラが見るのは初めてだが。
ウルスラ「ふふふ」
無邪気な嗜虐心が大いに満たされたウルスラは、軽やかな足取りで部屋へ戻るのだった。
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:59:15.92 ID:GjBDvj3L0
流石悪魔の妹ww
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 00:59:21.26 ID:J7bQ2Aew0
姉妹揃って悪魔か
トマトン負けるなー
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:01:32.57 ID:fQzugHS0O
義姉と嫁揃って悪魔とか陛下頑張れw
93 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:02:44.53 ID:iN/iO/hx0
数分後、ウルスラはシーツを体に巻き付けてバルコニーに向かった。
男もその間に落ち着いたらしく、最初と同じように空を見上げていた。
ウルスラはその手前、手すりに背を預けて座り込む。
余「眠れないのか。」
ウルスラ「……」
ウルスラがこくり、と頷く。
余「余もだ。いかにしてきゃつを余の前に平伏させたものかと思ってな。」
ウルスラ「昼間のネウロイ?」
余「そうだ。余が、余に仇なした敵をおいて帰投したのは初めてだ。」
ウルスラ「あれは相手がどうこうというより、自爆……」
余「余より高い空を知っているというのも気に食わん。」
ウルスラ「……ふふっ」
ウルスラは呆れたように笑ってから、自分が先ほどまでと打って変わって落ち着いていることを意識した。
ベッドの中での煩悶が嘘のようだ。原因と一緒にいるというのに。まったく、この男に関することについて自分は冷静になれない。
そのことに気づいても、恥じたり困惑したりするのではなく、小さな喜びを感じてしまう。それどころか、もっと一緒に居たいとすら思ってしまう。
95 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:06:54.15 ID:iN/iO/hx0
その後は沈黙が続いた。しかしそれは先ほどまでの気詰まりなものではなく、ちょうど出撃の無い日に二人でハンガーでいるような、穏やかな沈黙だった。
しばらくたって、小さな吐息が漏れた。
ウルスラ「……ふああ……」
余「眠くなったのか。」
ウルスラ「……」コックリ
余「待て、ここで寝るな。部屋へ戻るがいい。」
ウルスラは彼女を気遣う声に安らぎを感じる。もっと自分のことで困らせたい。自分のことを見ていて欲しい。自分に構って欲しい。
ああ、どうやら自分は本格的にまずいようだ。抑えられない。
ウルスラ「……って」
余「何?」
ウルスラ「連れてって」
余「」
97 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:12:43.49 ID:iN/iO/hx0
余「そ、そうそう何度もからかわれはせんぞ。ほらふざけてないで……。」
ウルスラ「……」コックリ コックリ
余「……ええい。余でなければ狼藉を働かれたとて文句を言えんぞ……。」
文句を言いながらも、起こさないようそっとウルスラを抱えあげて彼女の部屋へ向かう男であった。
翌朝男はミーナに、基地に空けた大穴のことで小言を言われた。
99 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:17:17.30 ID:iN/iO/hx0
数日後、『STRIKE WITCHES』に男を加えた12人は、ブリーフィングルームに集合していた。
件の尖塔型ネウロイを撃破する計画を協議するためである。
まず坂本が数枚のスライドを示し、改めてこのネウロイについて概説した。
坂本「このネウロイは全長33,333m。その巨体をほぼ直立させ、十から数十キロメートル毎時という低速でローマ方面へ向け進攻中だ。
こいつを撃破する上で最大の問題となるのがコアの位置だ。こいつのコアは頂点部分、つまり標高33,000m以上にある。私がこの眼で確認した」
芳佳「改めて聞くとすごい高さですね。富士山がえーと、1、2、3……」
シャーリー「そんだけの高さとなれば、空気もほとんどないだろうなぁ」
ルッキーニ「え、空気ないの?」
エーリカ「じゃー喋っても聞こえないなー」
ルッキーニ「聞こえないの?」
ペリーヌ「そもそもそこまで到達する方法がありませんわ。私たちのストライカーの限界高度は10,000mがいいところ。
そこな殿方はさらに上れるようですが、それでも20,000mまでは届きませんでしたでしょう」
余「ぐぬぬ。」
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:18:50.88 ID:NWySMUZX0
よっさんかわいいな
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:19:13.92 ID:fQzugHS0O
ウルスラハブられてね…?
>>101
どこを見ておる。13人と書いてあるであろが!余が言えば12は13を意味するのじゃ!!
102 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:22:55.43 ID:iN/iO/hx0
坂本「そこで今回はこれを使う」
言いながら、坂本はスライドのスイッチを切り替える。
現れた画像はこれまでのような写真ではなく、一枚の設計図だった。
坂本「ロケットブースターだ。これを使えば空気の無い、ストライカーの限界を超えた高度まで上昇できる」
余「なんだ。良いものがあるではないか。高ささえどうにかなるのなら、余が一捻りに――」
バルクホルン「いや、そんな簡単な話じゃないはずだ。だろう、ミーナ」
男が楽観的に言うのをバルクホルンが遮る。ミーナは首肯して引き継いだ。
ミーナ「ええ。問題の一つ目、ロケットブースターは大量の魔力を消費するわ。それこそ、並のウィッチなら10秒も噴射していられないくらいに。
それでは到底高度30,000mには届かない」
芳佳「頑張ればなんとかなりませんか?」
芳佳の根性論には、坂本が応じた。
坂本「到達するだけなら、あるいはな。しかしそれでは全く不十分だ。極限環境での生命維持、攻撃、敵の反撃の防御、そして帰還。
十分に余力を残して到達せねば、死にに行くのと同じだ」
シャーリー「だったら、攻撃する人員を皆で出来るだけ高くまで運べばいい。それなら魔力を節約できるだろ」
103 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:26:21.53 ID:iN/iO/hx0
ミーナ「……そこで二つ目の問題よ。実は、ブースターは一機しかないの。戦況は好転してるとはいえ、補給がギリギリで。
大至急と要請してるけれど、追加を待っていては目標のローマ到達を防げない」
シャーリー「それは……」
その場に沈黙が降りる。
ペリーヌ「……」
ペリーヌ「全員で一人に限界まで運んでも、残り20,000m以上はその一人に昇っていただくことになりますわね」
ペリーヌは他の者が口に出せないでいたことをあえて口にしたが、それでも最後までは言えなかった。
これでは攻撃担当者はほぼ確実に死ぬことになる、とは。
攻撃担当者は20,000m以上を駆け上がった後、自身の生命を維持しながら、ネウロイの攻撃をシールドで防ぎ、なおかつそれを撃破せねばならない。
それだけでも不可能に近い。奇跡的に全てがうまくいったとしても、再度ブースターを噴射して、安全にもとの空へ戻るだけの魔力など到底残りはしないだろう。
この作戦は特攻と同じだ。
104 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:30:09.65 ID:iN/iO/hx0
余「余が往こう。」
男はなんと言うこともないように口を開いた。
ミーナが息をつく。期待通りの人間が立候補してくれたことに安心したかのように。そしてそんな自分を嫌悪するかのように。
ミーナ「……ありがとう。きっとあなたならそういってくれると思ってた」
ルッキーニ「よっさん、大丈夫なの?」
ルッキーニが心配そうに聞いた。
余「問題ない。余ならばその高度まで達した上できゃつを叩くなど造作もないことぞ」
男は鷹揚に頷いて見せた。その場の誰もが、「この男なら」と期待を抱かずにはいられない態度であった。
ただ一人を除いて。
ウルスラ「……」
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:32:05.73 ID:NWySMUZX0
よっさんかっけー
しかし>102の切り替えしには吹いたわw
106 :空の王な俺:2011/01/18(火) 01:32:31.93 ID:iN/iO/hx0
今日はここまで
あれー今日こそ6話パート終わるはずだったのに
っていうか全体で見ても中篇くらいで終わるはずだったのに
あれよあれよと伸びていく
SS書くのってたーのしーい!
まぁ間違いなくあと2、3回で終わるよ
じゃあの
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:33:58.86 ID:NWySMUZX0
おつつ
さて、こっからどうなるんだ
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:34:11.86 ID:fQzugHS0O
乙
12と13の区別がつかない陛下かわいよ陛下
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 01:34:54.26 ID:XcREPvRj0
乙!
きっと自分の分を数え忘れたんだな
110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/01/18(火) 02:21:03.31 ID:J7bQ2Aew0
風みたいなもんなんだよ。空の大王だもの。
最終更新:2013年02月02日 13:45