869 :
空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 21:54:06.46 (p)ID:trM0F7FNP(15)
第501統合戦闘航空団基地の一角。埃の匂いがする医務室にて。
慌しく撤収が進む中、基地付の女医、アレッシア・コルチ博士は机の上に乱雑に散らかった書類・メモを改めて見直し、
自身の内で同じ結論が導き出されるのを確認すると、一言呟いた。
コルチ「足りないわね」
基地のほとんどの人員が引き払ったあとで、聞こえてくるのは窓の外、少し離れた海岸から響く潮騒だけ。
室内で撤収作業に追われていた一人の事務員に、彼女の独り言はわけなく届いた。
事務員「どうかなさいましたか?」
事務員「っていうか、顔色が悪いですよ。ここしばらく休まれていないでしょう。
少し仮眠を取られたらいかがですか?荷物運びはやっておきますから」
コルチ「眠れる気分じゃないわ。一大反攻作戦の真っ最中なのよ。私には祈るくらいしかできないけれど。
でもそんなことは今はいいわ。足りないのよ」
事務員「だから、何がです?」
コルチ「死体」
事務員「し、死体?」
871 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:00:17.17 (p)ID:trM0F7FNP(15)
コルチ「ええ。例の襲撃で亡くなった人員の遺体についてまとめてたんだけど。
どの部位について数えても、あの日ハンガーにいた人員の数と合わないの」
事務員「それは……その、ネウロイのビームで、その、見つかりにくい状態にされた、とか……」
コルチ「ビームで蒸発させられたにしても、欠片くらいは残るでしょう?」
慎重に言葉を選ぼうとする (そして逆にそのせいで生々しい表現になってしまっている) 事務員に対し、疲れもあって女医は直裁な言葉で反論する。
『例の襲撃』以降、ほとんど休む間もなくハンガーに残されていた遺体の確認と埋葬の処理に追われていたのだ。
事務員「はぁ。それで、何人分足りないんですか」
コルチ「ひとりよ」
873 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:06:17.85 (p)ID:trM0F7FNP(15)
―――
ウルスラ・ハルトマンは暗闇の底で目を覚ました。
重力から、自身が横向きに倒れていることは分ったが、それ以外のこと、周囲の様子などはまったく見えなかった。
空気は冷たく、そして何の匂いもしなかった。
ウルスラ「……」
ゆっくりと身を起こす。床は滑らかで継ぎ目がなく、気温と同じように冷たい。一枚の金属板のように感じられた。
身体の節々が思い出したように痛む。
周囲は依然として一点の灯りもない暗闇で、目が慣れる様子もない。まるで黒い
インクの中に沈んでいるようだ。
ウルスラ.oO(私は、生きているの……?)
手探りで身体をあちこち触ってみる。
服装は襲撃を受けた際のままで、頬や右足に多少の擦り傷があるようだが、既に乾いてかさぶたになっている。
慎重に数分かけて自己診断した結果、彼女は驚いたことに自分がまだ生きて、
さらに驚くべきことに五体満足な、メンタルにおいてもフィジカルにおいてもほぼ健康な状態でいることに気づいた。
875 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:12:22.03 (p)ID:trM0F7FNP(15)
ウルスラ「……」
ここはどこだろうか。
少なくとも、人類の施設ではない。ウルスラは直感でそれを悟っていた。
ネウロイ。
自分は敵の手に落ちたようだ。あの新型ネウロイの襲撃は、そのためのものだったのだ。
私を殺すつもりだろうか?
そうは思えない。そのつもりなら、気絶している間にやっている。
いくらウィッチといえど、意識がない間はシールドさえまともに張れない。
蟻を潰すくらい簡単だったはずだ。
生かして何かさせるつもりだろうか?
かつてスオムスで同僚のウィッチが、ネウロイに捕まったときのことを思い出す。
彼女は後になってネウロイを率いて現れ、同僚たる自分たちに銃を向けた。
自分もそのような洗脳を受けるのだろうか?
しかしそれなら、なぜ気絶している間に済ませてしまわなかったのだろうか。
何らかの問題があるのか。あるいは、自覚していないだけで、既に何らかの処置がなされているのか。
876 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:18:25.92 (p)ID:trM0F7FNP(15)
ウルスラ「……どういうつもり?」
返答を期待した問いではない。
しかし反応はあった。
唐突に、10メートルほど離れた場所に、見慣れた赤く輝く物体が現れた。
周囲の床面、ウルスラの背丈の倍ほどの高さにある天井が淡い光に浮かび上がる。
ウルスラ「コア……?」
その掌大ほどの小さなコアは数回回転すると、いきなり細いビームを放ってきた。
ウルスラ「っ!」
ウルスラは倒れこむようにして、何とかそれをかわした。しかしコアは執拗にウルスラを狙ってくる。
殺すつもりがない、というのは誤算だったか……。
ウルスラは転がって攻撃をかわすが、短い間隔で放たれるビームをいつまでもかわしきれない。
シールドを展開し、防御を試みる。
ネウロイのコアとコントラストをなす、青い輝きが辺りを照らす。
ウルスラ「――!?」
877 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:20:59.98 (p)ID:Q+Gy6FAq0
空の王が・・・帰ってきた!!
879 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:23:01.63 (p)ID:nZOTYWLc0
空の王きましたか!
880 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:24:04.14 (p)ID:RZVQxspf0(10)
(歓喜のあまりに脱ぎ出す音)
881 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:24:22.87 (p)ID:trM0F7FNP(15)
ビームは大した威力ではなく、増幅装置たるストライカー無しのシールドでも弾くことができた。
しかし予想外の変化が足元に生じ、ウルスラは思わずよろめいた。ずぶり、と足が沈んでいく。
固まっていた水銀が急に溶け出したような感触だった。あっという間に膝の上まで沈み込み、再び固まる。
手を当ててみると、まるで嘘のように先ほどと変わりない固体だ。
しかし、密着した素足から、何が流れ込んでくるのを感じる。
ウルスラ「魔力を、供給されてる?」
次いで、展開しているシールドに変化が現れた。瞬くように明滅したかと思うと、流入してくる魔力にあわせ、輝きが増していく。
シールドの色が変化していく。清流に血を垂らしたように赤い光が混じっていく。
ウルスラ「解除を……っ!?」
ウルスラの意思を受けて、シールドの光が弱まる。しかし、消えない。強制的に維持されている。
わざわざ目を覚ますまで待って、威力の低いビームまで使って攻撃してきてきたのはこれが狙いだ。
ウィッチのシールドの制御を奪う。このまま盾にでもするつもりだろうか。
シールドはどんどん侵食されていく。足を封じられ、もはやウルスラは逃げることもできない。
そして床が再び融解し、彼女を飲み込んでいく。
883 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:31:10.61 (p)ID:trM0F7FNP
ウルスラ「っ!」
もがいても、床の抵抗は頼りなく、底につきそうな気配はない。このまま生き埋めになってしまうのだろうか?
もはや自分は用済みか?あるいは「シールド発生器」として生かされるのか?
腰が、胴が沈んでいく。焦るばかりで、思考が空転する。
ウルスラ「くっ、うっ……」ズズ...
ウルスラ「――けて……」ズブズブ
既に首までが沈んでいる中で、懸命に腕を伸ばす。
何も見えない、誰もいない。
ウルスラ「助けて――!」
こんなときに名前を叫ぶこともできない。
やっぱり「あの男」はロクデナシの類だな、とウルスラは思った。
―――
885 :空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:34:47.56 (p)ID:trM0F7FNP
すまない、ここまでなんだ。
続きもだいたいできてるが、まだ推敲中。
プロットも、もう三度も作り直してしまった。
とはいえ、今のプロットはなんとか筆が進む。
この週末中には残りも落とせると思う。
じゃあの。
887 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:35:53.28 (p)ID:Q+Gy6FAq0
乙!!続きを待っていますぞー!!
888 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:37:33.93 (p)ID:RZVQxspf0
乙乙!そして乙!
いやはや、最近いろんな方が戻って来ているから「もしかして」と期待をしていたら……良かったぁ
891 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺 :sage :2011/10/13(木) 22:41:11.91 (p)ID:trM0F7FNP(15)
ああそうだ、一つだけどうでもいい小ネタ。
ウルスラ「……」カチ...カチ...
ウルスラ「……?」
― 空の王総受け陵辱同人誌「堕ちた空」
― 全200pを超えるボリュームで今冬発売
ウルスラ「……」
ニア [カートに入れる] カチッ
ウルスラ「 (届けに) 来て、早く。私を――」
余「……!?」ゾクッ
余「ウルスラ……?」
892 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:42:20.68 (p)ID:KmFT3x1k0(2)
やめいwwwwwwwww
893 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:43:48.48 (p)ID:7wMswW1B0
ウルスラも腐ってしまうん?
894 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :sage :2011/10/13(木) 22:47:45.23 (p)ID:trM0F7FNP
雑談スレでこのネタ拾ったときは、「今『夏』発売」だったんだよなぁ
使わせてもらおうと思ってるうちに、とうに夏コミなんざ終わってた
なんでこんな時間かかったかなぁ
最終更新:2013年02月02日 13:48