415 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】
空の王な俺:2011/11/11(金) 19:50:30.49 ID:znSevwRrP
最終話の筋ができてから急に忙しいとかやめてよね……。
前回のあらすじ。
光学迷彩型のネウロイの襲撃で戦死したと思われていたウルスラ・ハルトマンは生きていた。
彼女はネウロイに捕獲され、ヴェネツィアの巣において俘虜となっていた。
ネウロイは彼女のシールドを利用する体勢を整えつつあった。
人類には、そんな彼女の状態を知る者はない……。
416 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 19:51:08.36 ID:K1RTajxN0
きたあああああああああああああああああああああああああああああ支援
417 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 19:57:12.27 ID:znSevwRrP
ヴェネツィア沖合い。オペレーション・マルスは最終段階が進行中。
水柱を蹴立てて、異形と化した大和が進む。
自分たちの仕事を終え、天城に着艦したウィッチ達がそれを見送っている。
エイラ「サーニャ、サーニャ、ほらあれ!見てみろヨ!」
サーニャ「もう見てるわ……」
芳佳「すごい、本当にネウロイになってる!」
大和の筒状に突き出していた艦橋は一回りも膨れ上がり、その頂上から突き出していた測距儀までもが醜く歪み、まるで艦橋に生えた角のような有様になっていた。
もはや本来の用途には使えまいが、今の大和には人間の観測員による照準管制など必要ない。
煙突からはそれまでの黒煙に代わり、なお濁った瘴気をもうもうと噴出している。
扶桑が誇るその世界最強の主砲砲塔は根元から隆起し、砲身までもが歪に膨れ上がって、その野蛮な破壊力を誇示していた。
やがてその船艇は海面を離れ、艦という言葉の意味をあざ笑うかのように空中を進み始める。
数万トンの鋼の投げ槍と化した大和は、一直線にネウロイの巣へ向け驀進していく。
無論、ネウロイもただ座視して待ちうけはしない。
無数の円盤型ネウロイが大和に群がり、その姿を覆い尽くす。
腹に抱いたエネルギー結晶を次々に投下して、爆撃を行った。
ぼん、ぼんという花火に似た、しかしより下腹に響く爆音が空域にこだまする。
418 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:01:20.70 ID:znSevwRrP
リーネ「やられてる……!どうして反撃しないの!?」
芳佳「あれじゃ大和が沈んじゃいます!まさか、制御が利かないとか」
バルクホルン「いや、あれは違う」
エーリカ「うん、引き付けてるんだ」
芳佳「え?」
次の瞬間、エーリカの言葉通り大和の対空砲座が一斉に火を噴いた。一拍遅れて雷鳴のような破裂音が轟く。
硝煙の匂いが、空母天城艦上に収容されたウィッチーズにまで漂ってきそうなほどの、猛烈な対空砲火である。
小型ネウロイの群れは虫追いの煙に追い散らされる羽虫のごとく、あっという間にばらばらに引き裂かれた。
おおおお―――、と
天城のそこかしこから、乗員の感嘆とも恐れともつかぬ声が上がった。
ミーナ「すごい……」
バルクホルン「あれならやれるぞ!」
419 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:07:24.07 ID:znSevwRrP
そしてついに。
巨大な破城槌と化した大和の舳先が、ネウロイの巣の外殻に突き立った。
火薬の炸裂音とは違う、単純に固形の大質量同士が衝突する抜けの良い高音が戦域に響き渡る。
大和と同様の、しかしはるかに巨大なハニカム構造を持つ巣の表層、球体構造面がまるで液体のように波立った。
オペレータ「大和、巣外縁に到達しました!」
天城艦橋にて、オペレータがさすがに緊張した声で報告する。
杉田は軽く頷き、そして些かの躊躇もなく号令を下した。
421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 20:12:29.32 ID:ywyTE48k0
待ってました!
支援支援!
422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 20:13:14.40 ID:K0J0OULN0
キタァァァァァァァァァァァ! おかえり!!
423 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:14:37.54 ID:znSevwRrP
―――
まず衝撃。そして轟音。
ウルスラ・ハルトマンは頭をバットで――あるいはもっと大きくて重くて無骨な何かで――ぶん殴られたような衝撃で叩き起こされた。
ウルスラ「……??」
目を白黒させながら、自分の状況を認識しようとする。ウルスラはなにか黒くて巨大な船の舳先に立って、その船の艦橋に向き合っていた。
大きすぎて視界に収まりきらないほど巨大な艦だ。禍々しくその存在を誇示する主砲を、まっすぐ船首方向に、即ちウルスラに向けている。
船というコンセプトは明らかに人類のものだが、この艦は黒いハニカム構造状の装甲板で覆われていて、まるでネウロイのようだった。
その艦に主砲を向けられている、という状況に本能的に危機感を感じた彼女は、その射線上から退こうとした。
ふと違和感を感じたのはそのときだった。体が拘束されている。
膝から下、二の腕から先、そして背中が、セメントか何かに埋められたかのように。
ことここに至り、ウルスラの意識は完全に覚醒し、自身のおかれている状況を正確に理解した。
自分は艦の舳先に立っているわけではない。艦首の先、艦と正対する「壁面」に捉われているのだ。
ネウロイの巣、巨大核の表層。半身をコアに埋め込まれた状態で、ウルスラは巨大戦艦と相対していた。
戦艦は巣の外殻に空いた穴から覗き込むように、こちらに舳先を向けている。
今はおそらくオペレーション・マルスの最中で、眼前の巨大戦艦こそは人類の最終兵器、ネウロイ化大和だろう。
ならばここまで進攻に成功した大和がこれからなすべきことは、ただ一つ。ウルスラはハッとして自分に突きつけられた主砲を見つめた。
ウルスラ「待っ――」
砲口の奥に、光が弾けた。
―――
424 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:20:51.75 ID:znSevwRrP
杉田「大和、主砲発射」
オペレータ「主砲発射!」
オペレータが復唱しながら、釦を押し込む。
天城から放たれた発射信号を受信した大和・火器管制システムが下位の主砲制御システムに最終信号を送信。
電気信号が光の速度で艦内を駆け巡り、主砲砲塔内、激発システムを活性化する。
物理的、電気的な安全装置の一切を解除された激発機が、砲身の最奥に込められた殺意をその頚木から解き放つ。
発射。
大和甲板上ならどこであろうと、その音圧だけで人間を殺傷しうるほどの装薬が炸裂する。
天城に乗艦している乙女らの体表が轟音にびりびりと震えた。
巣の外殻が吹き飛び、次いで白く輝く残骸となって渦を巻く。
巣を覆っていた黒雲までもが、眼下の海面のように波立った。
杉田「やったか?」
425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 20:23:33.53 ID:ywyTE48k0
やったか……?
428 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 20:30:00.36 ID:5WkREdSGO
やったか!?
って言うと大抵やれてない法則
427 :この辺、視点移動が激しくて分りづらくなった、すまぬ:2011/11/11(金) 20:28:36.75 ID:znSevwRrP
―――
ウルスラ「―――――――――――!!」
絶叫。
目を覚まされたとき、すなわち大和が衝突したときとは比べ物にならない衝撃と激痛、そして負荷。
しかし彼女はまだ生きていた。
ネウロイがウルスラの体を利用してシールドを展開したのだ。
息も絶え絶えのウルスラの眼前で、赤く、ウィッチが展開するものとは桁違いに大きなシールドが回転している。
コアは砕けず、ウルスラにも怪我はない。
しかしシールドにかかった負荷の一部は間違いなくウルスラにもフィードバックされたため、
いっそ粉々にされた方がマシだったのではないか、とすら思えるような激痛が全身を襲った。
ウルスラ「はぁっ……はぁっ……」
ウルスラのダメージに伴い、シールドが消え入りそうに明滅する。しかし、
ウルスラ「!」ドクン
ウルスラ「うぅ……」
コアから強制的に魔力が供給され、シールドを維持させられる。
429 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:35:11.39 ID:znSevwRrP
何とか息をつきながら、ウルスラは顔を上げた。
眼前にはネウロイが自分の魔力を利用して形成した巨大なシールド、そしてそれ越しに、禍々しく変形した大和がある。
まっすぐ向けられた大和の主砲、その赤熱した先端部と、どこまでも落ち込めそうなほど深い砲身から目をそらし、ウルスラは艦隊を見やった。
巣の外殻壁面に穿たれた破孔は先ほどの砲撃で三倍以上の大きさにまで拡大されていて、大和の正面部だけでなくその向こう、戦域の様子がある程度見渡せた。
霖雨にけぶる海面から、幾筋もの黒煙が上がっている。被弾した連合艦隊の艦艇から上がる煙。
彼らに咎はない。彼らには自分がここにいることが死角になっていて分からないし、何より彼らもまた必死なのだ。
ウルスラ「……?」
と、ウルスラは流入してくるネウロイの魔力 (に近い正体不明のエネルギー) の質に変化が生じたことに気づく。
と同時に、シールドにも変化が現れ始めた。
耳障りな音を発しながら、少しずつその回転を加速させていく……。
―――
432 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:43:52.05 ID:znSevwRrP
杉田「やったか?」
オペレータ1「いえ、まだです!」
杉田「何?」
杉田は双眼鏡を構えると、天城艦橋の折からの霖雨に打たれるガラスを通して巣を覆う黒煙に目を凝らした。
黒煙の奥にちらちらと赤く輝く壁のようなものが見える。
巣を覆って回転する、大和の砲弾を受け止めたそれの正体に気づき、杉田の背筋が粟立った。
天城甲板上で魔眼を凝らしていた坂本も同時にそれを捉えた。
杉田・坂本「「シールド、だと……?」」
ミーナ「確かなの!?」
坂本「ああ、間違いない。あれは……欧州式のシールドだ」
主砲の炸裂により生じたコアを覆う煙が、海上の風に吹き払われてゆく。
大和と、巨大な紅玉のようなコアとを隔てて、なお赤くぎらぎらと輝くシールドが回転している。
黒雲が光を照り返し、戦域全体に非常灯が灯ったような不吉な赤い光が満ちた。
ペリーヌ「ネウロイが、シールドを張るなんて」
リーネ「大和の砲撃か効かないって、どうしたらいいんですか?」
バルクホルン「……」
433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 20:44:06.88 ID:m9LXeDC40
キング!!来ていたのですね!!
>>433
「キング」ではなく「ロード」だ。
435 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:51:19.48 ID:znSevwRrP
天城艦橋。杉田は動揺からすばやく立ち直ると、部下を叱咤した。
杉田「構うな!もう一度斉射だ」
オペレータ1「りょ、了解。主砲塔と接続します」
オペレータ2「魔導ダイナモ、出力正常。再生能力を転用して弾体を再構築します」
しかし大和より先に、ネウロイが動いた。
金属を高速で擦り合わせるような耳障りな高音。大和の眼前、ネウロイの巣の表層を赤い閃光が走る。
シールドの回転が加速。螺子をまくようにギリギリと一点に収束し、卒然とビームが放たれた。
雑魚の放つそれとは一線を画す速度と振幅。連合艦隊に反応する暇など一瞬もなかった。
閃光が大太刀のように、一隻の戦艦を断ち切った。
巨大な戦艦を飲み込むほどの水柱が立ち上る。瞬間的に流れ込んだ水の圧力で、戦艦の煙突から黒煙と共に水の塊が噴出した。
『タナガー被弾!航行不能!』
『戦艦が、一撃だと!?』
『この距離を、しかも雨を突っ切って減衰しないビームか……!』
艦隊が浮き足立つ。無線越しにがなりたてられる怒声が戦域を飛び交った。
衝撃が波となり、天城にも到達した。ウィッチ達の足元の甲板が頼りなげに揺れる。
436 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 20:59:40.15 ID:znSevwRrP
宮藤「きゃあ!」グラグラ
バルクホルン「くそ、なんて威力だ!」グラグラ
思わず床に手を着いたり、誰かに掴まったりする面々の中、エーリカだけがネウロイのシールドをじっと見つめている。
かすかに、シールドに見覚えがある気がするのだ。無論、赤いシールドなど彼女が見たのは
初めてのはずなのだが。
紋章の部位により僅かに明るさが違う。発生させる際の魔力の癖によるものだ。
魔法的な象徴を記述した部分より、魔力整流のための数秘術式の部分の輝きが強い。
そこに他よりはやや力が入っているということだ。
エーリカはこのシールドの癖を知っている。
古くからの神秘学より、魔力をエネルギーとみなした工学的理論を好む。これは、あの娘が――
エーリカ「……まさか」ダッ
ミーナ「フラウ、どこに行くつもり!?」
エーリカは答えず、駆け出していく。
ミーナ、バルクホルンが後に続いた。
437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 21:01:39.53 ID:ywyTE48k0
さすが姉は分かるのか支援
438 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:06:44.06 ID:znSevwRrP
駆け出していくエーリカは2人に任せ、残りのウィッチ達は大和とネウロイの砲撃戦を見つめている。
現在はどちらも再装填中なのか、不気味な沈黙が続いている。
そんな中、
シャーリーが思い出したように呟いた。
シャーリー「……なぁ、そういえばよっさんもどこいったか知らないか?」
ペリーヌ「そういえばいらっしゃいませんわね」キョロキョロ
坂本「む。いたらいたで色々と騒がしいくせに、消えるときは予兆もなく消えるやつだ」
ルッキーニ「大和がビガーってした辺りでは一緒だったよー」
坂本「ということはネウロイ化の後か。誰かあいつが天城に着艦したところを見たか?」
サーニャ「……」フルフル
エイラ「私は見てないナ」
440 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:13:13.76 ID:znSevwRrP
宮藤「一人でネウロイのコアを壊しにいった、とか?」
シャーリー「……ありうるな」
重々しく頷くシャーリー。ルッキーニが彼女を見上げ、首を傾げる。
ルッキーニ「よっさんならできるかな?」
ペリーヌ「大和ですら破れないシールドをまさか……とは思いますが、あの方に常識は通用しませんでしたわね」
不意に、甲板に蒸気が立ち込めた。何かと思うウィッチたちのなかで、リーネが叫ぶ。
リーネ「カタパルトが!」
その指差す先、飛行甲板の船尾側の端で、エーリカがストライカーを持ち出していた。
制止するミーナらを振り切って、離艦していく。
宮藤「ハルトマンさんまで、一体――」
坂本「疲労困憊した体で、どうするつもりだ……。とにかく、追うぞ!」
439 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:11:11.16 ID:znSevwRrP
―――
ウルスラ「…………」
ウルスラは震えている。
自分のシールドを利用したビームが、連合艦隊の戦艦を撃沈したのだ。
いや、そもそもそれ以前に、自分が盾となることでコアの破壊を防いでしまっている。
自らの意思ではないとはいえ、「裏切り者」という単語が脳裏を過ぎる。
総身に細かな震えが来ていた。
どうすればいい。どうすれば。
どうにかして、連合艦隊に救出を求めねば。
自分がここから離脱できれば、シールドは消える。大和がコアを破壊できる。
あるいは、自分とネウロイは今、魔力的な回路がつながっている。
これを逆に利用して、ネウロイを妨害することはできないだろうか?
少なくともシールドを弱めるくらいなら……。
いずれにせよ、最終的にコアの破壊を目指す以上、ここに残っていては巻き添えになる。
なんとか連絡をとることだ。
漠とでも行動の指針を立てて、少しは冷静さを取り戻したウルスラの心を、しかし今度は人類側の兵器が折りにかかる。
大和の主砲の砲身の奥から、ごごん、という重い金属塊を動かすぞっとするような音が聞こえてきたのだ。
砲身が僅かに揺れる。砲弾が装填される音だ。またアレが来る。
ウルスラの喉の奥から、ひぅっ、という引き攣ったような音が漏れた。
―――
443 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:21:15.28 ID:znSevwRrP
オペレータ1「カタパルトが作動中、ウィッチーズが出撃していきます」
杉田「なに?通信を繋げ」
オペレータ「はっ」
杉田「(カチッ) こちら天城。ストライクウィッチーズ、貴隊の出撃の意図を述べられたし」
ミーナ『こちらストライクウィッチーズ。それが私にも...ザザ...』
杉田「もしもし?ミーナさん?」
オペレータ「通信途絶……。巣周辺のジャミングが活発化しています。小型のインカムの出力ではこれ以上は無理ですね」
オペレータ2「艦長。大和の弾体再構築完了、撃てます」
杉田は一瞬だけ手を止め、交信を続けるか迷ったが、無線機を下ろした。
この局面においては、彼女らは既に役目を終えている。何をする気かはわからないが、大局に影響はないだろう。
無論、独断による出撃は越権行為にあたりかねないが、こういったことはウィッチという人種にはつき物のことでもある。
今は大和の指揮に集中するべきだ。
444 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:28:35.65 ID:znSevwRrP
杉田「よし、撃て」
杉田が静かに号令を下す。
再び大和主砲の轟音が空域を震わせる。しかし一瞬早く、ネウロイのシールドが展開。
主砲とシールドが正面から衝突する。赤いシールドが撓み、しなり、しかし破れはせずになんとか砲弾を弾き返した。
オペレータ2「くそっ」
杉田「構うな、撃ち続けろ。いつまでも耐えられはしない」
杉田.oO(問題はその隙を与えてくれるかどうか、か。
完璧に射程圏内に捉えられ、もはや我々は俎上の魚だ)
杉田「なんとしても、天城が被弾する前にあのシールドを突破するのだ」
445 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:34:50.50 ID:znSevwRrP
―――
ウルスラ「あああァ――――――――――!!」
ビキビキビキ...と音を立てて、シールドにひびが入る。
ウルスラは、それが自分の体が割れていく音のように感じた。
ウルスラ「はー……、はー……」ビクッビクッ
息がかすれ、嘔吐した直後のように胸が、背中が痙攣する。
ウルスラがそんな状態であるのにも関わらず、コア前面に展開するシールドは再び回転・収束し、攻撃態勢に入っていく。
ウルスラ「やめて……もう、やめて……」
無論ネウロイが聞き入れるはずもない。
ビーム発射。
また連合艦隊の一隻が沈む。
自分の思考は一切顧みられることなく、戦況は進んでいく。
先ほど撃沈された艦艇の種類は分からないが、せめてウィッチーズを乗せた船でなければとウルスラは祈った。
しかしこのまま攻撃が続けばいずれは……。
447 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:40:08.00 ID:znSevwRrP
大和とネウロイの砲撃戦は、一分ほどの間隔で続いている。
一分後にはまた大和の砲撃が来る。そして、恐らく自分のシールドがそれを防ぎ、ネウロイが反撃する。
またあの衝撃と激痛が来る。次は自分は耐え切れるだろうか?
またしかし、耐え切れたなら耐え切れたで、連合艦隊の艦が沈む。
今度こそウィッチーズが犠牲になるかもしれない。
あるいは天城が被弾し、天城が制御しているネウロイ化大和が無力化されるかも。
思考が弱気な方向へ流れる。
ウルスラ「くぅ……」ジワ
ついに涙がこぼれそうになる。
もう、自分の生存まで望んでいる場合ではないのかも知れない。
二度の砲撃を受けて、シールドは疲弊している。ほかならぬ自分のシールドだ。感覚でそれが分かる。
次の砲撃に合わせ、シールドを一瞬解除するだけなら不可能ではさそうだった。
―――
448 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:43:45.75 ID:znSevwRrP
再びネウロイのシールドが収束、放射された。
杉田ら天城艦橋の面々は息を詰めたが、しかし第二射も照準は天城を逸れた。
今度はビームは天城のすぐ前を航行していた駆逐艦を一閃した。
艦橋を超える高さの水柱。船体がほとんど真っ二つになり、恐ろしいほどの速さで海に没してゆく。
他の艦艇が犠牲になる、その血で購った猶予で砲撃を続けている。
自らの傷口から骨を抉り出して敵に突き刺すような攻防。
杉田.oO(だが無為な犠牲ではない。無為な犠牲ではないぞ)
そう、防御、攻撃の
繰り返しにより、ネウロイのシールドは確実に損害を蓄積していた。
明滅し、浮かび上がる紋章には歪みが生じていた。
反撃のビームもすさまじい威力なのは変わりないが、一射目に比較すると明らかに弱まっている。
駆逐艦こそ一撃で沈めたが、一射目と同様に戦艦を一撃で屠る威力ではなかった。
次の斉射は、簡単にははじけないだろう。
オペレータ1「弾体、再構築完了!」
450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 21:47:26.85 ID:ywyTE48k0
ウルスラがかわいそすぎてもう見てらんない支援
ちょっとネウロイぶっ潰してくる
451 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 21:49:51.87 ID:znSevwRrP
―――
大和の砲撃に合わせ、シールドを落としてしまえば。
一発につき1.4tの砲弾、その6発のゼロ距離斉射は、確実に巣のコアを粉々に砕くだろう。
無論、コアとともにウルスラもまた46cm砲の直撃をうけて、骨のかけらすら残りはしない。
誰にも知られぬまま捕まり、誰にも知られぬまま死ぬのか。
だがそれでも、このまま連合艦隊を壊滅させてしまうよりは……。
ウルスラは再び空域を見やる。どこかに豆粒のように、飛んでいるウィッチーズの姿が見えないだろうか。
せめて一言、お別れが言えたなら。いや、一目彼女らの無事な姿を見るだけでいい。
それさえできたなら、覚悟を決められるのに。
また、大和の主砲の奥からあの音がした。
答えは出ていない。覚悟はできていない。
主砲が僅かに身じろぎし、照準を修正した。ウルスラの恐怖を煽っているかのよう。
ウルスラはもはやすすり泣くように懇願した。
ウルスラ「待って……待ってよぉ……」
しかし彼女の言葉を聞く者は、この場にはいない。
456 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺 サルとけたか?:2011/11/11(金) 22:07:45.08 ID:znSevwRrP
激発、発射。
ウルスラ「…………!!」
もはやウルスラは声もでない。
意思とは無関係に、背骨が折れそうなほど上体が反り返る。
衝撃が通り過ぎると、今度は逆に全身から力が抜け、下半身と両腕をコアに捉われたままがっくりとうな垂れる。
シールドは魔力の供給を受けてもなお、芯の切れかけた電灯のように明滅している。
大和は立ちはだかる壁のようにそびえ、ウルスラを威圧している。
もう、どうしようもない。
諦めが心に忍び込む。
自力では脱出することは不可能だ。
助けを呼ぶことさえままならない。
何の希望もないまま、この砲撃に耐え続けねばならない。
ウルスラ「……もう、いや」
思ってしまった途端、あっけなくシールドは消えた。わざわざ解除する必要もなかった。
457 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺 サルとけたか?:2011/11/11(金) 22:10:20.91 ID:znSevwRrP
ウルスラは三度、その音を聞いた。
ごごん、という重いもの動かす作動音。大和主砲の再装填音。
ウルスラはそちらを見ることさえしない。
首を上げることさえ億劫だった。
ネウロイは再びシールドを展開させようと魔力を流し込んできたが、ウルスラは拒否した。
そもそも弱りきっていて、それだけの力さえ残っていなかった。
芯の切れた電球にいくら電圧をかけても無駄なように。
ネウロイの焦りが伝わってくる。
ウルスラ「もう、無理……」
ぐったりと項垂れたまま、ウルスラは自嘲気味に囁く。
ウルスラ「あなたも、私も、ここでおしまい」
ウルスラの脳裏を、今まで出会ってきた人々の面影が過ぎる。既に走馬灯が始まっているのかも知れない、とウルスラは思った。
家族、友人、スオムスで、ロマーニャで共闘したウィッチ達、最愛の姉。
最後に、「あの男」を思い浮かべ、ウルスラは一言呟いた。
ウルスラ「……待っててあげられなくて、ごめんなさい」
そして、目を閉じた。
大和の砲門が輝く。
460 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:15:52.36 ID:znSevwRrP
これまで生きてきた中で最大の轟音がウルスラを襲った。
それはもはや音ではなく衝撃波の濁流だった。鼓膜が破れていないどころか、肺が破裂していないのすら不思議に思えた。
彼女はまだ生きていた。
訝しげにゆっくり瞼を開く。いつの間にか雲が一部切れ始めていて、斜めに差し込む日光がウルスラの目をさした。
細めた視界の上端に、「青い」シールドが回転している。
ウルスラはついに顔を上げた。
ウルスラ「……あなた」
雲間から差し込む逆光を背に、その男はたたずんでいた。
余「『待たせたな』、ウルスラ・ハルトマン。」
余「迎えにきたぞ。」
雨が上がろうとしていた。
461 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:18:46.92 ID:u/9jnA+60
なにこれ惚れる 支援支援
462 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:21:33.95 ID:znSevwRrP
ウルスラが金魚のように口をパクパクさせる。
男は意地悪げに、そして心底嬉しそうにニヤつきながら言葉を継ぐ。
余「ふぅむ。こんな光景をつい先ごろも見た気がするな。」
ウルスラ「……」
余「そうだ。そなたの姉であるエーリカ・ハルトマンも先ほど間一髪の危機を余に救われたのだ。
まったく姉妹そろって手のかかることだな。」
フフン、と得意げに鼻を鳴らす。
余「だが気に病むことはない。それもまた、王たる者の責務と言えよう。
それに今は、どういったわけかは知らぬがそなたが存命であったことの方が重要だ。」
余「なんたる奇福。苦しゅうない、余の懐に飛び込んでまいれ。」
ウルスラ「……で」
余「む?」
ウルスラ「腕!」
男は初めて気がついたかのように、その左腕を見た。
男の左腕、肘から先がおかしな方向を向いている。
折れているだけではない。手先から絶えず滴る血が、相当の深手を負っていることを示している。
腕だけではない。左半身全体が、焦げたり擦り切れたりと酷い有様だ。
服は熱で焦げた部分と血が染み出した部分とが渾然となって、豪奢な軍服がぼろ布と見まがうほど。
ウルスラを庇って、大和の主砲を受けたために受けた手傷だった。
463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:23:41.35 ID:ywyTE48k0
かっこええ……
464 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:26:21.03 ID:znSevwRrP
ウルスラ「大丈夫なの?」
余「ふむ……。ネウロイ化か。壮語するだけの事はある、大した威力であった。」
余「だが、案ずるな。この程度でそなたを抱きしめることを思い断つ余ではない。さ、近う寄れ。」
ウルスラ「……大丈夫そうで、良かった」
余「ぬ。」
ウルスラ「ふふ」
余「ふむ。ようやく笑ったな。」
また男はにやりと笑う。ウルスラは思わずふいと顔をそらした。
余「照れずともよいよい。……さ、さ。」ヒラヒラ
男がひらひらと手を動かす。
466 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:30:45.57 ID:znSevwRrP
ウルスラ「……?」
余「……。」ヒラヒラ
ウルスラ「……」
余「……。」ヒラヒラ
ウルスラ「……何?」
余「何度も言っているであろう。飛び込んで来るのだ!余の懐に!」
ウルスラ「動けない。あと、たとえ動けてもいかない」
ウルスラ「……変態」ジトー
余「ぬぅ。だが胡乱気な目をしたそなたも愛らしい。」
ウルスラ「気持ち悪い」
467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:32:18.70 ID:ywyTE48k0
ウルスラさん数分前べそかいてたじゃないすかー
468 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:35:36.96 ID:znSevwRrP
思わず口に出た。
ウルスラ「驚くほど気持ち悪かった……」
余「二度言うほどか……。」
ウルスラ「はぁ……、手伝って。引っ張り出して」
余「よかろう。」
再開の興奮に任せていつまでも馬鹿をやってはいられない。
大和は今もここに砲門を向けているのだ。
男がウルスラの両脇の下に手をかける。
余「いくぞ。」
ウルスラ「……」コク
余「ふん!」グイイイイ
469 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 空の王な俺:2011/11/11(金) 22:37:43.69 ID:znSevwRrP
中途半端だがここまでにする
書き溜め尽きた
支援砲火に感謝する
470 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:39:27.19 ID:ywyTE48k0
なんという生殺し……
乙したー!
471 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:40:06.19 ID:VMUSZDtz0
おぉう、いい所で終わったかな? 乙乙
改めておかえり!
473 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/11(金) 22:40:53.86 ID:daJJ3uOV0
やだ・・・この王様カッコいい・・・・おつおつ
最終更新:2013年02月02日 13:49