『Full moon shine on, you and me.』

1944年 秋


≪カールスラント領 ネウロイ勢力圏≫

夏が終わり、生命が命を次の世代へ繋ぐために実りを結ぶ季節が訪れる。
しかしこの地、かって人類の所有物であった地…
現在は異形の軍勢に支配され、瘴気が満ちるこの地では1つ、2つ、今この瞬間にも無数の命が次代へ生命のバトンを繋げる事叶わずに散っていく。



女「はぁ…はぁ…はぁ…」



501JFW『ストライクウィッチーズ』の善き魔女達の活躍によりガリアを人類の手に戻した事を皮切りに連合軍は一大反抗作戦を開始した。
まずはネウロイの手に落ちたカールスラント奪還のための拠点確保を目的とした今回の作戦。
欧州で最も激戦区であり、要であるこの地では当然の如く地獄絵図のような激しい戦闘が繰り広げられていた。



女「はぁ…はぁ…みんな…死んじゃった…」



優しかった隊長の千切れた腕を抱えて、陸戦ストライカー『ケーニヒスティーゲル』を履いた少女は突き抜けるように高い秋空を見て吐き出すように呟いた。
すでにこの辺りの制空権はエース部隊である502JFWと周辺部隊の航空ウィッチ達の鬼人が如く活躍によって制圧されつつある。


表情を無くし、虚ろな眼でなお空を見る少女の傍らには常勝無敗の『王虎部隊』とまで呼ばれた同僚達が無造作に転がっている。
結成以来共に笑い、共に泣き、共に戦ってきた仲間達はたった一匹の大型陸戦ネウロイによって敗北した。
健闘むなしく、そういった言葉を送りたいが、ここは戦場だ。
その言葉はなんの意味も持たない。


1人残された少女は隊長の最期の言葉を思い出す『あなたは、あなただけはどうか死なないで…』



女「はぁ…はぁ…ダメみたいです隊長…はぁ…私も…もうすぐそっちに行きます。」



そのネウロイは、異形の軍勢であるネウロイ達の中にあってなお異形だったのである。
大型の装甲戦車のようなボディに奇怪な両腕を生やしたその姿はまさしく神話の時代の巨神が如く
その膂力と暴力は今まで見敵してきたネウロイ達の中でもずば抜けていた。

重装備であるケーニヒスティーゲルの火力でもってしても殲滅しきれなかったのであるから、その強さが窺える。


忌々しい仇敵の右腕が少女に迫る。
少女の同僚達の決死の攻撃によりすでにコアも露出し、半壊状態…いや瀕死と言っても過言でない敵の動きは緩慢だ。
自慢の主砲も数々の尊い命を奪った左腕もネウロイにはすでに無いのである。

しかし少女は動く事ができない。恐怖が身を縛り、仲間達の無念が心を縛る。
破壊の右腕が少女の頭部を握りつぶそうと、その柔肌に触れた。



女「ごめんなさい。お説教は天国で聞きます。」



少女が死を覚悟し、目を閉じた瞬間、陶器が割れるような音。
見る物に恐怖しか与えない大型ネウロイも、破片になってしまえば美しいものだ。
白く輝く破片が幻想的に仲間達への手向けとして降り注ぐ。



女「……オーガ。」



いつまでたっても訪れない死に閉じた目を開いた少女は、古くから伝わる空想上の生物を連想させる姿をした少年をその目に写し、おもわず呟いた。

鬼と呼ばれた少年は頭に使い魔である雄牛の双角を生やし。
振り下ろされた両手には美しい造りの扶桑刀。
扶桑海軍の制服の上に、ファーのついたフード付きのジャケットを羽織り、肩にはロケット砲一門をたすき掛けにして背負っている。
足元には超巨大で強固なシールドが航空ストライカー「桜花33型」と地面の間に展開されていた。

そう、少年は遥か上空から急降下。
その勢いに任せ大型ネウロイを菊一文字にて両断。
地面に激突する寸前に巨大で強力なシールドを展開させ衝撃を減衰、見事墜落する事無く地上1m付近で停止していた。

墜落という危険を冒してまで少女の命を救いに舞い降りた刃は、静かに顔を上げて問いかける。



俺「なんで死のうとしたんですか?」

女「!?」

俺「あなたはまだ生きているじゃないですか?」



思いがけない言葉に少女は言葉を失う。
言葉を放った少年の顔は今にも泣き出しそうで、見ているだけで感情が伝わってくるほど悲痛な物だった。



俺「お願いだから…死なないでください…、生を最後まで諦めないでください。」



そう縋るように少年が呟いた瞬間、静寂が訪れた戦場に通信機のザラついた音が響く。



≪ザザッ…俺少尉!!あなたいったい自分が何をしたか解かっているのですか!!??≫
≪ザザッ…そんな事教えた覚えはないですよ!!≫

ポクルイーシキン、続いてロスマン、2人共俺の独断に怒っているというよりも常識外れな、命を投げ捨てるかのような行動に怒っているようだ。

俺「すいません。」



≪ザザッ…バカモノ!!!言い訳は聞かんぞ!!!≫

ラル隊長も同じ、むしろ先の2人よりも怒りのボルテージが高い。

俺「ご、ごめんなさい…」



≪ザザッ…びっくりしたよ、いきなり地上の情報を伝えろなんて言うんだから…≫
≪ザザッ…俺君怪我無い?治療するから上がってきて。≫

魔眼を用いて俺に地上の情報を授けた下原が、俺の事を心配して治癒を買ってでるルマールが俺を労わってくれる。

俺「心配かけちゃいましたよね…」



≪ザザッ…さっさと上がって来い、このままじゃオレが全部片付けちまうぜ?≫
≪ザザッ…俺君やるじゃないか、女の子を守るなんて勲章物だよ。≫

いつも通りの菅野とクルピンスキー、そんな言葉が今の俺には嬉しい。

俺「ははっ。」



≪ザザッ…後でおもいっきりブン殴るから、それで許してあげるよ。≫

ニパからの通信は、一方的に彼女からの言葉を告げて切れてしまった。

俺「あ、おい!!!」



少年が仲間達から非常に怒られているのをその耳で確認した少女は、彼がどれほどの危険を賭して己を救ってくれたのかを実感する。
しかし、ショックがあまりにも大きいのか少女の瞳に光は無く、生命の危機は去ったというのに今にも死んでしまいそうな面持ちだ。
そんな彼女を、少年は一瞥してバツが悪そうな顔で問いかける。



俺「俺がした事は、余計な事でしたか?」

女「…」



少女は答えられない、周囲の愛すべき仲間達の骸を見れば、どうしても言葉がでてこない。
しばらくの間言葉を発せずにいる少女を見つめていた少年は、やがて寂しそうな顔をして上昇を始めた。
彼の戦場、天高き大空へと戻るのだろう。

少女はそんな彼の背中をずっと見つめていた。

『あなたは…あなただけはどうか死なないで。』

再び、隊長の言葉を少女は思いだす。



女「余計な事なんかじゃないよ、ありがとう。」




          *          *          *




≪同日 晩 前線基地 宿舎≫


激戦を終えた戦士達が戻る地は、古い空港だった。
そこには申し訳程度の宿泊設備があり、その地を中心にテントを組み、半野営といった形である。

カールスラントの、文字通り“虎の子”『王虎部隊』を始め、被害はあったものの、それを遥かに超える戦果を得ていた。
この分では、近いうちに当初の目的である重要拠点の奪還は割と早い内に成功しそうだ。


勝利の浮かれた空気に包まれた基地の中で、空港内の一室に設けられた502統合戦闘航空団のブリーフィングルームでは重い空気が漂っていた。



クルピンスキー「大尉が言い過ぎるから…」

サーシャ「わ、私ですか?それを言うなら中尉だって俺少尉の事ボロクソに言ってたじゃないですか!!」

クルピンスキー「そりゃ心配かけた分は怒らなきゃさ。
        って言う訳で、俺君の教育方針に関して今夜ボクの部屋で…痛ッ!」



そこまでクルピンスキーが喋った瞬間、指示棒が頭を叩く。



ロスマン「まったくこんな時にまで。大体どういう訳でそういう流れになるのよ…
     俺少尉の教育方針に関しては私と大尉で決めるわ。」

いつもの調子でロスマンがクルピンスキーを窘める。

クルピンスキー「まいったな、さすがにここのベッドで3人は…」

ロスマン「こんのっ…」



指示棒の両端をそれぞれ両手で握り、力を込めて棒を湾曲させるロスマン。
そんな終わる気配の無いやりとりを横目に、ポクルイーシキンが話題を元に戻す。 



サーシャ「俺少尉の件、本当に放っておいて大丈夫でしょうか?やはりいつもと違う印象を受けたのですが…
     原因は解かりませんがメンタルのケアも考慮に入れた方がいいかと…」



戻された話題とは、『子供じみたヒロイック精神』(ポクルイーシキンの説教時の言葉)によって独断行動に出た俺少尉に全員で説教した後の、彼の違和感溢れる態度についてだった。

いつもならどれだけ辛辣な言葉を吐かれようが、鉄拳制裁を受けようが相手の眼をちゃんと見据えて謝罪と感謝の精神を忘れない模範的扶桑男子らしい態度を崩さない。
しかし今日の彼は目を伏せたまま、言葉も発さずに退室してしまったのである。




ラル「そう心配する事など無いさ。悩んでいるようだがアレなら自分で答えを見つける。
   どういう悩みかは知らんが、今は沢山悩むべきだよ。なにせそれが許される期間は短い、そして今彼はそれが許される年齢だ。」



そう言って、豪傑な隊長は楽観的だ。
鉄拳制裁によって肉体言語を用いたコミュニケーションをしているからなのだろうか?
自分も一発殴ってみようかとポクルイーシキンが考える。



サーシャ「そういう年齢だからこそ心配なんです。ちょっとした事で自分を見失ったり、自己嫌悪に陥ったり…
     こういう時こそ、年長者としてしかるべき対応を…」


ラル「心配性だな、大尉は。私はそうは思わない、自己否定する事もまた成長だ。
   それに、こっちから何から何まで過保護にするのも彼のためになりはしないさ。
   自分で悩むのも『子供じみたヒロイック精神に基づいた行動』に対する責任だ。そうは思わないかい大尉?」

サーシャ「…」



思いがけず、自分の言葉を引用されたポクルイーシキンは言葉を失ってしまう。
流れる沈黙、それを破ったのはロスマン曹長の柔らかな声だった。



ロスマン「そうですね、沢山悩んで考えればいいと私も思います。」

クルピンスキー「エディータ…」

サーシャ「曹長…」



ロスマン「彼の行動は軍人としては0点でした、己の命を危険に晒し、なおかつ独断の行動で戦線を離脱し部隊の戦力を低下させました。あり得ません。
     彼の指導員として大変遺憾に思います。」

ラル「うむ。」

クルピンスキー「まったくだね。」

サーシャ「中尉、あなたがそれを言いますか?」

ロスマン「しかし、私は…エディータ・ロスマンという一個人の人間として私は彼の行動に敬意を示します。
      くだらないヒューマニズムだと、戦場においては必要ない行動だと思われる人もいるかもしれません。
      しかし、私は彼みたいな行動ができる人が好きです。人間として素晴らしいとも思います。」


ラル「ふっ。」

クルピンスキー「うんうん、女の子を命懸けで救うなんて、男の子の鏡だよ。」

サーシャ「私も、そう思います。」


ロスマンの言葉に、微笑み、同意する3人。
ここが戦場で無くて、彼女達が上官で無ければおもいっきり褒めてやりたかったのだろう。


ロスマン「そんな真っ直ぐで、素直な俺少尉ならきっと大丈夫ですよ。
     私達は彼を信じて、見守ってあげましょう。」


ラル「だってさ、大尉?」

クルピンスキー「大丈夫大丈夫、何かあった時のために、ボク達がいるんだからさ。」


サーシャ「…はい、そうですね。」




どうやら意見が纏まったようだ。
過保護な姉達は、少年少女達が悩んで成長するのをいつだって見守ってくれている。


サーシャ(あ~!やっぱ心配だ!!信じるって難しい~!!)


杯を交わすカールスラントの3娘の横で、気苦労の多い心配性な戦闘隊長は頭を抱えていた。

ブロンドのお下げを揺らし、グラスのウオッカを飲み干す。
どうやら酒の力を借りて不安を消そうとしているようだ。

サーシャ「…はぁ。」




          *          *          *




≪前線基地 滑走路≫


夜の空を主戦場とするナイトウィッチの夜鷹達を見送って、少年は滑走路の中心で正座を、隣の少女は退屈そうに胡坐をかいている。
夜空に雲は無く、まんまるい満月の輝きが柔らかく世界を包み込む。
そんな幻想的な光景は、ここが激しい戦場の最前線である事を忘れてしまいそうな程美しかった。



俺「…」

ニパ「…」



真っ直ぐ正面を、空虚な空間を見つめて精神修練としての正座を続ける少年。
ピンと背筋を伸ばし、もう何時間も微動だにしていない。
左頬はラル隊長の愛のムチによって腫れあがり、若干顔の形が歪んでいる。


そんな彼の傍らに胡坐をかいて座っている少女は約束通りぶん殴りに来たのだが、彼の顔を見て爆笑。
そして、そのまま物言わず彼の傍らに座っていた。
頬を撫でる秋の風を肌で感じて、少女は夜空の満月を見つめている。


ゆっくりと流れる2人だけの時間。
その沈黙は決して気まずい物では無く、そこの相手が存在している事を容認している。
そんなどこか心地良い沈黙だった。



ニパ「で、何をそんなに考えてるのさ?らしくないよ?」

俺「俺らしくないってなんだよ?お前も俺をガキだって説教すんのか?」

ニパ「ガキじゃん。」

俺「まぁ、その通りだから困ってるんですけどね。」



心地よい沈黙にいつまでも浸ってはいられない、ぬるま湯に浸かりすぎても湯当たりはするものだ
ニパが口火を切って、彼の心に触れようと試みる。


俺「俺さ、いつも『ガキの考え』とか『大人になれ』って怒られんじゃん?
   今日に至っては『子供じみたヒロイックな思考』って言われたよ。」

ニパ「言われてた言われてた。」

俺「実際の所自分でもそうだと思うよ、俺だって変わりたいんだ。大人になりたい。
   それでもきっと俺は今日と同じ事が起こったら…
   眼の前で消えそうな命を、それに気付いてしまったら無視する事ができないと思う。」

ニパ「うん。」


俺「だからさ、俺ってこのままずっとガキのまんまで、大人になれないんじゃないかなって考えたら意味解らなくなった。
   だって20歳になれば誰でも大人じゃん?でも隊長と大尉とか先生とかみんなもう大人っぽいじゃん?」

ニパ「だね、私達とあんまり年変わらないのにね。」

俺「どうしたらいいんだろうか?俺はこんな自分が嫌いだよ。
   変わりたい、みんなに心配も迷惑もかけないで済むような大人になりたい。」

自然に心情を吐露する俺と、依然満月を眺めたままのニパ。

ニパ「変われるよ、俺なら絶対に変われる。」

俺「お前話聞いてたか?そんな簡単にはいかないだろう…」


ニパ「もう一度言う、俺なら変われる。
    だって私は俺のおかげで変われたんだから。」

俺「…」



ニパの視線が満月から俺の双眸へと移る。
その目は強い意思を持って彼を見つめていた。
2人が出会った当初の、あまりのツキの無さから世界を呪っていた少女の眼とは明らかに“変わって”いた。



ニパ「“ツイてない”私を自分自身で認める事ができたのは、あの日、2人で自転車に乗った日に俺が肯定してくれたからだよ。
    それから、私は変わったんだ、“ツイてない”おかげで俺と出会えたのなら、それも悪くないのかなってさ、そう思えたんだ。」

俺「…」

ニパ「私は今の自分が結構好きだよ、それは俺のおかげ。
   言葉1つで、人間は変われるんだ、だから今度は私が俺の事肯定してあげる、俺は変われる。
   ちゃんとした大人になれる、そして守りたい者も全部守れる、そんな人に絶対なれる。」


その言葉の根拠はどこから来るのか?それでも少女は真っ直ぐに言葉を紡ぐ。まるで、自分自身がそう信じたいかのように。


俺「みんなに心配かけないようにしながら、無茶しろってか?」

ニパ「まぁ簡単に言えばそうだね。」

俺「それこそ無理だろ…」


ククッと2人で静かに笑みを溢す。


ニパ「俺ならできるさ、俺が何回弱音を吐いてもその度に私が肯定してあげる。」

俺「なんでそこまで言ってくれるんだよ、ちょっと怖いわ。」

ニパ「信じてるからだよ。」





俺が恥ずかしさから茶化そうとした言葉にニパが誠実な言葉で返す。
そのどこまでも真っ直ぐな視線と言葉に俺も真っ直ぐに応えよう。そう思えた。
そう思えなければサムライ失格だ。
俺は立ち上がり、満月に向けて言葉を紡ぐ。
なぜ少女の方を見ないのか?それは恥ずかしいからだ。





俺「わかったよ。」

やるべきと言う意思は一つで、心の底から湧いてくる。


俺「変わるさ、俺は変われる。」

人が変わるキッカケなんて、立派な事じゃなくていい。


俺「ニパが俺を肯定してくれたから、変われるって信じてくれたから。」

大層な志とか尊い決意とか、そういうものでなくてもいい


俺「だから俺は、理想の俺になるための努力を惜しまない。」

ちょっと気になる女の子のために…そんなカッコ悪い理由だって構いやしないのだ。
カッコ悪い少年の、カッコ悪い決意






俺「見てろよ、カッチョイイ大人になるぜ?惚れんなよ?」



最後に人差し指をニパに突きつけ、宣誓する。
彼の言葉を聞いて、満足そうに微笑むニパ。



ニパ「ようやくらしくなったじゃん。そんな俺が私は好きだよ。」

俺「え」

ニパ「あ!そういう意味じゃなくって!!こう!友達として、人間として!!」

俺「わ、解かってるっつの!そういう言い方するとガチなのかと思っちまうからヤメロよ!」

ニパ「そう言う俺だって顔真っ赤じゃないか!?もしかして期待しちゃったぁ~?」



俺「んな訳ねぇ~だろ!そういう発想が処女なんだよ!」

ニパ「誰が!?期待しちゃうのが童貞なんだろうが!」



と、互いに顔を赤くさせながらいつものような掛け合いが続き…



俺「まぁ…でも…ありがとな。」

ニパ「…うん。」



唐突に俺が感謝を述べ、それに応えたニパ。
それから2人は再び腰をおろし、並んで座る。
俺は胡坐、ニパは体育座り。




俺「…」

ニパ「…」




再び、訪れる静寂。
2人共、美しい満月を見上げる。

散々に想いはぶつけ合ったのだ、もう言葉はいらない。
居心地の良い、終わって欲しくない時間が次の一秒、次の一秒と将来を迎えて行く。
それは少年期の終わりへのカウントダウン。


きっと、この日は少年にとって忘れられない想いとか、過去に変わったのだろう。
先の見えない未来への不安。
激しい自己嫌悪。
そんな、みっとも無い少年を信じてくれた少女へと…
少女へと誓うのはちょっと恥ずかしいから、空に悠然と浮かび世界を優しく照らす、満月へと誓ったこの日を。
最終更新:2013年02月03日 16:13