???





「…これで任務は完了、ですか」

極東の、とある場所。そこのある研究所跡のコンピュータ前に、一人の少年が佇んでいた。
少年に課せられたミッションは、廃棄された研究所のコンピュータからデータを抜き出してくる、という物だった。

「…回収班、聞こえますか? 私です。ミッション完了。入り口付近に迎えを寄越してください」

インカムに迎えの要請をしつつ、ああ、と思い出したように言う私。

「回収ポイント付近の掃除は済ませてあります。気にせず来ちゃって結構です」

聞くものが聞けば嫌味が含まれるように聞こえる口調で通信を終え、手に持った神機を肩に担ぐ私。

(それにしても…)

私はふと、先程データを抜いたコンピュータと、そこに繋がれた仰々しい何かの機械を一瞥する。

(…こんな旧時代の、何に使うか分からないような機械のデータの回収に、わざわざ私が駆り出されるとは…)

懐に収めたディスクの感覚を今一度確かめ、溜息を吐く私。曲がりなりにも、私は極東支部第一部隊の隊長である。

(まあ、サカキ博士のことですから、何かに使えるんでしょうが…こう手応えの無い任務だと、こう、退屈ですね)

暇潰しにコウタでも連れてくれば良かったか、と私は思うが、生憎コウタは不在な上に帰りが遅いと聞いた。今もアナグラにいるかさえ分からない。

そうして物思いに耽っている内に、少し時間が経ちすぎてしまったらしい。私の耳が、迎えのヘリのローター音を捉える。

踵を返して私が部屋を出ようとすると、不意にコンピュータのモニタに火が灯る。

「…?」

異変を感じた私が振り返った時には、すでにコンピュータは接続された機器のあちこちに指示を飛ばし、何かの起動準備に取り掛かっていた。
それは、私には何か分からない大型の機械の起動シークエンスだった。

「…っ!?」

このままではマズイ、と私の直感が告げる。この妙な感覚は、倒したと思ったハンニバルが起き上がった時のそれと非常に似通っていた。

「くっ…!!」

あわててモニタに飛びつくが、私には何をどうすればいいのかさっぱり分からない。
そもそも先程の作業もサカキ博士の指示通りに行ったものだ。旧時代のコンピュータの操作など、私は心得ていない。

(なら…この訳の分からない機械を壊せば…っ!!)

少々乱暴だが、俺はコンピュータから離れると、コンピュータと接続しているであろう仰々しい機械目掛けて、神機を振り上げる。

「間に合えっ!!」

だが。
振り下ろされた神機が機械に届く前に、モニタに文字列が浮かぶ。

『‐Complete‐』

仰々しい機械の表面が、バクンと開いた。私はそれに気を取られ、一瞬だけ動きを止めてしまう。

その一瞬が、私の運命を決定した。

開いた機械のその奥で、青い光が外部へ拡散されてゆく。

(自爆…っ!?)

咄嗟に私は攻撃をキャンセル、シールドを展開した。だが、予想した衝撃は無い。代わりに、

「吸い込まれるっ!?」

機械に向けて、私が吸引されてゆく。慌ててシールドを閉じ、神機を床に思い切り突き立てて逃れようとする私。
だが、吸引力は異常なほど強く、鍛えられたゴッドイーターの膂力を持ってすら、そう長くは持ち堪えられそうにない。

(…くそっ…)

私は一瞬抵抗が弱まるのを承知で、片手をポケットに突っ込み、吸い出したデータの入ったディスクを引っ張り出し、

(誰か…頼みますよっ…!)

それを、思いっきり投げた。それは開きっ放しだったドアの向こうの闇に飛び込んでいく。
その様を見届けた後、私に、正確には神機を突き立てた床に限界が来た。

神機を突き立てた床の穴が広がり、刃先がそこから抜けてしまったのだ。

全ての支えを失い、為す術も無く機械に吸い込まれる私。

(やれやれ…こんなところで私の人生終わりですか…次の第一部隊の隊長、誰になるんでしょうねぇ…)

私は青い光の奔流に包まれ、そんなことを考えながら目を閉じた。

誰もいなくなった部屋で、ゆっくりと機械がその扉を閉じ、コンピュータもその全ての光を落とす。

静寂のみが、後に残った。






―ベルギカ 上空―





「…空?」

何やら謎の機械に飲み込まれ、青い光の奔流に飲み込まれていた私だったが、いきなり上空らしき場所に放り出されたらしい。

(どうやら、私の人生はまだ終わってなかったみたいですね…)

そんなことを考えながら、しばし綺麗な月に見惚れながら、夜の空を落下していく私。

(…あれ? どちらにしても私…このままだと死にますねぇ?)

ふと、そんな考えに至り、瞬間で意識を駆け巡らせる私。

「冗談じゃない! いきなり空から落とされて死ぬとか、アラガミに喰われて死ぬ次に嫌ですよ!?」

私は急いで体勢を立て直すと、何か方法は無いか辺りを見回す。

だが、当然ながら何処を見ても何も無い。ただ空が広がるのみ。

(あー…これは、流石に…ん?)

とりあえず色々と諦めかけた私の耳に、不意に叫び声のような音が届く。
ただし、それは人の叫び声ではない。もっと嫌悪感を催すような、金属を擦り合わせたような。

私は音源の発生源を探り、そして、目を見開く。

彼の視線の先には、飛行機のような物体が飛行していた。ただし、それは彼の知る飛行機というものとはややかけ離れた形状だった。
見た目は無機物のそれだが、所々で不気味に発光する赤い装甲が、有機的な雰囲気を感じさせ、一層の禍々しさを漂わせている。

(新種の…アラガミ…? やれやれ、こんな時に…!)

私が咄嗟にそう考えたのも、無理は無い。

この時の私が知る由は無かったのだが、それはネウロイと呼ばれる、人類の天敵とされる存在だった。

(何はともあれ、こちらに一直線ですか…完全に狙われてますね)

さて、と私は右手に持ったままの神機の様子を手早く確かめる。異常な現象に巻き込まれた直後ではあるが、神機には機能不全の兆候などは見られない。

「ま…こちらが落下している以上は交戦も何もありませんが…ねっ!!」

体を捻り、新種のアラガミと思われる存在に向け、神機のシールドを展開する。直後、赤い光条がシールドに直撃、私は吹き飛ばされる。

(遠距離主体のアラガミですか…面倒極まりない!)

私に一撃を放った後、それは旋回し私との距離を一度取った。機動力にも秀でているらしい。私は一つ舌打ちをする。

だが。私に遠距離の攻撃手段が無いというわけではない。
私は手に持った神機の刀身を縮めた。代わりに、その下に備えられていた砲身が伸び、そのフォルムは剣から長砲へと一転する。

私の神機の大きな特徴。それは、可変機構を持つことで、遠近の両方に対応できるということだ。

「狙い撃ちです…!」

狙いを定め、私は引き金を絞った。
銃口から貫通に特化した一条の光線が迸り、一直線に目標に飛翔、着弾した。が、それは貫通せずに、表面で弾かれる。

「…弾かれた?」

そこで、私が怪訝な顔をする。
私の経験上、余程特殊なアラガミでない限り、貫通に特化したレーザーバレットが弾かれることは無かった。

「アラガミでは、無い…?」

金属のみで体を構成したアラガミという可能性もあるが、私の頭には妙な違和感がこびりつく。

だが、悠長に考えていられるのはそこまでだった。それが機首を私に向けたかと思うと、ところどころの赤い装甲が輝く。

「ちっ…少しは考える時間をくれませんかねぇ…!」

赤い装甲から、先程と同じ光線が幾条も私に襲い掛かる。慌てて私は神機を剣形態に戻し、シールドを展開。間一髪でそれらを防ぐ。
だが、大きく弾き飛ばされ、ふんばる場所の無い空中でなんとか姿勢を立て直そうと私は苦心する。

そんな私のすぐ傍を、それは悠々と飛んでいく。

(くそ…倒すにせよそうでないにせよ、どっちにしろ死にますよこのままでは!)

この場で敵を討ったとしても、地面に落ちればゲームオーバーだ。この場で敵に撃たれても、同じく私は死ぬ。
勝利条件は無い。だが、敗北条件は腐るほどある。どういう状況だ、これは。

(だが…退けませんね…)

生きることから逃げるな。かつての上司にぶつけた言葉が、私の脳内を駆け巡る。

「生きてる限りは…負けでは、ありません!」

何とか身をよじり、敵を視界に入れる。
私が空を飛べないのを知ってかしらずか、それは距離を取って攻撃、即離脱の一撃離脱戦術をとるつもりらしい。

私の視線の先で、それが機首を転換、再び向かってくる。

(さて…一つ、足掻きますか…!)

私は攻撃に備えて、シールドを展開する。ただし、先程とは違い、やや前に傾けて。
私を射程に捉えたそれが、読み通りに攻撃をしてきた。

「くっ…!」

シールドに着弾した光条に、私はまたも吹き飛ばされる。だが、吹き飛ばされた方向は、先程とは違い、斜め後ろ。
そして、読み通りに、それが私の下を飛び抜けようとする。

ほんの一瞬の交錯。そこに、私は全てをかけた。

「…喰らい付きなさい!!」

神機が腕輪を通じて私の意志を正確に汲み取り、その姿を変えてゆく。刀身が縮み、根元から黒い顎がせり出す。
それは、ゴッドイーターをゴッドイーターたらしめる形態。荒ぶる神を喰らい尽くすべく、神機がその本性を現した。

顕現した禍々しいアラガミそのものを、私は力いっぱい突き出す。それは、一瞬の隙を捉え、それの翼と思しき部位に喰らい付いた。

「ぉおおっ!!」

体を襲う風圧に耐え、私は足を振り上げる。その反動で体勢を入れ替え、しっかりと怨敵に足をつけ、左手で突起物を掴み、姿勢を安定させる。
急激な体勢の変化の最中も喰らい付かせていた神機は、私の動きに伴ってそれの翼の一部分を喰い千切っていた。奇妙な悲鳴が、一際大きく上がる。

ゴリゴリと音を立て、振り上げた神機の顎が、喰い千切った部位を租借する。
通常であれば、アラガミを喰らい、その細胞を取り込んだ神機は活性化、その所有者である私もその恩恵を受ける。

だが。それは、通常であれば、の話。

「…? あ、あぁああぁああああああああ!!?」

神機が小刻みに震え、取り込んだはずの何かが、腕輪を通じて私に流れ込む。
それは私の体の隅々まで駆け巡り、得体の知れない感覚が私を襲う。まるで、異なる世界の理に触れたかのような、奇妙な感覚。

「ぐっ…くぅっ…」

体に、力が入らない。左手からも力が抜け、掴んだはずの勝機を離してしまう。必死で乗ったそれから、私は振り落とされた。
再び落下しながら、私は信じられないものを見た。

噛み砕き、喰い千切ったはずの翼が、見る間に再生していくのだ。

「露骨に再生しますか…」

心底嫌そうな顔を浮かべながらも、辛うじて動く右手を動かし、シールドを展開しようとする私。

だが、間に合わない。シールドどころか、神機を目の前に持ち上げる力すら私には残っていなかった。

(結局、ここまで…ですかね…)

絶望に抗う術を失い、神機を持つ力すら失われそうになる私に、それは嘲笑うように赤い装甲を輝かせて見せる。
そこから、私に向けて容赦の無い光条が放たれる。私は、目を閉じて、それに貫かれるのを待った。

(…あれ。来ませんね)

ゆっくりと目を開ける私。その視界に、何時の間に現れたのか、人影が入り込んだ。

「…人?」

私は落下しつつ、その人影を凝視する。

まず目に付いたのは、月明かりに照らされた鮮やかな銀髪。そして、右手に構えた巨大な銃。
左手はまっすぐそれに向けられ、その手の先に、幾何学模様が描かれた青い紋章の様な、壁のようなものが展開されていた。

と、その人影は急に頭を下に向け、落下する私に追いすがってきた。
私が驚く間もなく、その人影は私を捕まえると、まっすぐ地上へ降下していく。

「…大丈夫、ですか?」

その人影、私をさらった女が、ふと降下しながら私に声をかけた。自分をさらった影が、眼鏡をかけた少女だということに、私は気付く。

「ええ、まあ…なんとか生きてるようですね」

その一言を発した後、私は溜め込んだ深い溜息を吐き出した。その内に、二人は地上すれすれまで降下し、少女は速度を緩めた。

「…少し待っていてください」

そう言うと、少女は私を地面に下ろし、再び上昇してゆく。その時、私は少女が両足に筒の様なものを取り付けているのに気付いた。
が、それについての考察をする前に、私の足から力が抜けた。仰向けにどうと倒れる私。

久々の地面に、私は再び溜息を吐いた。

「…神機使い…では、無いんですかね」

少なくとも、空を飛ぶ神機使いなど、私は聞いたことが無かった。空を飛べる道具を開発している支部があるとも、また同じく。

「あれ、神機じゃありませんよね…」

先程一瞬だけ見た、少女が右手に携えていたもの。私は最初は自然にそれを神機と捉えたが、ここから少女を見上げる限り、どうやら違うらしい。
あれは、そう。確か以前データベースで見た、神機以前の旧式の武器に酷似していた。

私があれこれと考察している内に、その上空では、華奢な少女が、私が先程やられるかと思った相手を軽く翻弄していた。

ふと、私はまだ違和感を発し続けている、どうにか手放さずに済んだ神機に目をやった。

「…?」

そこで、私は気付いた。黄色く輝いていた神機のコアが、いつの間にか青く輝くものへと挿げ代わっていた。
その変化が何を示すかは、私には分からなかったが、とりあえず有害なものではなさそうだ、と一時結論付ける。

とりあえず、目下私が一番気になっていることは、先程捕食した際に、私の体を駆け巡った奇妙な感覚だ。
体に力は戻りつつあるが、依然として違和感のようなものが私の全身を循環している感覚があった。

ふぅ、と一息私が吐く内に、空では決着が着いたらしい。

断末魔のように、一際大きくあの不愉快な叫びが響くと、それは輝く破片と転じて地表に降り注いでいく。

その様を背に私を見下ろす少女。私は、その少女に目を奪われた。

(…おやおや。いつからこの世界は天使が武器を持って戦うようになったんでしょうね…)

私がそんなことを考えている間に、その少女はゆっくりと私の所へ降りて来た。少女は疲れた様子も無く私の前に降り立ち、改めて二人は対面した。

(ふむ…見れば見るほど奇妙な天使様ですね)

少女は羽飾りのようなものを頭に付け、鳥の尻尾のようなものを付けていた。それだけでも注視に値するが、それよりも私が疑問に思ったのは、

(何故、下着一枚…)

少女は、下半身にパンツと思しきものと、筒のような装甲以外、何も身に着けていなかった。
それでいて、顔色一つ変えることなく、異性である私の前に立っているのだ。むしろ、私のほうが目を逸らしたくなった。

「あの…」

少女が、おずおずといった調子で切り出す。

「無事でよかった…です…」

安堵の声と共に、少女の眼鏡の奥の瞳が不安そうに揺れているのを、私は見て取った。

「そんなに怯えなくても結構ですよ。救援、感謝します」

私はそう言うものの、少女の不安げな、触れたら消えてしまうような雰囲気は払拭しきれなかった。ふむ? と首を傾げる私。

「まあ、いいでしょう。私は極東支部所属、第一部隊隊長、私強襲中尉です。貴女は、何処の所属ですか?」

何の気無しに、私は自己紹介する。本当に、何の他意も無かった。
それ故に、少女が眉をひそめた意味を、私は咄嗟に把握することが出来なかった。

「…その、失礼ですが、今…何て…」

「…極東支部所属の、私強襲中尉です」

その反応に、首を傾げながらも私は今一度そう告げる。が、少女の顔は益々険しくなっていく。

「極東支部…極東…その、貴方は扶桑から来たんですか…?」

少女の質問に、今度は私が眉をひそめた。

「…扶桑? なんです? それは」

私の言葉に、ぽかんとした表情で、私の顔をまじまじと見る少女。

と、その時、少女が顔を上げ、手を耳に当てた。その指先を視線で追った私は、少女の耳に付いた何かの装置を見た。

《ハイデマリー! どうした、応答せんか!! ネウロイはどうなったのだ!?》

思わず、少女の顔が歪む。無理もない。それは、私にまで聞こえる大音量だったのだから。

「すみません…ハインリーケさん…戦闘空域で民間人と思しき男性を保護しました。至急合流願います…」

《民間人…? 分かった、とりあえず待っておれ!!》

再び少女の耳から大音量の声が飛び出し、それきり少女は耳から手を離した。

「…ハイデマリー?」

ふと、聞こえた名前を反芻する私。その声に、少女は少し顔を赤らめて、

「あ、はい…その、私は、カールスラント空軍第1夜間戦闘航空団第4飛行隊所属、ハイデマリー・W・シュナウファー大尉です…」

その自己紹介に、私の思考は二つの言葉で思わず停止した。

(私より階級高いんですか…)

ゴッドイーターにも、ほとんど重要視はされていないものの階級はある。それは、ほとんど任務の実績のみで評価され、与えられるものだ。
こんな華奢な少女が自分より実績が高い、ということに私は素直に感心し、驚いた。

それと、もう一つ。私は看過できない一言を聞いていた。

「カールスラント…?」

そのような言葉は、一回も聞いたことが無い。それに、アラガミが闊歩する時代に、真っ当な軍は機能などしていなかったはずだ。

「ええ…すぐ近くの国です…貴方も、今から来てもらいますけど…」

ハイデマリーは何かを考えるように、私の方をちらちらと見ながら一人で何やら呟く。
が、私の方は全くそれどころではなかった。

(国…国、ですって? まだ国としての体裁を保っている国があったとでも…? いや、ありえない。第一、カールスラントなんて聞いたことが無い…)

私の知る限り、アラガミが喰らい尽くした世界において、辛うじてロシアが名前として認知されているくらいだ。
アメリカという一大国でさえ、最早その名は誰の記憶にも残っていないのだ。

(なんなんだこれは… ! まさか…ね…)

混乱の極みに叩き落された私は、まだ新人だった頃、暇潰しにターミナルの動画サイトで見た旧時代の映画の内容をふと思い出した。
確か、妙な科学者が妙な車を作って、若者をタイムスリップさせるような映画だった。

(はは…こんな時に、私は何を…)

心の中で失笑しながらも、私の胸中には妙な確信のようなものがあった。

「…ハイデマリー。今、何年ですか?」

私から目を離し、夜空に目をやっていたハイデマリーが、ふと振り返って怪訝な顔をした。

恐らく、私も逆の立場で、同じことを聞かれたら同じ顔をしていただろう。だが、私にはどうしても必要な質問だった。
タイムスリップを経験したであろうフィクションの人物の気分を味わいながら、ハイデマリーの答えを待つ私。

やがて、ハイデマリーの口が、小さく動いた。

「せ…1944年…ですけど…」

決定的だった。フィクションではない現実に、今度こそ私は頭を抱えた。
最終更新:2013年02月03日 16:37