D.H.N俺 第9話「全天と暗雲の使者」




後編





BGM




作戦決行……その時が来た。
特に待ち望んだわけでもないが、今回のネウロイはすこしばかり異質なため厄介にも緊張する。



ハンガーでは先程高高度の寒さに耐えられるように防寒具などを装備し、準備万端にしてきた。
ただ……リーネの入れたジンジャーティーは必要ではなかったように思える。

今でも喉が変だ。




坂本「作戦を開始する」

ミーナ「カウント10」

バルクホルン「9」



……カウントが始まる。
坂本がブリーフィングルームで説明していた作戦はこうだ。



まずウィッチを縦に三段編成で組み上げ、第一打ち上げ班の5名はストライカーユニットの通常動力により限界高度1万mまで上昇。
第1打ち上げ班離脱後、次にロケットブースターをストライカーに装備した第2打ち上げ班はそれに点火し、高度2万mまで上昇。
最後に宮藤芳佳、サーニャの両名はそこからロケットブースターに点火し高度3万mまで上昇した後、弾道飛行に移り、敵ネウロイのコアを叩くという作戦だ。



俺「TRANSFORM……NEUROI……」キキキッ



だが言うは簡単、実行は困難。

高度3万mは劣悪な環境故に、魔法力での生命維持が欠かせなくなる。
つまりネウロイとの戦闘で魔法力が尽きる瞬間がわずかでもあれば、それは死に至るということと同義だからだ。




エイラ(なんでお前がサーニャのマフラーつかってんだよ……)

エイラ「2」ジーッ

宮藤「1」

サーニャ「……」

俺「スタートだ」



第1打ち上げ班によるストライカーの通常動力で一斉に空へと動き出す。
白煙の尾を引っ張り高度を順々に上げていく……ここまで何の問題もない。


さらに加速度を大きくし空へとさらに上昇、高度1万mまであと少し。





坂本「時間だな。第1打ち上げ班、離脱!」

ミーナ「俺さんも、後は頼んだわよ」

俺「任せろ」

ペリーヌ「第2打ち上げ班、ブースターに点火!」




高度1万mで第1打ち上げ班は離脱、彼女らの真剣な見送る目に見つめられながら第2打ち上げ班はブースターに点火。
そして、ここで俺はここでネウロイ化させたロケットブースターに点火。


さらに加速度を増し、俺たちは高度2万mを目指す。



エイラ「……」


俺「エイラ」


エイラ「ん?なんだよ……」


俺「最後のチャンスだ。サーニャを見守るか、守るかを選べ」


エイラ「な、なんだよ急に」


俺「最後のチャンスをやる。お前が望むのなら……サーニャを守りたいと思うのなら俺が軍規違反を共に背負ってやる」


エイラ「俺……」


俺「サーニャが好きなんだろ?だったら自分の手で守ってみせろ」


エイラ「でも私はサーニャに昨日……」


俺「嫌われたって、傷ついたって、大事なものは守ってみせろ。大切なものを。諦めるんじゃねぇ!」


エイラ「わ、私は……」



ペリーヌ『時間ですわ!』



ペリーヌから第2打ち上げ班離脱の声がかかる。
リーネ、ルッキーニ、エイラ、ペリーヌが宮藤とサーニャを高度2万mまで運ぶ任務をちゃんとこなしてくれた。


後は……。




俺「なぁ、エイラ」


エイラ「……」


俺「手を伸ばせば届くんだ。いってこい」


エイラ「サーニャ……。俺、私……でも……」




エイラがサーニャの後ろ姿を見つめる。


……エイラは拳を固く握りしめたまま何を思っているのだろうか。
だが願いも虚しく、すでにかなわないことなのかもしれない、遅いことなのかもしれない。



しかし、それでも諦めてほしくはない。
誰かを守る、それがどれほど素晴らしいことなのかを知ってほしい……そして失う辛さを味わわないで欲しい。




エイラ「……」


サーニャ「……ん?」チラッ


エイラ「……あ……」カァッ



サーニャとエイラの瞳が一度微かに交差する。
もう時間はない。


だが絶対にいかせてみせる……なんとしても。




俺「諦めるんじゃねぇ!!エイラ!!お前がサーニャを守らなくてどうするんだ!!?」




エイラ「お、俺……私……!!」




俺「このまま行かせるな!嫌だと言ってみろ!!エイラぁッ!!!」



BGM



エイラ「くうぅぅううう!!!」





エイラ「――――――嫌だッッ!!!!……私がッッ!!!!」






俺「サーニャだってエイラを待ってる。いってこい、高度3万mの世界に!」






エイラ「 私 が っ ! ! サ ー ニ ャ を 守 る っ ! ! 」





人間は簡単に諦められる合理的な生き物じゃない。
だからこそ、大切な人を全身全霊をかけて守ることができる。




エイラのブースターが強く火を噴く。

魔法エーテルの奔流が空気を切り裂き、重力を跳ね飛ばすように急上昇を開始した。




エイラ「俺!!いってくる!!」

俺「はっ!いってこい!!」

サーニャ「え!?何をしているの?!エイラ!!」

エイラ「サーニャ言ったじゃないか!諦めるからできないんだって!私は……諦めたくないんだ!!!」





エイラ「私がっっっ!サーニャを守るんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」





サーニャへと手を伸ばす。
だが、その手は空を切る。


伸ばす、まだ伸ばす、必死に追いつこうとする。もがき、あがき、必死で掴もうとする。


諦めない、諦めたくない、その気持ちの元に魔法力をブースターへとつぎ込む。




まだ手を伸ばす……天空へと、親愛なる人へと。




エイラ「あぐっ……!」



パシッ……



俺「ったくしょうがないな」
宮藤「えへへ、しょうがないですね」



俺はその手を取る……約束通り、あのこの元に導くために。
だが、その手を取ったのは俺だけではない、宮藤芳佳も同様だった。



エイラ「はっ!」

俺「エイラ、連れていってやる!!」グイ

宮藤「いきましょう、エイラさん!」グイ

エイラ「俺……ミヤフジ……!」

俺「無理するなよ、宮藤」

宮藤「大丈夫です!」



俺と宮藤両名が魔法力を一気にブースターにつぎ込み再上昇。
エイラを背中から押上げ、サーニャのところへと急激に速度をあげ、サーニャの元へと連れて行く。



軍規も、規律も、法律も何もいらない……まかり通るのは、意志のみ。



俺「お届けものだ、サーニャ。離すんじゃないぞ」

エイラ「サーニャ!」

サーニャ「エイラ!」ギュゥ

宮藤「さらに高度を上げますよ!」



リーネ『芳佳ちゃん!!俺さん!!』

ペリーヌ『無茶よ!魔法力が持ちませんわ!帰れなくなりますわよ!』

サーニャ『……私が、エイラを連れて帰ります』

リーネ『へ?』

サーニャ『必ず連れて帰ります』

俺『最後は二人に任せようじゃないか。俺はちょっと送ってくるよ』

ペリーヌ『む、むちゃくちゃですわ……』

ルッキーニ『いっけー!さーにゃ!えいら!!』



宮藤「俺さん、あともう少しだけお願いしますね」

俺「頼まれたよ、宮藤」

宮藤「はい!」



宮藤は魔法力の底が見えたのか、俺にあとを託しブースターを切った。
上昇加速度を失って、重力に段々と引きずられていく。

宮藤は軍規違反を犯した、だが後悔はしていないようだ……なにせ笑っているのだから。




俺「ぐぅっ……これだけ急激に魔法力を使うと体に堪えるな……!」

エイラ「無茶すんなヨ!」

俺「はははっ、二人の生存確率をできるだけあげるために、できるところまでいってやる!」

サーニャ「俺さん……ありがとうございます」

俺「ふたりとも、生きて戻って来い!帰ったら一緒にミーナと坂本に怒られるぞ」

サーニャ「はい!」

エイラ「わかってるって!」



俺「……これまでだ。高度3万。あと3000mほどは頼んだぞ」ガシャン

サーニャ「ありがとう、俺さん」

エイラ「あ、ありがとうな!俺!」



俺は親指をぐっとあげ、幸運を祈るとつぶやいてブースターを切る。
当然宮藤のように一気に重力にひっぱられ落ちていく。



俺「高度33333mまでたどり着いたか……後はエイラ次第だな」



サーニャとエイラが弾道飛行についたのを視認後、俺は準備を整え体勢を戻す。


俺は特別任務の時間だ。
恐らく出現するとするなら……もうすぐのはず。





敵の塔型ネウロイの先端が開くのを確認した、敵の攻撃が……来る。



だが、この時、俺は半信半疑だった。





俺『宮藤、心配してたか?あれを』


宮藤『いえ、エイラさんならやってくれると信じていましたから』


俺『宮藤め、やるな……俺は杞憂だったようだ』


宮藤『えへへ、私の勝ちですね』


俺『やったな、エイラ』





赤い閃光が空に図太く走った瞬間――――――エイラはシールドを展開。




シールドに衝突し弾かれたビームが、いくつにも分かれて空に花のようなものを咲かせる。


エイラがサーニャの手を引きながらシールドをかき分けサーニャを守っているのがわずかに見えた。




それはまるで騎士のような勇敢なる者の姿。









俺「まったく、アツいな。まぁこれなら後は大丈夫か……ん?」


ビシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン―…


俺「くっ!」ピシュゥゥン



視界の端、かすかに見えた黒い残像。
そしてすぐに湧きでた赤い光。


エイラの方に向かって放たれたビームであったが、反射で対抗ビームを俺が放ちすぐに無効化した。




俺「ちっ……さて、おでま……し―――――――――何、だと……?」

?ネウロイ「……フゥィィィン」ガシャ

俺「……は、はは……まさかな」



心臓―――コア―――の鼓動が一気に高まる。

体が熱くなり、視界がソレいっぺんに遮られるような錯覚を覚えた。
脳内麻薬があふれでているのがわかるほど、緊張と興奮に俺は包まれていた。



?ネウロイ「―――」

俺「……くくっ……ふははははっ!ははははははははははっ!!こんなに早く現れてくれるとはな!!」




来た……来た……現れた……待ち望んだ奴がッ……いきなり俺の前に来やがった。


こんなところで現れてくれるとは……感謝する、運命とやらに。
こいつを破壊すれば、俺の任務の1つを終わらせることができる。


こいつをッ!この目の前に突如現れた……人型をッ!!




BGM




ミーナ『俺さん!敵機を感知したわ!俺さんの直ぐ側に!』

俺『すでにいるさ!』

ミーナ『その高度まで私たちのストライカーではいけないわ。大丈夫?』

俺『大丈夫もなにも……こいつは……俺が探していた奴なんだからな!』

ミーナ『待って!どういうこと?』

俺『今目の前にいるんだよ。俺が探してた人型ネウロイがなっ!!』

ミーナ『人型ですって!?待って!俺さん!』

俺『誰にも手出しはさせない……こいつは俺の獲物……』

ミーナ『ち、ちょっと俺さ―――ブチッ




インカムを引きちぎって通信を強制的に終了させる。
すでに敵はいる。

両腕にエネルギーを蓄え攻撃の構えを取る……そして圧縮。


俺の目の前に……俺がここロマーニャにきた理由の一つを叶える敵が……今ここにいる。




俺「消えろッ!」キュゥィィィィン!


人型「―――!」キュィィィィン!



ビシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウ―――ドゴシュゥゥゥゥゥッ……!







ミーナ「俺さん!くっ……インカムでも壊したのね。会話ができないわ」

バルクホルン「少佐、見えるか?」

坂本「……見えた。間違いない人型だ。だが以前に見た人型とはタイプが違う」

エーリカ「ってことはやっぱりあの巣からってことだよね」

坂本「……ミーナ、少し聞きたいんだが、ネウロイが人の真似をするということが以前あったが覚えているか?」

ミーナ「サーニャさんのやつね。あとはスオムスでも一件それがあったけど。どうしたの?」

坂本「あの人型……俺に似ている。敵は対戦車ライフルのようなものを装備しているが……」


シャーリー「少佐!俺は!俺はどうなってるんだ!?」

坂本「……信じられんが、俺が少し押されている。武装の違いだな」

ミーナ「加勢に行きたいけど、私たちは武器を持っていないわ。それにあの高度じゃ……」

シャーリー「俺……!」

バルクホルン「だが、俺が言っていた『探していた奴』というのはどういう意味なんだ?』

坂本「恐らくあのネウロイを血眼で探していたんだろう。何があるのかは知らんが」

ミーナ「なんにせよ、今は見守るしかないわね」




坂本「……ッ!いかん、俺と人型が高度を下げてくるぞ!」

ミーナ「くっ!まさかこっち狙いなの!?」








俺と人型は激しい撃ち合い戦闘を続ける。
しかし、敵の所持しているビームライフルはかなりの速さと威力を持っているため、迂闊に近づくことができない。



どうにかシールドと機動で捌いているものの、攻撃の糸口がつかめないままに高度を下げられていく。
ついには第1打ち上げ班が見えるところまで降りてきてしまった。



俺「ぐぅっ!くそっ、このままじゃ……」

ネウロイ「ギィィィィィィィィィン!」ビシュゥゥゥン!ビシュゥゥゥゥン!

俺「げほっ!!こいつの攻撃結構いてぇな!!」



ミーナ「俺さん!」

俺「さがれ!こいつは危険だ!!」バシュッ

坂本「俺!!」シャキン

俺「何をする気だっ!」

バルクホルン「少佐!迂闊に近づいてはだめだ!」



坂本「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ヒュッ

人型「ヒュィィィィィン……!」ガシャッ、ビシュゥゥゥゥン

坂本「甘い!」ヒュッ、ザシュン



俺と接近していた人型ネウロイへと急接近、さらに刀を振るって人型のビームライフルでの反撃を切り裂いて無効化。
そして、敵の懐まで忍び込んだ時魔法力を注ぎ入れゼロ距離での……。




坂本「 烈 風 斬 ! ! 」




キキキキキッ……ザシュンッ!!




人型「ギュィィィィィィィィィィィィィィ!!?」ガシッ

坂本「ッ?!」


俺「ちっ!!危ない!」

人型「キィィィィィィィィィィィィィィン!!」キュィィィィィン




ゼロ距離からネウロイを半身に分ける斬撃を与えたはいいものの、コアから外れており、すぐに距離を取れなかった坂本は腕を掴まれる。
加えて、人型ネウロイのゼロ距離ビーム。


血の気が引くほどの焦りを覚えた俺が坂本とネウロイとの間に割ってはいろうとするが……距離がある……!


届くか?


だが。

だがしかし、エイラに言を張った手前、諦めるわけにもいかない!




俺「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」




坂本「しまっ―――ッ!」



ビシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!



そこら中に赤光が散乱し赤い花を咲かせ、加えてあたりに白煙を巻き上げた。
水蒸気がぐわりと湧きたちウィッチらの視界を下げぎる。




ミーナ「美緒っっ!」

バルクホルン「そ、そんな……坂本少佐」



シャーリー「……いや、待て。あれは……」



だが、この失望はすぐにかき消される。

白煙が舞う中、それをくぐり抜けてきたのは漆黒の腕。



坂本「く……し、死んでいない……?」

俺「ぐ、げほっ!がはっ……ごほっ」ガシッ

人型「―――!」

坂本「……俺?おい!俺!」

俺「おいおい、坂本大丈夫か?さすがに今のは冷や汗ものだったぜ……だが」

坂本「待て、俺!お前の体の再生が……!」



俺「これでこのネウロイを消し飛ばせる」




坂本をかばっての強力な攻撃をシールドと体で受け止め、さらにそれを凌いだ上でのネウロイを逃さぬよう首根っこを捕まえる。
俺は坂本からネウロイを引き剥がした。


坂本が微かに隙を作りやっと得たチャンスなのだ、見逃すわけにもいかない。




俺「右腕解放【デクストラー・エーミッタム】」ガシャン




敵の右肩を左腕でつかんだまま、右腕解放。
反撃にと俺を殴りつけてくるが、この程度で離すほどやわな男ではない。


さて、うっとしいから消えさってもらうか。




俺「ふぅ……!オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!」


ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!!


人型「キュゥィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!」



何発も何発も右手で殴りつける、休む間もなく息をつがせる間もなくもがく間もなく。
こいつを殺せば一つ終わる……俺の命をかける任務の一つが。




すでにネウロイの装甲は抉れへこんでいる。
だがそれでも手を緩めない……俺は最後に出力を80%まで引き上げ、終局の手を打つ。



俺が有する切り札の中でも一番使い勝手の良い技を。





俺「空に散れ……!右腕解放ッ切り札その3ッ……貫く槍拳【グングナール】!!」




俺「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ギュィィィン



背部のジェネレータがとてつもないうなりを上げ、魔法力の奔流が突風のように巻き起こる。
右腕に込められた極限の力は一気に収束し、拳一つに凝縮。



だがただの拳ではない。

この技の本意は……突貫力、その莫大なエネルギーを前方遙か彼方へと貫かせる力を有すること。




俺「らぁあああああああああああああああああああああああああああッ!!!」



ひゅんっ!

ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ―…!!!




腹部にたたきつけられたエネルギーが尋常ではない衝動を伴って破壊力を生み出す。
殴られた瞬間、人型はエネルギー衝突による爆発を受け、さらに強力に収縮されたビームを喰らう。


はるか彼方へと貫かれてゆく人型ネウロイ……その描写はまるで……紅き神槍に貫かれるようであった。







そして飛ばされた先は塔型のネウロイの麓――――――爆音をあげ衝突。



加え、衝突と同時にタワー型ネウロイの身体全てに亀裂が入り、崩壊するように砕け散る。



爆散。



それは紛れも無いサーニャとエイラが、タワー型のネウロイの撃破に成功した証であった。



パキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン―…



勝利を祝うように、空には祝福の雪がひゅるりと舞い上げられていた。









俺「ぐぁ……はぁっ……はぁっ……」

シャーリー「俺!大丈夫か?」

俺「それより……ぐ、エイラとサーニャは?」

シャーリー「通信が入ってる。作戦は成功!ふたりとも生きてるって!やったな!!」

俺「はははっ……ってことは仲直りもできたな。エイラとサーニャにおめでとうと、言っておいてやってくれ」

シャーリー「言っておくよ。それにしても今日はつかれたなー」


俺「そう、だな。ちょっと、休むよ。すまな―――」トサリ


シャーリー「おう!……って俺!おい!俺!!///」

俺「……」

坂本「どうした、シャーリー……って。寝ているだけじゃないか」

ミーナ「あら、本当。シャーリーさんの胸で気持ちよさそうに寝息をたてているわね」

坂本「はっはっは!俺もこうしてみると可愛いもんだな」

バルクホルン「ふふっ、普段は結構ふてぶてしいからな」


シャーリー「って誰か手伝ってくれよ」

バルクホルン「リベリアンでも流石に恥ずかしいみたいだな」

シャーリー「当たり前だ!」

ミーナ「ふふふっ、俺さんはシャーリーさんに任せるわ。基地も近いし、お願いね」




サーニャ『……待ってください、まだネウロイの気配がします』

ミーナ『なんですって?サーニャさん、索敵を……』

坂本『……その必要はない。あそこにいる。はぁ……まさか死んでいないとはな』

サーニャ『……あ……間違いなく先ほど俺さんと戦闘していた人型ネウロイです』

坂本『あれほどの攻撃を喰らって生き延びているとは……まさかコアが移動していたのかもしれん』

サーニャ『ん……あ、人型ネウロイが撤退していきます。敵もダメージが多いようです。追撃しますか?』

ミーナ『いいわ。こちらも武装していないし、魔法力も少ない人が多い。俺さんも動けないから帰投するわよ』


サーニャ『了解しました。エイラ、みんなのところに帰ろうか?』

エイラ『モチロンなんだな!』




坂本「はぁ……まさか問題が残るとはな。帰ったらまた頭を悩ませないと」

ミーナ「でも少しは休憩ぐらいしましょう。今日のところは本命の作戦が成功したわけだし」

坂本「そう、だな。今はそれを喜ぶとしよう。あいつも久しぶりに寝ているみたいだしな」クイ




俺「すー……すー……」


シャーリー「まったく。き、今日だけだかんな」




エイラ『なぁ、俺って起きてるか?』


シャーリー『いや、疲れて寝てるよ。伝言で、仲直りおめでとうってさ』


エイラ『あ、あのさ……あ、あぁっ!ああ!ありが、ありがとうって!伝えといてくれ!!』


サーニャ『私からもお願いします』


シャーリー『はぁ、わかったよ。起きるまでちゃんと見とくさ』


サーニャ『それではまた基地で』

プツッ…





なんとなく寝ていた俺だが、少しだけエイラの声が聞こえた気がした。
……あんな声を聞くと、やはり誰かから感謝されることが俺はたまらなく嬉しいのだと改めて感じる。

敵を見逃したのは痛手だが、この声が聞けただけでも体を張った価値は十分にあったものだ。





……そんな俺だからこそ、死んでもヒーローなんて職業はやめられないのだろう。









第9話「全天と暗雲の使者」終了








最終更新:2013年02月06日 23:11