営倉前
ミーナ「ただいまを持ちまして、シャーロット・イェーガー大尉の2日間の営倉禁錮刑を解除します」
シャーリー「イヤッホーウ!ミーナ中佐ありがとうなー!」
ミーナ「あんまり整備兵の皆さんを困らせてはダメよ。」
シャーリー「わかってるって中佐ー。以後気をつけます!」
あたしは中佐に向けて敬礼。中佐が答礼。
中佐が消えると、どこからともなくルッキーニが飛びついてきた。
ルッキーニ「シャーリィィィー、会いたかったよーう!」
そう言ってルッキーニはあたしの胸に顔を埋めた。
2日間見なかっただけでこの様子だから、離れ離れになったらどうなるんだろう?
シャーリー「よーしよし、わかったよルッキーニ。これからは気をつけるよ」
ルッキーニの頭を撫でながら言う。何時までたっても泣き虫だなぁ。
だから余計に離れたくなくなってしまうんだけど。
そういえばもうすぐ昼だから食堂に行けば、昼飯が食べれるかもしれない。
今日の食事当番が気になったからルッキーニに訊いてみる。
シャーリー「なぁルッキーニ。今日の食事当番はだれだっけ?」
ルッキーニ「ウジュ?」
ルッキーニが顔を上げる。まだ半泣きで涙と鼻水の比率が半々だ。
涙と鼻水を拭き拭き、ルッキーニが少し考えてから言った。
ルッキーニ「エーットネ、今日は芳佳とリーネだよ!」
シャーリー「本当か!?やったぁ!芳佳とリーネの作る飯はうまいもんな!」
宮藤は真顔でとんでも無い料理を出すこともあるが、十中八九、彼女達が作る飯はうまい。
シャーリー「じゃあ、食堂に行こうか!」
ルッキーニ「わかったー!」
ルッキーニは飛び跳ねるようにして食堂へ走っていく。
あたしはその後を歩いて食堂へ向かった。
食堂
芳佳「あっ、シャーリーさんだ!」
食堂に入ると真っ先に芳佳があたしに気づく。
昨日特訓から帰ってきたらしい。軽く手を上げて答えて昼飯のメニューを訊いた。
シャーリー「よっ、今日の昼飯はなんだ?」
リーネ「今日は冷やしうどんですよー」
芳佳「以前好評だったのでまた作っちゃいました」
リーネが答えて芳佳が補足する。
いつもの仲良しコンビは501が再編されても何ら変わりはないようだ。
ルッキーニ「ワーイ、うどんだー!」
ルッキーニって扶桑の料理が好きだなー
いつかルッキーニを連れて扶桑へ行ってみようか。
バルクホルン「…随分短かったじゃないか。あと3日営倉入りかと思ったんだがな」
バルクホルンが呟く。以前と全然変わってないな。
ちょっとからかってみるか。
シャーリー「おーおー、そんなにあたしが恋しかったのか?
それとも規則の守りすぎで脳みそが固まったのか?」
バルクホルン「ばっ、馬鹿言うな!私は一軍人として以後気をつけろと…」
エーリカ「トゥルーデ~、そんなこと言ってると、本当に脳みそ固まっちゃうよ~?」
エーリカ、ナイスアシスト。面白そうだからもう少しからおう。
シャーリー「やーい、堅物ー」
エーリカ「トゥルーデは脳みそカッチカチー」
バルクホルン「な、何んて事言うんだー!」
ペリーヌ「食事の前ぐらい静かに出来ませんの!?」
一人紅茶を飲んでいたペリーヌが
堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに怒鳴った。
扶桑料理を食べる前に紅茶を飲むって何か違う気がする。
シャーリー「まぁまぁ、落ち着けって」
ペリーヌ「ワタクシは至って落ち着いていますわ!だいたいあなた達は…」
シャーリー「あー、はいはい、わかったって」
話がややこしくなりそうなので、ここら辺で切り上げた。
エイラ「それにしてさー、階級を超えてウィッチと口喧嘩できるような人間って珍しいヨナー」
サーニャ「…シャーリーさんみたいな人じゃない?」
オラーシャ&スオムスコンビが気になることを言った。
エイラ「ン?サーニャ、どういう事ダ?」
サーニャ「うーん、曲げたくない信念があるって言うのかしら…?」
あたしに食ってかかった時のアイツの目を思い出す。
それだけは絶対にありえないと目が語っていた。
シャーリー「アイツが、ねぇ…」
中尉の不自然な言動を思い出して、ぼんやりと呟いた。
そうこうしているうちに宮藤が昼飯の用意ができたと伝えた。
芳佳「皆さーん、おうどんが出来ましたよー」
ルッキーニ「ワーイ、ごはん、ごはん」
全員分の冷やしうどんが行き渡り、食べようとすると
宮藤がひとり分のうどんを持って食堂を出て行こうとするのが見えた。
バルクホルン「おい宮藤、どこへ行くんだ?」
バルクホルンが尋ねる。
ひとりだけ昼飯に手を付けずに食堂から出ようとしたのだから当たり前か。
芳佳「えっと、僕中尉さんの分を監視員の中尉さんに渡しに行ってきます」
シャーリー「あたしも付いて行っていいか?」
思わず立ち上がる。皆があたしの方を振り向くのがわかった。
芳佳「えっ、多分いいと思いますけど…」
シャーリー「じゃあ問題ないな。あたしも行く」
ルッキーニ「えー、シャーリー食べないのー?」
ルッキーニが不思議そうに訊いた。
あたしは曖昧に笑って宮藤に付いて行くことにした。
廊下
宮藤と並んで格納庫へと続く廊下を歩く。
芳佳「シャーリーさん、どうしてついてきたんですか?」
宮藤が不思議そうに訊いてきた。
シャーリー「ん?なにかまずい事でもあるのか?」
芳佳「いえ、何かめずらしいなって…」
シャーリー「ちょっとアイツから聞き出したいことがあってな」
芳佳「ふぅん。何を訊こうと思ったんですか?」
シャーリー「ふふーん、秘密だ」
宮藤は顔にクエスチョンマークを浮かべる。
そりゃそうか。あたしから話すまでは多分わからないだろう。
しばらく歩くと格納庫前の扉についた。
シャーリー「格納庫に着いたぞ。宮藤、後は任せた」
芳佳「えぇえぇぇ!?私がですか!?」
宮藤はかなり驚いた声を出す。なんだそりゃ。
シャーリー「そりゃそうだろ。
少佐か中佐あたりに言われたんだから、わざわざ格納庫まで出向いてきたんだろう?」
宮藤「ま、まぁそうなんですが、ここは場慣れしてそうな
シャーリーさんに頼んだほうが早く済ませられるのではないでしょーか…」
どうやら早く済ませたいらしい。いや、それはわからなくもないけど
シャーリー「おいおい、誰がそんなこと言ったよ?あたしだってこんなことは一回もしたことないぞ!?」
宮藤「えぇ!そうだったんですか!」
シャーリー「いつからあたしにそんなイメージが付いたよ!?」
扉の前で宮藤とベタな漫才(?)をしていると
「あのーそんなところで何をしてるんです?」
後ろから少し低めの男の声がした
シャーリー「うひゃぁぁっ!!??」
芳佳「はいぃぃ!!??」
突然後ろから声をかけられ、二人揃ってマヌケな声を上げる。
恐る恐る振り向くとヒゲの伊達男があたし達のすぐ後ろにいた。
芳佳「ええええっと、まま、マリオナントカ中尉から僕中尉にこれを渡すようにと…」
宮藤、緊張しすぎだろ。プレートの上の茶碗がガタガタ震えてんぞ。
マリオ「ヴィルケ中佐から話は聞いておりますが
可愛らしいお人形さんのような子からのお願いですね。断る理由が全くありませんな」
そう言ってロマーニャ人の中尉は宮藤から食事を受け取った。しかもウィンクまでしてるし。
若い女性なら誰構わず引っ掛けるロマーニャ人の伝説は本当らしい。
事実、男慣れしていなさそうな宮藤の表情が水飴のようにとろけていた。
マリオ「それでこちらの方は?」
宮藤から食事を受け取り
あたしの方に向き直ってマリオが尋ねた。
シャーリー「あたしはシャーロット・イェーガー大尉だ。僕中尉と面会をしたいが、出来るか?」
マリオ「了解しました。ではこちらへどうぞ」
意外にもあっさりと許可を得た。
マリオ「面会人は誰でも通せとヴィルケ中佐から言われていますので」
あたしの表情を読み取ってか中尉は至って普通にそう言った。
芳佳「シャーリーさ~ん、頑張ってね~」
宮藤は酔っ払ったようにその場で手を振っていた。
あんな状態で食堂に戻れるのか?
少し心配になったが中尉の後を付いて行くことにした。
最終更新:2013年02月07日 13:25