前回までのあらすじ!
ペロペロ大好き変態教授・私の、501でのエキセントリックな日々は続いていく……。
メカ虫で一攫千金を狙う私。しかし想定外の事故により、基地が倒壊。儲けた金は全額基地の修理費に回されてしまうのだった。
父「――あ、そうそう。温泉旅行だが、なんだかんだあって俺が貰う事になった」
父「俺、温泉入れないんだけどな……まあ、いいか」
――501基地、私自室・サロン――
エイラ「……よっ」グッ
ボール「」コロコロ…
エイラ「はっ」クイッ
ボール「」コロロロロ…
エイラ「えいやっと」ヒュンッ
ボール「」ポーンポーン
私「……どう、動きに違和感は……?」
エイラ「いや、無いナ。ちゃんと手の動きと連動して動くぞー」
私「オッケーオッケー。ありがとエイラちゃん」
エイラ「しっかし……凄いナ、この手袋。指を動かすだけで、あんな離れたボールが……」
私「遠隔操縦装置の試作品よ。名付けて……『パぺティアーハンド・白銀』」
エイラ「……人形師の手、はまだ分かるけど……何だ? 『白銀』って」
私「ん? 別に深い意味は無いわよ。……あ、そうだ。じゃあ次は両手にはめてみて。で、この人形を……」
エイラ「お、操り人形か。羽飾りがついててカッコいいナ、なんか」
私「でしょ? で、この人形に向かって……台詞通りに……」
――廊下――
コツ、コツ、コツ…
エーリカ「……えーっと、この時間だから……サロンかな」
コン、コン
――私自室・サロン――
コン、コン
私「ん? はーい、どうぞー」
エイラ「そりゃあっ!」キュイッ
人形「」ギュオンッ!!
ガチャッ…
エーリカ「はーい、私ー!」
私「あ、エーリカちゃん」
エイラ「LES ARTS MARTIAUX!!」(戦いのアート!!)
人形「」ギャギャギャギャギャ!!
エーリカ「……? なにやってんの? エイラのやつ」
私「ああ、新発明のテストをしてもらってるの。
シャーリーは今訓練でね。だから暇そうに歩いてたエイラちゃんに……」
エイラ「『コラン』!!」キュキュッ!
人形「」ガチャン! ガチッ! ギュオオオオオッ!!!
エーリカ「へー……けっこー楽しそうだね。あとで私もやっていい?」
私「もちろん。いつでもどうぞ」
エーリカ「わーい! ……あ、そうだ。私、あれ……できた?」
私「……ごめんなさい。まだ音源が……直接取れればいいんだけど……合成じゃダメでしょ?」
エーリカ「まぁ、ね……どうせなら本物の方が……」
私「よねぇ……ゴメン、あと何日か……システムと形状はもう完成してるから、あとは音声さえ揃えば……」
エイラ「おい、終わったぞー」
私「あ、ありがと。はい、報酬」スッ
エイラ「べ、別に期待してなんてなかったんだからナー! ……うへへへへ……サーニャぁ……」デレデレ
私「超楽しみだったんじゃないの」
エーリカ「……? なにあれ、写真?」
私「サーニャちゃんのかなり際どい写真26枚。もちろん無修正の」
エーリカ「!? そ、そんなのいつ……!?」
私「え? ほら、エーリカちゃんがサーニャちゃんと水浴びしてた夜に。こっそりとね」
エーリカ「ぜ、全然気付かなかった……って! わ、私のもあるの!?」
私「あ、ああ……アレは……ね……」アセアセ
エーリカ「ど、どうしたの!? ま、まさか……!」
私「あ、赤の他人になんて売ってないわよ! いやホント!!」
(知り合いだって話だし……セーフよねセーフ)
エーリカ「……ホント?」ジトーッ
私「ホントホント。ちゃーんとエーリカちゃんを知ってる人に速達で……あ」
エーリカ「!! や、やっぱり!! もう! 人の裸を何だと思って……!! しかも知り合い……だ、誰に売ったの!?」カァァッ
私「だ、大丈夫大丈夫! 『自分だけの宝にする』って言ってたし! えーと、電報だけの連絡だったからね……確か、
アフリカの……マ……なんだっけ?」
エーリカ「……はぁ……貸し、一つだよ……」
私「……なんかゴメン。これからはきちんと一言言ってから売るように……」
エーリカ「そもそも売るなっ!!」
エイラ「!! こ、これはちょっと凄すぎるナ……うえへへへ……サーニャぁ……」ハァハァ
――同時刻、アフリカの某所――
マルセイユ「ハァハァ……ハルトマン……ハルトマン……ちっぱいもかわいいよぉハルトマン……」ハァハァ
マルセイユ「501に凄腕の変態がいると聞いて駄目元で頼んでみたが……まさかこれほどとは!
あぁんハルトマン会いたいよぉ! ちゅっちゅしたいよハルトマァァン!!!」ハァハァハァ
圭子(は、ハンナが何やらいかがわしい写真を……!!)パシャッ
――夜、私自室・サロン――
私「……」カリカリ
シャーリー「~♪」パラッ
私「……いいご身分ねー、人の部屋で悠々と読書……」
シャーリー「なんだよ、いいだろー? 助手なんだからさ。……でも面白いな、この『世界飛行艇大図鑑』。
お、サボイアだ」
私「ああ、1920年代にロマーニャで有名だったやつでしょ? リべリオンの……なんとかって奴と決闘したっていう」
シャーリー「カーチスだよ。ほら、ここの青いの。ガラガラヘビの模様が入ってるだろ?」
私「飛行艇ねー……あんまし興味湧かないな……」
シャーリー「お前、機械なら何でもいいってわけでもないんだな」
私「そりゃそーよ。私の愛するのはあくまでAI。もうハードの時代は終わった、これからはソフトの時代ってね!」
シャーリー「へーえ……じゃあ今そうやって書いてるのも、新しいAIとかの設計図か何かか?」
私「ああ、これは……違うのよ。単なる趣味。物を作るのに設計図なんていらないわ。部品は何か、大きさは、どう組み立てるか……。
そんなの、最初から全部頭に入ってるわよ」
シャーリー「! ま、マジかよ……忘れたりしないのか?」
私「……忘れられるならね。今まであったこと……全部覚えちゃうのよ。いい、悪いに関わりなく」
シャーリー「完全記憶、って奴か?」
私「…フフ、そんなんじゃないわよ、別に。ただ……いつまでも忘れられないだけ。でも……」
シャーリー「……? でも?」
私「……ある日突然、今まであった全てを綺麗さっぱり忘れてしまうような気がして……少し、怖い。
だから、書いてるのよ。自分の思考の足跡を……。
もし、全部……お母さんの事も、お父さんの事も、自分の事も、AIの事も……それから、この基地の皆のことも。
みーんな忘れる日が来ても……これを読んだ時に、昔の自分に思いを馳せられるように。自分がいたって証を、自分が手に入れられるように……」
シャーリー「…………私」
私「……何?」
シャーリー「……熱でもあるのか?」
私「……もう少し熱っぽいセリフでもいいんじゃない?」
コン、コン
シャーリー「ん? はーい、開いてるぞー」
私「一応言っておくけど、ここ私の部屋ね」
ガチャッ…
ゲルト「……私」
シャーリー「あれ? バルクホルン?」
ゲルト「! し、シャーリーもいたのか……!」
私「! ああ、バルクホルン……どうしたの?」
ゲルト「あ、ああ……私、改めて思うのだが、お前には本当に世話になっている……」
私「へ?」
ゲルト「ジェットストライカーの件を始めとして……メカ虫、妹関連書物の貸出、そして何より普段からの整備。
まずは礼を言わせてくれ。ありがとう」オジギーッ
私「え、ええ……こ、こちらこそ」
シャーリー(……何だ? 妹関連書物って)
ゲルト「……そして、だ。そんなお前に……折り入って相談がある。作って欲しい物があるんだ……」
私「! へえ……どんな?」
ゲルト「う……そ、それはだな……」チラッ
シャーリー「?」
ゲルト「……できれば、この件は2人で話をしたいんだが……」
シャーリー「ほー、あたしに言えないような相談なのかー?」ニヤニヤ
ゲルト「なっ! い、いやその、つまりだな……!」アタフタ
私「……悪いけど、シャーリーは助手なの。開発関連の相談だったら……彼女にも聞く義務があるわ。
……それに、『大事な』助手を部屋の外に追いやるなんて真似……私には、とてもできない」
シャーリー「……えっ?」
私「……ま、正直助手として役立つかどうかは微妙だけど、ね」
シャーリー(……なんだよ、素直に言ってくれたって……)
ゲルト「……そうか。分かった。お前がそう言うなら仕方ない……。
……いいか、シャーリー! 笑うなよ! 絶対笑うんじゃないぞ!!」
シャーリー「へ? あ、ああ……」(なんだ? 一体何を……)
私「それで……頼みって?」
ゲルト「…………頼む……。
宮藤の声の目覚まし時計を作ってくれぇぇぇぇぇ!!!!!」ドーン!!
私「……は?」
シャーリー「……へ?」
ゲルト「この前、ハルトマンが目覚まし時計を壊し……仕方なく私のを貸しているんだが、今度は私が起き辛くなってしまったんだ。
元から朝は強い方ではない……低血圧でな。
だから目覚まし時計は必需品だったんだが……ハルトマンに貸している今、私のベッドに目覚まし時計は無い!
ゆえに、私もいつ寝坊するか……不安でしかたがないんだ。
カールスラント軍人たるもの……1にも規律、2も規律! 寝過ごし寝坊などもってのほかだ!
何より……隊の皆に示しがつかないではないか!」
私「え、ええ……そうね……たぶん」
ゲルト「自分なりに考えた。どうすれば一発で起きられるか……そしてなにより、どうすれば毎朝気分良く目覚める事が出来るのか……!
そして行きついたのだ! 『そうだ、宮藤の声に起こしてもらえばいい』!!」
シャーリー「いやその理屈はおかしい」
ゲルト「……? シャーリー、笑わないのか? 私が朝に弱いなど、格好の笑いの種にしそうなものなのに……」
シャーリー「……それ以外の所が強烈すぎてな。正直笑えない」(普段どういう目であたしを見てるんだよ)
ゲルト「……で、だ。私……いやあえて、私教授! 頼む、宮藤の目覚まし時計を作ってくれないか?
それさえあれば……私は毎日を暖かい光の中で、花畑の中で過ごせるような、そんな気がするんだ」
シャーリー(頭の中はもうすでにお花畑だけどな)
私「……なるほど。芳佳ちゃん時計……ねえ」
ゲルト「ど、どうなんだ!? できるのか、できないのか!?」
シャーリー「……あのなあバルクホルン。さすがにそんな無茶な――」
私「できるわよ」
シャーリー「!?」
ゲルト「!! ほ、本当か!?」
私「……この私に……世界の頭脳、人知を超えた天才のこの私に……作れないものがあると思った?
可能よ。ちょうど発声AI搭載時計の構想が出来上がっててね。3日もあれば……」
ゲルト「あ……ありがとう、ありがとう私!! 報酬は……ほら、これだ!」ゴトッ
シャーリー「!!? ひ……い、いくら入ってんだよ!? このアタッシュケース!」
ゲルト「扶桑円にして30万。いつか妹たちへの遺産として貯金してきた、そのほんの一部だ。
足りないんだったらいくらでも……」
私「3万」
ゲルト「……は?」
私「聞こえなかった? 3万でいいわ。……今回は」
シャーリー「!? わ、私!? やっぱり熱が……!!」
私「無いわよ! 私はいたって正常! ……いえね、今回、ちょうどバルクホルンに手伝ってほしい事があるのよ。
それをやってくれさえするなら、本来30万の所をなんと3万に!」
ゲルト「ほ、本当か!?」
私「ええ。本当。正真正銘のトゥルー。」
シャーリー「……おい、ヤバいことさせる気じゃないだろうな」
私「……あんたねー、私をポン引きか何かだと勘違いしてない? ほんと、すぐに終わる事よ。あんたが静かにさえしてくれてたらね」
シャーリー「……? どういう……」
私「あ、じゃあバルクホルン、ちょっとこっち来てくれる?」
ゲルト「ん? ああ」スタスタ
私「目覚まし時計、だったわよね。ちょっと聞くけど……どんなふうに起こしてもらいたい?」
ゲルト「宮藤にか? そうだな……やはり、爽やかな朝の訪れを実感できるような、透き通った声で名前を呼んでもらいたいな。
『バルクホルンさん、朝ですよ! 起きてください』とか。いっつも真面目な人間が珍しく寝坊しかかっているのを、少々困った様子で、しかし同時に親近感も少なからず覚えながら起こす……というシチュエーションが一番だな。
そうそう、できたら『お姉ちゃん』と呼んでくれるバージョンも付けてもらいたい。というかむしろ全部の台詞に『バルクホルンさん』と『お姉ちゃん』の2パターンが存在してほしいな。
それからシチュエーションについても、先程言った『困ったお姉ちゃんの世話を焼く妹』の他にもだな、『まだ眠そうなのに自分の役目だから早起きして起こしてくれた妹』とか『姉の無防備な姿を見て久しぶりに姉に甘えたくなってしまった妹』とか『世界の平和を守るために日夜奮闘している妹』とか、シチュエーションはとにかく多ければ多いほどいい。
実はもうこちらで100通りは考えてあるんだが、さすがに全部は無理だろう? まあ宮藤に全部言ってもらうのも気が引けるし、毎日聞いても飽きないようにだいたい3~4種類あればいいだろう。
ああ、もちろん目覚ましをセットしたときにも何か宮藤の声を入れてくれよ。そうだな……『分かりました、私に任せてください、バルクホルンさん!』とかな。これも当然お姉ちゃんバージョン有りだ。やはり責任感はあるもののまだまだ抜けたところもある、そんな愛らしい妹の特徴をよく掴んだ台詞というと、だいたいこのあたりが妥当だろうと思うぞ。
いや、しかし宮藤の愛らしさは最早妹としてひとくくりにするには大きすぎると思わないか? この前だってな、食堂で宮藤と――」
私「わ、分かった! もういい、もう大丈夫! よーく分かったわ、バルクホルン!」
シャーリー(……もうあたしの知ってるバルクホルンじゃない)ゲソッ
ゲルト「ん、そうか。まあ大体、こんな感じで頼む」
私「え、ええ……あ、そうそう。参考までに聞いておきたいんだけど、バルクホルンはエーリカちゃんを起こす時とか、なんて言ってるの?」
ゲルト「ハルトマンか?」
私「ええ。どんな感じで起こせば、相手は起きるのか……それも研究開発の一環なのよ」
ゲルト「そうだな……『起床だ! 起きろハルトマン! カールスラント軍人たるもの、1にも規律、2も規律!』……こんな感じか」
私「なるほど……他には?」
ゲルト「他? ……『さあ、新しい朝だぞハルトマン! 今日も1日、共に邁進だ!』あとは……『起きろ! 全く……手のかかる奴だな、お前は』とかだな」
シャーリー「きちんと台詞も決まってるんだな」
ゲルト「毎朝起こすからな……おかげで寝坊出来ん。私が起こしてやらないと、あいつはいつまで経っても寝ているだろうしな」
私「……オッケー! ありがとう! だいたい構想は固まったわ。3日後、楽しみにしててね!」
ゲルト「え? 手伝いがどうとか……」
私「ああ、やっぱいいわ。じゃ、完成したら言うわよ。3万、用意して待っててね」
ゲルト「ありがとう! 全く……お前は大した奴だ。それじゃあ、任せたぞ!」
私「ええ。お楽しみに」
ゲルト「ああ。……フフフ、待ってろよ宮藤……」スタスタ
バタン!
シャーリー「……嵐のように去っていったな」
私「妹、ねえ。……だんだん、妹って何だったか分からなくなってきたわ」
シャーリー「ああ、話に出過ぎて……」
私「こーいう現象を『ゲシュタルト崩壊』って言うんだって」
シャーリー「ホントそういう事しか知らないよなー、お前は」
私「取り柄はこれだけだもの。……さ、ほら手伝って。しばらく忙しくなるわよー?」
シャーリー「はいはい……よし、いっちょやるか」
(……それにしても、何だったんだ? "手伝い"って……。……ま、いいか)
――廊下・ドアのすぐ側――
リーネ(……聞いちゃった)
リーネ(……バルクホルン大尉……そうまでして芳佳ちゃんを……! 私だって……私だって!)
リーネ(……させない)
リーネ「芳佳ちゃんは……どんな手を使っても、私が手に入れるんだから……!」
最終更新:2013年02月07日 14:25