―翌日、ハンガー整備区画―

今日はイェーガー大尉のP-51の整備だ

俺(資料には万能ユニットって書いてあるけど、明らかに速さ重視の改造がされてる)

俺(エンジンの状態は良好。クロスチェックと、できそうなら機体の軽量化をやってみるか)

そう思いつつ、ドライバーを手に取ったとき、ミーナ中佐がハンガーにやってきた

整備隊長「中佐、何か御用でしょうか」ビシッ!

ミーナ「楽にして。今すぐ使えるユニットはある?予備のでも良いわ」

整備隊長「倉庫にBf-109が」

ミーナ「それを持ってきて」

整備隊長「ハッ!俺、取って来い!」

俺「あ、はい!」


俺「で、なんでお前がそいつを履いてるんだ」

友「拒否権はないといわれた」

どうやら、健康診断と一緒に魔力検査というものをやったらしい

もしかしたら友はウィッチになれるかもしれないらしい。男だからウィザードか?

ミーナ「では友さん、ちょっと飛んでみて」

友「へ?と、飛ぶってどうやって?」

俺「魔力でもこめてみたら?」

友「魔力ねぇ…ふぅ…」ヒョコ!キィィン!

俺「何これ、魔方陣?」

ミーナ「使い魔は柴犬ね」

何の因果か、あいつの飼い犬の犬種と同じだった

坂本「よし!じゃあ飛んで来い!」

友「ですから、どうやって…」

坂本「気合で何とかしろ!」

友「…」

俺「フェンリルで飛ぶ感じを思い出せ」

友「わかった…ん…」キィィン!

発進装置のロックがはずれ、友は滑走を始める。ハンガーを出てすぐに機首をあげた

俺「飛びやがった…」

くるくる回りながら高度を上げ、今度は急降下からの急上昇

坂本「筋はよさそうだな」

綺麗なバレルロールを繰り返し、スプリットSでこちらに反転する

ミーナ「ええ」

その後も、シャンデルやスライスターン等の戦闘機動を試していた

俺「…」

なんか複雑な気分だ


―夜、ハンガーフェンリル区画―

友「あの後飛行訓練したんだけどさ、いや~なんていうか、フェンリルとはまた違った感じがしたなぁ」

パイロット「しゃべってないで手を動かせ」

俺「悪いな2人とも、組み立て手伝わせちゃって」

友「いいっていいって。他にやることないし」

パイロット「うむ」

友「フェンリルが完成したら、戦うのか?その、ネウロイと」

俺「もちろんだ。そのために作ってるんだから」

パイロット「友は、ウィッチとして隊に入るのか?」

友「中佐の話じゃ、明日付けでウィッチとして再配属するらしい。実戦はまだ。訓練が一通り済んだらだ」

俺「じゃあそれまでにフェンリル完成させないと」

友「完成させたところで武器どうすんだよ?弾ないんだろ」

俺「ああ、BARの弾薬を切り詰めれば使えなくもないけど、量産が難しいからな」

友「GAU-19があればよかったんだが」

俺「ああ、あれか。確かに.50BMGなら手に入る」

友「だろう?でもないんだよな…」

パイロット「…なぁ」

俺・友「ん?」

パイロット「GAU-19、今持ってるんだが」


―翌日早朝、フェンリル整備区画―

今日は丸一日非番なので、フェンリルを大急ぎで作ることにした

オスプレイの固定武装であるGAU-19を取り外し、M134のパーツを組み込んでフェンリルで持てるようにする

パイロットの手助けを借りつつ作業する

パイロット「よし、これで最後だ。外すぞ」

俺「OK!せーの!」

ガゴン!と重い音を立て、GAU-19がオスプレイから外れる

パイロット「こいつの改造と調整は任せろ」

俺「頼んだぞ50口径のスペシャリスト。俺はフェンリルを」

歩けるところまでは作る、と言おうとした時、ストライカーのエンジン音が聞こえてきた

白百合のお帰りだ

俺「お帰り、サーニャ」

サーニャ「あ、俺さん…おはようございます」

あくびをしながらストライカーを発進ユニットに戻す

俺「お疲れの様だね。1人で部屋まで戻れる?」

サーニャ「…だいじょうぶ…です…ファァ…」フラッ…

俺「おっと」サッ

倒れそうになったところを抱きとめる。スゥスゥと寝息を立てている

俺「無理もないか。パイロット、俺はサーニャを部屋に運んでくる」

パイロット「おう。ところでさ」

俺「ん?」

サーニャを両手で抱えなおす。いわゆるお姫様抱っこの状態だ

パイロット「…お前って、サーニャさんのこと好きだろ」

…だからなぜそうなる

パイロット「好きじゃないのか?」

俺「いや、その…」

俺だって初心じゃない。恋がどういうものか知ってる。知ってるが…

俺「はっきり言って、わからん」

戦場に居座りすぎて感情が冷淡になったのだろうか

…ちゃんとした理由はわかってるがな


―数年前、アフガニスタン某所 アメリカ陸軍第75レンジャー連隊―

俺「立て!アレン!Rangers lead the way!!行け!」

米統合特殊作戦軍に行く前、俺はレンジャーの一部隊「ハンター2-2小隊」の隊長として中東で戦っていた

先発隊の2-1が交戦地帯の河川で攻撃を受け、俺たちは援護に向かったのだが、その途中で民兵どもからRPGの雨を喰らっている

伍長「全方向から撃たれてます!防ぎ切れません!」ダダダダ

俺「応援は呼んだのか!?」ダダダダ

伍長「呼びましたが、到着は40分後だとの返答です!」ダダダ、バンバン

俺「40分だと!?それまでに全滅するぞ!」ダダダサッ、ガチャ

弾切れのマガジンを落とし、新しいマグをさす

<RPG!!

俺「なっ!」

伍長「まずい!伏せろ!」

飛んできたRPGはハンヴィーに直撃。砂埃を舞い上げ、視界がさえぎられる

目を開けた先に見えたのは、引きちぎれた誰かの右手。その手には血まみれの銃が握られていた

俺「ひっ…!」

叫んでられない。味方は俺の指示を待ってる

俺「来た道を引き返す!RPGに注意しろ!」

伍長「聞こえたな!?ひきかえs(ドシュッ)ガッ、あ…」ドサ

俺「ご、伍長!しっかりしろ!メディック!」

伍長「…あ、…う…」

俺「しゃべるな、しっかりしろ、傷は浅いぞ」

伍長「後ろ…RP…G」

俺「え?」

振り返った先に見えたのは、煙を引いてこちらに飛んでくる、一発のロケット弾だった


後でわかったことだが、応援の到着の遅れは、通信兵の言い間違えた座標のゼロが原因だった

だが、そんなことを咎めるやつはいない。咎める相手がもうこの世に居ないのだから

結局、隊は壊滅。その時は生き延びたというやつも、大半がそのあと病院で死んだ。生き残ったのは俺だけだ

実は、その任務が終わったらプロポーズしようと思っていた女性がいた。指輪も買ってあった

彼女は2-1の隊員で、俺が基地に戻ったときには…死んでいた

指輪は今も持っている。メビウスの輪の形をした2つの指輪。チェーンにとおしてネックレスのように身につけている

その後、レンジャーから身を引き、米統合特殊作戦軍傘下の新兵器開発試験運用部隊に配属された

そこで、友やパイロットと出会い、フェンリルのテストを任された

そして今…



パイロット「おい?おい!大丈夫か?」

俺「あ、ああ。大丈夫だ。ちょっと昔のことを思い出してた」

パイロット「…ふ~ん。ほら、さっさと行け。間違いだけは犯すなよ」

俺「するか馬鹿」


俺「…」

きっと、失うのが怖いんだ。仲間も、恋人も

だったらそんなものを作らなければいい

俺「…馬鹿げてるとは思ってるんだけどな」

他の皆が起きてくる前に部屋に運ぼう。見つかるとまずい


―ウィッチーズ宿舎廊下―

俺「…」ヨイショ

サーニャ「…」スゥスゥ、ゴロン

俺「…」ビクゥ!

サーニャ「…オレ…サン」スゥスゥ

俺「…」アセアセ

サーニャ「…ン」ギュッ

俺「…」アワワ

俺(気まずい!)ドーン!

寝返りのつもりなのかやけに密着してくるわ、たまに寝言で俺の名前呼ぶわ、挙句の果てに腕を俺の首に絡ませてくるわ、心臓が持たん!

そうこうしている内にサーニャの部屋に前に到着。両手がふさがってるので足でドアを開ける

部屋の2段ベッドの下にはエイラさんが寝ていた。はしごに足をかけ、サーニャを上の段に寝かせようとする

サーニャ「…ン…チガ、ウ…」ウトウト

俺「へ?違うって?」

サーニャ「…シタ」ウトウト

俺(シタ?下の段ってことか。でも下の段って)

エイラさんが寝て…

エイラ「サーニャ…?」ムクッ

俺「あ」

エイラ「」ジーー

俺「」オキテター

状況を整理しよう。俺は今サーニャをお姫様抱っこしている

で、そのサーニャは夢の中。やけに俺に密着している

サーニャをベッドに降ろそうとしているが、ベッドから持ち上げたようにも見えるかもしれない

エイラ「」ジーーー

俺「えと…おはようございます」

つまりだ、見ようによっちゃ今の俺はまるで誘拐犯なわけで

エイラ「サーニャにナニしてんだお前ェェェ!」ガバッ!


―ハンガー、フェンリル整備区画―

パイロット「俺のやつ遅いなぁ」

友「あ、いた。なにやってる?もうすぐ朝食だぞ?」

パイロット「お、友。実は…」

<ギャァァァァァ

友「…俺の声?」

パイロット「…南無三」

数分後、廊下で傷だらけの俺が発見され、もうひと悶着あったのはまた別の話
最終更新:2013年02月07日 15:32