── 翌日、ハンガー内
エーリカ「これが俺のストライカーユニット?」
俺「うん。紫ちゃん」
宮藤「ゆかりちゃん?」
俺「紫電改だから、紫ちゃん。可愛いでしょ?」
俺「少しだけなら」
シャーリー「ほぼノーマルでそんなスピードが出せるとは思えないけどなー」
俺「俺の固有魔法はストライカーに作用するものではないですからね。要は、誰かに引っ張ってもらってるようなものです。ストライカーの性能はあまり関係ないんですよ」
シャーリー「なんだよ。つまんないなー」
ミーナ「はいはい。無駄話はそこまで! 今日は俺さんの実力を見る意味も兼ねて実践訓練を行います」
坂本「飛行訓練の方は、」
シャーリー「はーい! それ、私がやるよ!」
坂本「む、そうか? では、俺にはシャーリーに付いて飛んでもらう」
俺「了解」
シャーリー「へへ、昨日あんな大口叩いたんだ。ちゃんと私に付いてこいよー?」
ストライカーに足を通しながら彼女はニヤリと笑う。エンジンの振動に合わせて胸がたゆんたゆんと揺れていた。
俺「……イエスおっぱい」
シャーリー「え?」
俺「ん?」
宮藤「おっぱい!」
リーネ「……芳佳ちゃん?」
シャーリー「まあいいや。ほら、行くぞ!」
俺「らじゃー」
俺「あの、これって固有魔法使って良いんですよね?」
シャーリー「うん?」
俺「いや、俺、固有魔法ないとThe 平均☆ って感じの能力なんで……イェーガー大尉に付いていくのは厳しいかなー、なんて」
シャーリー「あはは、正直な奴だな。もちろん使いたいなら使って良い。それも含めて俺の能力だからな」
俺「ありがたやー」
シャーリー「……そろそろ始めるぞー」
俺「了解……反応速度4、敏捷性3、速度3」
――――
坂本「どうだ?」
ミーナ「ええ、飛行技術は問題ないわね」
エーリカ「スピードも申し分無し。シャーリーも結構飛ばしてるのに、まだ余裕があるみたい」
バルクホルン「だが、戦闘で使えるかは別の話だ」
坂本「ふむ……おい、俺、シャーリー、そろそろ戻って来い」
俺「戻って来いって言ってますよ?」
シャーリー「ああ……なー俺、ちょっとスピードに全部割り振ってみてくれよ」
俺「え……」
シャーリー「勝負しよう」
俺「えー」
シャーリー「私に勝ったら胸触らせてやっても良いぞ」
俺「その勝負のった!」
シャーリー「そうこなくっちゃ!」
シャーリー「ここからあっちの岩まで約5kmある。そこで折り返して基地まで。先についた方が勝ちだ」
俺「良いでしょう。その胸、もにゅんもにゅんに揉みしだいてやりますよ」
シャーリー「ははは、そういうことは私に勝ってから言いなよ」
シャーリー「それじゃあ行くぞ……3」
俺「2」
シャーリー「1」
宮藤「あれ、帰ってきませんよ?」
坂本「あいつら……」
ミーナ「まったく、困ったものね」
坂本「まあ良い。今のうちに次の
模擬戦の相手でも決めておこう」
エイラ「はいはーい! 私がやるゾ!」
エイラ(同じ被弾数0でも私の方が凄いっテことをサーニャにみせてやるんダ!)
バルクホルン「いや、私がやろう」
エイラ「エっ」
坂本「……そうだな。ここはバルクホルンに頼もう」
エイラ「えェッ!?」
坂本「すまんな、エイラ」
エイラ「うぅ……」
サーニャ「エイラ、元気出して」
エイラ「サーニャぁ」
シャーリー「どうした俺、それが全力か?」
俺は彼女のやや後方の位置を飛んでいた。
上は青、下も青。前方には形の良い尻。脚から伝わるエンジンの振動も悪くない。
俺「いいや、ここから本気です。速度10!」
グッと速度が上がる。
シャーリー「お、やるじゃないか」
軽口を叩きながら彼女もスピードもあげる。
俺「うぇ、まだ上がるのかよ」
速度はほぼ同じ。いや、わずかにあっちが速いか。
その速度故か、あっという間に折り返し地点に到達してしまう。
シャーリー「ははは!」
彼女は軽やかに笑いながら綺麗に折り返していく。俺も一瞬遅れてターンをかけた。
俺「笑ってられるのも今のうちですよ!」
突然だが、この世界には慣性というものがある。それ故に、当然速度が速ければ曲がりづらくなってしまう。そう、今が正にそれだった。
普段は速度だけでなく、敏捷性や反応速度に能力をふっているからある程度速度が出ていても曲がり切れないなんてことはない。
だが、今はそれらの能力の底上げしていない。
俺「うぇぇっ!?」
しかも、今はそれらの能力を強化している時よりも速度が出ているのだ。ストライカーもほぼノーマルといって良い。
当たり前のことだが、俺は曲がりきれずに大きく引き離されることになった。
大きな半円を描きながら旋回した俺はため息をつきながらシャーリーを追う。綺麗なお尻はすでに遥か彼方だった。
シャーリー「おー俺、おかえり」
俺「……」
シャーリー「ははは、俺もなかなか速かったが、ちょっと足りなかったなー」
俺「……」
シャーリー「ま、私の胸を好きにしたかったら、ちゃんと曲がれるようになるんだな!」
ルッキーニ「ダメだよ! これは私のなんだからね!」
胸という言葉に反応したのか、いつのまにかルッキーニ少尉が現れていた。大きな胸に顔を埋めながら、そんなことを宣う。
ぐっぞー……すっげぇ羨ましい……!
俺「くっ、いつか揉みしだいてやりますからね!」
シャーリー「ははは、楽しみにしてるよ。あ、なー俺」
俺「なんです?」
シャーリー「私のことはシャーリーで良いよ。敬語も別に使わなくて良い。堅苦しいのは嫌いなんだ」
俺「……じゃあ改めて。シャーリー、そのおっぱいいつか揉ませてもらうからな!」
坂本「おい俺! 馬鹿なことを言ってないで次だ!」
俺「え?」
俺「次って今度は何だよ、もっさん少佐」
ミーナ「俺さんには1対1の模擬戦をしてもらいます」
俺「模擬戦? 相手は?」
バルクホルン「私だ」
俺「げっ、大尉!?」
バルクホルン「……ふん。お前の実力、見せてもらう」
規則正しい足音を響かせながら自身のストライカーへと歩いて行く大尉。
いきなりエースと一騎打ちかよ。素晴らしい洗礼だな、まったく。
エーリカ「俺、わかってるよね?」
俺「んなこと言ったって、模擬戦だぜ? いったいどうやって仲良くなるんだよ」
エーリカ「……みんなー、ちょっと聞いt」
俺「うわわ、やります! 超頑張ります!」
この悪魔め……スパルタにも程があるわ!
エーリカ「うん、頑張って!」ニコッ
ちくしょう! それでも可愛い!
坂本『俺、バルクホルン、聞こえるか?』
俺「はい」
バルクホルン「ええ」
坂本『バルクホルンはペイント弾、俺は模造刀を相手に当てた場合撃墜判定とする。良いな?』
俺「了解」
バルクホルン「依存はない」
俺「……大尉」
バルクホルン「なんだ」
俺「俺が勝ったら、もう少し仲良くしてくれません?」
バルクホルン「……私に勝ったら、だと? ふん。まずは口だけじゃないことを見せてみるんだな、中尉」
坂本『それでは、始め!』
俺「反応速度5、敏捷性5」
合図とほぼ同時に掃射された弾丸を距離を取りながらかわす。
大尉を中心にして大きく旋回しながら模造刀を鞘から引きぬいた。
俺「反応速度3、速度7」
加速しながら大尉の弾丸をバレルロールで回避。一息のうちに距離を詰めると、模造刀を振り抜いた。
が、それは空を切る。大尉は俺の攻撃を読んでいたのか、体をそらしてこちらの攻撃を回避していた。
バルクホルン「避けるのが得意なのは貴様だけじゃなんだ、中尉!」
距離を取りながら大尉は銃口をこちらに向ける。
バルクホルン「私だってネウロイの攻撃を掻い潜ってここまで生きてきた。貴様の攻撃を避けることなど造作も無い!」
小さく舌打ちする。断言されちゃったよ。やっぱりこの人超強い。
俺「反応速度5、敏捷性5」
ロールをしながら上昇。ギリギリを掠めていった弾丸達に冷や汗をかきながら左に反転。斜めにスリップしながら急降下に入る。
数メートルの距離をあけながら、大尉とすれ違った。大尉は旋回しながら再びこちらに銃を構えようとしている。
俺「……これ、絶対俺が不利だろ」
小さくぼやきながらも銃口の位置から弾丸の軌道を見極める。ばら撒かれた弾をかわしながら、少しずつ距離を詰めた。
だが、彼女も同時に俺と距離を取る。こちらには模造刀しか無いのだから、当然の判断だろう。
逆にこちらが距離を取ると追いすがってくる。どうやら、ゆっくり体勢を整えることも許してくれないらしい。このままじゃじわじわと嫐られるだけだ。
俺「反応速度4、敏捷性3、速度3」
ぐん、と速度が上がる。進路を右へ切ると、相手も右へ切った。すぐに左へ切り返す。そのまま旋回に入り、大きく回りこむ。
どうせこのままジリ貧で負けるなら、特攻にかけるしかない。
相手もこちらの意図に気付いたのか、同じように旋回し始めた。綺麗なrを描いた彼女はまっすぐこちらに銃口を向ける。俺も模造刀を構えてそれに応じた。
接近。放たれた弾丸を最小限の動きでかわし、急上昇をかける。銃弾が追いかけてくるが、それは無視。
弾幕が止んだのと同時に推力を切って体全体を持ち上げる。慣性に耐えながら、少し待ってからストライカーの推力を全開にする。
気持よく吹け上がるエンジンの振動と共に、頭は下を向く。
相手から見たら、急にバク転したように見えたはずだ。現在出せる最高の速さで突っ込みながら、軌道をわずかに調整する。
斜めにスライドしながら再び接近、大尉がこちらに照準を合わせているのが見えた。だが、もう距離はそうない。
俺「このまま……!」
バルクホルン「終わりだ、中尉!」
放たれた弾丸は3発。1発目を体を捻って避ける。2発目は運良くギリギリを掠めていった。3発目を模造刀で叩き落す。
大尉はもう目前だ。だが、彼女はまた引き金を引いていた。
俺「っ!」
模造刀を振り上げる。弾丸を弾いた模造刀はすでにペイントでべちゃべちゃになっていた。
銃声と共にさらにもう1発。それを腰から引きぬいた鞘で跳ね上げる。そのまま体を回し、裏拳を叩きこむようにして模造刀を振るった。
潰れた刃が風を切る。大尉にそれが当たる直前で俺は動きを止めた。
俺の刃はピタリと彼女の首筋で止まっている。しかし、彼女の銃口も寸分違わず俺の頭を狙っていた。
俺「……引き分け、ですか?」
バルクホルン「不本意だが」
俺は小さく息を吐いて彼女から少し距離を取る。模造刀を真下に強く振った。付着したペイントが飛んでくれるかと思ったが、案外そう上手くはいかなそうだ。
バルクホルン「中尉」
俺「はい?」
バルクホルン「なぜ、刀を途中で止めた?」
俺「それを言うなら、大尉こそどうして撃たなかったんです?」
バルクホルン「……」
俺「……まあ俺は、大尉の可愛いお顔やお体に傷が付いたら大変かなって思っただけですよ」
バルクホルン「かっ……そ、そうか」
坂本『俺、バルクホルン、そこまでで良い。戻って来い』
俺「ただいまー」
シャーリー「おかえり。お前、速いだけじゃなくて強いんだなー」
俺「だろ? はっはー、惚れたか?」
シャーリー「ぶはは、残念だがそれは無いな!」
エーリカ「俺!」
俺「げっ、悪──」
エーリカ「むっ……あ、シャーリー知ってる? 俺ってさー」
俺「うぉぉぉぉ! こんなところに天使様がー! エーリカマジ天使! EMT! EMT!」
シャーリー「お、なんだなんだ? 楽しそうだな!」
俺「EMT! EMT!」
バルクホルン「おい、俺中尉」
俺「EM……大尉」
バルクホルン「さっきのことだが」
俺「さっき?」
バルクホルン「お前が勝ったら……ってやつのことだ」
俺「あー、仲良くしてくれるんですか?」
バルクホルン「ぅん、あー、いや、その、なんだ……お前の実力は認めよう。大したものだ」
俺「ありがとうございます」
バルクホルン「それから、この短期間で宮藤にリベリアン、それからハルトマンとも仲良くなったようだな」
俺「まあ……そういうことになるんでしょうか」
1人は少し違う気もするが。
バルクホルン「つまり、お前はわずか1日で3人の信頼を得たというわけだ。坂本少佐とも旧知の仲らしいな。だから、あー……」
エーリカ「もうまどろっこしいなー。言いたいことがあるならはっきり言いなよ」
バルクホルン「うるさいぞハルトマン!……だから、その……お前を信頼している4人を信頼すると言っているんだ」
俺「あ、はぁ」
エーリカ「めんどくさいなー。俺のことを仲間と認めるってはっきり言えば良いのに」
バルクホルン「ハルトマン!」
バルクホルン「ともかくそういうことだ! だがな、俺!」
ギロリ、と彼女は俺を睨みつける。
バルクホルン「風紀を乱すようなことをしたら、容赦はしないからな」
俺「怖っ、いえ、はい!」
ふん、と鼻を鳴らして大尉は歩いて行った。
シャーリー「ははは、あいつも素直じゃないな。まあ良かったじゃないか、俺」
俺「……」
シャーリー「どうした?」
俺「いや、存外あっさり済んだなーと思って」
シャーリー「?」
俺「おい、エーリカ。これでミッション完了で良いのか?」
エーリカ「まあ及第点かなー」
俺「ひゃっほう! これで晴れて自由の身」
エーリカ「ではないよ?」
俺「えっ」
エーリカ「私、『"まず"は、トゥルーデと仲良くなってもらおうかな!』って言ったでしょ?」
俺「」
エーリカ「次は何してもらおうかなー」
俺「この悪魔め……」
エーリカ「……嫌、なの?」ナミダメウワメヅカイ
俺「うっ、ぐぅ……仕方ないな」
どのみち弱み握られてるし。
エーリカ「ありがとう、俺!」ニコッ
ちくしょう、可愛い!
最終更新:2013年02月15日 12:28