俺「俺が夜間専従員に?」

ミーナ「ええ。最近、ウィッチの負傷が多いみたいだから……臨時で、念のために、ね」

俺「強いネウロイがいるってことですか?」

ミーナ「おそらく。ただ、負傷したウィッチは昼夜問わず襲われているし、そのウィッチ達もみんな重傷で、話を聞くどころではないというのが現状なの。中には亡くなった人もいると聞いているわ」

ミーナ「おまけに、どの部隊の観測班にも補足できていないため、詳細は不明。だから、申し訳ないけど詳しい情報はないの……ただ、サーニャさんを1人で飛ばすのは危険だと判断しました」

ミーナ「あなたなら能力の汎用性も高いし、もしもの時でも対応しやすいでしょう?」

俺「……随分俺のことを評価してくれてるんですね」

ミーナ「ふふ、迷惑だったかしら?」

俺「いえ……嬉しいです」

俺「わかりました。その期待を裏切るわけにはいきませんね」

ミーナ「そう。良かった。じゃあさっそくで悪いんだけど、今日からお願いしても良いかしら?」

俺「了解です」

ミーナ「いろいろ調整はしておくから、昼間のうちにしっかり体を休めといてね」

俺「はい。ありがとうございます」





―― 夕方 ハンガー

俺「こんばんは、リトヴャク中尉」

サーニャ「……こんばんは、今日からよろしくお願いします」

俺「こちらこそ。俺は本職のナイトウィッチじゃないから、迷惑かけるかもしれないけど……怒らないでくださいね?」

サーニャ「ふふっ……頼りにしてます」

サーニャ「じゃあ、行きましょうか」

俺「了解」

―― 基地上空

エイラ『――私に言わせりゃ、二流ダナ。良いかー宮藤、避けるだけ、受けるだけじゃダメなんダ』

エイラ『私はそれをあの時学んダ』

俺「ははは。何様だよエイラ。そういうお前は一流なのかー?」

エイラ「ム、何だヨ俺! オマエは待機じゃなかったのか? 何でこんなところ二」

サーニャ「おかえりなさい、みんな」

エイラ「サーニャ!」パァァ






宮藤「これから夜間哨戒なんだ?」

サーニャ「うん」

俺「実は俺も!」テヘッ

エイラ「なッ!?」

坂本「あー、そのことだがサーニャ。今夜はいい。一緒に基地に戻れ。もちろん、俺もだ」

サーニャ「? はい」

俺「何かあった?」

坂本「少しな。話は基地に帰ってからだ」

―― ハンガー

俺「……ふぅ。なあもっさん。問題って――」

エイラ「オイ、俺ェ!」

エイラ「ちょっと来い!」グイッ

俺「うわわ、何だよ。リトヴャク中尉との話は終わったのか?」

エイラ「オマエには関係ナイ!」

サーニャ「……」イトスギノエダ






エイラ「オイ、オマエがサーニャと一緒に夜間哨戒ってどういうコトだよ!」

俺「何か最近、ウィッチが撃墜されまくってるらしい。でも、詳細は不明。話によると死傷者も出てる」

俺「だから隊長が、一人での哨戒は危険だと判断した。そこで矢面に立ったのが、能力の汎用性が高い俺というわけだ」

エイラ「……」グヌヌ

俺「文句なら隊長にどうぞ」

エイラ「……まあいい。でも、サーニャには手出すなよ!」

俺「だから大丈夫だって。中尉は凄く可愛いとは思うが、そういう対象とは少し違う」

エイラ「……オマエの好みじゃないってことか?」

俺「まあ……有体に言えば、そういうことかな? でも勘違いするな! 中尉のことは凄く可愛いと思ってるぞ!」

エイラ「サラサラストレート?」ボソッ

俺「え?」

エイラ「オマエの好みはどんな何だヨ。勘違いするナ! 本当にサーニャに手を出さないか確認するために聞くだけだからナ!」

俺「う~ん……そうだな……」






俺「髪の毛はどちらかと言えば長い方が良いな。それから、ストレートだとなお良い」

エイラ「……」ロングノストレート

俺「それから、遠慮無く意見が言い合えると良いね。多少感情的になりながら言い合えるぐらいがちょうど良いかもしれん」

エイラ「……///」カンジョウテキニナレル

俺「もっと言えば、いろいろ助け合えると嬉しいよな。困ってる時に気兼ねなく頼れたり、逆に頼られるのも嬉しい」

エイラ「……//////」イモウトノトキイチバンサイショニタヨラレタ

俺「あとは……」

エイラ「も、モウいい!」カオマッカ

俺「へ?」

エイラ「と、トモカク! オマエ、一緒に飛ぶからにはちゃんとサーニャのこと守れヨ!」

俺「了解。絶対に守る」

エイラ「オマエのこと、信頼して言ってるんだゾ」

俺「そりゃどうも」

エイラ「それから……オマエも無事じゃないと怒るからナ」

俺「……わかった。ありがとう」





―― ブリーフィングルーム

坂本「これが、昼間現れたネウロイだ。全長は3万メートルを超えると思われる」

俺「随分でかいな」

坂本「ああ、厄介なのは、コアの位置……ここだ」

バルクホルン「てっぺん?」

ペリーヌ「ですが、私たちのストライカーユニットの限界高度は精々一万メートル……」

シャーリー「俺ー、オマエの能力で限界高度を上げることはできないのか?」

俺「不可能ではないが……そうなると、能力の割り振りが難しい。確かに俺の能力は足し算だが、ストライカーが動かなくなった時、速さが0になるわけじゃない。重力に引かれるからマイナスになる」

俺「そうなると、割り振らなければならない量も増えるし、おまけに俺の能力はあくまで速さを足すだけで指向性を持たせることはできないから……」

リーネ「えっと……?」

俺「つまるところ、ストライカーが動かなければ、最終的には落下する方向で加速していくことになるかもしれないってこと」

宮藤「えぇっ!? だ、駄目ですよ! そんな危ないこと!」

坂本「その通りだ。だから作戦にはこいつを使う」

坂本「ロケットブースターだ」

宮藤「それがあれば、コアのあるところまで飛べるんですか?」





バルクホルン「いや、そんな簡単な話では無いはずだ」

ミーナ「ええ、ブースターは強力だけど、魔法力を大量に消費するから、短時間しか飛ぶことはできないわ」

バルクホルン「だったら、私達みんなで誰かを途中まで運べば良い」

坂本「そういうことだ」

ミーナ「ただ……3万メートルの超高々度は、人間の限界を遥かに超えた未知の領域よ」

坂本「だが、我々はウィッチだ。ウィッチに不可能はない」

坂本「そこで、瞬間的かつ広範囲に渡る攻撃力を備える者として……サーニャ。コアへの攻撃はお前に頼みたい」

エイラ「えぇッ!?」

坂本「この作戦には、お前のフリーガーハマーによる攻撃が不可欠だ」

エイラ「ハイハイ! だったら私も行く!」

坂本「ふむ。そうだな、今のお前ならシールドも張れるか……」

坂本「だが……少し不安がある。私は宮藤を同行させようと思っていたのだが」

エイラ「え……な、ナンデ?」

ミーナ「今回の作戦は、ブースターを使用する上に極限環境での生命維持、そして攻撃と、とても多くの魔法力を消耗するわ」

坂本「となれば、サーニャには自分の身を守る余裕がない。だからもう一人、サーニャの盾となり、守る者が必要となるわけだが……」






エイラ「わ、私にはサーニャを守れないッテ言うのか!?」

坂本「そうじゃない。万全を期してシールドの強力な者が同行すべきだと言ってるんだ。そして、それには宮藤が適任だろう」

宮藤「わ、私ですか!?」

坂本「不安か?」

シャーリー「シールドが強力ってことなら、俺でも良いんじゃないか?」

エイラ「!」

俺「えっ、何言ってんだよ。俺のシールドが使えないのはもう周知の事実だろ?」

シャーリー「この前ローマで使ってたじゃないか」

俺「あれは固有魔法全振りしたからで、普段は……」

シャーリー「今回は避ける必要ないんだろ? だったら、防御に固有魔法使えるじゃないか」

俺「うぐっ……」

バルクホルン「そうだな……確かにあの時の俺のシールドは強力だった。もしかしたら、宮藤よりも、な」

宮藤「私も俺さんがやった方が良いと思います!」

俺「え、えー……ちょっと……」チラリ

エイラ「……オレカミヤフジ……」ショボン





俺「いや、別にエイラでも良いんじゃないか?」

エイラ「!」パァァァ

俺「今のエイラはシールドも張れるし、予知も使えるし、ぶっちゃけ最強じゃんか」

坂本「しかし、今回に限ってはシールドの強度が重要になってくる。さっき言っただろう?」

エイラ「」シュン

サーニャ「あの、念を押すということなら、エイラと私と芳佳ちゃんの3人で飛べば……」オズオズ

エイラ「サーニャぁ」パァァァ

坂本「ふむ……確かに、子機が現れる可能性を考慮すると、3人の方が良いかもしれん」チラリ

ミーナ「そうね……3人なら、何とか運べるんじゃないかしら」

エイラ「ホントか!? 3人……なら、私と俺で決まりダナ!」

サーニャ「ぇ……」

俺「待て待て、どうしてそうなる。宮藤で良いじゃないか」

エイラ「オマエの方がシールド強くできるんダロ? だったら良いじゃないカ。な、オマエがやれよ。宮藤は頼りにならないしナ」

宮藤「」ガーン

サーニャ「……」ムー






俺「いや、でも……固有魔法で無理矢理強化したやつより、素で強力な方が安心じゃないか?」

エイラ「ウルサイナー。サーニャを守れるんだゾ? 喜べヨ!」

俺「えー、でも……」

エイラ「……ナンダヨ。そんなに私と飛ぶのがイヤなのか?」

俺「そうじゃなくて!」チラリ

坂本「……ふぅ」ヤレヤレ

坂本「そうだな……宮藤、どうだ?」

宮藤「わ、私は俺さんの方が安心だと思います。私よりも強いし、戦闘経験も豊富だし……」

俺「いや、だからさ……」

坂本「俺、お前がやれ」

俺「もっさん!?」

坂本「念のため、俺のシールドの強度を確認する。後で外に来い」

俺「えー……」ドウシテコウナッタ

エイラ「私とサーニャと飛べるんだ。光栄に思えよナ!」

サーニャ「……」ムッ






俺「あー……疲れた」

シールドの確認だけだってのに、何であんなに張り切ってんだよ、もっさんは……

エイラ「俺!」タタタ

エイラ「ドウダッタ?」

俺「ああ、俺も一緒に飛ぶことになった」

エイラ「そ、ソウカ!」パァァ

俺「まあやるからには、しっかり守ってやるよ」

エイラ「当たり前ダ! サーニャが怪我したら許さないゾ!」

俺「任せとけって。お前こそ、しっかりやれよ」

エイラ「愚問ダナ。本当はオマエだっていらないくらいなんだからナ!」

俺「それもそうか。じゃあ中尉を守るお前を俺が守ってやるよ」

エイラ「な……」カァァァ

俺「ははは、照れてやんの」

エイラ「う、ウルサイナ!」

サーニャ「……」ジー






―― エイラーニャ自室

エイラ「俺も幸せものだよナ。サーニャと飛べるんだからサ!」

エイラ「そういえば……アイツと飛ぶのは久しぶりダナ」ニヘラ

サーニャ「……エイラは、俺さんのことが好きなの?」

エイラ「なァっ!?」

エイラ「な、なななナニ言ってるんダヨサーニャ!」カァァァ

サーニャ「だってエイラ、最近俺さんとお話してばっかり……」

エイラ「そ、ソウカ? そんなこと……」

サーニャ「この前も、俺さんと2人で街に行ったんでしょう?」

エイラ「ソレは……」

サーニャ「さっきだって、一緒に飛ぶのは芳佳ちゃんでも良かったはずでしょう? 俺さんだってそう言っていたじゃない」

サーニャ「それなのに、俺さんと一緒が良いからって私まで引き合いに出して……!」

エイラ「そ、そんなつもりは……」

サーニャ「俺さんと一緒が良いからって、私を利用しないで!」





エイラ「そ、そんなことシテナイ!」

サーニャ「してるじゃない!」

エイラ「そんなことナイ! 私は、サーニャと一緒が良くて――」

サーニャ「そんなの嘘!」

エイラ「ど、どうしたんダヨサーニャ……」

サーニャ「……」ハッ

サーニャ「わ、私……」

エイラ「サーニャ……?」

サーニャ「私、私は……ただ……」ジワ

サーニャ「っ」タタタ

エイラ「サーニャ!」

サーニャ「来ないで」タタタ

エイラ「サーニャ……」





――――
―― 河辺

エーリカ「はは、そんなことがあったんだ」

サーニャ「笑い事じゃありません……」

エーリカ「それじゃ、サーニャは俺に嫉妬してるの?」

サーニャ「……わかりません。私は確かにエイラのことが好きですけど、それはあくまでも友達……親友としてで、恋人になりたいわけじゃないんです。それは、きっとエイラも同じだと思います。事実エイラは、俺さんに惹かれ始めてる」

エーリカ「……」

サーニャ「それは別に良いんです。むしろ、応援してあげたいとも思ってます……」

サーニャ「でも……エイラが俺さんばかり気にかけて……私と一緒にいてくれないことが、何だか悲しくて」

サーニャ「それで……つい、カッとなってしまって……」

エーリカ「ふぅん。で、サーニャはどうしたいんだい?」

サーニャ「私……?」

エーリカ「エイラを取られたくない? それとも、エイラの恋を応援する?」

サーニャ「……」

エーリカ「……俺は、どう思ってるんだろうね」






エイラ「……はぁ」

どうしてサーニャはあんなに怒って……いや、怒っていたというと少し語弊があるかもしれない。確かに彼女の声音は、普段に比べれば荒かったが、彼女はどこか悲しそうな顔をしていた。

エイラ「私が、俺を好き……?」

それが原因なのだろうか。私が俺にかまけてサーニャを蔑ろにしている……? 正直そんなつもりはない。

確かに、ここ最近は俺と行動することが多かったかもしれない。彼が床に伏していた時はもとより、その後は妹の一件では行動を共にしたし、それからは何かと話すことも多くなった。

でも、私は今でもサーニャが一番大切だと思っているし、自分でサーニャを守りたいからこそあの時立候補したのだ。しかし同時に、宮藤よりは俺が良いと迷いなく思っていたのもまた事実だった。

エイラ「……」

そもそも、私は俺が好きなのか? 私が好きなのはサーニャで、何よりも優先するべきはサーニャ、1にサーニャ、2にサーニャ、3、4もサーニャ、5にサーニャ、ではなかったのか?

なら、私はサーニャの恋人になりたいのだろうか。確かに私はサーニャが好きだし、同性にも関わらず彼女の笑顔や仕草にドキリとすることも多い。でも……

エイラ「恋人、ッテのはちょっとチガウ気がするンダヨナー……」

なら、俺が恋人なら……

エイラ「……」カァァァ

思わず枕に顔を埋めてしまう。私は、俺が好き……?

エイラ「……」

エイラ「……サーニャ」






―― 翌日

リーネ「お砂糖たっぷり入れたから、とっても飲みやすいと思うんですけど……」

サーニャ「……」

宮藤「あ、後から効いてくる感じだね……」サーニャマフラー

エイラ「……」ムー

坂本「しかし、薬だと思えばどうということなはい」

サーニャ「……」ショボン

俺「……?」

俺「エイラ、中尉に付いてなくて良いのか?」

エイラ「……俺」

エイラ「私……」

俺「何だ、喧嘩でもしたのか?」

エイラ「……」

俺「図星か」






俺「何でこのタイミングで喧嘩なんか……」

エイラ「……オマエガ」

俺「うん」

エイラ「チガウ。きっと、私が……」シュン

俺「?」

俺「よくわからんが、お前がそんな調子だと、正直調子狂うわ」

エイラ「……」

俺「……はぁ。ま、仲直りしたいなら、しくじるなよ」

エイラ「……ワカッテルヨ」

俺「……」フム

俺「ほら、もっとやる気出せよ!」クシャクシャ

エイラ「わ、や、止めろ、コノバカ!」カァァァ

俺「ははは、その調子その調子」

エイラ「……///」

サーニャ「……」ムー





―― 作戦開始

エイラ「……アレ? オマエ、銃も使えるノカ?」

俺「ん? ああ、今回は小回りも利かないし、子機を警戒するならこっちのが良いかと思って。もちろん、刀も持ってくけどさ」

エイラ「ふぅん……」チラッ

サーニャ「……」

エイラ「……」シュン

サーニャ「……」チラリ

俺「……」マジデケンカシテンノカヨ

落ち込むエイラに悲しげなリトヴャク中尉、そして戸惑う俺。
予想以上の重たい空気に俺の胃がキリキリと痛むが、そんなことはお構いなしでカウントは進んでいく。

俺「っ」

轟音と共に体が浮き上がっていく。
よし、覚悟を決めよう。もしかしたらこの喧嘩が原因で、2人の動きが鈍るかもしれない。だが俺のやることは変わらないのだ。もし2人が危険になるなら、2人まとめて守ってやれば良いだけのこと。

俺(気合入れようね、陽子ちゃん)

狐(……不本意じゃが)

俺(そう言うなよ。あとでたくさん、撫でてあげるからさ)





第一、第二打ち上げ班が順次離脱していく。腕の中の2人は、相も変わらずだんまりを決め込んでおり正直気が気じゃない。

俺「……おい。お前ら、この空気いい加減なんとかしろ。仲違いしてて良い状況じゃないのはわかるだろ?」

サーニャ「……」

エイラ「……」

俺「……ちっ、あのな――」

狐(俺!)

陽子ちゃんの声と同時に、視界の隅に黒い影が映る。

俺「……子機が出た」

エイラ「なッ!?」

俺「俺が引き受ける。悪いが迎撃しながらお前らの面倒を見るのは無理だ。リトヴャク中尉はお前が守るんだろ? 任せるぞ」

エイラ「……ぅ」チラリ

サーニャ「……」コクリ

サーニャ「!……わかった。サーニャは私が守る! 絶対に、何があっても!」

俺「……よし」ニコ

魔法力を調節し、ロケットブースターの推進力をコントロールする。あくまでも上昇は続けながら、しかし2人から距離を取り機関銃を構える。






狐(……離れたのは少し軽率じゃろう。2人まとめて守るのではなかったのか?)

俺「……いや、大丈夫だろ。やる時はやる奴だよ、エイラは。それよりも問題は――」

何体もの子機で視界が黒色に染まっていく。俺たちを包囲するように数が増していた。

俺「うじゃうじゃとよくもまあ……」

狐(本体が危険になっているのじゃ。迎撃するのは当然のことじゃろう)

俺「それでも、エイラ達に手出しはさせない。上に着く前に片を付けよう。防御5、攻撃範囲5!」

――――
――

エイラ「サーニャ……私」

サーニャ「……ごめんなさい」

エイラ「! ……私ノ方こそ、ごめんナ」

サーニャ「ううん、いいの。私が間違ってた。でも、私……私はただ、エイラといっ――」

エイラ「サーニャ」

エイラ「私は、ずっとサーニャと一緒だよ。もし、私やサーニャに恋人が出来てしまっても、サーニャがどこに行っても、サーニャが望むなら……私はずっとサーニャのそばにいる」

エイラ「サーニャと一緒なら、私はどこへだって行けるから」





空を抜ける。眼下には青色の空と白い雲。そして、上には星の海。
青色と黒色の境目。幻想的な景色の中でアクセントのように一際輝く赤色の宝石。

エイラ「――」

もう言葉は通じない。俺もまだここまで登ってきてはいない。だから――ネウロイが変形し、赤色の光が激しく瞬く。私は、正面に向けてまっすぐに左腕を伸ばした――だから、私がサーニャを守る。

宮藤よりも、俺よりもシールドが弱くたって関係ない。この気持ちに嘘はない! 私が、サーニャを

エイラ「――――――!」

溢れた気持ちは、言葉として伝わることは叶わない。けれど、私の想いは形となって現れる。生み出された青色の盾は光線を弾き、空に赤色の花を咲かせていた。

――――
――

俺(ほらな、大丈夫だった)

狐(……ふん)

俺(ネウロイがあっちに注目してる間に突っ込んで隙を作る。そしたら、あとはリトヴャク中尉がなんとかしてくれるだろ)キィィィイン

狐(じゃが、この速度で進行方向を調整するのは難儀じゃぞ)

俺(できるよ。陽子ちゃんがいれば、できないことはない。だから、サポートよろしく)シッポニホン

狐(……ぬしは、卑怯じゃ)






スピードを落とすことなく空を突き抜ける。固有魔法で刀を大きく伸ばし、同時に推進力と方向を調整する。

俺「っ!」

一閃。
赤い輝きのその下、地上に向けて走る黒い塔を断ち切る。
急減速をかけながら振り返ると、ネウロイは大きく傾き、光線も的外れの方向へと向いていた。光が途切れる。

同時に、9連装の20口径ロケット弾が放たれネウロイのコア目掛けて次々と向かっていた。
膨らむ噴煙と、そこから広がる光の雨。ネウロイの破片は、頭上に広がる星達に負けないくらい綺麗だった。

俺(……先に降りようか)

エイラとリトヴャク中尉は額を合わせて何かを話している。

狐(良いのか?)

俺(ここで声をかけるのは、野暮ってもんでしょ)

地上へ向けてロケットを噴射する。

泣き笑いのような表情のエイラと、優しく抱きしめるリトヴャク中尉。空に浮かぶ2人は、幻想的な景観と相まってさながら妖精のようだった。

俺「……」フフッ

狐(どうした?)

俺(エイラが……いや、何でもない)





宮藤「俺さん、お疲れ様です!」

俺「ああ、お疲れ……」

エーリカ「? お疲れだね」

俺「何か思ったより魔法力使ったわ。良い経験ではあったけれど、もうあそこまで上がるのは正直やだな……」

あと、エイラ達が喧嘩してたせいで精神的にきた。

坂本「はっはっはっ、だが、ネウロイは倒せたじゃないか」

俺「おのれもっさん、大人しく宮藤を飛ばせておけば良かったものを……」

宮藤「でも、私は俺さんで良かったと想います!」

エイラ「何話してるんだ?」

俺「おうエイラ。仲直りできて良かったな」

エイラ「ああ。迷惑かけて悪かったナ」

シャーリー「お、なんだ? お前らが喧嘩するなんて珍しいなー。ちょっと詳しく聞かせろよー」

エイラ「嫌ダって、うわッ! や、ヤメロー」

俺「あらぁ……」ツレテカレチャッタ

サーニャ「俺さん、少しお話しませんか……?」







俺「珍しいですね。中尉が俺に話なんて……」

サーニャ「お疲れのところすみません」

俺「いえ……それで、話っていうのは?」

サーニャ「はい。エイラのことです」

俺「?」

サーニャ「俺さんはエイラのこと、どう思ってるんですか?」

俺「うぇっ!?」

俺「どうって……大事な仲間というか……」

サーニャ「私が聞いているのはそういうことじゃないです……わかりますよね?」

俺「……凄く良い奴だと思ってます。なんだかんだでよく助けてくれるし、一緒にいて楽しいし……」

あいつが笑顔だと、俺も嬉しい。まあこれは、さっき気づいたのだけど。

サーニャ「……そうですか。それを踏まえた上でお願いがあります」

サーニャ「私から、エイラを取らないでください……!」

俺「え……それって、どういう……?」

サーニャ「……」ニコッ
最終更新:2013年02月15日 12:31