――海、砂浜、打ち寄せる波の音
ここは本当に最前線の基地かと思いたくなるような光景が目の前に広がっている
まぁ、確かに?ウィッチといえでも年頃の女の子11人。訓練と称して海水浴に行く事だってあるだろうさ。それも基地の目の前が海だったらなおさら
その女の子11人が年相応の歓声を上げながらキャッキャッしつつ水の掛け合いっことかしてるならいいよ。逆にほほえましいよ、もっとやってくれ
それでだ、それでだよ。なぜ、男である、この、俺が、女の子11人に混ざって、海水浴に、こなきゃ、ならんのだ?
エイラ「そんなに嫌か?海」
俺「その、嫌というか……わけの分からん罪悪感にさいなまれる……見ちゃいけないものを見てる感じ」
エイラ「何だそりゃ……ところでエフィは?」
俺「『さすがに、塩水は、無理……』との理由で欠席」
宝探しにはまったく首を突っ込まない、海水浴短編始まるよー
短編集:ロマーニャ編 "Memory of the Sea"
坂本「つべこべ言わずに……飛び込め!!」
一同「は、はい~!!」
501の主戦場は海上。もし墜落した場合、落ちるのは地面ではなく海面だ
救助が来るまで、ストライカーを海中で脱ぎ、水面に出て泳ぎ続けなければならない
ちょうど今、その訓練をやっているところだ
宮藤「えい!」ザパーン
リーネ「ひゃっ!」ザブーン
ペリーヌ「はっ!」ドブーン
俺「……」
一番最後は俺だ……畜生
坂本「どうした?飛び込め!」
ここはもう、腹をくくるしかない
俺「ヘェア!」ドバーン
どうにでもなれと海へ飛び込む
海面へ出ようと手でもがきながら、ユニットから足を抜こうとする
だが、あっさり抜けてくれない
俺「~~~!」
振り払おうにもかなり重くて、足が自由に動かない
ほんの一瞬、手でもがくのをやめ、ユニットの操舵翼を下に向けて押す
今度は何とか外れ、足が自由になる
手と足で必死にもがき、
俺「だっはぁっ!?」サバァ
坂本「お、早かったな」
何とか海面に出て、海岸の岩場にしがみつく
俺「けほっ、かほっ…」
鼻で海水を吸い込んでしまい、咳き込む
ミーナ「大丈夫?上がってこれる?」
中佐が岸に引き寄せようと手を差し伸べてくれたが、
俺「はがぁ!?」ザボーン
坂本「なにっ!?」
何かに引っ張られるように再び海中へ
俺(あ、足に何かが巻きついて……タコ?イカ?……いや、まさか……)
突然の出来事にかなり混乱した俺は、昔一戦交えたこともある、蛇型水中用ターミネーター『ハイド
ロボット』を思い出してしまった
ハイドロボットというのは、単純に言えば機械のピラニアだ。牙の代わりにドリルを持った蛇
俺(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!死ぬって!)
一瞬かなり取り乱したが、よくよく考えてみればここにそんなのが居るわけなく
宮藤「~~~っ」
リーネ「~~~っ!」
この二人が足にしがみついてきただけなわけで……
数分後
坂本「訓練終わり!」
何とか助かりました
俺「……疲れた」
首にタオルをかけ、前にチャックのある薄手のパーカーを羽織る。下は水着だ
筋肉はそれなりにあると思っているが、いかんせん色が白いので、露出するのは恥ずかしいのだ
エイラ「お疲れ~」
サーニャ「お疲れ様です」
俺「……二人はのんびりしてるなぁ」
二人は泳がず砂浜の上での~んびり
俺「泳がないのか?」
エイラ「スオムスじゃ海水浴なんてやらないからさ」
サーニャ「俺さんは?泳がないんですか?」
俺「……泳げないんだよ」
エイラ「かなづちか」ニシシ
俺「泳ぎを覚える暇も必要もなかったからな」
まったく泳げないというわけではないが泳ぎは苦手だ
俺「それはそうと、少佐がこんなものをくれた」
エイラ「なんだ?」
手に持っていたビンを二人に見せる
俺「海軍ラムネというそうだ」
サーニャ「ラムネ?」
俺「こっちでいうソーダみたいなもんだろう」
三本もらったので、それぞれ一本ずつ手渡す
エイラ「で、どうやって開けるんだ?コルク栓もキャップもないぞ」
俺「宮藤の教わった。こうするらしい…よっ」
飲み口と一体になった栓抜きの平らな部分を手のひらで叩く
ビンの中のガラス玉(ラムネ球)が落ち、栓が抜ける。同時に少しこぼれた
サーニャ「変わってますね」
俺「扶桑じゃ祭りなんかの時によく飲むらしい」
エイラ「じゃ、私も……」
俺「あ、待て、開け方にコツが……」
エイラ「えい」
いい終わる前に栓抜きを叩いてしまった
<ピシャッ!
エイラ「うわっ!」
開け方が悪かったのか、中身が見事に噴出してしまった
すぐに飲み口を手でふさいだので、吹き出た量はそこまでじゃないが、
エイラ「うわぁ、ベトベトする…」
エイラの胸元にかかってしまった
俺「ほら、これで拭け」スッ
肩にかけていたタオルを手渡す
エイラ「アンガト」
そういって受け取り、胸元にかかったものをふき取る
俺「……」
胸元にかかったと言ったが、顔にも少しかかってしまった……つまり、その、えっと…
ぶっちゃけエロい
いやそのね、文に表すのが非常に難しいというか、はばかられるんだけど何とかして表現しようとすると、
谷間に湖が
この一言だと思うよ?
俺「……」プイ
俺は何も見ていない、と心の中で暗示をかけるように
繰り返し、体ごとそっぽを向く
エイラ「ん?ドッタノ?」
俺「……なんでもない」
Calm down, my son.
誤魔化すようにラムネをあおる。意外と上手い
エイラ「……変なの」
自覚なしのご様子
俺(……エイラの、意外とおっき……)
そこまで考えて、
俺「……げほっ!がはっ!」
むせた
エイラ「何やってんだよもう…」
そういいつつも背中をさすってくれた
サーニャ「……ンク……ンク……プハッ……おいしい」
サーニャは上手く開けられたみたいです
その後は何の事件もなく、の~んびり過ごしました
エイラ「……腹減ったナァ」
サーニャ「眠い……」
俺「……」←足の指で砂遊び中
三人並んで座っていただけじゃないと言われそうだが、自分らにはこういう静かな感じが一番なのです
夕方 基地談話室
俺「ん?」
海水浴から帰ってきて、シャワーを浴びたあと、談話室にやってきたら、
サーニャ「スゥ……スゥ……」
エイラ「……スゥ……フゥ」
ネウ子「フニュー……スゥ…」
二人がソファで寝ていた
俺(エイラとサーニャは疲れで、エフィは待ちくたびれてか?)
思わず口元が緩む
俺(?)
ソファのそばの机の上に、一冊の本が置いてあった
手に取り、表紙を確認する
俺(………タイトルが読めない)
スオムス語で描かれた絵本のようだった
表紙には何度も見たことがあるトントの姿が
中をパラパラとめくると、表紙と同じタッチの絵で、トントがいろいろする話が描かれていた
俺(エイラの私物かな)
サーニャ「……スゥ……」
エイラ「スゥ……スゥ……」
ネウ子「……スゥー……ニャー」
俺「……良く寝てる」
壁にかかった時計をチラッと見る。晩御飯までまだちょっと時間があるな
数十分後
廊下で見つけた同僚の肩を叩く
バルクホルン「ん、シャーリーか。エイラたちいつもの四人を見なかったか?」
いつもの四人とは俺・エイラ・サーニャ・エフィのこと
シャーリー「いや、見てないが……そろそろ夕飯か」
どこからか料理の匂いが……今夜は扶桑食かな
バルクホルン「ああ、だから呼びに行こうかと」
シャーリー「部屋には?」
バルクホルン「もう行った。サウナにもいなかった」
シャーリー「じゃあ談話室じゃね」
バルクホルン「行ってみる」スタスタ
シャーリー「……」スタスタ
バルクホルン「……なぜついてくる」スタスタ
シャーリー「なんとなく」スタスタ
バルクホルン「……」ハァ
談話室
シャーリー「……あらー」
バルクホルン「……仲睦まじいな」
二人の視線の先にいたのは
サーニャ「スゥ……スゥ……」
エイラ「……スゥ……ムニュ」
ネウ子「……クゥ……クゥ」
俺「……クァー……スゥ」
皆で寄り合って眠るいつもの四人だった
シャーリー「まるで家族だな」
バルクホルン「……誰が親で誰が子供だ?」
シャーリー「俺とエイラが親で、サーニャが姉、エフィが妹」
バルクホルン「サーニャはエイラの妹、エフィの叔母じゃないか?……いや、でもエフィを妹にするにはそれが……」
シャーリー(あ、スイッチ入れちゃった?)
どうにかして現実に引き戻そう
シャーリー「なぁ、バルクホルン。お前、カメラ持ってたよな」
バルクホルン「?」
<カシャッ
俺「……?」
フラッシュライトの閃光がチラッと見え、シャッター音で目が覚めた
シャーリー「あ、起きた」
俺「……盗撮とはなかなかいいご趣味をお持ちで」
バルクホルン「撮れといったのはシャーリーだ」
シャーリー「ちょ、おま…」
俺「そんなのはどうでもいいです…今何時ですか?」
シャーリー「? もうすぐ飯だな」
俺「…ちょっと寝すぎたか」
バルクホルン「いや、ちょうどいい位だろう。三人を起こして食堂に行こう。宮藤たちが待ってる」
シャーリー「目覚めのキスでもしてやれば?」ニヤニヤ
俺「……」
バルクホルン「……」
シャーリー「……その発想はなかったって顔してんじゃねぇ」
結局普通に揺り起こすことに
俺「おい起きろ。起きないといろいろしちゃうぞ」
エイラ「……それは、それで……」
俺「……」デコピンッ
エイラ「アイタ!」
シャーリー「サーニャ、起きて」
サーニャ「…?…エイラ?……あ、シャーリーさん……おはようございます」
シャーリー「まだ寝ぼけてるな……もうすぐ夕飯だから、目を覚まそう?」
サーニャ「はい……」
ファァと小さくあくびをするサーニャ
シャーリー(ルッキーニとは違うベクトルで保護欲をかき立てられるな…)
バルクホルン「エフィ、そろそろ起きような」
ネウ子「フニュ……ニュー……んぁ……オネーチャン」
トサッ、と、寝ぼけた頭でバルクホルンに寄りかかるエフィ
寄りかかられた大尉がどんな顔をしていたかは、会えて言わないでおこう
シャーリー「さて、行こうか」
サーニャ「はい」
エイラ「今日の晩飯なにー?」
俺「扶桑食じゃないかな」
シャーリー「……納豆も出るのかな」
エイラ「あれは勘弁して欲しいナァ」
俺「……そんなにまずいか?あれ」
エイラ「……俺、食えるの?」
俺「食えといわれて食えないものは基本無い。たとえそれがゴキb「(エイラ)ご飯前だから止めろ」……はい」
皆で食堂に向かう最中。列の最後を歩いているバルクホルンとエフィ
ネウ子「……ねぇ、お姉ちゃん」
バルクホルン「ん?なんだ、エフィ?」
ネウ子「……あとで、さっきの写真、焼き増し、お願い…」
バルクホルン(……起きてたのか)
バルクホルン「ああ、構わんぞ。いくらでも持って行け」
ネウ子「……ありがとう」ニッ
バルクホルン(良く笑うようになったよな、エフィ)
エイラたち三人のおかげかな
<オーイ!
バルクホルン「おっと…急ぐぞ」
ネウ子「うん」
<タッタッタ……
最終更新:2013年02月15日 12:50