2月14日・・・それは、多くの男が夢を見る日。そして、多くの乙女が普段のお礼や勝負を仕掛ける日でもある。



~~ハンガー~~

俺は何時も通り早くに起きて上司でもあり、恋人でもあるルーデルの愛機であるスツーカ機体を整備していた。

俺「ふぅ・・・それにしても相変わらず寒いな・・・」

俺は手袋の上から手を擦り、摩擦で手を温める。だが、一向に温まる気配はない。俺は苦笑いを浮べながらまたレンチを手に取り整備に取り掛かろうとしたとき

「お、俺・・・いるか?」

おどおどとした、最近ではよく聞く様になった声・・・俺はその声を聞いて思わず微笑を浮べてしまう。

俺「ええ、いますよハン・・・ルーデル大尉」

つい癖で名前で呼びそうになった俺。だがすぐに直しファミリーネームの階級つきで呼ぶ直した。その俺の声を聞いたルーデルはおずおずとした風に物陰から
現れた。

ルーデル「や、やあ俺。おはよう・・・今日もいい天気だな。それに今はほかに誰も居ないからな、ファーストネームでいいぞ」

なにやら、ぎこちない動きをしながらルーデルは俺へと近づいていった。両手を後ろに隠しているところを見ると、なにやら隠し持っているのかもしれない。

俺「(はて?何を持っているんだろうか・・・?)おはようございますハンナ」

ニコリと、いつもの笑みを浮べながら俺は答えた。ルーデルはその俺の笑みを見て頬の赤みをさらに上げる。

ルーデル「(ふふ・・・相変わらずこいつの笑みは・・・はっ!!いかんいかん、ここで飲まれるわけにはいかんぞ!!)ゴフン!!・・・あ~と俺・・・その
     今日が何の日か・・・知っているか?」

ルーデルはわざとらしく咳をして俺のことをほうを見る。俺はそんなルーデルの言葉を聞き、はてと首を捻る。

俺「はて・・・何かありましたっけ?」

俺は記憶を漁ってみるが、何かとてつもないほど重要なことはなかったと思う。そんな俺を見てルーデルはふうと改めてため息をつく。

ルーデル「・・・やはりお前はそういうのは疎いのだな・・・」

俺「?」

ルーデルの言葉に俺は首をかしげる。だが同時にルーデルは好都合とも思いながら、後ろに隠したものを俺に差し出した。

俺「・・・これは?」

差し出された手のひらサイズの箱・・・綺麗にラッピングされているように見えるが、ところどころに皺が寄っていたり何度も折り直した箇所が見当たる。
ルーデルは俺の質問に顔を紅く染めながら小さい声で答えた。

ルーデル「こ、これはだな俺・・・ば、バレンタインチョコだ」

俺「ばれ・・・んたいんちょこ?」

はて?と思いながら、俺はそのチョコを見る。俺は正直そういうそういう世のことに疎いためさっぱりわからない・・・そこにルーデルが顔を紅くしながら説明した。

ルーデル「今日・・・2月14日にはな女子が好きな男性にチョコを送る風習があるんだ・・・つまりこれはその・・・あれだ」

俺「・・・ああ、なるほど」

そういうことか、と俺は納得する。そういえば昨日なにやら同じ整備師達が似たようなことを言っていたような気がすると俺は思い出す。さらにここ数日ルーデルが
こそこそと調理室に入るところも俺は何度も見かけていたのだ・・・つまりこれはそのときに作っていたもの。俺は嬉しくなり、ニコニコとさらに笑みを強める。

俺「開けてみても?」

ルーデル「あ、ああいいぞ」

俺の言葉にルーデルはさらに顔を赤める。俺はそんなルーデルが可愛く見えてわくわくとしながらぱかっとふたを開ける・・・するとそこには

俺「おお・・・これは」

見事な・・・とまではいえない歪な形をしているがハートの形をしたチョコレートが鎮座していた。

ルーデル「つ、作った中ではかなりうまくできているほうなんだ・・・でもやはり少しばかり歪な形をしている・・・気に入らなかったか?」

黙って見つめる俺に、ルーデルは不安そうに聞く。もしこれで嫌われてしまったら・・・と考えていたが、

俺「いえいえまさか!!ただ、すごい嬉しいだけですよハンナ。女性にこんな風に何か贈り物をされるということはなかったので」

俺はそういいながら、そのチョコを取り出す。やはり作った本人でも歪だと思う形に顔を俯かせてしまうが、

俺「・・・うん、とてもおいしいですよハンナ」

パクリと、一口食べニコニコとしながらルーデルにそう伝えた。

ルーデル「そうか・・・それならよかった」

俺の言葉に心底ほっとした顔になりながら、ルーデルは紅く染めた頬でニコリと微笑んだ。






アーデルハイド「(うまくいったみたいだな)」

ウィッチ1「(そうみたいですね副隊長)」

ウィッチ2「(かなり心配していたみたいですからね~)」

そんな二人をハンガーの端っこで見ていたのはルーデル率いるスツーカ中隊の副隊長を務めるアーデルハイドと、その部下のウィッチ1,2であった。

ウィッチ1「(あ~あ、私もあんな甘い生活送りたいな~)」

アーデルハイド「(ああ、そうだな・・・まあ俺のような男を見つけるのは難しいだろうがな)」

ウィッチ2「(・・・いいな大尉)」

自分たちも、あんな甘い恋人生活を送ってみたいと思った三人組みであった。
最終更新:2013年02月15日 12:59