バルクホルン「やっとだ…やっとこの時がきた」
カールスラントがネウロイに占領されて数年、世界はネウロイに対して攻勢に出ることを決定した。
巣へウォーロックによる特攻…結果は暴走に陥り危うく失敗となるところであったがウィッチ達の尽力によって何とか成功を収める。
そういった足掛かりを踏まえて連合軍が決定したのは今回のカールスラント奪還。
世界各地に展開しているエース級ウィッチ達を集めての大規模な合同作戦が始まった。
他の場所の防衛をおろそかにするわけにもいかないが最大級の戦力を用意しなくてはならないためエース級が集められるのは必然だった。
第501統合戦闘航空団からは「ゲルトルート・バルクホルン」、「エーリカ・ハルトマン」、
「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ」の三名、元カールスラント軍人で参戦動機も実力も申し分ないため参加している。
今回の作戦は一点突破、海上の連合艦隊からの砲撃と同時にウィッチが出撃、編隊を組みつつネウロイを掃討し予定進路の道を拓く。
そこへ通常の火薬の3倍の威力を誇る特殊爆薬を限界までつめた戦艦を魔法力によって浮遊させ海上から巣へと直撃させる。
空母クラスの戦艦を浮かせるとなると相応の魔法力が必要になるが、ストライカーユニットの技術を発展させ大人数による遠隔魔力供給を装置に行うことが可能になったことや
幸い巣が海岸に比較的近い位置にあったことが功を奏した。
作戦開始予定時刻の5分前、部隊後方に位置する戦艦アルタの甲板上にウィッチ達が待機、その中に501の三人の姿もあった。
バルクホルンやミーナはもちろん、ハルトマンですら普段からは考えられないほどの緊張感を漂わせている。
エーリカ「うん…やっとだ。絶対に成功させて少佐に報告しないと…」
ミーナ「そうね…」
バルクホルンの口から漏れた言葉に二人も続く。
思い出されるのは撤退戦の時のことだ。
あの頃の自分達は未熟だった。任せることしか出来なかった。
必ず戻ると約束した自分たちの隊長は結局戻っては来なかった。
だからこそ彼の魂に報いるためには何としてでもこの作戦を成功させ、彼が守った母国を取り戻すしかない。
決意を新たに、再度胸に刻みこむと同時に作戦開始の発令が出される。
艦隊からの攻撃が始まる中、ウィッチ達の戦いが始まった。
艦隊によって先手を取った後、カールスラント上空へと入り込んだウィッチたちは違和感を覚えていた。
ネウロイからの攻撃が牽制程度にすらないのだ。
おかしいとは思っていても突撃せざるを得ない、自分たちの任務はあくまで道づくりと艦の護衛、攻撃がないのなら好都合。
しかしこれは……少しずつ後退している?
バルクホルン「ハルトマン、どう思う?」
エーリカ「誘ってる…のかな?いやでも巣は見えてるしー」
やがてネウロイは明確に巣へと引き返し始めた。流石に何かある、と進軍を停止するが連合もただ見守っているだけではない、強襲空母’クリフォト’の準備を開始する。
ハイデマリー「巣からネウロイが一体出現これは…人型…!?」
巣の防衛に出ていたネウロイが全て消え、一体の人型ネウロイが出現。
しかし以前宮藤芳佳が遭遇したタイプとはまた別…より人に近いフォルム。
そして胸の中央部分には赤いネウロイ特有のコアが既に露出してしまっている。
中空に留まるそれはこちらを見定めるように微動だにしない。
マルセイユ「なんだか知らないが、あれが親玉か?ならば私が討つ!」
バルクホルン「おい!!待てマルセイユ!!」
エーリカ「また面倒くさいことに…」
先行するマルセイユに続いてバルクホルン、ハルトマンも追随。後詰に他の魔女達も追ってくる。
日頃いがみ合ってるバルクホルンとマルセイユといえど一大作戦中だ、とりあえず息を合わせ不規則な軌道を描きながら人型ネウロイのコアへ斉射していく。
トップエース達の射撃は極めて正確、的確にコアへと無数の弾丸が襲来するがそれが届くことはなかった。
マルセイユ「ネウロイがシールドだと!?」
銃弾を防ぐ最小範囲に展開された青い魔法陣…間違いなく魔女達が使うシールドそのものだった。
ネウロイのシールドが解除されると同時に人型の背後からいくつかの黒い物体が現れる。
ハルトマン「ブレイクッッ!!!」
それぞれが独自に動き、回避先を誘導して別の子機で潰す。完璧な統制のとれた動きで一人を確実に狙ってくる攻撃に反撃する暇などなく避けるので精一杯だった。
そこに今まで動くことすらしなかった人型が行動を開始。両手に細かな六角形で構築された全体が黒く光る機関銃のようなものを装備して回避に徹する魔女たちの中央に位置どると湾曲ビームを照射し微かに残っていた回避ルートを塗りつぶすように打ってくる。
マルセイユ「この私が回避で手一杯とはなっ!!しかしこの戦い方は……」
エーリカ「こんなこと出来る人なんて一人しかしらないよ!!」
バルクホルン「ああ…」
かつての撤退戦で’刀姫’リグメット中佐と共にたった二人で殿を務めた男。
幼馴染にしてカールスラント軍の伝説とすら語り継がれるトップエースの一人
‘ウェポンマスター’。
バルクホルン「何故だ…何故貴様らがああああああ!!!」
三人は俺の戦い方を知っていた。圧倒的火力とトップエースと言われるだけある確かな技術…全く無駄のない動きで敵機を沈めていく様子。以前天才だと騒がれていたマルセイユが勝負をふっかけたが、ものの数秒で軽くあしらわれてしまった程に圧倒的な戦士だった。
上官に歯向かって命令を聞かず、独断専行ばかりだった(今もだが)マルセイユ、自由奔放であった(こちらも今もだが)ハルトマンの両名も俺少佐の命令なら従ってしまうほどに人徳もあった。
年齢も近い、しかし尊敬の対象ですらあった人の空戦…見間違うはずはない。
マルセイユ「23人のウィッチ達を同時に相手するとは…これはほんとに…。おい石頭、ある意味チャンスじゃないか?」
バルクホルン「チャンスだと?------------------全員急いでシールドを張れ!!来るぞ!!!!」
人型ネウロイが一気に距離を取るとウィッチを取り囲んでいた浮遊物体が集結。
空が歪んだ見えた瞬間にシールドに強い衝撃が伝わる。
少しでも遅れていたら死んでいた…あの威力なら骨すら残らなかっただろう。
エーリカ「間違いないねーあれ俺さんと全く一緒だ」
マルセイユ「せっかくあの人の動きをトレースした相手と戦えるんだ。ここらで借りを返したい。今じゃ『
アフリカの星』だとか『ウルトラエース』だとか言われてる私が一勝もできてない、わけにはいかないだろ。
なんてのは建前でただあの人の悔しがる顔を一度見てみたいと思ってね」
バルクホルン「相手はネウロイだ……が、その点では同意だ。あの頃に比べて私達は強くなった…それでも一人じゃ絶対に太刀打ちできない。力を貸せ、マルセイユ、ハルトマン」
ハルトマン「仕方無いなぁトゥルーデもハンナも」
マルセイユ「一時休戦だ、あくまで一時だから勘違いするなよ」
バルクホルン<こちらゲルトルート・バルクホルン。エーリカ・ハルトマン、ハンナ・ユースティア・マルセイユ両名と共に人型を討つ。あの厄介な遠隔兵器を引きつけておいて欲しい>ブチッ
マルセイユ「やけに強引だな、規律がー軍人ならーとうるさい奴が」
バルクホルン「ふんっ…いくぞ」
- 小型機は本体が引き受けてくれた。左右からの不意打ちを気にする必要はない…コアを狙うにしてもあのシールドが厄介だな。
バルクホルン「私とハルトマンで突破する!お前の偏差射撃ならいけるだろ!マルセイユ!!!」
マルセイユ「誰に言ってるんだ石頭!射撃で私の右にでる奴はいない!!」
よし…前面にシールドを押し出して強行する。力押ししかないというのが可愛げないと自分でも思うが…あいつは褒めてくれたし。
思わず笑ってしまった。見てる奴なんていな---------------
エーリカ「なーにニヤついてるのさトゥルーデ」ニヒヒ
バルクホルン「………なんでもない」
エーリカ「どうせ力押ししかできなーい、可愛くなーい、でも俺は褒めてくれたしーウフフとかそんな感じでしょ」
時々、ほんっと稀に、こいつが見せる洞察力…とかそんな話ではないが、もっと別の場所で使わないものだろうか。
『黒い悪魔』の由来も再確認してしまったかもしれない。
被弾はお構いなしにネウロイに接近、シールドを張ったまま人型ネウロイへと衝突したが案の定シールドによって均衡を保つ結果となってしまう。
だが………、
バルクホルン「わ…たし…を…な、めるなああああああああああああああ」
ありったけの魔法力をつぎ込んで私の固有魔法『怪力』を出す。両肩に装備していた銃の銃口をもち、銃そのものを魔法力で覆う。以前俺が教えてくれた力だ。
バルクホルン「くらええええええええええええええええええええええええええ」
おもいっきり相手のシールドに叩きつけると相手のシールドに亀裂が走った。
バルクホルン「今だ!ハルトマン!!!!!」
エーリカ「任せてー!シュトゥルム!!!」
私の後ろをついてきたハルトマンが固有魔法を発動させて亀裂の中央部に突撃、そのまま相手のシールドを----------------------打ち破れた!!!
バランスを崩したネウロイがそのまま後方へ飛ばされ、コアが無防備状態。
ダァンッ
私が合図しなくても彼女には見えていた。
マルセイユが放った弾丸は吸い込まれるように人型ネウロイのコアへと突き刺さると、人型ネウロイを構築していた漆黒の外装は白い破片と化していき、中から人間が現れる。
それは------------------------------------------------
バルクホルン「え………そん…な…お、…れ………?」
最終更新:2013年02月15日 13:29