俺「オレは何故まだ生きているんだ……」
奴に撃墜され、気が付けばオレはベットの上にいた。
身体に怪我が殆ど無かった。
本当にオレは撃墜されたのか?と疑問に思うほどに。
いや、あれは撃墜されたんじゃない。
だが、今となってはどちらでも大した違いはないな。
俺 (まさか夢か何かか?)
そう思い頬を思いっきりつねってみる。
俺「痛ぇ……」
俺 (……そもそも死んでいたとしたら夢何て見るわけが無いか……だとすれば、やはり現実)
周りを見渡すと医療品が入った棚や、ベットが何床か並んでいた。
俺 (ここはどうやら天幕の中のようだな……だとすれば野戦病院なのか?)
コツ コツ コツ
足音が聞こえてくる。
やがて足音が止み、入口が開かれる。
同時に強い日差しが俺の目を貫き、思わず顔を背ける。
???「あっ……目を覚ましたのね」
声のした方へ顔を向けると、一人の女性が立っていた。
彼女は茶色いショートヘアーにゴーグルをつけ、白いシャツの様なものに赤いスカート?を着ていた。
俺「君は?」
???「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったわね」
俺 (こんなに若い女性が少佐だと?)
俺 (それにアフリカ??なんて聞いた事がない…)
疑問は色々とあったが、黙っているのも悪いのでこちらも名乗る事にした。
俺「オレはエルジア空軍第156戦術戦闘航空団アクィラ隊 俺大尉だ。」
加東「エルジア…?」
そう言って首を傾げている。
やはり、あちらも疑問を持っている様だった。
その後、お互いの疑問点について話し合った結果、オレ達はある結論に辿りついた。
加東「おそらく、あなたはこの世界の人間ではないわ」
にわかには信じ難い事だったが、そうで無ければ説明がつかない事が多過ぎるので、信じざるをえなかった。
加東「そして、魔法力を持っている可能性が高い」
『魔法が存在する』何て事は『俺がこの世界の人間ではない』という事よりも理解に苦しんだが、どうやらオレは墜落時に魔法によって造られるシールドに守られていた可能性が高いらしい。
今痛みも無く自由に動かせる体が、何よりもそれを証明していた。
加東「魔法力を使える人間はとても貴重なのよ」
加東「だから、もし良かったら私達と一緒に戦って欲しいの」
加東「勿論、衣食住は心配しなくてもいいわ」
オレには断る理由が無い。
何よりも、オレにはまだ空でやり残したことがあった。
だから答える
俺「あぁ、構わない。」
俺「これから宜しく頼む」
そう言って右手を伸ばし、硬く握手をする。
加東「ようこそ。ストームウィッチーズへ」
こうしてオレの新たな戦いが始まった。
魔法力をテストするべく向かったハンガーまでの道のりで、ケイがこの世界について色々と教えてくれたので、俺はネウロイやストライカーユニット、それにパンツじゃ無いって事を大方理解する事が出来た。
ちなみにケイというのは彼女の愛称で『加東少佐は堅苦しいから止めて』という本人の希望でそう呼ぶ事になった。
ハンガーに入ると、数人の整備兵の視線がオレ達に集まる。
さっきのケイの話によると、男のウィッチというのは非常に珍しいらしく、オレは彼らの好奇の目に晒され続けた。
中には大掛かりな装置が何台かおかれていて、その一つの前でケイは止まった。
加東「これがあなたのストライカー」
加東「これはマルセイユが前に使ってた旧式のF型だけど、良い機体よ」
茶色を基調にし、ワンポイントに黄色が入ったストライカーが、そこにあった。
機体に書かれている番号は「14」
俺 (14?妙な機体番号だな……まぁ13なんて付けていたオレが言えた義理でもないが)
加東「さぁ俺、ストライカーに足をいれてみて」
促されるままにストライカーに足を入れると、身体中に何かが駆け巡るのを感じた。
それと同時に機体のエンジンが始動し轟音を響かせる。
俺 (懐かしい、昔乗ったプロペラ機の音の様な良い音だ)
懐かしい音を聞いていると、気持ちが高まってくる。
俺「なぁケイ、今から空に上がってもいいか?」
そう聞くとすぐに
加東「ダメに決まってるじゃない。今日は魔力テストをしに来ただけなんだから」
俺「そうはいっても身体が疼いてしょうがないんだよ」
加東「それに、まだあなたは飛行訓練もしていないでしょ?」
俺「大丈夫だ。オレはパイロットだぞ?飛ぶ事に関してはプロフェッショナルさ」
そんな理由にもならない理由を吐きながら、エンジンの回転数を上げる。
加東「パイロットって…戦闘機とストライカーじゃ全然違うじゃないない!!」
俺「よし、離陸する」
俺は聞こえないフリを決め込んだ。
エンジンの回転数が3000回転を超え徐々に機体が加速する。
加東「俺ーーー!待ちなさぁーーーーい!!!」
俺 (何か言ってるな。ま、いいか)
普段の冷静さは久々の高揚感で全て吹き飛んでしまっていた。
やがて機体が地上から離れてゆく。
俺 (さて、まず最高速がどの程度出るかだが……)
機体を限界まで加速させてみる。
俺 (計器が無いから詳しくはわからないな、だが…おそらく400ノットも出ていないじゃないか?)
俺 (風が心地いい……)
続いて上昇、降下しながらバレルロール、そしてループ
俺 (ほう……)
一通り戦闘機動を行う内に、この機体の性能が分かってきた。
俺 (速度はからっきしだが、低速域での旋回性能は目を見張るモノがある)
俺 (旋回性能だけでいえば、むしろ現代機よりも上かもしれん)
俺 (だが、その分身体にかかる負担も大きくなりそうだ)
そのうち、滑走路からケイがここまで上がってきた。
加東「まったく……無事だから良かったものの。いくらあなたがパイロットだからって、ストライカーでの飛行経験も無いのに、墜落でもしたらどうするのよ」
俺「けど、初飛行にしてはなかなか飛べていたとは思わないか?」
加東「俺を追うためにストライカーの準備をしてたんだから、見れるわけないじゃない」
俺「そうか……そいつは残念」
加東「さぁ、戻るわよ」
俺「なぁ、もう少しだけ飛ばせてくれないか?」
加東「駄目よ、あなたも一応治りたてなんだから。今日は安静にしていなさい」
俺「頼むよ、もう少しだけ」
加東「上・官・命・令よ」
俺「はぁ、了解…」
渋々そう答えるしかなかった。何せ上官命令だからな。
俺 (思えば上官に命令されたのなんていつ以来だろうか。)
俺 (我が部隊が出来てからはずっとオレが隊長だったからな…)
そんな下らない事を考えている内に、いつの間にか地上に戻って来ていた。
ハンガーに戻り、ストライカーから降りていると一人の少女がこちらにやってきた。
真っ白い肌にオレと同じ銀髪、それに帽子を深々と被り作業服を少女がこちらにやってきた。
俺 (この子もパン…いやズボンか、全くユニークな文化だ。正直、目のやり場に困るよ)
少し間が空いた後おどおどとした調子で喋り出した。
リトヤ「えっ…えっと…本日付けで整備班に配属されましたリトヤ・レイノネンと申します!!」
リトヤ「出身はスオムスで、年齢は13歳です!」
リトヤ「こっこれからは俺さんのストライカーユニットは、わっ私が担当いたしますので、よろしくお願いします!!」ペコリ
俺 (つまりこの子はオレ専属のメカニックという事なのか?)
リトヤと名乗った彼女は、まだ少し幼い顔付きをしている。本当にこの子に整備が出来るのか疑問だったが、10代の少女が空を飛んでいる世界だ、おそらく大丈夫なんだろう。
俺「よろしくな」
今日二度目の握手をする。
俺「オレはストライカーの事は全くだから全て君にお願いするよ」
リトヤ「大丈夫です!!俺さんの機体は私が責任を持って整備しますので!!」
俺「あぁ、よろしく頼む。じゃあオレはこれで…」
さて戻るか…と思った所で気付いた。
俺 (って…オレは一体何処に戻れば良いんだ?)
周りを見渡してもケイはいない。
そういえば、やらなきゃいけない仕事があるやら何やら言っていた事を思い出す。
結局いるのはこの子だけだった。
俺「なぁリトヤ、オレは一体何処に戻ればいいんだろうか?」
駄目もとで聞いてみる。
リトヤ「えっ!?…すみません…私にはちょっと…」
俺「だよな…困らせる様な事を言ってすまない。とりあえずケイを探してみるよ。今ならまだ近くにいるかもしれん」
リトヤ「あっ待ってください!!これを」
リトヤがオレに何かを渡してきたを
俺 「これは…ここの地図か?」
リトヤ「はい、この基地の地図です。私が着任時に貰ったモノですが、宜しければどうぞ」
俺「君も新人だろ?いいのか?」
リトヤ「はい!!自分の天幕までの道は、朝で覚えましたので」
俺「本・当・に大丈夫か?」
先ほどからの行動を見ていると、この子はドジっ子の気があるみたいなので、念のためにもう一度確認してみる。
リトヤ「大丈夫でふっ!!」
俺 (あっ噛んだ……)
そんなこんなで不安は拭えないままハンガーを後にする事となった。
外に出ると、再び強烈な日差しがオレを襲う。
俺 (暑い…まったく嫌になるな…)
先ほど貰った地図を見てみると、ケイの天幕までは割と遠いみたいだった。
俺「ついでに基地を散策して行くか」
俺「いろんな所を回ったものの天幕しか見当たらないぞ。折角地図をもらったんだが……まいったな…迷っちまったか」
俺 (何か目印になるモノは…ん?)
ブロロロロロロロロ
輸送機が向こうから基地上空に近づいてきていた。
数秒後、機体から何か落ちてくる。
俺「何だあれは」
俺「おいおい……こっちに落ちてくるぞ」
ピュ~
だんだんとその形が見えてきて…
俺「あれは……まさか人間か!?」
俺「まずいッ!!」
ダッ!!
無意識の内に足が動き出す。
俺 (確かシールドは衝撃を吸収出来るって言っていたな。ならっ!) ピコン
腕にシールドを展開する
ダッ ダッ ダッ ダッ
俺「くっ…届けッ!!」
最後の一歩でジャンプし、シールドで衝撃を和らげ、何とか空中で受け止める。
その後地面に着地し、受け身も何とか取ることができた。
俺「ふぅ…何とか間に合った………君、大丈夫か?」
抱きかかえた少女を見ると視線が衝突する。
整った顔立ちに透き通る様な肌。腰まで伸びた金色の髪。
そしてその美しい青い目に俺は思わず吸い込まれそうになった。
???「お前、なかなか良い目をしているじゃないか」
???「それにしても……ふっ」
???「この私を助けにくるなんて中々面白い奴だな」
彼女は急に笑い出す。
まさか助けた相手に笑われるとは思っていなかったオレは呆気に取られる。
???「悪いけど、私はサインはしない主義なんだ」
そう言って彼女はオレに不敵な笑みを向けた。
そう、これがオレとアイツの
初めての出会いだったんだ。
最終更新:2013年02月15日 13:47