【バルクホルンSide】

バルクホルン「・・・・・・っ!」

眼下に広がる光景は、脳裏に焼きついて離れない。
炎に包まれていく祖国、そしてそれを焼いた異形の敵・・・ネウロイ。

バルクホルン「っあああああああああああああああ!!」

怒りのままにネウロイへ銃を乱射する。
シールドで身を守りながらネウロイの走行を削り、そのコアを発見した。

バルクホルン「はぁああああああああああああああ!!」

そのまま銃弾をコアへと叩き込む。
コアを砕かれたネウロイは、その身を白い破片に変えて燃え盛る街へと堕ちていった。
しかし、その先には───。


バルクホルン「クリスッ!!」ガバッ

飛び起きて目に入ったのは燃え盛る街ではなく、自室の風景だった。

バルクホルン「・・・なんで今頃、あんな夢を・・・。」



【俺Side】

俺「・・・なんか目が覚めたな。」

とある日の朝・・・なぜか異様に早く目が覚めてしまった。

俺「二度寝・・・できる時間じゃないな。」

この前の買い物で買った時計を見る。
大体あと1時間くらいで起床のラッパがなるはずだ。

俺「んー、散歩でもするか。」

俺はベッドから這い出て軍服に着替えた。



坂本「ふっ!はぁっ!!」ブンッ

俺「坂本少佐?」

海岸沿いを散歩していたら素振りをしている坂本少佐を見つけた。

坂本「おお、俺か!こんな時間にどうしたんだ?」チャキン

俺「なんか目が覚めたんで散歩に・・・そっちは自主練ですか?」

坂本「ああ、最前線で生き残るには暇があれば訓練を重ねなくてはな。」

坂本「なんならお前も一緒にどうだ?」

俺「いや・・・朝弱いんで遠慮しておきます・・・。」

俺「けど、剣の稽古はしたいかな・・・近接戦闘は俺の固有魔法と相性が良いんで。」

坂本「ふむ、なら普段の訓練メニューの中で手ほどきしてやろう。」

俺「それはぜひおねがいします!」

坂本「うむ、やる気があって何よりだ!はっはっは!!」



【俺Side】

汗を流しに風呂へ向かった坂本少佐と別れて食堂へやってきた。

俺「おいすー。」

エーリカ「あ、俺おはよう~・・・ふぁあ~・・・」

俺「すごいあくびだな・・・。」

エーリカ「ほら・・・扶桑でも言うじゃん?春眠暁が何たら・・・。」

俺「いや、もうすぐ夏だぞ・・・。」

宮藤「あ、俺さん!おはようございます!」

俺「おう、朝食作りご苦労さん。」

カウンターを挟んで芳佳とリーネに話しかける。
いつもどおり二人は朝食作りに励んでいた。

リーネ「そうだ俺さん、知ってます?カウハバ基地が迷子の子供のために出動したんだそうですよ。」

宮藤「すごいですよね!たった一人のために動くなんて!」

俺「へぇ・・・そりゃ思い切ったことしたなぁ・・・。」

俺の知ってる映画の中とかの軍隊って絶対にそんなことしないよな・・・。
っていうか、迷子の捜索って警察の仕事じゃないのか?

宮藤「やっぱり、一人を助けられないとみんなを助けるなんて無理だよね!」

リーネ「そうだね。」

俺「・・・そうだな。」

みんなを守る、か・・・。
一応俺の目標のひとつではあるんだけど・・・。

バルクホルン「みんなを助ける・・・そんなものは夢物語だ。」

俺「うおっ!」

突然隣から声が発せられた。
その言葉はまるで俺の心の中で考えていたことへの答えのように聞こえた。

俺「バルクホルン大尉?」

バルクホルン「・・・すまん、独り言だ。」

俺「・・・?」



その後しばらくして、501メンバーが食堂へ集まってきた。
俺も食事を受け取り、適当な席へ向かった。

エーリカ「俺~、ここ空いてるよ~。」

俺「おう、サンキュ。」

エーリカに勧められた席に腰掛ける。
見渡してみるとサーニャとエイラの姿が見当たらない。
どうやら夜間哨戒明けでまだ眠っているようだ。

ミーナ「おはよう、元気が無いわねトゥルーデ。」

バルクホルン「・・・そんなことはない。」

俺「そういう割には手が止まってるな。」

エーリカ「そうだね~、食事だけはしっかりととるのにね~。」

バルクホルン「・・・・・・。」モグモグ

バルクホルン大尉は無言のままスプーンを動かし始めた。
その様子を見たエーリカとミーナ中佐は困ったような笑顔を浮かべていた。

ルッキーニ「おかわりー!!」

俺「早っ!」

宮藤「あ、はーい!」

宮藤がお代わりの入ったボウルを持って走ってきた。

バルクホルン「・・・・・・。」

宮藤「・・・?あの、お口に合いませんでしたか?」

バルクホルン「・・・・・。」ガタッ

宮藤「あ・・・。」

バルクホルン大尉は宮藤を一瞥するとトレーを持って席を立ってしまった。

俺「・・・なんだありゃ?」

正直バルクホルン大尉とはあまり交流は無いが、今日の態度はあからさまにおかしい。
なんとなくだが、いつもより思いつめているように見える。

エーリカ「・・・。」



宮藤「わぁ・・・すっごーい!」

リーネ「バルクホルン大尉とハルトマン中尉だね。」

俺は洗濯物を干す宮藤とリーネの後ろからバルクホルン大尉とエーリカの飛行訓練を見物していた。
いや、決してめんどくさいから二人の手伝いをしていないわけじゃないぞ?
坂本少佐に訓練を見るように言われてるんだ。

俺「すごいっちゃすごいけど・・・なんか違和感があるな。」

今まで何度かバルクホルン大尉の飛行は見たことがある。
しかし、今日はエーリカの飛行から若干遅れ気味だった。

坂本「乗れてないな・・・。」

ミーナ「ええ、遅れがちね。」

坂本「完璧主義のバルクホルンらしくないな・・・次のシフトははずしたほうが良いか?」

俺「エース不在の戦場か・・・ちょっときつくないですか?」

ミーナ「そうね・・・。」

坂本「俺も含めた新人たちが使えるようになってきたとはいえ・・・火力が足りなくなるな。」

俺「・・・精進します。」

そういえばバルクホルン大尉は出撃のときに銃を二本抱えてたっけ。
固有魔法の怪力のおかげだとか何とか。

坂本「うむ、期待しているぞ!はっはっは!」

ミーナ「それでトゥルーデのことだけど、何か気にかかってることがあるみたい・・・宮藤さんが来てから。」

俺「芳佳が・・・?」

坂本「ふむ・・・。」

坂本少佐が芳佳のほうを見る。

坂本「・・・組ませてみるか。」

ミーナ「そうだわ、話は変わるんだけど・・・俺さん。」

俺「・・・はい?」

ミーナ「3時になったらテラスに集合してね♪」

俺「・・・?」


サンジダゾー


俺「お茶会って・・・ホントにここは軍隊なのか・・・!?」

言われたとおりに3時にテラスにやってきた俺の目に映ったのは綺麗に並んだ紅茶とケーキだった。

サーニャ「あ、お兄様。こっちですよ。」

俺「あ、ああ・・・。」

サーニャに手招きされてテーブルに着く。
まさにヨーロッパのお茶会と言った感じだ。

エイラ「ぐぬぬ・・・なんで俺まで・・・サーニャトフタリッキリノハズダッタノニ・・・。」

めちゃくちゃエイラににらまれている。
俺ってエイラに嫌われるようなことしたっけ・・・?

俺(あー、そういえばしたな・・・風呂場で。)

・・・あのときのことは忘れよう。

ミーナ「作戦室からの報告では、あさってが出撃の予定です。なので、しっかりと英気を養ってくださいね。」

坂本「ああ、宮藤とリーネ、それから俺はこの後訓練だ。」

宮・リ「はいっ!」

俺「了解。」



俺「・・・なぁ、ちょっといいか?」

サーニャ「・・・?」モグモグ

エイラ「ナンダヨ。」

俺「バルクホルン大尉のことなんだけど・・・。」

サーニャ「大尉の・・・?」

俺「ああ、なんか悩みがあるっぽいんだけど・・・なんか心当たり無いか?」

エイラ「んなこと聞かれてもナー。」

サーニャ「大尉とはあまり話したことが無いので・・・。」

俺「そっか・・・。」

エイラ「っていうカ、ミーナ中佐とハルトマン中尉以外はそんなモンだと思うゾ。」

そういえばあの二人は普通に話しかけてた気がするな・・・。

サーニャ「あの三人はこの部隊に来る前からずっと一緒だったそうです。」

昔馴染みってヤツか・・・。
けど、ミーナ中佐もバルクホルン大尉の悩みについて理解してるわけじゃなさそうだったしなぁ・・・。
残るはエーリカか?

俺「うーん・・・お、このケーキうまいな。」モグモグ

サーニャ「あ・・・お兄様、クリームついてますよ。」フキフキ

エイラ「!?」

俺「あっと・・・悪い悪い。」

エイラ「・・・!・・・!」ペタペタ
エイラ「ほ、ホラ、サーニャ!私にもクリームついてるゾ!!」

俺「しょうがないヤツだな・・・ほら、こっちむけ。」フキフキ

エイラ「お、オマエじゃねェエエエエエエエエエエエエエエエ!!///」

俺「えぇっ!?」ガビーン



お茶会が終わり、午後の訓練も終わった後の食堂に全員が集められた。

俺「あ~・・・疲れた・・・。」

サーニャ「訓練お疲れ様です。」

エイラ「その位でへばるナンテだらしないゾ~。」

俺「あのなぁ・・・俺は宮藤たちと同じ訓練に加えて剣の稽古もあったんだぞ・・・疲れるに決まってるだろ。」

宮藤「俺さん、どうぞ」

俺「あー、サンキュ。」

宮藤がコップに飲み物を注いでくれた。
それを一気にあおって一息つくと、ミーナ中佐とバルクホルン大尉が話しているのが見えた。

ミーナ「今回はどうするの?」

バルクホルン「いつも通りにしておいてくれ。」

ミーナ「少しは手元に残しておかないと・・・。」

バルクホルン「衣食住全部出るんだ、必要ない。」

ミーナ「そう・・・。」

朝のような困った笑顔を浮かべながら、ミーナ中佐は離れていった。
そのまま茶封筒を持ってこっちへ向かってくる。

ミーナ「俺さん、お疲れのところ悪いけどちょっと良いかしら?」

俺「・・・?」

ミーナ「はい、どうぞ。」

俺はミーナ中佐からその茶封筒を渡された。

俺「これって・・・?」

ミーナ「お給料よ、半月分だけどね。」

俺「半月でこれだけ!?」

ぶっちゃけ、封筒の中に入っていたのは札束と言っても過言ではない。

俺「軍人ってこんなにもらえるんだな・・・。」

ミーナ「いつ死ぬかわからない最前線・・・だからお金には困らないように、と言う配慮よ。計画的に使ってね?」

俺「あー、そういえばここって最前線だった・・・。」

昼間のお茶会とかの風景を見ていると忘れそうになってしまうのは仕方ないよね?
というか、ミーナ中佐の最後の一言・・・アンタはお母さんか。

俺「そういえば、なんでバルクホルン大尉は給料受け取ってなかったんです?」

ミーナ「それは・・・えっと・・・。」

ミーナ中佐が明らかに言いよどんでいる。
やばい、触れちゃいけない話題だった?

俺「あーいや・・・無理に話さなくても大丈b

エーリカ「はいはーい、ちょっと俺を借りてきまーす。」ガシッ

俺「ちょっ。」

いつの間にやってきたのか、さっきまで給料袋の中身を数えていたエーリカがいた。
その両手は俺の腕をがっしりホールドしている。

サーニャ「は、ハルトマン中尉?」

エーリカ「ごめんねー、ちょっとお兄さん借りてくよ~。」

俺「ちょっ、まっ・・・離せ!」

エーリカ「まぁまぁ、こんな美少女が腕組んで歩いてあげてるんだから。」

俺「歩いてるんじゃなくて引っ張られてるんだ!!」

エーリカ「んじゃ、失礼しまーす!」

俺「はぁああああああああなぁあああああああせぇええええええええええええ!!」

その場にはポカンとしたメンバーが残された。



後日


坂本「よし!今日は編隊飛行の訓練を行う!わたしの二番機にリーネ、バルクホルンの二番機に宮藤だ!」

リーネ「はい!」

宮藤「えっ・・・。」チラッ

バルクホルン「・・・・・・。」

坂本「宮藤、返事はどうした!」

宮藤「は、はいっ!」

俺「あのー、俺は?」

存在を忘れられたかのごとく名前を呼ばれなかったので少々不安になった。

坂本「人数が足りないからな、俺はこの飛行が終わった後にリーネと交代だ。」

俺「了解。」

その後、4人が飛び立っていく。
その姿を見ながら、俺は昨夜のエーリカとの会話を思い出していた。



俺はエーリカに引っ張られて昼間お茶会をしたテラスまでつれて来られていた。

俺「何だよ急に・・・やっぱあの質問まずかったか?」

エーリカ「まぁ、正直みんなの前でする話じゃないからさ。」

エーリカ「カールスラント撤退戦って知ってる?」

俺「たしか・・・国民全員をブリタニアに避難させたやつだっけ。っていうか、話して良いのか?」

エーリカ「俺のこと信用してるし大丈夫。それで、私とトゥルーデとミーナもそれに参加してたんだ。」

俺「三人とも元はカールスラント軍の所属だったんだっけ。」

エーリカ「そのとき私たちは撤退支援のためにネウロイと戦ってたんだ。」

エーリカ「そのネウロイは撃墜したんだけど・・・。」

俺「けど?」

そこで、エーリカが少しだけ顔をしかめた。

エーリカ「撃墜したネウロイの破片が街に大量に落ちちゃってさ、破片が落下した先に一人逃げ遅れた人がいたんだ。」

エーリカ「それが、トゥルーデの妹のクリス。」

俺「なっ!?」

エーリカ「あ、クリスは生きてるよ?ずっと意識不明で入院生活だけど。給料は全部入院費用に回してるみたい。」

エーリカ「けど、トゥルーデは国と妹を守れなかったことを後悔してる・・・。」

俺「・・・それを俺に話してどうするんだよ。昔馴染みのお前らが話しても無駄だったんだろ?」

エーリカ「んー、なんとなくだけどさ。俺なら何とかしてくれそうな気がするんだよね~。」

俺「んな無責任な・・・。」

エーリカ「あはは!まぁ、頭の固いお姉ちゃんをなんとかしてやってよ、お兄ちゃん♪」




俺「なんとかしろって言われてもなぁ・・・っていうか、バルクホルン大尉に妹いたんだな。」

そんな感じで俺が物思いにふけっている時だった。

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

俺「なっ!警報!?」

基地にけたたましい音が鳴り響く。
あまり聞き慣れたくない、ネウロイの襲来を知らせる警報だった。

ミーナ「俺さん!」

俺「ミーナ中佐!」

ハンガーにミーナ中佐とペリーヌが走りこんできた。

ミーナ「すぐに出撃するわ、俺さんも準備を!」

俺「了解!」

武装ラックからMG42を引っ張り出す。

俺「せっかく剣の稽古してるんだし、そろそろ刀とかほしいなぁ・・・。」

ペリーヌ「俺さん!何をボーっとしてらっしゃるの!?」

俺「わ、悪い!」

ペリーヌにせかされて急いでストライカーを履く。

俺「・・・フォースウィング!」

俺が叫ぶと同時に背中から魔力の翼が現れた。

ミーナ「フォースウィング?」

俺「ああ、この翼の名前です。技名あったほうがイメージしやすいし、かっこいいでしょう?」

ペリーヌ(正直どうかと思いますけど、トネールと叫んでいる手前文句も言えませんわ・・・。)

ミーナ「あら、かっこいいと思うわよ?・・・それでは、出撃します!」


俺「了解!俺、行きますっ!」



飛び立って数分後に坂本少佐たちに追いついた。

坂本「最近やつらの出撃サイクルにぶれが大きいな。」

ミーナ「カールスラント領で動きがあったらしいけど・・・。」

バルクホルン「カールスラント!?」

坂本「どうした?」

バルクホルン「いや・・・なんでもない。」

俺「・・・・・・。」

坂本「よし、隊列変更だ!ペリーヌはバルクホルンの二番機、俺と宮藤は私とケッテを組め!」

俺「了解!」

ペリーヌ「また・・・!」ギロリ

宮藤「ふえっ!?」

宮藤にガンを飛ばすペリーヌに気づくことなく、坂本少佐は魔眼で索敵を開始する。
そしてネウロイの姿を正面に捉えた。

坂本「敵機発見!」

ミーナ「バルクホルン隊突入!」

バルクホルン「了解!」

ミーナ「少佐は援護に!」

坂本「了解だ!ついて来い俺!宮藤!」

俺「了解!」

宮藤「はいっ!!」

俺と宮藤も武器を構えて坂本少佐に追従する。

俺「はぁあああああああっ!!」ガガガガ

ネウロイに接近し弾を叩き込み、ヒットアンドアウェイの要領で敵から離れる。

俺「あまり削れて無いな・・・ん?」

状況を把握しようと周りを見回したときだった。

俺「なんだ・・・?バルクホルン大尉の動きがおかしい・・・?」

正直、素人目ではあるがバルクホルン大尉の動きは二番機であるペリーヌを完全に無視して一人で突っ込んでいるように見えた。
まるで、焦っているかのように見える。

坂本「どうした俺!」

俺「バルクホルン大尉の動きが・・・。」

坂本「何だと?・・・確かにおかしい、あいつはいつもなら必ず視界に二番機を入れている。」

と、バルクホルン大尉とペリーヌが削った部分にリーネのライフルが直撃した。
その一撃に怒ったのだろうか、ネウロイが大量のビームを発射する。

俺「くっ!!」

シールドを張ってビームをはじく。

坂本「近づきすぎだ!バルクホルン!!」

坂本少佐の言葉が聞こえたのかはわからない。
しかし、その後に起こった出来事は衝撃的だった。

まずはネウロイがビームを放った。
バルクホルン大尉はそれを何とかかわす。
ここでバルクホルン大尉がペリーヌの動きを把握していなかったのがあだとなった。
バルクホルン大尉のかわしたビームの先にはペリーヌがいたのだ。
なんとかシールドで防ぐことはできたが、その勢いを殺しきれず・・・。

ペリーヌ「きゃっ!」

バルクホルン「っあ!」

二人は激突してしまった。
そして、ネウロイの装甲が赤く輝く。
ビームを発射する前兆だ。

俺「・・・っ!!まずい!!」

俺はバルクホルン大尉の方へと飛ぶ。

俺「間に合えぇええええええええええ!!」

その叫びもむなしく、俺の手は届かなかった。

バルクホルン「ぐっ・・・ぁあっ!!」

ビームの直撃はシールドで防いでいた。
しかし、破壊された銃の破片がバルクホルン大尉の胸を貫いていた。

俺「くっ・・・そおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

フォースウィングにさらに魔力を込めて加速する。
このまま地面とこんにちはしたら、確実にケチャップだ。

ペリーヌ「大尉!!」

宮藤「バルクホルンさん!!」

ペリーヌと宮藤もバルクホルン大尉に向かって飛ぶ。
しかし、フォースウィングで加速している俺は一足早くバルクホルン大尉をキャッチした。

俺「・・・よし!」ガシッ

そのまま勢いを殺しつつ、森の中へと着地する。

宮藤「俺さん!」

ペリーヌ「大尉は!?」

俺「胸から出血してる・・・宮藤!診てくれ!!」

宮藤「はいっ!」

軍服の上着を敷き、バルクホルン大尉をその上に寝かせた。
宮藤は慣れた手つきで軍服の胸元を開ける。

ペリーヌ「わ、私のせいだ・・・私のせいで大尉が・・・。」

宮藤「出血が・・・このままじゃ動かせない、ここで治療しないと。」

ペリーヌ「お願い・・・大尉を助けて!」

宮藤は力強く頷き、治癒魔法を発動した。

宮藤「焦らない・・・ゆっくりと、集中して・・・。」

宮藤の手から青白い光があふれ出す。

俺「これが治癒魔法・・・っ!!」

俺はあわててシールドを張る。
ぎりぎりだったが、ネウロイのビームをはじく事ができた。

俺「くそっ!弱いところ突いてきやがって!!」

ペリーヌ「俺さん!私も・・・。」

俺は隣に立ってシールドを張ろうとしたペリーヌを制止した。

俺「お前は空に戻れ!!」

ペリーヌ「け、けど!!」

俺「いいか、今の戦場には三人しかいない。エースの大尉も落とされて戦力がガタ落ちしてる。」

俺「くやしいけど、今は俺よりお前のほうが強い。けどシールドなら俺は固有魔法である程度強化できる。」

ペリーヌ「けど・・・。」

俺「いいからさっさと行け!!このままじゃジリ貧なんだよ!!」

ペリーヌ「・・・っ!」

ペリーヌは銃を構えなおした。

ペリーヌ「大尉と宮藤さんを、お願いしますわ。」

俺「ああ、さっさと終わらせて俺に楽をさせてくれよ。」

ペリーヌ「ええ、期待してくださいな。」

そう言ってペリーヌは空へと戻っていった。

俺「行ったか・・・さて、ここからが正念場だぞ・・・。」

シールドにさらに魔力を送り込んで強度と大きさを強化する。
自分でもわかるほど体が悲鳴を上げていた。

俺「くそっ・・・大尉をキャッチするときに使いすぎたか・・・?」

だが、あきらめるわけには行かない。
俺の後ろには、二人の女の子が居るんだ。

俺「・・・っ!宮藤、できるだけ早く頼む!」

宮藤「はいっ!」

バルクホルン「・・・ぐっ!」

宮藤「バルクホルンさん!今、治しますから!」

ある程度治癒魔法の効果が出てきたのか、バルクホルン大尉が目を覚ました。

バルクホルン「っ・・・私に張り付いていては、お前たちも危険だ・・・私なんかにかまわず・・・その力を敵に使え。」

宮藤「嫌です!必ず助けます!仲間じゃないですか!!」

バルクホルン「敵を倒せ!私の命など・・・捨て駒で良いんだ。」

私なんかにかまうな?捨て駒でいい?

俺「・・・ふざけんなっ!!」

バルクホルン「・・・俺?」

俺「エーリカから聞いた、国を守れなかったことも、妹さんを傷つけてしまったことも!」

バルクホルン「ハルトマンめ・・・だが、知っているならわかるだろう。私にはお前たちを危険にさらしてまで生きる資格など・・・。」

俺「ふざけんな!!アンタはただ、生きることから逃げようとしてるだけだ!!」

バルクホルン「・・・・・・。」

俺の脳裏に浮かぶのは、妹と、サーニャの姿。
違う世界に来たことで、守ることすらできない俺の妹。
そしてサーニャを守るだけの力も・・・俺にはまだない。
だけど!

俺「アンタが生きれば、もっとたくさんの人を・・・アンタの大事な人を守れるだろ!!」

バルクホルン「・・・無理だ、私にはもう・・・たった一人さえ、守れない・・・。」

俺「違うっ!今のアンタは、守るものから目をそむけて見ない様にしているだけだ!」

俺「手を伸ばせば届くんだ!だったら目をそむけるな!!」

バルクホルン「俺・・・。」

しかし、そんな俺たちをあざ笑うかのようにネウロイの攻撃がさらに熾烈になった。

俺「ぐっ・・・!」

宮藤「俺さん!」

俺「お前は治療に集中しろ!」

宮藤「・・・っ!はい!!もう少し・・・もう少しで!」

バルクホルン「・・・もういい、私にかまわず行け・・・。」

宮藤「嫌ですっ!目の前で苦しんでる人を見捨てるなんてできません!」

バルクホルン「だが・・・このままでは・・・。」

俺「アンタは、俺が守る・・・。」

バルクホルン「俺・・・?」

俺「アンタも、宮藤も・・・他のみんなだって仲間だ・・・家族だ・・・だから俺が・・・っ!」

ネウロイが、三枚の翼の先端からビームを収束する。


俺「俺が、守るんだぁああああああああああああああ!!」


俺は、全ての魔力をシールドに注ぎ込んだ。
そしてネウロイの放ったビームがシールドに激突する。

俺「・・・っ、ぁあああああああああああああ!!」

シールドはさらにその大きさと強度を増し、ビームを防ぎきった。
だが。

俺(あ・・・れ・・・?やばい、意識が・・・。)

しかし、倒れそうになった俺を誰かが抱きとめた。

バルクホルン「すまない、俺・・・。」

俺「バルクホルン・・・?」

バルクホルン「ふっ、上官を呼び捨てか・・・あとで規律を叩き込む必要がありそうだな・・・だが。」

俺「・・・?」

バルクホルン「ありがとう・・・今度こそ、守ってみせる。」

宮藤「バルクホルンさん・・・。」

バルクホルン「すまなかった、宮藤、俺・・・すぐに終わらせてくる。」

そういうと、バルクホルンは飛び立っていった。
だが・・・。

俺「・・・悪い宮藤、あと・・・頼んだ。」バタッ

宮藤「俺さん!?」

もう俺の魔力も体力も空っぽだった。
薄れ行く意識の中、ネウロイが砕ける音が聞こえた。





俺「・・・ホントに俺は病室に縁があるな。」

目が覚めた俺はこの世界に来た初日とまったく同じ風景を眺めていた。

バルクホルン「あぁ、目が覚めたのか。」

俺「バルクホルン大尉・・・?」

バルクホルン「その、なんだ・・・今回は世話になったな。」

俺「あーっと・・・なんか色々とすいませんでした。」

バルクホルン「な、なぜお前が謝るんだ!?」

俺「いや、一応上官に向かって説教なんかしちゃったわけだし・・・。」

バルクホルン「・・・いや、むしろ感謝している。おかげで目が覚めた。」

俺「・・・そうですか。」

バルクホルン「そ、それとだな・・・。」

俺「・・・?」

大尉はなぜか目をそらして頬を掻いている。

バルクホルン「その・・・私のことは呼び捨てでかまわないし、敬語も要らない。」

俺「えっ・・・あの時は規律を叩き込むとか行ってませんでした?」

バルクホルン「い、いや・・・お前は命の恩人だし・・・同い年だし・・・友人に階級をつけて呼ぶのは・・・。」

俺「・・・友人?」

バルクホルン「い、いや!嫌なら別にいいんだ!」

俺「・・・ぷっ・・・ははは!それじゃあ改めてよろしくな・・・バルクホルン。」

バルクホルン「あ・・・あぁ!よろしく頼む。」

俺たちは握手を交わした。
思えばまともに会話をしたのはこれが始めてかもしれない。
それに、バルクホルンは意外と愉快なやつのようだ。

バルクホルン「それとな、今度休暇をとろうと思うんだ・・・妹の見舞いにいってくる。」

俺「・・・いいんじゃないか?妹さんも喜ぶだろ。」

バルクホルン「そうだ、私にあれだけ啖呵を切ったんだ・・・お前もちゃんと守り通せよ?」

俺「・・・?」

バルクホルンが指をさした先には・・・。

サーニャ「・・・スー・・・スー・・・。」

俺「サーニャ・・・。」

バルクホルン「基地に戻ってからずっと付きっ切りで看病していたんだぞ。」

俺「そっか・・・ありがとな、サーニャ。」

サーニャの柔らかい髪をなでる。

俺「守るさ・・・絶対に。」



翌日

エーリカ「おーれーっ!」

俺「うわっと!い、いきなり抱きつくな!!」

廊下で突然エーリカに抱きつかれた。

エーリカ「いや、お礼言っとこうと思ってさ。」

俺「お礼?」

エーリカ「うん、トゥルーデを助けてくれてありがとう!」

俺「いや、バルクホルンを助けたのは宮藤だし・・・お礼なら宮藤に言っておけよ。」

エーリカ「宮藤はトゥルーデの命を救ってくれたし、すっごい感謝してるよ!・・・けど俺だって、トゥルーデの心を救ってくれたよ!」

俺「あー・・・俺はただ言いたい事言っただけだって。」

エーリカ「解決したんだからいいんだよ!ホントにありがとう!」

っていうか、エーリカがここまで素直にお礼を言ってくるとちょっと照れるな・・・。

俺「・・・まぁ、どういたしまして。つーか、そろそろ離れろ!」

エーリカ「えー。」

俺「あー、もう・・・って、ペリーヌ?」

ふと視線を向けた先に、柱の陰に隠れてこちらの様子を伺っているペリーヌを見つけた。
俺と目が合ったことに気がつくと、こちらまで歩いてきた。

ペリーヌ「・・・ありがとう。」

俺「は?」

ペリーヌ「大尉を助けてくださってありがとう!それだけです!!」

ペリーヌは言いたいことだけ言って去ってしまった。

俺「・・・感謝された・・・のか?」

エーリカ「そうなんじゃない?」

俺「つーかいつまでくっついてんだ!!離れろ!!」

エーリカ「まぁまぁ、そう言わずに~♪」



サーニャ「あっ・・・お兄様、体の具合は・・・も・・・う・・・。」

バルクホルン「ん?こんなところにいたのか、探したぞ・・・お・・・れ・・・?」

宮藤「あ!俺さん!!・・・!?」

リーネ「もう大丈夫・・・!?」


図でわかる今の俺の状況

 宮    俺エ        バ
 リ     ↑抱きついてる   サ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

俺(く、空気が重いっ!!)

サーニャ「・・・・・・。」←状況が飲み込めない

バルクホルン「なっ!ハッ、ハルトマン!!何をやっている!?」

エーリカ「俺に抱きついてる~。」

俺「お前はさっさと離れろ!」

宮藤「えっ!ええっ!?エーリカさんと俺さんってそういう!?」

俺「ちがう!」

リーネ「え、えっと・・・廊下の真ん中でそういうのはいけないと・・・。///」

俺「おまえは なにを いっているんだ」

エーリカ「・・・・・・!」ピコーン

あ、こいつ何かろくでもない事思いついたぞ?

エーリカ「そうだ!まだお礼をあげてなかったよね?」

俺「いや、そんなのいいからさっさと離れてくれ、これ以上ややこしくなる前に!」

エーリカ「まぁまぁ、そういわずに受け取っておきなよ♪・・・チュッ」

俺「!?///」

バルクホルン「なっ!なななななななななな!!///」

宮藤「うわぁ~。///」

リーネ「えっ・・・えぇええ!?///」

サーニャ「・・・・・・。」←言葉にできない

エーリカ「えっへへ、じゃあまたね~。///」

場を引っ掻き回してエーリカは走り去っていった。

俺「なっ・・・何なんだあいつはぁああああああああああああああ!!」


その後、宮藤・リーネ・バルクホルンに質問攻めされた。
だが、何よりもこたえたのがサーニャの機嫌がすこぶる悪くなってしまったことだ。

なぜ・・・!?
最終更新:2013年03月30日 00:51