【宮藤Side】
宮藤「月が綺麗ですね・・・かぁ・・・。」
前に学校の授業で国語の先生が豆知識として教えてくれたことがあった。
夏目漱石が自分の教え子に「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳させたという話だったはずだ。
宮藤「サーニャちゃんは俺さんのことが好きで・・・でも二人は兄妹で・・・でも血が繋がってなくて・・・。」
けど、当の俺さん本人はその意味に気がついていないみたいだったし・・・。
いろいろなことを考えてるうちに頭が混乱してきた。
宮藤「う~ん・・・あ、リーネちゃん!」
リーネ「あ、芳佳ちゃん。俺さんがどこにいるか知らない?」
宮藤「えっ!お、俺さん!?」
ちょうど悩んでいた相手の名前が出てきたので少し驚いてしまった。
リーネ「うん、坂本少佐から伝言を預かってて・・・。」
宮藤「伝言?」
リーネ「しばらくは俺さんも夜間哨戒任務に就くように───だって。」
宮藤「そっかぁ・・・あ、リーネちゃん『月が綺麗ですね』って言葉の意味知ってる?」
リーネ「えっと・・・たしか『あなたを愛しています』って言う意味だったかな?それがどうかしたの?」
宮藤「え・・・っと。」
リーネちゃんに昨日のサーニャちゃんと俺さんの出来事を伝えていいのか悩む。
あんまり言いふらすことでもないし・・・。
リーネ「あ・・・もしかして誰かにそうやって言われたの?」
宮藤「ち、ちがうよ!私にそんな相手いないもん!!」
リーネ「そうだよね、基本ウチの部隊で関わりがある男の人って俺さんぐらいだもん。」
たしかに、ウチの部隊には男の整備兵の人がたくさん居るがあまり話した記憶がない。
やっぱり一番関わりがある男の人は俺さんで、私にとっては頼りになる近所のお兄さんって感じだ。
そこで、一つ疑問が浮かんだ。
宮藤「ねぇ、リーネちゃんは俺さんのことどう思う?」
リーネ「へっ?ど、どうしたのいきなり!?///」
宮藤「ちょっと気になっちゃって。私は頼りになるお兄さんって感じかなぁ・・・。」
リーネ「私は・・・強くて、かっこよくて・・・いつも助けてくれる王子様・・・かな?///」
そういってリーネちゃんは微笑んだ。
その表情をつい昨日見た覚えがある。
宮藤(あのときのサーニャちゃんと同じ表情・・・もしかしてリーネちゃんも!?)
リーネ「そ、そろそろ行くね!また後でね!!///」
宮藤「う、うん!!」
リーネちゃんは走っていってしまった。
宮藤「サーニャちゃんは俺さんが好きで、リーネちゃんももしかしたら・・・う~~。」
混乱していた頭がさらに混乱する結果になりました。
【エイラSide】
エイラ「ふぁあああ・・・今日はいい夢を見れたんダナ・・・フヘヘヘ。」
昨日はサーニャと、ついでにミヤフジの誕生日だった。
誕生日パーティーは楽しかったし俺が作ったケーキも(くやしいけど)うまかった。
その上サーニャとイチャイチャする夢も見れたし・・・。
エイラ「今日はいい事ありそうなんダナ、うん。」
そんなことを考えながら食堂に入った。
エイラ「あ・・・サーニャ!」
サーニャ「あ・・・エイラ。」
今日見た夢に出てきたサーニャと寸分たがわぬ姿にテンションがあがる。
しかし・・・。
俺「お、エイラか。」
エイラ「・・・・・・。」
コイツが居たせいでせいでテンションが下がった。
俺「おい・・・人の顔見て露骨にいやな顔するなよ。」
エイラ「悪かったナ。」
俺「謝る気かけらもないだろ!?」
エイラ「ふん!」
サーニャ「もう・・・エイラ?」
エイラ「・・・悪かったヨ。」
俺「サーニャの言うことは聞くんだな・・・。」
よくよく考えてみるとコイツが来てからサーニャと二人で過ごす時間がめっきり減ってしまった。
しかも最近ワタシとの会話でサーニャが話すのはコイツのことばかりだ。
悪いヤツではないのは分かっているが気に食わない。
エイラ「・・・トコロデ、何食べてるんダ?」
俺「クッキー。」
エイラ「見れば分かるヨ、誰が作ったんダ?」
さっきから俺がうまそうなクッキーを食べている。
プレーンなものからチョコチップにアイスボックスなどさまざまだ。
サーニャ「私が作ったのをお兄様に味見してもらってたの。」
エイラ「サーニャが作ったのカ!」
俺「おう、かなりうまいぞコレ。」モグモグ
エイラ「当たり前ダロ!サーニャの作ったものがマズイわけがない!」ドヤ
俺「何でお前がドヤ顔してんの?」
サーニャ「もう・・・エイラったら。」
エイラ「そんな事よりワタシの分は!?」
サーニャ「みんなの分がちゃんとあるから安心して・・・っ。」
サーニャの手作りクッキーが食べれると思うとまたテンションがあがってきた。
エイラ「よし!じゃあみんなを呼んデ・・・。」
俺「・・・サーニャ、ちょっとこっち向け。」グイッ
サーニャ「へっ・・・ぁ・・・///」ピトッ
エイラ「ナッ!!」
こともあろうか俺が突然サーニャのおでこに自分のおでこをくっつけた。
エイラ「なっ、ナニしてるんダヨ!!」
俺「熱は・・・ちょっとあるな。」
エイラ「え・・・サーニャ熱があるのカ!?」
俺「エイラ、みんなを呼ぶついでに医務室に連絡入れといてくれ。」
サーニャ「そんな・・・大丈夫です、そこまで体調が悪いわけじゃないし・・・。」
俺「いや、夜間哨戒なんてハードな任務してるんだ。万全にするに越したことはないって。」
エイラ「そうだぞサーニャ!ワタシすぐに医務室行ってくる!」
俺「頼んだ。」
医務室に向かってから思ったんだけど。
俺を医務室に向かわせてワタシがサーニャを連れて行ったほうが私得だったんじゃなかろうか?
【俺Side】
俺「というわけです。」
あれから夜になった。
サーニャの熱が上がってきたため宮藤とエイラと一緒にミーナ中佐と坂本少佐にその報告をしている。
坂本「そうか、なら今日の夜間哨戒はサーニャ抜きでか・・・。」
ミーナ「そうね・・・サーニャさんに比べれば索敵能力は低いけど私が代わりに出たほうがいいかしら?」
坂本「ミーナはこれから本国への報告があるだろう?私が出よう。」
ミーナ「美緒は今度来る戦艦の受け入れ準備があるでしょう?」
坂本「む~・・・どうしたものか。」
ミーナ中佐と坂本少佐がそろって首をひねる。
ウチの部隊である程度の索敵能力を持つのは
ナイトウィッチであるサーニャ。
それと空間把握ができるミーナ中佐と魔眼を持つ坂本少佐くらいだ。
3人のうちの2人が部隊の責任者というのは人手不足を痛感させる。
明らかに経歴の怪しい俺を部隊に引き入れたのも納得だ。
サーニャ「・・・大丈夫です、私が行きます。」ハァハァ
俺「サーニャ!?」
エイラ「ナンデ来たんだヨ!」
宮藤「ダメだよサーニャちゃん!ちゃんと寝てないと!」
俺はあわててサーニャに駆け寄った。
ふらついているサーニャを抱き上げてソファーに寝かせる。
サーニャ「だって・・・お兄様たちに迷惑かけたくないです・・・。」ハァハァ
坂本「そう思うのなら一刻も早く病気を治すことに専念しろ。今の状態で出撃しても逆に迷惑をかけることになるぞ。」
サーニャ「・・・・・・。」
エイラ「そ、ソンナ言い方しなくても・・・。」
俺「いや、少佐の言うとおりだ。今はゆっくり休め。」ナデナデ
サーニャ「・・・すいません。」
ミーナ「仕方ないわ、今日のところは俺さんとエイラさんで出撃して。」
エイラ「えっ、俺とワタシだけでカ!?」
宮藤「わ、私も行きます!」
坂本「宮藤は昼間の訓練の疲れがたまっているだろう?二人に任せておけ。」
宮藤「はい・・・。」
芳佳はしぶしぶといった感じで頷いた。
俺「じゃあ、俺はサーニャを部屋に運んできますね・・・よっこいせっと。」
俺はソファーに横たわるサーニャをお姫様抱っこで抱き上げた。
サーニャ「すみません・・・。」ギュッ
ミーナ「分かったわ、エイラさんは準備をお願いね。」
エイラ「ちょ、ちょっと待っタ!サーニャは私が運ぶ!」
俺「は?いや、別に交代する必要ないだろ?」
宮藤「そうですよ、サーニャちゃん病人なんだし・・・それにサーニャちゃんも俺さんのほうが・・・。」
エイラ「お、俺のほうがってどういう意味ダヨ!」
宮藤「え!?ええっと・・・。」
宮藤にエイラが詰め寄った。
その表情はひどく険しい。
ミーナ「もう・・・兄妹のほうが気兼ねする必要がないということでしょう?」
エイラ「う・・・け、ケド俺は男ダシ・・・。」
ミーナ「それこそ気にする必要はないでしょう?二人は兄妹なのだし。」
サーニャ「・・・・・・っ!」
エイラ「だ、ダケド血は繋がってないし・・・。」
なおも食い下がろうとするエイラに坂本少佐が割って入った。
坂本「いい加減にしろエイラ!ここで言い争ったところでサーニャに負担がかかるだけだとなぜ分からん!?」
エイラ「・・・・・・。」
坂本「・・・俺、早くサーニャを運んでやれ。」
俺「あ・・・はい・・・。」
サーニャ「・・・エイラ・・・。」
俺はサーニャの病状が悪化しないように。
そしてこの空気からいち早く脱出するためにサーニャを抱えて医務室へと走った。
俺(俺ですがハンガーの空気が最悪です。)
言わずもがな、エイラのせいである。
真っ黒なオーラを漂わせて淡々と準備を進めている。
整備兵たちも顔を引きつかせて近寄ろうとしない。
整備兵1「お、俺軍曹・・・ユーティライネン少尉は一体・・・。」
俺「触らぬエイラにゲンコツ無しだ・・・今は無理に近づかないほうが良いかもな・・・。」
整備兵2「ですが・・・俺軍曹はこれから少尉と夜間哨戒なのでは・・・?」
俺「ははは・・・行ってくる・・・。」
整備兵1「俺軍曹に・・・敬礼っ!」ビシッ
俺「え、エイラ・・・?」
エイラ「ナンダヨ、ワタシはもう準備できてるゾ。」
俺「あ、ああ・・・俺もすぐに準備する。」
エイラ「早くしろヨ。」
顔こぇええええええええええええ!!
サーニャのクッキーを前にしていたときの花のような笑顔が嘘のようだ。
俺「お、お待たせ・・・。」
エイラ「・・・行くゾ。」
それだけ言うとエイラは飛び立った。
俺もあわてて後を追う。
俺「ちょ、ちょっと待てよ!ちゃんと一緒に行動しないと・・・。」
エイラ「・・・・・・。」
俺「おい・・・エイラ!」
エイラ「・・・・・・。」
俺「・・・・・・。」イラッ☆
無視ですかだんまりですかそうですか。
俺「おい・・・何怒ってるんだよ!」
エイラ「別に怒ってなんかネーヨ。」
俺「だったら何なんだよ、さっきのミーティングの時だって・・・。」
俺がそこまで言うとエイラは急にこちらに振り向いた。
エイラ「オマエこそ何なんダヨ!!」
俺「なっ!」
エイラ「急に現れテ!サーニャと仲良くして・・・。」ジワ
俺「お、おい・・・。」
エイラの瞳に涙が溜まりだしたのを見て俺は戸惑った。
エイラ「お前が来てからサーニャはいつもオマエの話ばっかりダ!」
エイラ「・・・ワタシと居るときより、オマエと居るときのほうがサーニャは笑ってるんダ!・・・その上・・・っ!」
俺「え、エイラ・・・?」
エイラ「ワタシは・・・ワタシは・・・っ!」
【エイラSide】
私は坂本少佐のお説教が終わった後、ハンガーに行く前に医務室へ来ていた。
エイラ「サーニャ・・・?」
サーニャ「あ・・・エイラ・・・?」
エイラ「その・・・さっきはゴメンナ・・・?サーニャに負担かけるようなことシテ・・・。」
サーニャ「大丈夫よ、気にしないで。」ニコッ
サーニャは笑っているが、無理をしているのが痛いほど伝わってくる。
エイラ「うん・・・それじゃあワタシはハンガーに行くカラ・・・。」
そう言って病室を出ようとしたときだった。
サーニャ「あ・・・まってエイラ・・・。」
エイラ「な、ナンダ?」
サーニャ「少し話があるの・・・。」
エイラ「話・・・?」
サーニャは何か思いつめたような顔をしている。
何かあったのだろうか?
しかし、サーニャはなかなか口を開かない。
サーニャ「・・・・・・。」
しばらくの沈黙の後ようやく決心したのか、サーニャは口を開いた。
サーニャ「エイラは・・・好きな人っている?」
エイラ「エエッ!?///」
サーニャの突然の質問の戸惑う。
だって、私の好きな人は目の前に居るんだから。
エイラ「わ、ワタシは・・・。///」
サーニャ「あのね・・・実は・・・私・・・。」
エイラ「!!」
二人っきり、少し赤くなったサーニャの頬。
この状況ならば期待してしまう。
サーニャが後につむぐ言葉が私への・・・。
サーニャ「私・・・お兄様のことが・・・好きなの・・・。」
世界の時間が止まった気がした。
【俺Side】
俺「エイラ・・・?」
エイラ「グスッ・・・ヒック・・・。」
エイラはとうとう泣き出してしまった。
状況が分からない俺はただ流されるままだ。
俺「エイラ・・・一体どうし『俺!エイラ!聞こえるか!?』・・・坂本少佐!?」
突然入った通信に驚く。
坂本『観測所から連絡があった!お前たちが飛んでいる空域から東に3000の地点でネウロイの反応があったらしい!』
エイラ「ね、ネウロイ・・・?」グスッ
坂本『現在お前たちのほうへ向かってきている!急いで迎撃体制に入れ!私たちもすぐに行く!!』
俺「・・・了解!」ガチャ
俺は銃を構えた。
俺「・・・エイラは撤退しろ。」
エイラ「え・・・。」
俺「今のお前じゃまともに戦えないだろ。」
エイラ「ナッ・・・そんな事ナイ!!」
俺「そんなに目を泣き腫らしてなに言ってるんだ、ただでさえ夜で視界が悪いんだ・・・おとなしく戻れ。」
エイラ「馬鹿にスンナ!私だってエースナンダ!!」ガチャ
エイラが銃を構えて俺の前に躍り出た。
俺「おい!・・・っ!!」
エイラ「うわっ!」
俺はエイラの首根っこを掴んで引き寄せ残った腕でシールドを張った。
シールドに2発のビームが直撃する。
俺「くっ・・・。」
エイラ「だっ・・・大丈夫カ!?」
俺「ほら見ろ!固有魔法使う余裕も無いじゃないか!」
エイラ「っ・・・。」
エイラは未来予知の固有魔法によって被弾数0のトップエースだ(と聞いた)。
それが今のビームを予知する余裕が無いということ・・・。
この状態で戦えば待っているのは撃墜・・・死だ。
俺「とにかく今は時間稼ぎだ・・・守りに徹して少佐たちが来るのを待って・・・。」
エイラ「・・・!!」
俺「エイラ・・・?」
エイラはビームが飛んできた方向を見て目を見開いていた。
俺もその方向へ眼を向ける。
俺「おい、一体何が・・・!?」
そこにはネウロイと思われるものが居た。
黒と赤のボディカラーは間違いなくネウロイのものだ。
しかしその形状は・・・。
エイラ「人型のネウロイ・・・?それに・・・。」
そして何よりも特徴的なのは、その背中から生えている翼のようなパーツとそこから噴出されている赤い霧のようなもの。
その姿はまるで・・・。
俺「俺と・・・同じ・・・?」
【サーニャSide】
ヴィィィン
サーニャ「はぁ・・・はぁ・・・。」
魔道針がかつて無いほど強い反応を示している。
その色は普段ネウロイを察知した時のような赤ではなく、乾ききった血のようなどす黒い赤。
サーニャ「伝えないと・・・早く・・・っ!」
ふらつきながら通信室へと向かう。
今にも遠のきそうな意識を強い意志で何とか保ち続ける。
この反応の相手と戦ったら・・・。
サーニャ「お願い、逃げて・・・お兄様・・・エイラっ。」
最終更新:2013年03月30日 00:53