ウウウウウウウゥゥゥゥゥーーーーー
ガリア中部ディジョン基地に、敵の襲来を告げるサイレンが鳴り響いた
私「……!!!」
新任早々彼女達と合間見えることになるとはな……これも私の運命と言うヤツか!
マリアン「大尉!!ネウロイです!!」
私「わかっている!……マリアン!ハンガーに急ぐぞ!着いて来い!」
マリアン「はっ!」
私はそう叫ぶと、ハンガーの方へと駆ける
待っていろ!怪異共!!
……
…………
………………
私「私、マリアン・E・カール両大尉!到着しました!」
ハンガー内には既に全員が揃っていた
見事な対応だ、流石は統合戦闘航空団と言ったところか
ジーナ「全員揃ったみたいね……観測班によると敵はポイントB-34に出現」
ジーナ「戦力は大型爆撃型1、小型多数。従来と同じ編隊です……が、大型爆撃型は先日のロマーニャ上空に出現した新型機と確認されています。くれぐれも注意するように」
新型機だと!?……フフフ、益々面白くなって来た!
ジーナ「私は指令としてここに残ります、迎撃は私大尉、マリアン大尉、ジェニファー大尉、カーラ中尉がシュヴァルム(四機編隊)で当たって下さい」
ジーナ「私大尉、隊長として編隊の指揮をお願いします」
私「はっ!」
ジーナ「それでは……作戦開始!!」
「「「「了解!!!!」」」」
一糸乱れぬ見事な敬礼が行われ、各員がそれぞれの相棒―戦闘飛行脚―の元へと駆けてゆく
私「とうっ!」
私も迅速な行動で発進ユニットに登り、待ち構えている二つの空洞へと両足を突っ込んだ!
フォォォォン!
身体中を駆け巡る魔力の奔流と共に、 私の頭頂部から、ブラックデニムから使い魔の耳と尾が生える
私「……ぬぅ」
やはりどうにも、慣れない感覚だ
頭と尻のモサモサしたモノ―私の使い魔たるオオワシの羽と尾―も、何処か滑稽で恥ずかしくなる――が文句は言えまい!
ガシャコン!
魔力を感知した発進ユニットが、その横に取り付けられていたボックスから私のもう一人の相棒――ブローニングM1919 A6重機関銃が飛び出し、私は流れる様な作業でソレを装備した
私「……よし!」
バォンッ!……バババババババババババババ……!!!!
足元へと意識を集中させ、ユニット内の魔道エンジンを起動、それに合わせてプロペラが展開、高速回転を開始する
これで――――準備は整った!!!
私「グラマンF6F!私大尉!……出るぞ!」
ガッ……バシュゥゥゥッ!!!
発進ユニットの推進力によって加速――そして、私は空へと舞った
オオオオオオオオ
私「………………」
……やはり、空はいい
私と言うちっぽけな存在を包み込む様な広大さ
私の心を見透かすかの様な青空
私の体躯を吹き抜ける風
なんと偉大なのだろうか……
どれだけ空を飛ぼうとも、この快感は薄れたりはしない
くるっ、と後ろを振り返り、少し遅れて飛んできた三名がこちらへと近づいて来るのを確認した
カーラ「まるで少年の様な顔付きですなぁ大尉殿?」
すいっ、と私の左斜め下へと飛んで来たカーラ中尉
私「当然だカーラ。偉大な空の前では皆少年の心に戻るのだよ」
カーラ「少年?くすくす……30過ぎの貴方が少年とは、なんとも笑える話ですな」
私「はっはっはっ!年齢など関係あるまい!空はいつもそこにあるのだからな!」
そう、関係ないのだ!
――――ああ、言い忘れていたが、私の年齢は33
所謂おっさんと言うヤツだが、まだまだ心は少年のままだ!
魔女は20歳から魔力減衰が始まると言うが、男性たる私の場合は別らしい。なんとも奇妙な話だ
それとどうやら私は実年齢より若く見えるらしく、しょっちゅう驚かれる
……そうこうしている内に、マリアン、ジェニファー両大尉が飛んで来た
これで、フィンガーチップ編隊の完成である!
カーラ「……残念だったなマリアン大尉、せっかくのチャンスが邪魔されて」
マリアン「なっ!?」
くつくつと含み笑いをして、カーラが私の右斜め下を飛ぶマリアンに向けて喋る
……マリアンは変な声を上げて、動揺した
私「チャンス?それは一体……」
マリアン「ななななんでもありませんッ!!」
なんのことだ?と私が尋ねようとしたが、それはマリアンの声で塞がれてしまった
なんでもあるだろう、と私は再び思ったが、やはりその言葉はそっと心の中に留めておく
私「…………」
しかしチャンス、か
うーむ……
!!
私「……ああ、成る程!」
マリアン「た、大尉?」
成る程……私は理解したぞ!
カールの言わんとすることが!
私「マリアン……もしや君は……」
マリアン「!!」
急に顔を赤らめるマリアン
……どうやら彼女も私が言おうとしているることに気づいた様だ
マリアン「た、大尉殿!あ、あのですね!」
私「ああ、マリアン。皆まで言うな、私も君の意思はこの通りしっかりとわかっている!」
マリアン「~~~っ!?!?!?」
カーラ(おーおー、頭から湯気出してら)
マリアンは声にならない叫びを上げ、それを見ていたカールはひゅうと口笛を吹いた
私「そう、マリアン君は――――」
私「――――戦闘隊長をやりたいんだろう?」
マリアン・カーラ「「…………はい?」」
そう、戦闘隊長だ
この部隊の隊長のジーナ・プレディ少佐は怪我の療養も兼ねてこの部隊の隊長になったらしく、代わりに戦闘時の隊の指揮はもっぱらマリアンが行っていたらしい
……が、私がこの部隊に配属され、副隊長と戦闘隊長をマリアンに変わり任されることとなったのだ
彼女からはそのことを気にしていないとは言われたものの、やはり口惜しいのだろう
……当然だ!
編隊の隊長――即ち花形中の花形!
つまり自らが華々しく咲く『チャンス』と言うヤツがさらにあると言うこと!
彼女も航空魔女としての性があるのだ!
ここは戦闘隊長を彼女に任せて、私は彼女の引き立て役を喜んで演じるとしよ――――――む、どうしたのだマリアン、そのように妙な目で私を見て?
マリアン「ち、違うんですっ!!」
私「何?……君は戦闘隊長をやりたいんじゃないのか?その方が活躍のチャンスがあるだろう?」
マリアン「だから違いますっ!!」
私「そ、そうか」
思わず、彼女のただならぬ気迫にたじろいでしまう
マリアン「そうです!」
私「……どうやら私は勘違いをしていた様だ、済まない」
私は素直に自らの非礼を詫びた――――カーラよ、そんなに腹を抱えて一体如何したのだ
む……待てよ?
私「ならば一体、何がチャンスなのだ?」
マリアン「うぐ!……そ、それは……」
私「それは?」
マリアン「……ひ、秘密です!!」
……秘密、か
ならば仕方あるまい、乙女には秘密の一つや二つ――――
カーラ「大尉殿、乙女には秘密の一つや二つ、付きものですよ?」
……カーラ、私の台詞を言わないでくれたまえ
私「無論、私もそれぐらい分かっている!」
カーラ「おや、これは失礼」
私「全く……」
カーラ(……ここでマリアンも、『大尉に基地を案内して、二人っきりになるチャンスです!』とでも言えばいいものの……まだまだだな)
私「?何か言ったか?」
カーラ「いえ、何も」
私「そうか」
ジェニファー「……三人共、くっちゃべってないで早く行きましょう」
マリアンの横、編隊の右端を飛ぶジェニファーが呆れた声で言う
カーラ「ん?……ああ、居たのかジェニファー」
ジェニファー「ずっと居ましたよッ!!!」
カーラ「ああもう、そうカッカカッカするな。冗談だよ冗談」
ジェニファー「あなたの冗談はいつも笑えません……」
カーラ「はははっ、褒め言葉として受け取っておくよ」
ジェニファー「褒めてません!」
私「こら、カーラ……私の可愛い可愛いジェニファーをあまりからかってくれるなよ?」
ジェニファー「か、可愛っ!?」ボンッ!
急激に顔を真っ赤にするジェニファー
カーラ「これは失敬失敬……ですが、からかっているのは大尉殿も同じ事でしょう?」
私「おや、バレたか」
ジェニファー「おや、バレたか……じゃないですよっ!!!!!」
私「はっはっはっ、いやなに、君は昔からからかい甲斐があるからな、私も少々意地悪になってしまう様だ」
ジェニファー「うううっ……」
マリアン(可愛い、か……羨ましいなぁ、ジェニファー……)
カーラ「……それにしても」
私「?……何かな?」
カーラ「いえ、改めてそのお腰に差されたモノが立派だな、と思いまして」
腰に差された?……ああ、成る程
私「当然だ。此れは私の魂そのものなのだからな」
私は腰に差していたソレ―我が魂たる扶桑刀―を抜く
キラリ、と漆色の鞘が日光を反射し、荘厳な輝きを見せる……うむ、実に美しい
カーラ「私は扶桑刀についてあまり詳しくはありませんが……かなりの業物とお見受けしました」
マリアン「銘はあるのですか?」
私「ああ、勿論だ」
ジェニファー「扶桑の刀で有名どころと言うと……ムラマサやアマノムラクモなどでしょうか?」
それは妖刀と伝説の物だぞ、ジェニファーよ……まあいい
私「ならばとくと聞くがいい!」
私「我が師範より受け賜りし扶桑刀、その銘を――――」
私「『会津兼定』!!!」
ジェニファー「会津……」
カーラ「兼定……?」
マリアン「兼定……ひょっとして、和泉守で有名なあの?」
私「ああそうだ――と、言いたいが実は違う」
私「君の言う和泉守兼定は最上大業物――そして、私のこの兼定は良業物だ」
カーラ「つまり、そこまで凄い物では無い、と?」
私「そんな訳がなかろう!」
私「確かにかの和泉守に名は劣るが、この会津兼定とてれっきとした業物なのだ」
カーラ「それは……失言でした」
私「別に気にせんでもよい」
私「で、話は戻るがこの兼定。かつて扶桑の京にはびこる怪異の尽くを切り伏せたと言う逸話がある」
ジェニファー「!!!……やはり扶桑も古より怪異が?」
私「ああ、その通りだ」
……いつの時代も、我々人類と怪異は争いを繰り広げているのだ
私「……なんでもこの兼定の使い手は、その戦い振りから『鬼』と呼ばれていたようだ」
マリアン「お、『鬼』?」
私「ああ、『鬼』、だ」
カーラ「それはまた……随分とおっかないですな」
私「同感だな……だが、それ程までの強さだと言うこと。叶うなら一度手合わせをしてみたい物だ」
ジェニファー「あ、あははは……」
カーラ「全く……大尉殿の猛者好きには甚だ呆れますよ」
……褒め言葉として受け取っておこう……それに、
私「私とて武人のはしくれ、強者を求めるのは当然だ」
そう……強者だ
私はこれから先、怪異と言う強者達と戦うこととなる
故に、私は――――強くなるのだ
更なる高みへと登るために!
最終更新:2013年03月30日 01:27