ふとしたことからミーティングにもお菓子を持っていくことになった。
厨房で一人オーブンの前で佇んでいると、ぶち抜いて貰った食堂の方から誰かが覗いていた。


俺「茶葉を選んでもらえませんか」


肩下の茶色の髪を二つに纏めたガリアの少女――ジューゼット・ルマール少尉と
肩までの黒髪に大きめの身長の扶桑少女――下原定子少尉。
二人はいつものように厨房に入って来ると、紅茶一式の準備を始めた。

隊の子達に仕事を任せるのは契約違反だが、二人が好きでやっているから何も言わない。
俺も嬉しいし。何よりラル隊長も笑顔で黙認してくれた。


ジョゼ「今日のお菓子はなんですか?」

俺「シナモンクッキーだよ」

下原「では、アッサムにしましょうか」


下原さんは笑顔で茶葉を選び、ジョゼはカップとポッドを乾布で拭いていく。
ぼうっと眺めているとクッキーが焼き上がった。
おいしそうな匂いを振りまくクッキーを、ジョゼはほうと溜息をはきながら見つめる。
まったくこの子は……そう思いながら溜息をつきつつも、俺の手はジョゼにクッキーを差し出していた。


三人でサロンへとお菓子を持っていくと、すでにミーティングは始まっていた。
その様は何度見てもよく分からない。ラル隊長は


ラル「別にいいんじゃないか?」


と言っていたが、ロスマン曹長の憐れむような表情が忘れられない。
そんな記憶に震えるほどの興奮を覚え、危うく鼻血が出そうになったが
二人が紅茶を配り終わったのを見て何とか耐えた。

各自散らばったテーブルにクッキーを運ぶ。遅めの朝日が心地よかった。


クルピン「じゃあ、もうおやつの時間で良いよね?」

ロスマン「あのね伯爵……」

ラル「いいじゃないかエディータ。大方の説明は終わったろう?」


溜息をついたロスマン曹長に、プンスキー伯爵とラル隊長はにやりと笑った。
そんな二人に凄まじいまでの興奮を覚え、今度こそ噴きだしそうになる。
しかし俺の仕事は終わっていない。ニパに、そう
ナオちゃんと熊さんと一緒に座っている、あの朝日に輝く色素の抜けた金の髪、
可愛い可愛いスオミの少女――ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長にクッキーを届けなければ。


俺「ニパ、シナモンクッキーだよ」

ニッカ「お、ありがとな」


そう言って俺に微笑みかける。朝の光がニパの雪より白く、うさぎの毛のように滑らかな肌を一層美しく見せる。
分かったと頷きながら彼女の薄い水色のセーターに包まれた胸を盗み見る。
手を伸ばせば届く、柔らかく、沈みそうなほどの胸。
興奮のあまり失神しそうになる。俺は血の混じる生唾を飲み込んだ。


サーシャ「それ以上続けたら正座ですよ。俺さん」


目が笑っていない。熊さんは本気だ。
据わった目に睨みつけられ、駆け上がる感情にとうとう我慢できなくなった。


菅野「やめろ」

俺「いたいっ!」


ナオちゃんの冷徹な声と共に、俺の鼻に裏拳がとぶ。
あまりの痛みに、涙と鼻血が一緒になって出てきてしまった。


ジョゼ「ナオちゃんやり過ぎです!」

菅野「これ位平気だろ。いつも鼻血流してるんだから」


とナオちゃん。
ちくしょう。ナオちゃんには早く背が伸びるようにと毎日牛乳を出してるのに。
今度から扶桑茶に変更だ。


俺「ニパ、君のおっぱいが揉みたいんだ」

ニッカ「い、いきなり何言い出すんだよ!」

俺「俺は本気だ。本気で君のおっぱいを揉みたいと思ってる!」


鼻の激痛を抑えながら、ニパに向き直る。
後ろからナオちゃんの「どうせ揉めないんだから」と言う言葉に、どうしようも無いくらい悔しくなり、
俺は思わず、ニパに、俺がどれだけニパが大好きかを熱く語った。
ニパは顔を赤らめながら聞いていたし、ナオちゃんもさすがに何も言ってこなかった為、
ニパのおっぱいがいかに素晴らしいかをも語った。


クルピン「どうしよう先生…ボク死にそう」

ロスマン「大丈夫よ伯爵。笑って死んだ人はいないわ」


プンスキー伯爵は笑いを耐え過ぎてぴくぴくしている。
ロスマン曹長は冷静に返しながらも呆れた目でこちらを見ていた。照れるだろ。


下原「俺さんは直球ですね」

ジョゼ「よくニパさんも気付きませんよね…」

ニパ「いやだよ!理由じゃないだろ!」

俺「俺が本気を出せばこの部屋を鼻血で埋め尽くせる」


鼻をさする。血行良好、いつでも行ける。


ラル「そこまで。ジョゼ」

ジョゼ「あ、はい」


ラル隊長がコーヒーを啜りながら言う。
とたとたと近付いて来たジョゼが俺の鼻をつまみ


ジョゼ「あまり鼻血が出るのは危ないんですよ」


と優しく説明してくれた。
ジョゼの回復魔法で鼻血は止まったが、俺は失神した。
今日もニパのおっぱいは揉めなかった。






最終更新:2013年03月30日 02:28