坂本「補充人員?」
ミーナ「ええ、扶桑からよ。私大尉ですって、知ってる?」
坂本「……私、だと?」アオザメル
ミーナ「……何か、問題のある人なのかしら?」
坂本「う、うむ――」
―― 数日後
私「久しぶり、美緒。元気にしてた?」
坂本「あ、ああ。お前も変わりないようだな」
私「ええ、美緒への愛も変わって無いわよ」
坂本「」
ミーナ「こんにちは、私大尉。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です。ここの指揮を取らせてもらってるわ。よろしくね」
私「ああ、綺麗なおばさんが立ってると思ったらあなたがミーナ中佐でしたか」
ミーナ「おばっ!?」
私「失礼……私大尉です。本日よりこちらでお世話になります。よろしくお願いしますね」
ミーナ「え、ええ……とりあえず部屋に荷物を置いて、それから私の執務室へと行きましょう」
――――
――
ニゲルナハルトマン! ハヤクヘヤヲカタヅケルンダ! マルデゴミダメジャナイカ! ジークフリートセンヲコエルコトハユルサレナイ!
モートゥルーデシツコイヨー!
私「……」
ミーナ「恥ずかしいところを見られてしまったわね」
私「いえ、今だけ取り繕ったところでどうせすぐわかることですから。化粧で誤魔化してるお肌と同じで」
ミーナ「」ピクッ
私「どうかしました?」
坂本「……私」
私「どうしたの美緒?」
坂本「あまり毒を吐くな」
私「あら、それは命令?」
坂本「お願いだ。私からのな」
私「そう……美緒が私にお願いだなんて、嬉しいわ」
私「でも、どうしようかしら。そうね……美緒がキスしてくれたら、考えてあげる」
坂本「なっ!?」カァァ
坂本「ふ、ふざけるのも大概にしろ!」
私「心外だわ。私は本当に――」
ミーナ「ごほんっ」
私「うん?」
ミーナ「私大尉、あなたには少し教育が必要みたいですね」ゴゴゴゴ
私「?」
ミーナ「わからないなら、わからせてあげます。少し、寄り道しましょうか」ガシッ
私「ま、待って。何だか怖いですよ?」
ミーナ「……」ニコリ
私「お願い、待って。暴力はいけないわ」
私「み、美緒……美緒?」
坂本「……」プイ
私「美緒!? そんな、嫌よ。美緒、こっちを向いて?」
ミーナ「はい、私さんはこっちを見ましょうね?」
私「美緒、助けて美緒! 美緒! みおぉぉぉぉぉ!」
――――
―― ブリーフィングルーム
ミーナ「――ということで、本日より仲間が増えます。急なことですが、私さんは実績もありますのできっと力になってくれることでしょう」
私「おば、いえ、尻、でもなくて、えっと……中佐から紹介にあずかりました私です。今日からお世話になります」ゲッソリ
ミーナ「それじゃ、皆も自己紹介して?」
バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルン大尉だ」
私「ロリコン」ボソッ
エーリカ「エーリカ・ハルトマン。階級は中尉だよ!」
私「G」ボソッ
宮藤「宮藤芳佳です! よろしくお願いします!」
私「……ポチ」ボソッ
シャーリー「シャーロット・E・イェーガー大尉だ。よろしくな」
私「おっぱい」
シャーリー「え?」
私「」ハッ
エーリカ「……さっきから何ブツブツ言ってるの?」
私「ああ、いえ……その、皆さんの第一印象を」
エーリカ「へぇ~、ちょっと言ってみてよ!」
私「えっと……」
バルクホルンをピッと指指す
私「ロリコン」
バルクホルン「なぁっ!?」ガタッ
バルクホルン「貴様ぁ!」
私「言い訳は、そのポケットからはみ出たお子様用ズボンを捨ててから言いなさい」
バルクホルン「私はロリコンじゃない! シスコンだ!」コレモイモウトノダ!
私「……」
一同『……』
私「そう……じゃあ訂正してあげるわ、シスコンのバルクホルン大尉」
エーリカ「ねーねー、私はー?」
私「G」
エーリカ「?」
私「ゴミ溜めの主のGよ」サッキソウイワレテタジャナイ
エーリカ「ゴミ溜め!?」
私「凄いわ。主だなんてまるで王様ね」
エーリカ「酷いよ!」
私「ああ、ごめんなさい。王様じゃなくて女王様だったわね」
エーリカ「そこじゃない!」
宮藤「あの……」
私「ポチ」
宮藤「ぽ……?」
私「まるで犬のように従順そう……だから、ポチ」
シャーリー「はは、まあ確かに宮藤は何か犬っぽいよなー」
私「おっぱい」
シャーリー「お?」
私「おっぱい」
宮藤「……」ゴクリ
私「次にいきましょう」
ルッキーニ「フランチェスカ・ルッキーニ!」ムシー
私「うっ……」
ルッキーニ「?」
私「あなた、そこはかとなく虫くさいわ」カワイイケド
ルッキーニ「虫!? 私も虫好きなの? 今度見せてあげるー!」キラキラ
私「……いえ、結構よ。次」
ペリーヌ「ペリーヌ・クロステルマン中尉ですわ」
私「壁」
ペリーヌ「なっ」
私「大丈夫。需要はあるわ」
ペリーヌ「そういうことじゃありませんわ! 失礼でしょう!?」
私「……」モミモミ
ペリーヌ「……何をしてますの?」スカスカ
私「え……不満みたいなので、おっぱいがあるように扱ってあげようかと」エアモミモミ
ペリーヌ「」イラァッ
宮藤「ぺ、ペリーヌさん落ち着いてください!」オドキナサイマメダヌキ!
私「うふふ、あなたは何ていうの?」ペリーヌサンオサエテ!
リーネ「り、リネット・ビショップ曹長です……」
私「腹黒」
リーネ「そ、そんな……」
私「この部屋に来る前に、少しあなた達の様子を見させてもらっていたのだけど……」
私「皆と笑顔で接するあなたの目……紛れも無く腹黒のそれだったわ」
リーネ「……」ギリッ
エイラ「エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉ダ」
私「ダナ」
エイラ「は?」
私「さっきも言ったけど、少しあなた達の様子を見させてもらったわ。あなた、ダナダナうるさいんだもの」
エイラ「ナンダお前! 喧嘩売ってんのかァ!?」
私「そうだな」
エイラ「」イラッ
サーニャ「喧嘩しちゃダメよ、エイラ」
エイラ「サーニャ……はっ! オマエ! サーニャに変なあだ名つけたら――」
私「天使」
サーニャ「えっ」
エイラ「ん?」
私「天使」
エイラ「……な、なんだオマエ。結構分かってるじゃないか!」
私「いきなり大声出さないで。うるさいわ。それと、あまり喋らないでくれる? ダナが移ったら困るもの」
エイラ「移らネーヨ!」ウガー
サーニャ「サーニャ・V・リトヴャク中尉です。よろしくお願いします」
私「天使ね」ホゥ
エイラ「ソウダロソウダロ! サーニャは凄いんダゾ!」
私「うるさいわね。天使のことを誇らしげに語る暇があるなら、あなたは天使に惚れてしまった身の程知らずの愚か者だということを自覚なさい」
エイラ「ほっ!?」
サーニャ「え……」カァァ
エイラ「ち、違うぞサーニャ!」
サーニャ「えっ……」ショボン
エイラ「ち、違わない! けど……そうじゃなくて、サーニャのことは好きだけど、それは……アアアア!」
私「うふふ」イキイキ
坂本「私、あまり毒を吐くなと――」
私「恋人」グイッ
一同「「「はっ!?」」」
私「美緒は私の嫁」ドヤァ
坂本「……はぁ」
私「私は美緒が好き」
私「向上心を忘れることのない逞しい精神が好き。その黒い髪もしなやかな体も白い肌も快活な笑顔もみんな好き」
私「諦めない、挫けないその強さが好き」
私「これは宣戦布告。私は、美緒が"私のものであってほしい"」
私「だから、私は――」
坂本「……私、その辺にしておけ」
私「……ごめんなさい。少し熱くなってしまったわね」
ペリーヌ「み、認めませんわ!」
坂本「ペリーヌ?」
私「別にあなたに認めてもらう必要はないと思うのだけど」
ペリーヌ「壁じゃなくてこっちを見なさい!」
私「あら、私ったらベタなことを……てへり」
ペリーヌ「馬鹿にしてますの!?」
坂本「いや、認める認めない以前に、私がこいつの……その、嫁だというのは……嘘、なんだ。間に受けなくて良い」
ペリーヌ「そうでしたの……」ホッ
私「……」ムッ
シャーリー「……なー、私って、もしかして"勝利の女神"の私か?」
私「あら、何を言っているのかしらこのおっぱい。女神だなんて照れちゃうわ」
エーリカ「無表情で言われてもそうは見えないんだけど……」
坂本「……その通りだシャーリー。不本意だがな」
宮藤「勝利の女神って、どういうことですか?」
シャーリー「そのままの意味だよ」
シャーリー「"勝利の女神"が味方した部隊は負けないんだ」
私「あら、それは違うわ。私は勝てると確信した戦いしかしないもの」
坂本「私の固有魔法は『言霊』だ。こいつが固有魔法を使って言ったことはそのほとんどが実現する」
シャーリー「つまり、私が"勝てる"と言えば絶対負けないってことか?」
エーリカ「えっ、それって凄いじゃん!」
私「そんな便利なものじゃないわ。『言霊』は信じる力が何よりも必要なの」
私「だから、私が"何の疑いもなく潜在意識から確信していること"しか実現しないのよ」
宮藤「それでも凄いですよ!」
私「ありがとう、ポチ」ナデナデ
宮藤「そ、そんなお礼を言われることじゃ……」テレテレ
リーネ「……」ギリリ
私「そーれ、取ってきなさーい」カミクズポーイ
宮藤「は、はい!」トテテ
私「うふふ」クスクス
リーネ「……」ギロッ
私「あらあら何を怖い顔をしているのかしらこの腹黒は」
坂本「私、悪ふざけは寄せ」
私「ふふ、それはお願い?」
坂本「……いや、命令だ」
私「そう。なら、仕方ないわね……部屋に戻らせてもらうわ。これからよろしくね、皆」ニコッ
スタスタ
シャーリー「何ていうか……」
エイラ「ムカつく奴だったな」
ペリーヌ「あら、あなたと意見が合うなんて珍しいこともありますのね」
坂本「すまんな……口は悪いが、悪いやつではないんだ。許してやってくれ」
ペリーヌ「少佐が謝る必要は……」
エーリカ「少佐が信頼してるなら、私は良いよ」
坂本「信用はできる。それは、私が保証する」
ペリーヌ「……」グヌヌ
――――
――坂本の部屋
私「……」モグモグ
坂本「……」
私「……」モグモグ
坂本「……何故、ここにいるんだ?」
私「……」モグモグ
坂本「とりあえず、その食べているものを出すか飲むかしろ」
私「……」ベェ
坂本「……」
私「……」ベチョベチョ
私「……」ハイ
坂本「……一応聞くが、何だそれは?」
私「美緒のズボン」
坂本「……」
私「……」イラナイノ?
私「……」アア!
私「洗って返すわね」シマイシマイ
坂本「待て、そうじゃない」
私「?」
坂本「……もういい。それで、どうしてここにいるんだ?」
私「美緒に会いたくて」
私「そんな純粋な気持ちで来たのだけど、部屋に入ったら、そこかしこから漂う美緒の香りに理性が耐えられなかったの」
私「気付いたら、美緒のズボンをモグモグしていたわ。あ……そうそう、美緒」
私「今日も一日お疲れ様」ニコッ
坂本「」アキレテコトバモデナイ
坂本「……まあ、良い。私はもう眠るから部屋に帰れ」
私「冷たいのね。一人寝は寂しいわよ?」
坂本「そんな事は気にしていない」
私「そう。じゃあ部屋に帰る前に少しだけ、真面目な話をするわ」
坂本「……」
私「美緒の事だから、ある程度は感づいていると思うのだけど……」
私「"私"が、ここに配属されたという事は――」
坂本「ここ、ロマーニャ近海で大規模な作戦が行われる予定があるという事だろう」
私「うん、当たり。それも、絶対に失敗したくないような何か……そう、例えば、"ネウロイの巣への攻撃"……とかね」
坂本「……」
私「まああくまでも可能性の話だけどね……ここは最前線だし、それだけでも私が送られてくる意味はあるわ」
坂本「だが……」
私「ええ。だとしたら、この中途半端なタイミングで私をここに飛ばした理由がわからない。美緒達は問題無くネウロイを殲滅してるもの」
坂本「……頭に留めておく。とりあえず今日はお前ももう休め。疲れも溜まっているだろう」
私「そうね。ゆっくり休ませてもらうわ」スタスタ
私「ああ、そうだ美緒」
坂本「なんだ?」
私「あまり、心配させないでね?」
坂本「……何の話だ?」
私「ふぅん、とぼけるんだ……まあいいわ。私がここに来たからには、絶対に"誰も死なない"から」
坂本「……ああ、頼む」ペコリ
私「うふふ。ああ、それからもう1つだけ」
私「美緒……」ジッ
坂本「?」
私「そのズボン、洗濯しないで取っておいてね?」
坂本「……いいから早く寝ろ! バカ者!」
私「ふふっ。おやすみ、美緒」ニコッ
スタスタ
坂本「……まったく」ハァ
私が去り、一人になった部屋で小さくため息をつく。面倒なことになったものだ、と思う。
私のことは信頼しているし、正直味方として共に戦ってくれることはとても心強い。だが、あの憚ることのないアプローチは何とかならないのだろうか……いや、これもきっと自分のせいなのだろう。私は彼女を受け入れる事も拒絶する事もできていない
私〈み、美緒……〉
あの時のことは、今でも鮮明に思い出せる。彼女のはにかんだ表情、赤く染まった頬、小さく震える唇。
私〈私、あなたのことが――〉
彼女が相当な覚悟で"それ"を私に伝えに来ただろうことは容易に想像できた。それなのに私は、転戦の辞令を良いことに何も言わず彼女から逃げ出し、正面から受け止める事もしなかった。
それでも彼女は私が好きだと言う
坂本「……私は、本当にどうしようもない奴だ」
私「私は美緒が好き」
割り振られた自室で、確かめるように私はそう呟く。"あの時"、私は美緒に同じ事を言った。だが、彼女からの返事は未だ"貰っていない"。
当然と言えば当然だろう。彼女の戸惑いと葛藤は計り知れない。
何せ、それまで戦友だと思っていた同性に告白されたのだ。下手したら、
トラウマになっていてもおかしくはない。
『あなたが好き』
そう言えば聞こえは良いが、つまりは、それまで友人だと思っていた人に"そういう目"で見ていますと言われたのと同義なのだから。
両想いになることが、必ずしもそういう関係になるということでないことはわかっている。けれど、そういう事無しで考えられるほど私は純粋ではないし、幼くもない。
事実、私は美緒で自分を慰めた事もある。好きだからこそ、触れ合いたいし、そういうの含めて全てを知りたいと思うのだ。
だからこそ、さっきズボンをモグモグしたし、それが美緒に対する"宣戦布告"にもなり得るはずだ。私はまだ美緒を諦めていないのだから。
これはチャンスだ。
美緒はまだ私に返事をしていない。きっと、私のために悩んで迷って揺らいでくれているのだろう。
それを優柔不断と言う人も臆病者だと言う人もいることだろう。だけど、そんな彼女すらどうしようもなく愛おしい。
とは言うけれど、私はそれを黙って見てるほどお人好しではないし、大人しく待ってられるほど強くもない。答えが出ないなら徹底的に落としにかかる。拒絶されないのなら、必死でアプローチをして、ものにしてみせる。
ひょっとしたら、それが彼女を苦しめる事になるのかもしれない。悩む彼女を追い詰める事になるのかもしれない。
でも、それでも……そうしなければ、私はきっと耐えられない。彼女と一緒にはいられない。
だからこれは、『チャンス』なのだ。彼女から"返事を貰うための"。
私「覚悟してなさい、美緒」
私は一人小さく笑う。もしかしたら、拒絶されるかもしれない。だからと言って、それに怯えて何もしないわけにはいかないのだ。
"勝利の女神"は、臆病者に決して微笑んではくれないのだから――
最終更新:2013年03月30日 23:16