上官「ああ、そうだ。君の異動先は・・・」
メディック「はあ・・・また面倒事か・・・」
ジョン「そう言うなってメディック。例の大隊じゃ衛生兵の数が不足してるらしくてな。俺達の出番ってやつさ。」
メディック「それで?次の異動先は何処だ?」
ジョン「何だ、聞いて無かったのか。次の異動先はだな・・・」
【長距離列車の中】
ガタン・・・ガタン・・・
衛生兵「あ、すみません。お隣よろしいでしょうか?」
メディック「どうぞ。どちらから?」
衛生兵「ブリタニアからです。あなたは?」
メディック「私はカールスラントから。」
衛生兵「へえ・・・どちらまで?」
メディック「フミカネブルグまでです。何でも衛生兵の数が足りないらしくて・・・」
衛生兵「奇遇ですね、俺もフミカネブルグまでの異動命令が出ていたんです。」
メディック「珍しい事もあるもんだなあ・・・」
ジョン「ああ。全くだ。俺達も衛生兵として赴任する事になっているのですよ。」
衛生兵「なるほど・・・。はあ、俺はマッサージぐらいしか出来ないのにな・・・。」
【フミカネブルグの駅、衛生兵視点】
メディックと言う名前の男と、ジョンと言う名前の男と会った。
彼らもフミカネブルグへの派遣が決まっていたらしい。
階級を聞いた。良かった、同じ階級だったようだ。
長いトンネルを抜け、駅が見えてくる。
ガタン・・・プシュー・・・・
ジョン「お、着いたみたいだな。」
衛生兵「それじゃ、降りるとしようか。」
メディック「ああ。」
道中、俺達はすっかり仲良くなっていた。同じ階級、同じ衛生兵と言う事もあったが、何よりも境遇が似ていたからだ。
互いの不運を嘆き合っているうちにすっかり打ち解け、最初に使っていた敬語もどこかへ吹き飛んでしまっていた。
兵士「失礼します!カールスラント第203救護小隊、メディック中尉とジョン中尉、衛生兵中尉でありますか!?」
ホームで完全武装の兵士の集団に囲まれる。
衛生兵「そうだが・・・随分と物々しいな。何かあったのか?」
兵士「はっ!ここから5キロ先の地点で現在交戦中なのであります!」
メディック「おいおい・・・」
ジョン「マジかよ・・・前線じゃねえか・・・」
道理で駅員たちの顔に焦りが見えていた訳だ。
俺達の他に数人しかいなかったフミカネブルグでの降車客を放り出すように下ろし、さっさと出発してしまっていた。
しかもどこからか放火の音まで聞こえてくる。
兵士「時間がありません!着いてきて下さい!」
改札口で律義に待っていた切符切りの駅員に乗車券を押し付けるように渡し、兵士達の後について行く。
兵士「これにお乗りください!」
兵士達が指差したのは・・・車体に赤い星がペイントされている装甲車だった。
メディック「・・・。」
兵士「さあ早く!」
衛生兵「あ、すまん。」
ジョン「メディック。」
メディック「ああ。」
車体が完璧に覆われている為に、外の様子が見えない。
そのため前線までの5キロ、不安そうな顔の兵士達に顔を見ながら過ごさなければいけない羽目になった。
衛生兵「・・・。」
メディック「・・・。」
ジョン「・・・。」
兵士「「「・・・。」」」
衛生兵(お願いだから・・・何か喋ってくれ・・・)
衛生兵「そ、そうだ、あんたたちの持っている武器は珍しい形をしているな。何処のだ?」
兵士「はっ!ソビエト製であります!」
衛生兵「ソビ・・・エト・・・?」
ザヴィエート
メディック「"Совет"…オラーシャ語で「評議会」、とか「忠告」とかいった意味だな。」
衛生兵「へえ・・・あんたらは何か評議会みたいなものに属してるのか?」
兵士「いえ?ソビエトと言う国家に属しているのでありますが・・・」
衛生兵「・・・?」
ガガガガガガガ・・・・
パパパパパ・・・
ドオオオン!!
砲火の音がどんどん近付いてくる。
キュオオオオオ!!
ネウロイの鳴き声も。
兵士「戦場に到着しました!お降りください!」
ジョン「冗談だろ・・・?ここで降りろって言うのか・・・?」
ハッチを開け、首をすくめながら周りを見回したジョンが言う。
さっきから近くにビームが着弾する音が聞こえていた。
兵士「しかし、同志大尉殿のご命令でして・・・」
メディック「・・・。」
衛生兵「はあ・・・仕方ない、こうなる事はある程度予測できてたんだ・・・畜生!!」
やけくそ気味に言って、後部のハッチから飛び出す。
兵士「これを!」
オラーシャ帽をかぶった兵士に渡されたのは、見た事のない形をした突撃銃だった。
衛生兵「おいちょっと待ってくれ!こんなタイプの銃は使った事が無いぞ!?」
兵士「ジャムってもブン殴れば直ります!後は普通の銃と同じです!幸運を!」
メディック「おい、ちょっ・・・」
ジョン「」
ジョンとメディックにも銃が手渡され、数人の兵士と一緒に蹴りだされるようにして外に出る。
木製のストック、黒色にペイントされた銃身。良く見るとシュトゥルムゲーヴァー44に似ている。
しかし、弾倉が奇妙なほどに曲がっていた。
メディック「チクショー!覚えてやがれ!!」
煙を吐きながら一目散に逃げて行く装甲車に向かって、メディックが中指を突き立てた。
そこらじゅうをビームと銃弾が飛び交い、這いつくばったまま身動きが取れない。
メディック「畜生め!この状況をどうにかしてくれ!!」
サー
兵士『сэр!あそこにある赤い旗が見えますか!?』
耳元で兵士が怒鳴る。
衛生兵『ああ!ばっちり見えてるぞ!!』
兵士『そこに同志大尉殿が居ます!!そこまで行けば安全です!!』
衛生兵『分かった!!おいメデイック、ジョン!!』
メディック・ジョン『『何だ!?』』
衛生兵『あの赤旗の所まで行けとのご命令だ!!』
メディック『おい、正気か!?』
兵士「ぐあああっ!!」
側にいた兵士の一人が肩に銃弾を受けて倒れる。
衛生兵「しっかりしろ!・・・クソッたれめ、俺は正気だ!!」
メディック「ここに居ても全滅するだけだな・・・分かった、行くぞ!!」
ジョン「手伝うぞ!!」
ジョンと二人で負傷者を担ぎ上げ、兵士達と一緒に赤旗に向かって駆けて行く。
あと・・・少しだ・・・!!
ズボッ
地面が沈み、視界が真っ暗になった。
??「おお、貴方がたが今日配属された衛生兵ですか?」
衛生兵「いてて・・・そうだが・・・」
??「それは良かった!!」
誰かが俺の腕を取り、立たせてくれる。
同志「私は同志大尉です。戦場へようこそ、同志。」
オラーシャ軍の物では無い軍帽をかぶり、軍服の上にコートを羽織った青年が俺の前に立っていた。
どこかで何かが爆発する音、そして兵士達の叫び声が聞こえた。
―トンネルを抜けたら、そこは戦場だった―
最終更新:2013年03月30日 23:25