衛生兵の朝は早い。ここ、第501統合戦闘航空団基地では毎朝早くから、
隊員たちによる自主的?な訓練が行われているからだ。
ブリタニア南端、ドーバー海峡に接するこの基地は
現在-
ガリア全土がネウロイに占領された現在の戦況では-最前線となっていた。
来襲するネウロイに対して戦力の未熟さを痛感していた基地上層部は、戦力の底上げを急ピッチで進めているのだ。
訓練に怪我はつきものであるから、衛生兵たる俺はわざわざこんな朝早くから準備しているわけだ。
医務室の窓から訓練の様子を見る俺の眼前には、
坂本少佐を先頭に基地内の特別訓練コースを一周してきた501隊員たちが次々と走りこんでいた。
「うむっ。今日はここまでにしよう」
坂本少佐の言葉を聞いて幾人かが倒れこんでいる。
「うじゅぅー、ぢがれたー」
「はぁっはぁ……もうだめぇ」
「まだっ……まだですっわ……」
その様子に坂本少佐の叱責が飛んでいた。
「はっはっは。この程度で音を上げるとはまだまだ訓練が足りん」
「ヴぇえー。こんなに疲れちゃったら午後飛べないよぅ~」
ルッキーニはいつものように泣き落としに入っているが、それが通用するのは
シャーリーまでだ。
俺の予想通りルッキーニの言葉を笑い飛ばす坂本少佐だったが、
そのあとに続く言葉は俺の予想を裏切るものだった。
「はっはっは。疲れたかルッキーニ。しかし問題ないぞ、我が隊にはなにせ、
魔法使いがいるのだからな」
「魔法使い?」
部下たちの訝し気な視線を無視して
そう言い切った少佐の視線は、確実に俺に向かっていた。おいおい、勘弁してくれよ。
ここで本来なら昨晩、俺が整備兵に疲労回復のマッサージをしているという噂を聞きつけた少佐が、
突然マッサージを強要して色々触らせて勝手に大満足した挙句に
「ふぅ……///これがあれば明日から皆の訓練を倍に出来るな」
という不吉な言葉を残して去って行くという回想が入るが今はルッキーニ気分なので省略。
「いっちばーん!」
そう言って飛び込んできたのは、ルッキーニ少尉だった。
こちらが喋る隙を全く与えないというように早口でまくし立てている。
「ねぇねぇ、あたし朝の訓練ですごーーく疲れちゃったの!
ひっどいんだよー、少佐ったらちょっとでも遅れるとイッーてするの!ねぇ聞いてるの?」
そう全身を使って説明する少尉の姿はどう見ても元気だったが、もちろんそんなことは言えない。
「はぁ、大変でしたね。それでどこかお怪我を?」
「違うよぅ!疲れちゃったって言ってるじゃん!ここに行けば元気になるって少佐が言ってたのっ!」
少尉の言葉に俺は自分の顔面が引き攣るのを感じた。まさかマジでいってたのかあの人は……。
「だからぁっ!はいっ!」
そう言って満面の笑みでこちらに手を差し出す少尉に、俺は首を傾げた。
俺が固まっている様子に戸惑ったように、少尉も首をひねる。
「お菓子くれるんでしょ?」
なるほど、説明はこっち持ちということか。って!?ありえねえええええ!!
あまりの事態に窓の外にいる元凶を振り返るが、
そこにはこちらに向けてぐっと親指を突き出し朗らかに笑いかける少佐の姿があった。
その目からは一片たりとも悪意が感じられず、俺はがっくりと膝を落とした。
サービスのつもりなんだろうなぁ。きっと、
これ逆セクハラで訴えてみようかな。そんなことを考えている俺だったが
「ねーえぇー。どーしたの?早くお菓子ちょーだい!」
しびれをきらしてルッキーニ少尉がこちらに向けて再度催促をしてくる。
「いえ、お菓子なんかはないです……」
「なんでー、少佐はここに来れば疲れが吹っ飛ぶって!」
もはやお菓子をくれることは決定事項なのか、というかお菓子で体力回復するのか。
そういった正常なツッコミはもちろん言えない。
「あのですね……、ここは医務室ですから」
「ヴぇえー。にいちゃんお医者さんなのー……。あたし薬きらぃ」
「いや疲労に薬は出しませんが……」
俺がそう言うと彼女は不思議そうに尋ねてきた。
「もうっ!じゃあなんなのさ!意地悪しないで教えてよー!」
意地悪って。そんなことした覚えはないんですがね。
「ここでは……あの……マッサージとかをですね」
「おおぉう!マッサージィ!あたしもぉっよくマーマにしてあげたよー。じゃあよっろしくぅ」
歯切れ悪く返事する俺であったが、少尉は予想に反して乗り気な様子だった。
くそうもう覚悟を決めるしかないのか。
それに今から行うのはただのマッサージだ。やましいことなど一切ない。はずだ。
そんな覚悟で大丈夫か?大丈夫だ俺はロリコンではない。
「では、そこにうつ伏せで横たわって下さい」
そう言ってベットを指すと、少尉はその上に飛び込むように寝そべった。
「ふっかふかー!」
「では、始めますよ」
「はあーい」
俺は覚悟を決めると少尉の両肩に手を伸ばした。
我流でマッサージを覚えた俺は、あまり女子を相手に施術した経験がなかった。
力加減が分からずとりあえず血行を良くしようと優しくなでさする。
「あはは、くすぐったーい」
無邪気に笑う少尉の姿に、俺は自らの邪な心を恥じた。
そうだよな、誰もがあんな-坂本-ふうじゃないよな。
少し安心した俺は、軽く力を入れた。
「ひゃうんっ」
少尉の身体がビクンと跳ねあがる。思わず両手を離す俺。
「!?すいません、強かったですか?」
「あ……、うん大丈夫……」
そう言って少尉は何故か枕に顔を埋めてしまった。
なんだ?俺は少し疑問に思ったが、まあいいとマッサージを再開した。
「……んっ……ふぅっ……はぁ…ん」
魔法力の補佐があるとはいえ銃を背負っての活動がほとんどのウィッチであるから、
肩のこりは相当だろうと丹念に揉みほぐす。
「………んっ…んっ……あ………」
枕の中から漏れる声に俺は少し戸惑っていた。そんなに強くはしてないけどなあ。
子供だからかな。
「力加減はどうですか?痛かったらやめますけど」
「うじゅ!?大丈夫………………気持ちいぃョ」
少し慌てたように枕から顔を上げる少尉。
言葉の後半再び顔を枕に顔を埋めてしまったために聞こえなかったが、
まあ大丈夫というからには大丈夫なんだろう
肩に力が漲るのを感じた俺は手を少尉の腕に動かす。
この「力」というのはマッサージをしてるうちに俺がなんとなくつかんだ感覚で、
心臓から供給されるこの「力」を全身に行き渡らせるのが俺のマッサージだった。
しかし身体が細いうえに、更に丈夫な軍服の上からでは
なかなか有効な施術が出来ないのが現状だった。
しばらくの間施術を続けたが、俺の苦戦を感じたのか少尉が言う。
「はぁっはぁ……、服……邪魔なんでしょ?脱ぐよっ!」
弾けるような笑顔を見せた、少尉の提案はなかなかぶっ飛んだものだった。
おおう流石まだ12才。まだ男性のまえで服を脱ぐことに抵抗は無いらしい。
こちらに背を向けベットの上にぺたりと座り込みボタンを外していく少尉。
しかしまだ訓練の疲れが残っているのか
うまく外せていないようだった。
「外してっ」
突然こちらに向き直り少尉が言った。
ボタンが半分ほど外れたロマーニャの制服からは少尉の健康的な肌が覗いており、
マッサージで上気した表情と組み合わさり微かな色気を放っていた。12才恐るべし。
しかし、少尉がこれほどマッサージに対して誠意を見せてくれているのに
俺が答えないわけにはいかない。
俺は表情を意図的に固め、少尉の服に手を伸ばした。ひとつ。ふたつ。
と、ボタンを恥ずしていく。
「あぅっ」
不意に俺は指先に柔らかい感触を感じ、同時に少尉が声を漏らす。
少尉の未成熟な果実の先端に指先が触れてしまったのだった。
「すっすいません!少尉!」
「?だいじょぶダイジョブ。平気だよ?」
しかし少尉は気にしたふうでもなくボタンの全て外れた服を脱ぎ去って再びうつ伏せの姿勢に戻っていた。
「…………」
思わず絶句する。少尉もふくめこの基地の魔女たちはよく下着に近い格好でうろついているが、
間近で見る肌はあまりにきめ細かく、思わず手が伸びてしまった。柔らかい。
軽く汗が吹いた少尉のはだはぺったりとすいつくような感触で、俺は湧き上がる邪念を振り払いながら、マッサージを続けた。
「あうぅ……手がびりびりするよう……」
「辛いでしょうが少し我慢して下さい。」
「うん……あんっ………ハァ……あたしっ…我慢するぅ」
俺には、もはや途中で施術をやめて少尉を返すという考えはなかった。
意地でも健康にして返してやる。
少尉の小麦色の肌が微かな赤みを帯びていた。息が荒くなっていることを感じる。
自らの手を次第に少尉の腕から指先にまで移動させて「力」を末端にまで届ける。
「指のっ…あんっ…あいだはぁ…………ダメっだよぅ……」
「我慢です少尉」
少尉がか細く声を上げる。悪意で俺がそれを取り合わないわけではない。証拠に合間で何度も
「あまり辛かったらやめますから、言ってくださいね」
と確認しているが、そのたびに少尉は
「!?だいじょーぶっ!……続けてよぅ……」
と言ってくれていた。
迅速な体力回復は軍人の義務とはいえ、きっと慣れない感覚に戸惑っているのだろうに、なんという覚悟だろう。
軍務に、ネウロイの打倒にかける強い意志をみたような気がして、俺は感服を禁じ得無い。
それに答えるため俺はマッサージにかける力を強める。
「はぁ……はぁ……あっ……んううっ……はっ」
肩、背中、腰と順番に揉みほぐしていく。
俺は少尉の身体に流れる力に全ての神経を集中させる。両手で少尉の身体を揉み込みながら、
全身に行き渡らせた「力」を再び体の中心。しかし今度は心臓ではなく丹田に集めていく。
「うああぁぁ!ああっ……んんう……」
少尉は身体をエビのように反らすが、それを手で押さえつける。
最後の仕上げだ。力をすべて丹田に戻すことで身体は正常に戻るのだ。
「!!んっ~~~~~……」
少尉がそのピンと張り詰めた。同時に力が全て丹田に戻ったことを感じる。
ビクビクと身体を震わせる少尉の身体に手をあてても、力が正常に流れていることを感じる。
ふぅ……普段はここまでやらないんだけどな。疲れるから。でも少尉にここまでの覚悟を見せられたらな。
世界最年少士官は伊達じゃないということか。
一転してすやすやと寝息を立てる少尉の髪をそっと撫でながら俺はそう独りごちた。
「ああああああああなたっ!!何をなさってるんですのっ!!!
???」
「えっ?」
「俺衛生兵……。残念です…………」
「えっえっえっ?中佐?なぜこちらに銃を向けているのでしょうか?そんなので撃たれたら死んじゃいますよ?」
「ルッキーニさん!大丈夫ですか?」
「ねぇ聞いてくださいよ。ねぇってば」
「連行して」
「おぃぃぃい!やめて下さいよ。イテテテテ。あっ!少佐!助けてくださいよ!!あれ?どこ行くんですか?少佐!?少佐あああああ」
どっとはらい。
負けるな衛生兵!いやせ衛生兵!治せ衛生兵!全てのぷにぷにたる人が君を待っている。
「ストライクウィッチーズ2いやすなおすぷにぷにする」なうおんせーる。
- あ行age -- 名無しさん (2014-01-30 04:03:32)
最終更新:2014年01月30日 04:03