軍隊には、様々な人間が居る。
特に私のとある知り合いが所属していた501大隊においては、それが顕著であった。
色々な国の出身が居て、ウィッチも一般兵も居る。
彼らに共通する事は、全員が軍人、そして兵士であるという事だ。
しかし、ただ銃を撃つだけが軍人と言う訳じゃない。
そう、補給や修理が無ければ軍隊と言うものは成り立たないのだ。
ルウッピイ=ユーキオ氏の手記による
【ストライカーユニット用格納庫】
二等兵「・・・。」ガチャガチャ
整備兵の服を着た青年が、ストライカーユニットの手入れをしている。
没頭しているのか、首に掛けていた筈のタオルがずり落ちたのに気づかない様子だ。
エイラ「オーイ。」
そこに、コーヒーを入れたコップを二つ持った少女が入ってくる。
白くてサラサラしている長い髪、、白い肌。間違いなく美少女だ。
二等兵「・・・。」ガチャガチャ
エイラ「・・・オーイ。」
二等兵「・・・。」ガチャガチャ
エイラ「オイ!」バサッ
美少女が整備兵の被っていた帽子を取る。
二等兵「うわっ!!・・・何だ、エイラか。」
エイラ「何だとはナンダ!折角・・・その、コーヒーを持ってきてやったノニ。」
二等兵「あ、ごめんごめん。ついつい熱中しすぎちゃったよ。」
その技術兵は帽子を脱ぎ、床に落ちていたタオルで顔を拭いた。
エイラ「あっ!駄目ダゾ、そんなに汚れてるタオルじゃオマエの顔が汚れちゃうじゃナイカ!」
少女は慌てた様子で持っていたタオルを手渡した。
二等兵「ん・・・ありがとう。」フキフキ
その技術兵の制服に着いている階級章によれば、彼は二等兵。
そして少女の制服に着いている肩章は中尉のものだった。
当然、普通であったら上官に対する不敬として咎められてもおかしくない。
そう、普通ならば。
エイラ「フフン。ありがたく思エヨ!」
胸を張ってそう言う"中尉"の顔には、それを気にしているフシは全く感じられなかった。
二等兵「ありがとうエイラ。俺の為に淹れてくれたのか?」ニコッ
エイラ「べ、べ、べ、別にソンナンジャ!///」アセアセ
真っ赤になって言い訳しようとしている"エイラ"と呼ばれた中尉に対する二等兵の態度からも、彼らがどんな関係かは分かるだろう。
エイラ「そ、そ、ソウダ!!ミーナがオマエの事を呼んでタゾ!!」
二等兵「わかった、すぐに行くよ。・・・コーヒーありがとうな。エイラ。」
エイラ「ウン・・・//」
【司令室】
二等兵が入ってくる。相変わらず仕事熱心なのか、先ほどまでもストライカーの整備をやっていたようだ。
ツナギのあちこちが油や煤に汚れている。
二等兵「すみません、こんな恰好で。」
ミーナ「いいえ。気にしないでちょうだい。」ニコッ
カールスラント軍の制服を着た赤髪の女性が微笑む。美人である。
同志「それで、君に昨日から配属された軍医の紹介をしておこうと思ってな。」
そして、視線を左に移す。
衛生兵「衛生兵です、よろしく。・・・マッサージぐらいしか出来ないけど。」
メディック「メディックだ。よろしく頼む。」
ジョン「ジョンだ。調子が悪くなったらいつでも言ってくれよ。あ、あと俺の射撃の腕前が見たい時もな!」
メディック「・・・ジョン。それに、お前は俺より下手じゃないか。」
ジョン「なんだと!いいか、あれは俺の調子が悪かったからで―」
衛生兵「はいはい、そこまでにしておきましょうね。後でマッサージしてあげますから。」
ミーナ「ゴホン・・・と、言う訳でこの三人が新しく配属された軍医よ。」
同志「そうそう、彼は格納庫で働いてくれている整備二等兵だ。銃が壊れたら彼の所に持っていくと良い。一晩で直してくれるぞ。」
二等兵「よろしくお願いいたします・・・しかし、何故俺に?俺はただの二等兵なのですが・・・」
同志「いや、それは私も不思議に思うんだよ。貴官ほどの腕前の者が何故そんなに低い階級のままなのか。」
衛生兵「まあ、何にせよよろしく。疲れたらいつでも医務室に来て下さい。マッサージだけには自信があるので。」
二等兵「はっ!よろしくお願いいたします!」ザッ
ミーナ「自己紹介がまだだったわね。私はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐。ここフミカネブルグ基地の司令官を務めているわ。」
ミーナ「そして、この人は同志大尉。501大隊の地上部隊の指揮を取ってもらっているわ。」
同志「よろしく、同志諸君。」ビシッ
ミーナ「・・・大尉が酒瓶を持っている時には近づかないようにね。貴方達も容赦なく飲まされるわよ。」
同志「・・・一言余計ですな、同志ヴィルケ中佐。」
同志「それじゃあ、解散。同志軍医達は私に着いてきてくれ。他に案内したい所があるからな。」
同志「・・・と、その前に。ヴィルケ中佐」
同志がミーナに目をやる。
ミーナ「わかってるわ。・・・皆さん。」
呼ばれた軍医たちが姿勢を正す。
ミーナ「第501統合戦闘団にようこそ。歓迎するわ。」
【飛行機用格納庫】
同志「諸君!整列!!」
隊員「「「はっ!」」」ザッ
同志「こちらが、今日からこの501部隊に配属される事になった三人の軍医達だ。」
三人は、簡単な自己紹介を済ませた。
シャーリー「シャーロット・イェーガー大尉だ。シャーリーで良いよ。」
赤色のブレザーを着た胸の大きいウィッチと、飛行服を着た兵士が言う。
"シャーリー"と呼ばれた少女はとても少女とは思えないような体形をしており、兵士の方は外見は若かったが、ベテランの風格を漂わせていた。
十分「十分少尉です。よろしくお願いします。」
坂本「坂本美緒少佐だ。よろしく頼む。」
次に自己紹介したのは、長い外套を着た優しそうな顔の少年と、きりっとした顔立ちの眼帯を付けた黒髪の少女だった。
同志「・・・見ての通り、この部隊では階級などをあまり気にする必要はない。士官だろうが佐官だろうが兵士だろうがほぼ対等な立場だ。」
同志「だから、改良してほしいことや気になった事があったら、遠慮せずに言ってくれ。」
衛生兵たち「「「はっ!!」」」
【ストライカーユニット用格納庫】
二等兵「あ、こんにちは。」
先ほど紹介された兵士が、ストライカーユニットの整備をしている所だった。
エイラ「コンチワ。」
横でエイラが、ストライカーユニットを整備する二等兵の手元を覗き込んでいた。
二等兵が整備しているのは彼女のストライカーユニットらしい。
同志「ここがストライカーユニット用の格納庫だ。今ここに居るのは彼だけだが、実際はもっと数がいる。」
同志「近いうちに新しい整備兵が来ると聞いていたんだがな・・・また上層部の口約束か。やれやれ。」スタスタ
同志は肩をすくめ、さっさと歩いて行ってしまった。
軍医達は慌てて後を追う。
【衛生兵視点】
その後、いろいろな所を見て回った。ウィッチも紹介された。皆、美人だった。
中庭で訓練している兵士達も居た。酒臭かったが陽気で、腕前は確かなようだった。
車両で一杯になっていた車両用の格納庫、見た事のない武器で沢山の武器庫、露天風呂まで付いていた。
同志「それじゃ、夕食時になったら呼ぶから荷物の整理をしててくれ。」
そして、最後に医務室を回った後、解散となった。
衛生兵「しかし、広い医務室だな・・・。掃除もきちんとされている。」
メディック「"資金だけは沢山ある"そうだぞ。」
ジョン「大方各国が他の国から批判されるのを恐れて沢山出しあってるって所だろうよ。」
衛生兵「まあ、俺はこれだけいい労働環境なら不満は無いがな。フミカネブルグって言うからもっとひどい所かと思ってたよ。」
メディック「ああ。知り合いの兵士達から"あそこの医務室は掘立小屋だ"って聞いてたからな。」
ジョン「それ、俺も言われたな。・・・百聞は一見に如かず、だ。」
衛生兵「なるほど、廊下を挟んで居住スペースと別れてるのか。」
ドンドン
壁を叩いてみる。
衛生兵「うん、防音性も問題なしだ。俺達、ひょっとしたらとんでもない当たりくじを引いたのかもな。」
メディック「ハハ、そうだな。最高だよ、一人一部屋なんて。」
その晩は、ジョンの部屋で三人で飲んだ。
このメンバーならどんな激戦でもやっていけるだろう。そんな気がした。
最終更新:2013年03月30日 23:26