―アンジェ。お前は、強いな。

―そう言うお前は、昔から変わらないな。


―アンジェ。お前は、俺が守る。

―お前は何を言っている!?ウィッチでも無いお前に、私を守ることなど・・・



【フミカネブルグ基地】

オレサ「ここがあの501基地か・・・。」

501基地は古い要塞をそのまま使っていた。あちこちにべトンで固められた対空砲陣地があることを除けば、観光地にでもなりそうな雰囲気を出していた。

オレサ「今日からここに配属か・・・さっさと帰りたいんだがな・・・。」スタスタ



同志「おお、貴官が今日からここに配属になったオレサーバル兵曹か。」

俺は唯の一兵曹だというのに、歩兵部隊の指揮官が出迎えてくれた。ずいぶんと待遇がいい。

同志「君の部屋は・・・うん、口で説明するよりも地図を渡したほうが早いだろう。荷物を置いたら司令室まで来てくれ。」

オレサ「はっ!」ビシッ

スタスタ

オレサ「ああ・・・めんどくせえな・・・」ボソッ




―事の始まりは、数日前にさかのぼる。


オレサ「私に・・・501に行けと!?」

ミーナ「ええ。今日私がここに来たのは、あなたを我が501統合戦闘団にスカウトするためです、俺兵曹。」

オレサ「・・・。」

アンジー「オレサーバル。私のことは気にしないでくれ。行ってくれ。」

オレサ「だけど、俺はお前のそばにいると約束したんだぞ!」

アンジー「501統合戦闘団が置かれているのは激戦区として有名なフミカネブルグだ。あそこが陥落したら何人死ぬと思う?」

オレサ「そんなことは関係ない!俺は、ただお前が生きていてくれば・・・」

アンジー「・・・なあ、オレサーバル。・・・お前があそこに行かないことでフミカネブルグが陥落するようなことがあったら・・・」

アンジー「人類側は総崩れになる。そんなときにネウロイに侵略されたらどうなると思う?私も死んでしまうかもしれないんだぞ?」

それは、穴だらけの論理だった。
それは、暴論であった。
しかしそれは彼を納得させるのには充分な理由であった。
特に、狂おしいほど愛している者から発せられた言葉であった時には。

オレサ「・・・分かりました。」


ミーナ「・・・では、詳しい話は外で。」

オレサ「・・・はい。」


オレサ「・・・アンジー。」

アンジー「何だ?」

オレサ「一緒に居てやれなくてゴメンな。行ってくるよ。」

アンジー「・・・。」

******



―格納庫に入ったとき、俺は驚いた。

―数年前とは、まったく逆だった。今度は俺が驚く番だった。

―あいつが、居たからだ。それも元気な姿で。



同志「ああ、そうだ。貴官のほかにもう一人ウィッチが配属されたんだったな。名前は―」



アンジー「なんだ?人を幽霊でも見るような目で見て。」

俺は、ひとまずアンジーの頭を撫でる事にした。

アンジーは笑ってくれた。くすぐったそうな笑顔で。




同志「ほほう、なかなか感動的な話じゃないか。」ニヤニヤ

兵士「「「「ヒューヒュー!」」」」

オレサ「もう、からかわないで下さいよ・・・。」

誰が話したのかはわからないが、この話はいつの間にか基地中に広まっていた。

ちなみにアンジーは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしてぶっ倒れ、医務室に運ばれていっている。

オレサ「まったく・・・。」ゴクゴク

しかし、ここは案外悪くない。

…き、きっと、アンジーが居るからだ。うん。そうに違いない。




【数日後】

同志「同志諸君!!!」

同志が、基地の中庭で兵士に向かって演説をしている。
酔った勢いではない。彼は素面だった。
―そう、これは出陣前の演説だった。兵士たちは皆、銃を携えて殺気立っている。

同志「この501基地より南東に20キロ!そこで大規模なネウロイの反応が確認された!」

同志「今日は、それを叩く!叩かねば奴等は勢力を増し、このフミカネブルグの安全を脅かすことになるだろう!」

同志「同志諸君、君たちは今日、警官になってもらう!ネウロイという悪党どもがアジトから出てくる前にやっつける警察官だ!しかし、われわれがやるのは犯人逮捕じゃない。」

同志「ソビエト流に、だ。ソビエトの警官がどんな奴等かは、君たちも知っているだろう?」

そこで、にやりと笑って間を空ける。

同志「捕虜は要らん、というより捕りたくても取れないだろうな!・・・よし、掛かれッ!」

同志の一言によって兵士たちが沸き立ち、銃を突き上げながら整列した。


【格納庫】

中庭から格納庫は近い。当然、同志たちのざわめきも格納庫まで聞こえてきていた。

オレサ「・・・単純すぎやしないか?」

オレサーバルが、横で飛行帽子を被りながら準備をするキ84に話しかける。

キ84「綿密に作戦を立てるのも良いがな、ネウロイは時として予想もつかない行動をする。」

十分「そして、鳥頭でもあるんです。」

十分が割り込んでくる。
彼はもう支度を終えてしまって手持ち無沙汰なのか、地面に座って最後のチェックをする整備兵たちを眺めていた。

キ84「そうだな。それに、最初っからあんまり細々した計画を考えておくと、逆に指揮が混乱しちまうんだよ。」

キ84「さ、もう行こう。お嬢さん方がお待ちだ。」

十分「ええ。それでは、行って参ります。」ザッ

オレサ「はい。」ザッ



ウィッチと飛行機隊員たちを集めて、坂本が言う。

坂本「今回の作戦の中心は陸上部隊だ。だから、彼らを守ってやる必要がある。」

坂本「そこで、ペリーヌと宮藤、リーネは地上部隊の直掩に回れ。」

ペリーヌ・宮藤・リーネ「「「はいっ!」」」

坂本「シャーリー、キ84。お前たちの強みは機動力だ。ネウロイを翻弄して、地上部隊への射撃をできるだけ分散させろ。」

シャーリー「よし来た!」

キ84「仰せのままに!」

ゲルト「それで、私たちは何を?」

坂本「攻撃に回ってもらう。」

ゲルト「今回の作戦は地上部隊の防御が中心では?」

坂本「攻撃は最大の防御、という言葉がある。ララサーバル、バルクホルン、エーリカ。お前たちは後ろから回り込み、ネウロイを叩け。」

エーリカ「それって、挟み撃ちにするって事?」

坂本「そうだ。だから、お前たちの火力が必要なんだ。」

ゲルト「わかった。やってみよう。」

エーリカ「ふあ~あ、めんどくさいなあ・・・。」

ゲルト「お前はもう少し真面目にやらんか!大体お前はだな・・・クドクド」

アンジー「・・・ゴホン。」

ゲルト「・・・すまん。」

坂本「・・・私と十分は飛行型ネウロイの相手をするぞ。」

十分「了解。」

エイラ「それで、私とサーニャはどうするんダ?」

ミーナ「あなたたちは昨日の夜間哨戒で魔力をだいぶ失っているから・・・」

サーニャ「そんな!私・・・まだ、戦えます・・・」

ミーナ「魔力が切れたらあなたが危険なのよ?」

サーニャ「で、でも!みんなが出撃するのに私だけなんて・・・」

坂本「うむ・・・そうだな。飛ばなければあまり魔法力を消費しないはずだ。歩兵部隊と一緒に行動してくれ。フリーガーハマーの火力は貴重だぞ。」

サーニャ「は、はい!」パアア


二等兵「気をつけてな、エイラ。」

エイラ「ナンテコトナインダナ!」

二等兵「ひとまず俺はできるだけのことをやった。そのストライカーは信用してくれて良いぞ。」

エイラ「ソ、ソウダ・・・出発する前に、ソノ・・・」

二等兵「ん?まだ何かあるのか?」

エイラ「っ///」チュッ

二等兵「えっ!?ええ!?」


坂本「十分・・・そ、その、私にもだな・・・//」

十分「こ、この場でやれと?//」


アンジー「・・・。///」

オレサ「・・・気をつけてな。」

オレサーバルは、目の下に熊を作っていた。徹夜でストライカーユニットの整備をしていたらしい。

アンジー「わた、わた、わたしも・・・・」

オレサ「ん?撫でて欲しいのか?」ナデナデ

アンジー「ち、ちがう、そうじゃない・・・ばか者・・・//」


キ84「チッ・・・・」ボソッ

シャーリー「な、なあ。あたしには・・・」ソワソワ

キ84「ん?何言ってんだ、お前。」

シャーリー「・・・。」




同志「全隊、進め!」


キュルキュル・・・


歩兵たちが戦車の上に跨乗し、戦車がキャタピラの音を響かせながら進んでいく。

同志「今のところは順調、と・・・。」

指揮車に乗った同志がその言葉とは裏腹の、厳しい顔をしながら呟いた。
隣にはフリーガーハマーを構えたサーニャとエイラが乗っている。

サーニャ「大丈夫です。私がみんなを守ります・・・守りますから・・・。」

同志「・・・有難う。」

エイラ「オット、私を忘れてもらっちゃ困るんダナ。」

同志「・・・頼りにしてるぞ、同志ユーティライネン。」


ウルマン「同志大尉殿。ネウロイの反応が確認された地点までの距離、残り5000を切りました。」

同志「了解。さて、大捕り物の始まりだぞ、諸君・・・。」



【上空、キ84、シャーリー】

キ84《ザザッ・・・おいシャーリー!本当にこっちで合ってるのか!?》

シャーリー《大丈夫、大丈夫!あたしの勘を信じて!》

彼らは雲の上に居た。

出された指令は、ネウロイの攻撃をかく乱しろ、だった。
しかし、彼らがその命令を真面目にこなす事などありえない。
前回の戦いで行った作戦、つまり急降下銃撃をまたやろうとしていた。

キ84《こいつを撃ちたくてうずうずしているんだ・・・。》

翼に据付けられた20ミリ機関銃を見て言う。

シャーリー《心配しないでも、存分に撃てるだろ。ほら。》

シャーリーがそういうので前を見ると、雲の切れ間から大量のネウロイが居るのが見えた。

キ84《なんだ・・・・ありゃ・・・》

それは、奇妙な形をしていた。
六角形の形をした土台。真ん中からは卵形の奇妙な構造物が生えている。
そして、その六角形の周りを回るように、小型の地上ネウロイたちが行進している。
卵型の周りには飛行タイプの中型。時折卵の壁に穴が開き、そこから小型が吐き出されていた。

キ84≪気色悪い形してやがる・・・≫

シャーリー≪だけど、あれだけ大きいと潰しがいがあるだろ?≫

キ84≪まあな。ザザッ・・・同志、あんたたちは今どこに居る?≫

同志≪ガガッ・・・もう少しだ!君のことだからもう上空まで着いているんだろうな。しかし、辛抱だ、同志少尉!この作戦は一斉に攻撃することに意味があるんだ!≫

キ84≪へっ、よく分かっていらっしゃる。しかし、俺は最近耳が遠いのでね、あんたの命令を聞き逃してしまうこともありそうなんだ。≫

同志≪分かった分かった!それじゃ敵の陣形を教えてくれ!我々も全速力で向かう!≫

キ84≪ちょっと待ってな・・・小型の地上タイプのネウロイが六角形の陣形を組んでる。そんで、真ん中に卵形の構造。そこが発生源になってるようだ。≫

シャーリー≪あと、中型の飛行タイプが結構な数上空を飛んでるよ!≫

同志≪飛行型か・・・。20ミリでやれそうか?≫

キ84≪やれるかやれないかと聞かれたら・・・やるしかない。≫

同志≪よーし、君に不可能は無い。後は分かるな?通信終了!…ザッ≫

シャーリー≪あはは、よく分かっていらっしゃる!≫

キ84≪おい、俺の真似するなよ!!≫



【地上】

同志「ふむ。彼らは問題無さそうだな。」

同志≪ザザッ・・・上空の天使たちへ!貴官たちは?≫


【歩兵部隊上空】

ミーナ≪ザザッ・・・問題無いわ。≫

ペリーヌ≪ザッ・・・大丈夫でしてよ!≫

リーネ≪問題ありません。≫

宮藤≪準備はできてます!!≫


同志≪よーし、よし。我々の守護天使たちも問題なし、と。遊撃隊、あなた方は?≫


【遊撃隊】

ゲルト≪カールスランと軍人たるもの、コンディションは常に・・・ウンタラカンタラ≫

エーリカ≪そんなまどろっこしい言い方しなくても、"大丈夫"だけでいいじゃん!相変わらず話が長いね、トゥルーデは。≫

ゲルト≪何だとハルトマン!カールスランと軍人たるもの・・・≫

同志≪・・・あなた方の調子が良いのは大変喜ばしいことです。最小な事は後でいくらでも聞かせて頂きますから簡潔にお願いします。≫

ゲルト≪ふん・・・問題無い。≫

エーリカ≪私も問題無いよ!≫

同志≪同志ララサーバルは?≫

アンジー≪大丈夫だ。≫

同志≪良し、問題は無さそうですね。≫

アンジー≪あの・・・≫ゴニョゴニョ

同志≪何でしょう?≫ボソボソ

ワーワーギャーギャー

アンジー≪この二人の性格は・・・ずいぶんと間逆な気がするのだが、大丈夫なのか?≫ボソボソ

同志≪性格が間逆だと意外と上手く行くものなのですよ、同志。似たもの同士でも上手く行きますがね。通信終了。ザザッ・・・≫ボソッ

アンジー「あ、ちょっと・・・なんなんだこの部隊は・・・」


ワーワーギャーギャー


アンジー(まあ、あいつが私の頭を撫でてくれたおかげで頑張れそうだがな///)



【地上】

同志≪同志十分、同志坂本!あなた方は!?≫

十分≪いつでも行けます。≫

坂本≪いつも通りだ。≫

同志≪流石は扶桑の両親といわれたお方たちだ!頼りにしているぞ。≫

坂本≪なっ・・・//≫

十分≪・・・//≫

同志(この反応も、いつも通りか・・・。)



ウルマン「戦場に到達しました!」

同志「ようし!同志諸君、戦闘準備だ!戦車から降りて、戦車を盾にして前進しろ!」


兵士たちの目の前には、巨大で、醜いネウロイがいた。
得体の知れないそれは兵士たちを恐怖させる。


兵士「で、でけえ・・・」

兵士「あ、あんなのを倒すのか・・・?」


同志『『『うろたえるな、同志諸君!!!!』』』

そこに、拡声器越しの同志の声が響く。

同志『同志諸君!上を見ろ!!』

兵士たちが一斉に上を向く。ほぼ全員が上を向いたのは、恐怖心から逃れたい一心であったためか。

そこには、天使たちが居た。戦闘機が居た。

同志『『『天使は我々の方に居る!!それもとびっきり別嬪な守護天使達だ!!』』』

別嬪といわれ、二人のウィッチが顔を赤くした。

ペリーヌ「べ、べ、べ、別にわたくしは・・・//」

リーネ「・・・//」

同志『『『古来から、美人の天使が居るほうは勝つと決まっている!さあ銃を掲げろ!!恐れずに戦え!!恐れる必要がどこにある!!』』』

兵士「「「「「「「「「ウラーーーーー!!!」」」」」」」」」」


恐怖は、消えた。

兵士達は、醜い敵に向かって行軍する。

恐れなど無い。だって彼らは守護天使によって守られているからだ。




十分(一人、野郎も居るけどね)ゴオオオオ

坂本(言ってやるなよ、十分・・・。)




戦車が一列に整列する。
兵士達はその周りを取り囲み、前をキッと見据えた。

    マルーシェ!!
同志「前進!!!」



キュルキュルキュル・・・


ザッ、ザッ、ザッ・・・・


軍靴が、キャタピラが、地面を踏み、音を立てる。
鼻歌が聞こえていた。下手糞な軍歌も聞こえていた。
そして、勇ましい掛け声も聞こえていた。


メデイック「相変わらず凄えな・・・。」

ジョン「ああいうのを洗脳って言うのかね?」

新任、といっても一度戦場を経験した軍医達は、ジープに乗って歩兵部隊の後ろについていた。
人間側の陣形はひたすらに直線。これが人間相手の戦争ならば自殺行為もいいところだが、ネウロイ相手には集中砲火が一番有効なのだった。
その直線の一番後ろの層に軍医や衛生兵たちが乗ったジープが配置されている。

メデイック「・・・そうだ、衛生兵はどうした?姿が見えないようだが。」

ジョン「ああ、あいつなら基地に残ってルッキーニ中尉の看病をしてるぞ。」



【基地】

ルッキーニ「うじゅー・・・あづい・・・」

衛生兵「駄目ですよ、風邪の時は温かくしてないと!」

ルッキーニ「でも・・・」

衛生兵「でも、じゃありません!」




戦場から、次々に報告が送られてくる。
それは名も無き通信兵の報告であったり、車両の報告だったり、航空部隊だったり、ウィッチだったり。
501基地では無線機の前に基地待機を命じられた整備兵たちが集まり耳を傾けていた。

二等兵(エイラ・・・無事に帰って来いよ。)

オレサ(心配だ・・・ああ、心配だ・・・!!)


【前線】

キュルキュル・・・

同志(そろそろ、T55の有効射程圏内だな。)

同志「全隊、止まれ!!」

同志「T55は前方の陣地に発砲!!カチューシャ隊は・・・狙いは滅茶苦茶でいい!!自由に発砲しろ!!」


兵士「「「「ダー!!」」」」


T55―戦車の主砲が上を向き、ロケット砲が装填される。


同志「・・・発砲ッ!!」




ずうううううううううんん!!!


発射音が大地を揺らす。


ばしゅうううううううううううっ!!!


ロケットが315m/秒というゆっくりした速度で飛翔していく。
ニトログリセリンとニトロセルロースを載せたこのロケット、本来ならば有効射程は5500メートルである。
しかしネウロイの巣に接近した事により、不正確な狙いはとても正確なものとなっていた。



100ミリライフル砲の砲弾は多数の小型ネウロイを巻き込み、表壁のネウロイを貫いた。
ロケットの炎がぽっかりと空いた穴から巣の内部を侵食し、再生の足止めをする。


同志「ネウロイの丸焼き一丁上がりだ!!・・・と言いたいところだが諸君、あれではレアにすらなっていない。同志キ84。」

キ84《ザッ・・・何だ?》

同志《我々はさらに巣に近付くつもりでいる。ネウロイの攻撃をちょっとばかり逸らしていてくれないか?》

キ84《了解。・・ガガッ》

同志「流石だな・・・よし、全員、前進!!」


ザッザッザッ・・・


ビィィィッ!!


ペリーヌ「させませんわ!!」ガンッ

歩兵部隊に向けられたビームは、全てウィッチによって防がれた。

リーネ「えいっ!!」ボンッ

ガキインッ!!

兵士「表面の装甲が剥がれた!あそこに一斉射撃だ!!」

ガガガガガガガガガ・・・

同志「反撃、来るぞっ!!」

ドウンッ!!

宮藤「させない!!」ガンッ

装甲が少しずつ削られていき、反撃は全てシールドによって防がれる。
歩兵部隊とウィッチの共闘は、全てが上手く行っていた。


キ84「ほらほらどうした!!そんなんじゃ俺達は撃ち落とせねえぞ!!」グイイイン

シャーリー「遅いぞネウロイ共!!」ガガガガガ・・・

上空のキ84とシャーリーはネウロイのビームを引きつけ、時折反撃に出てくる小型の飛行タイプを難なく撃ち落として行った。

シャーリー「しかし、その戦闘機、随分早いな。ウィッチにも負けないんじゃないか?」ドドドドド・・・

キ84「ああ。ウィッチだけに戦わせる訳には行かないからな!!」ガガガガガ・・・


十分「"同志と共に!!"・・・リアルコマコンか・・・胸が熱くなるな・・・。」ドルルルル・・・

坂本「・・・? 何を言っているんだお前は。」ザシュッ!!

十分「いや、あれはソビエトじゃなくて中国か・・・。"天からのプレゼントだ!"よし、これで行こう。」ブツブツ

坂本「・・・大丈夫か?」

十分「ええ、何も問題ありませんよ・・・何も・・・。」



【基地の酒場】

オレサ「・・・。」ウロウロ

二等兵「おや、奇遇ですね。」

オレサ「あ、ああ・・・。」ウロウロ

二等兵「・・・貴方もウィッチ達が心配ですか?」

オレサ「当たり前だ!ああ、アンジー・・・!!」

二等兵「俺も・・・俺もエイラが心配で居ても立っても居られないのです。何かしてないと叫んでしまいそうで・・・」

ウルボン「まあ飲み物でも飲んで落ち着け、同志諸君。」

二等兵「え、こんな時でもやっているんですか?」

ウルボン「おうよ!ウルボンおじさんの酒場は槍が降ろうとツアーリ・ボンバで撃たれようと平常営業だぜ!」

二等兵「・・・それじゃ、このモトロフカクテルってのを・・・」

ウルボン「あいよ。」

オレサ「・・・か。」

ウルボン「?」

オレサ「こんな時に・・・落ち着いていられるか!!あいつはまだ戦っているんだぞ!?」

二等兵「オレサーバルさん・・・。」

ウルボン「まあ、落ちつけよ。ここで騒いだところでどうにもならんさ。」

オレサ「・・・っ!!」

ウルボン「・・・良く聞け。空を飛ぶ物も、地上兵器も歩兵部隊もな、絶対に必要なものがあるんだ。補給だよ。」

オレサ「何の・・・話だ!?」

ウルボン「補給は何処ですると思う?勿論前線で補給する事も出来るがな、それは完全じゃない。兵士たちが休み、負傷者を治療し、兵器の手入れをする場所が必要なんだ。」

二等兵「・・・HQ?」

ウルボン「正解!そうだよ、絶対に脅かされることのない本拠地が必要なんだ。本拠地は移動してはいけないし、混乱してもいけない。どっしりと構えてなきゃならない。」

ウルボン「つまりだな・・・お前は兵士達を信用し、どっしりと構えてればいいんだ。その代わり疲れ切った兵士達を温かく迎えてやれ。心の支えになってやれ。この"兵士"が誰か分かるよな?」

オレサ「・・・。」

カランコロン

衛生兵「お、やってるやってる。おじさん、ルッキーニ少尉に何か消化の良い物を食べさせてあげてくれませんか?」

ルッキーニ「うじゅー・・・・・」グッタリ

ウルボン「よし来た!・・・じゃ、ウルボンおじさんの話はここで終わりだ。参考になったか?」

オレサ「・・・ありがとう。」



【前線】

ザッザッザッ・・・


地上部隊の包囲は、さらに狭められた。

巣の三分の一が取り囲まれ、ネウロイ達の注意は完全にそこに行っている。


同志「歩兵部隊、広がりすぎだ!!それでは天使達のシールドから離れてしまうぞ!!」

兵士「うぐあああっ!!」

兵士「クソッ!!クソッ!!シールドから離れちまった!!」

宮藤「・・・っ!!」

同志《ザザッ・・・冷静になれ同志諸君!!一度指揮車の周りに再結集するんだ!》

兵士《くっ・・・了解!》

同志《同志宮藤、同志クロステルマン、同志ビショップ。指揮車の周りに集まって、兵士達を防護してくれないか?》

宮藤《はいっ!!》

ペリーヌ《全く、世話が焼けますわね・・・》

リーネ《は、はい!!》ドンッドンッ

同志《負担をかけてすまないな、諸君。》

同志《遊撃隊、そろそろ君達の出番だ。ネウロイの注意は完全に我々に向いている。》

ゲルト《ザザッ・・・こちら遊撃隊。了解した。》

ゲルト《よし、行くぞ!》ゴオオオ・・・

バルクホルンの指示で、雲に隠れていた遊撃隊の三人が一気に降下する。
手にMG42を携えて。

ゲルト「うおおおおおおおおっ!!!」

エーリカ「いっくよーっ!!」

アンジー「ふんっ!!」


ガガガガガガガ!!!!



キ84「ヒュー。すげえな。」

シャーリー≪こちら観測機!遊撃隊がタマゴを破壊した!≫

同志≪見えているぞ、同志。・・・はっきり言って想像以上だな。さすがは人類最強とエースたちか・・・。≫



アンジー≪はあ、はあ・・・。≫

整備兵≪おい、ちょっとアンタ・・・うわっ!!≫

アンジー≪・・・?≫

オレサーバル≪おい、アンジー!大丈夫か!?≫

アンジー≪ふふ、心配してくれてるのか?ありがとうな。≫

オレサーバル≪当たり前だろう!!それより、怪我は無いのか!?≫

アンジー≪心配性だな、お前も。問題ないさ。≫

オレサーバル≪本当か!?お前、前みたいに嘘を着いてるんじゃ―≫

ゲルト≪・・・ゴホン。ララサーバルには傷ひとつついてないぞ。私が保証する。≫

オレサーバル≪本当ですか!?本当なんですね!?≫

同志≪ザザッ・・・ああ、分かった分かった。迎えの車を基地に出すから自分の目で確かめてくれ。≫

同志≪遊撃隊の天使達は戦域を離脱、その後一旦こちらまで来て欲しい。≫

エーリカ≪りょうかいっ!!≫


同志「さて、まだ土台部分が残っているな。」

同志「全員!ガスマスクを着用しろ!!」

同志の指示で、兵士達が車両から配られたガスマスクをつける。

同志「サーニャ、ユーティライネン中尉。君達もつけるか?」

サーニャ「いえ、私達はウィッチなので・・・。」

エイラ「ふふん、この私がソンナ物に頼ルナンテ・・・」

同志「よろしい。軍医達は数名の工兵とともにここから300メートル後ろに前線指揮所を構築してくれ!装甲車を何台か回すから、負傷者と死体の回収も頼む。」

メディック「はっ。」

ジョン「了解。」


同志「さあ、長期戦になるぞ・・・。」


********



同志「クソッ、少し甘く見すぎていたか・・・。」

ビィーッ

兵士「うわあああああああっ!!!」

兵士「うぐぉっ!!」

横に立っていた二人の兵士が焼き切られる。
兵士達は匍匐全身を敢行していた。と言うより激しい攻撃のせいで頭を上げられなかったのだ。

同志「この状況を打開するには・・・。」

同志「T55!前へ!定石じゃ歩兵を戦車の前払いとして出すもんだが・・・こういう場合は仕方が無いな。」

同志「サーニャ、こっちに来てくれ!!!」

同志「頼むぞ、サーニャ・・・。」

同志は着ていたコートを放り投げて、まだ煙が立ち昇っている兵士の死体を隠した。




*********

【前線指揮所】

メディック「どんどん負傷者が増えてくるな・・・。」

ジョン「ああ。クソッ、丸焦げの死体ってのは嫌なもんだ。」

メディック「前線はどうなっているんだ?被害が増しているばかりじゃないか!!」

ソ兵士「そ、それが・・・奴等の土台が予想以上に硬くて・・・」



同志「予想以上に深くまで根を張ってるんだよ、クソッタレ!!」ガガガガ

サーニャ「くっ!!フリーガーハマーでも完璧に破壊できないなんて・・・。」

同志「よし、サーニャ、君は小型ネウロイ達の射出口を攻撃して、やつらが出て来れないようにしてくれ!」

サーニャ「は、はいっ・・・!!」

同志「同志ビショップ、同士クロステルマン!!電撃で今外に出ている奴らを落として、狙撃でサーニャがカバーできない射出口に栓をしてやれ!」

ペリーヌ「分かりましたわ!」

リーネ「ハイ!」

同志≪十分少尉、坂本少佐!≫

十分≪ご命令ですか!?≫

同志≪危険な任務なのは重々承知だが・・・一つ頼めるか?≫

坂本≪・・・聞こう。≫

同志≪率直に言うと・・・烈風斬を土台に向かってやって欲しいんだ。≫

坂本≪だ、そうだ。出来るか?≫

十分≪少佐が良ければ。≫

坂本≪決まりだ。やってみよう。≫

同志≪有難い!!ご武運を。≫

同志「「「「兵士諸君!!攻撃の手を緩めるな。巣に再生する余地を与えてはならん!!」」」」

兵士「「「「「了解!!!!」」」」」」




****

オレサーバル「良かった・・・アンジー・・・・。」

アンジー「だから、私は怪我などしていないと言っただろう!?心配性だな・・・。」フラッ

オレサーバル「お、おい、アンジー!?」

アンジー「大丈夫だ、ちょっと疲れただけさ。」

エーリカ「熱々だね・・・。」

ゲルト「ああ。私もあれほど心配してくれる仲間が欲しいものだ・・・。」

エーリカ「あれ?珍しいね・・・にしし。」

ゲルト「ち、ちがうぞ!わ、私はただ信用できる仲間がだな・・・」

エーリカ「トゥルーデには、きちんと心配してくれる人がいるでしょ?クリスとか、ミヤフジとか。私だって。それとも私じゃ不満?」ニコッ

ゲルト「そそそそんなことは・・・・///」

*****



坂本「烈 風 斬 !!!」


ごうっ


風が起こり、光線が起こり、ネウロイの巣の土台が貫かれる。


パリン・・・・


十分「掴まって!」

落下していく坂本を、急降下した十分が曲芸のような動きで受け止めた。

坂本「ありがとう。さて、流石にネウロイでもあれなら・・・」


シャーリー「!!!」

キ84「なん・・・だって・・・・!?」

同志≪どうした!?何が見えるんだ!?≫

キ84≪土台が崩れたが・・・地中にでっかいコアが・・・。≫

同志「・・・カチューシャロケット隊、砲撃を。」

兵士≪・・・先ほど、すべて撃ちつくして・・・≫

同志「くっ・・・。攻撃する手立ては無いのか・・・」



?「いや、まだあるぞ!!」

オレサーバル「お、おい!!お前、もう飛べないんじゃ・・・」

アンジー「大丈夫、お前のおかげで今の私は・・・なんでも出来そうなんだ!!」

オレサーバル「だ、だが・・・」

アンジー「私はもう、あの頃とは違うんだ。信じてくれ。」

オレサーバル「・・・。」

アンジー「心配するな。私は必ず戻ってくる。」ギュッ

オレサーバル「・・・いや、お前は昔からそうだったよ。強い奴だったんだ。・・・行ってくれ。」

アンジー「ふふっ・・・ありがとう。」



同志「・・・。それで、どうやって攻撃する?」

アンジー「同志、お前のところの車両を一つ借りてもいいか?」

同志「・・・それで巣が破壊できるのならば。」

アンジー「分かった。それじゃあその戦車を借りるぞ。乗員つきで。」

同志「良いだろう。しかし一つ・・・条件がある。あの戦車はいくらでも作れるとはいえ、それなりの愛着があるんだ。"乗員"は私にやらせてくれ。」

アンジー「良いのか?お前がいなくなったら歩兵部隊の指揮は誰が取るんだ。」

同志「我々はソビエト軍だ。ソビエトはいつも現場指揮官がアドリブでやってきたんだ。それにウルマンも居るしな。」

アンジー「分かった。それじゃあ乗り込んで―」

オレサーバル「待った!同志、私も戦車の操縦なら出来ます。乗らせていただけませんか?」

同志「同志ララサーバル?」

アンジー「・・・同志大尉。私はあいつが側に居たほうが・・・よく戦えるんだ。」

同志「よし、決まりだな。おい誰かこの二人にヘッドセットを渡してさし上げろ。」

アンジー「いや、一つでいい。」

同志「どういう事だ?」

アンジー「考えがあるんだ・・・。」



ゴゴゴゴゴ・・・・

同志「お、おお・・・・。」

T55が,空に浮かぶ。普通はあり得ない。
空に浮かぶT55にはロープが張り巡らされていて、その先端をララサーバルが持っていた。

同志「・・・結婚した時に苦労しそうだな。」

オレサーバル「け、け、結婚なんてまだしてませんよ!!」アセアセ

同志「あれ?違うのか?まあいいや。」



空飛ぶT55は、地面にぽっかりと空いたネウロイの巣の丁度上までたどり着く。


ギギギギギ・・・・・


オレサーバル「お、おい!傾け過ぎだぞ!!」

アンジー「今だ、撃て!!」

同志「なるほど、魔力を込めたのか・・・無茶言いやがる!畜生っ!!」

同志「・・・装填ッ!!」

同志の掛け声で、砲術士が弾を込めた。

オレサーバル「仰角10度、距離100!撃てっ!!」


ドオオオンッ!!


青い光を纏った直径100ミリの鉄鋼弾が空気を切り裂く飛んでいく。
鉄鋼弾は榴弾では無いため、火薬が入っている訳ではない。
しかし、先端はとても固い鋼鉄で固められ、唯でさえ固い弾丸が、魔法力によってさらに固い物となっていた。

キ84《あと少しで崩壊するぞ!!》

上空を旋回していたキ84が報告する。

アンジー「次弾装填!!」

オレサーバル「あいよっ!!」ガコン

同志「仰角12、距離に修正なし!」

アンジー、オレサ「「喰らえッ!!!!」」


ズウウウウウウウウンッ!!




同志「・・・。やったか?」

シャーリー《こちら上空。敵影無し。》

キ84《目視で確認。ネウロイ共は皆消えちまったようだな。あいつが本体だったみたいだ。》

同志《兵士諸君へ・・・皆良くやってくれた。作戦終了だ。基地防衛要員は祝賀会の準備を!》

兵士《《《了解!!》》》



(オレサーバル視点)

居てもたっても居られなくなって、アンジーが着陸する地点に先回りした。
着陸したら、力いっぱい抱きしめてあげよう。きっとあいつは疲れているだろうから。



アンジー「こ、こら、皆見て・・・///」

オレサ「おかえり、アンジー。」ギュッ

アンジー「ふふっ・・・。///」

抱きしめてから、頭を撫でてあげよう。きっとアンジーは笑ってくれる。

オレサ「・・・。」ナデナデ

アンジー「・・・//」ニコッ



キ84「おー」

同志「これは・・・」

メディック「とても」

十分「熱いですね。」

シャーリー(キ84、いい加減私の事も・・・)

サーニャ(帰ったら同志さんになでなでして貰って・・・///)

坂本(そ、そうだ、最近あいつに頭を撫でてもらってないな・・・って何を考えているんだ私は!)

ゲルト(あいつは、私の事を・・・覚えているだろうか・・・)




ジョン、エーリカ「「なにこれむせる」」
最終更新:2013年03月30日 23:27