第2話「新たな出会い」
俺「どうも」
ルッキーニ「あ?っ!!さっきの人だ?!!」
エーリカ「そんなことより……」
「「「「男の人?!!!?」」」」
バルクホルン「だ、大丈夫なのか!?ミーナ」
ミーナ「ええ、大丈夫よ。俺さんは医師免許を持ってはいないけど、腕は世界一といっても過言じゃないわ」
エイラ「だ、大丈夫なのかヨ!?医師免許持ってないとか危ないゾ!!」
坂本「まぁ落ち着け、エイラ。大丈夫だ、たぶん」
エイラ「大丈夫なのカ?…」
ミーナ「では、俺さんに質疑応答の時間を取ります」
エーリカ「はいはい!」
ミーナ「どうぞ、ハルトマン中尉」
エーリカ「専門は何??外科?」
俺「専門は一応、内科です」
ルッキーニ「はいはい!次は私?!!」
「俺は何の虫が好き??」
俺「ヘラクレスオオカブト」
ルッキーニ「へらくれすおおかぶと?ピカピカでかっちょいい?」
俺「テカテカでかっちょいい」
シャーリー「なぁ、私からもいいか?」
「趣味はなんかあるのか?」
俺「趣味はありません」
シャーリー「趣味が無くて、暇じゃないのか?」
俺「いや、基本寝てるからどうってことないです」
バルクホルン「ふっ…どこかの誰かさんみたいだな」
エーリカ「なんで私を見るのさ?」
宮藤「次は私で。俺さんの出身は?」
俺「俺はスオムス生まれです」
サーニャ「エイラと同じ…」
エイラ「スオムス生まれなのカ? じゃあ、スオムスの食べ物で何が好きなんダ?」
俺「そうだな…カレリアンピーラッカかな」
エイラ「それなら私も好きだゾ。小さい頃はよく食べたナ」
ミーナ「では、一旦ここら辺で質問を終わりにします。明日から医務室には俺さんがいます。また質問したい事があれば医務室へ」
「みなさんも何か体調不良が出たら、気軽に行くように。では、解散!」
ミーナが解散の号令をかけると、みんなは各自自分の部屋に戻り始めた
そして、ミーティングルームにミーナ、坂本、俺だけの3人になった
俺「えーっと、ちょっといいですか?」
ミーナ「なにかしら?」
俺「俺、ここのウィッチの名前、誰一人と知らないんですけど…」
坂本「前に資料を渡されてなかったのか?」
俺「はい…何でも急ぎでこっちに来たので」
ミーナ「それなら、これを」
俺「ん?」
ミーナは俺にやや分厚く束ねられた紙を渡した
ミーナ「ここの隊員の資料だわ。くれぐれも悪用しないように」
俺「しませんよ… えーっと…」
「そっちが坂本美緒少佐…… で、こっちがミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐……」
坂本「早めに名前を覚えてもらえると、助かる」
俺「努力します」
ミーナ「では、これで。明日から医務お願いします」
俺「了解…」
俺は2人と別れ、部屋に戻ることにした
俺の部屋は医務室に隣接する所にある
俺はウィッチだけを診るのではなく、
整備士たちも診るらしい
俺「…名前を覚えるのが大変だな……めんどくせぇ…」
俺は暗記などの記憶系が苦手だ
中学、高校の歴史での暗記テストでいつも0点を取っていた記憶がある
だが、病名、病状などはしっかりと覚えている
これが不思議だ
俺「えーっと……あのちっちゃいやつがフランチェスカ・ルッキーニ少尉…ロマーニャ人か…」
「で、あの爆乳小娘がシャーロット・E・イェーガー大尉……リベリアンか…」
「俺と同じスオムス人は……エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉……なんか聞いたことある名前だな」
「…ん? 宮藤芳佳軍曹……治癒魔法を使う…ほう…治療が魔法で出来ちゃうのか…扶桑出身…」
「治癒能力があるなら、俺いらないんじゃないかな…」
俺は一通り隊員の名を覚え、ひとまず休息をとった
酒を飲みたいと思ったが、部屋にはベッドのみぐらいで酒どころか飲み物すら無い
俺「……貰ったサルミアッキで我慢するか……」
「相変わらず……凄い味だぜ…」
俺はスオムス出身だが母国料理でうまいと感じた料理は殆ど無い
特にシュールストレミングは一番苦手だ
一度食べたことがあるが、あれは食べ物とは思えない
俺「さて…また名前を覚えるか…」
「あの金髪頭のちびっこは……エーリカ・ハルトマン中尉……カールスラント出身…」
「あのスオムス人の隣にいたやつは…サーニャ・V・リトヴャク中尉か…オラーシャ出身…」
「本名はアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク……長い…」
「あの眼鏡っ子が…ぺリーヌ・クロステルマン中尉…
ガリア出身か…」
「ツインテールのやつが……ゲルトルート・バルクホルン大尉…金髪娘と同じカールスラント出身か…」
「…大人しそうなやつが…リネット・ビショップ曹長……ブリタニア出身…」
「それで、あの階級の高そうな2人が坂本美緒少佐とミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐か…」
「坂本美緒少佐は…扶桑出身… ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐がカールスラントか…」
一通り隊員の名前を覚えたところで、俺は寝ることにした
俺「……はぁ……」
俺は想像していた以上にウィッチが子供であったことに改めて驚きを感じながら、眠りに落ちた
俺「……ん……もう朝か……」
普段から寝起きの悪い俺だが、慣れない環境のせいかいつもより早く目覚めてしまった
俺は起きたらすぐにシャワーを浴びる習慣があるが、風呂場などを知らされていないので浴びることができない
俺「そういえば…飯はどうするんだ?……」
俺が飯について考えていたとき、ドアがノックされた
コンコン
《俺さーん、起きてますか?》
俺「…ん…」
(誰だろ?)
ドアの向こうの声の正体を暴くため、俺は静かにドアを開けた
ガチャッ
謎の声は宮藤さんだったみたいだ
宮藤「あっ!起きてましたか!俺さん、朝食ですから食堂に来てください!!」
俺「…一緒にご飯食べていいんですか?……」
宮藤「はい!ミーナ中佐にも俺さんを呼んできてくれって頼まれたので」
俺「……そうですか……今すぐ、行きます」
宮藤「分かりました!すぐ来てくださいね!!」
バタン
俺「…………さて、行くか…」
「「「「「いただきまーす!!」」」」
俺「い、いただきますってなんだ?」オロオロ
宮藤「あっ!いただきますってのは……いただきます?」
俺「……訳分からん…」
坂本「扶桑の食文化には食べる前に"いただきます"、食べ終わった後に"ごちそうさま"と言うんだ」
「"いただきます"は私たちの命のために動植物の命を頂きますという意味だ」
「そして、"ごちそうさま"は、ご馳走になりましたという意味だな!」
「まぁ、そのうち慣れるさ!!」
俺「へぇ……扶桑にはそんな食文化があるんですか……」
「じゃ、いただきます」
俺は
初めて触れた他文化に多少の戸惑いを感じながらも、朝食を食べ終えた
この朝食も俺の食べたことのないものばかりであった
この…米ってやつは…今までに何回か食ったことがあった
だが…この"なっとう"ってやつは無理だ… 食べ物じゃない…
まぁ、"なっとう"以外は凄くうまかった
食べ終わって、ウィッチ達が訓練に向かうとき、俺はヴィルケ中佐にシャワーについて尋ねた
俺「ヴィルケ中佐、シャワーはどうしたらいいんでしょうか?できれば、サウナの方がいいんですが、さすがに無いですよね…」
ミーナ「シャワーもサウナもあるわよ。俺さんは…そうね… 私達が露天風呂に入り終わったらでいいかしら?」
俺「サウナもあるんですか!あと…"ろてんぶろ"って?」
ミーナ「扶桑の物よ。俺さんも一度、入ってみるといいわ。ちょうど、今の時間帯なら大丈夫だと思うわ」
俺「じゃ、お言葉に甘えることにします」
俺は教えられた所に向かった
俺「……これは…何だ?」
教えられた場所の入り口に布のような物が垂れ下がっていた
これなんて書いてあるんだろう……扶桑語は少しだけ勉強したことがあるが…大分前だったからなぁ…
えーっと……"ぬ"…違うな…"ゆ"だっけ?……
俺「…まぁ、後で扶桑人に聞いておくか…」
俺は特に気にせずに、布をくぐった
俺「さて、露天風呂ってやつに入ってみるか……」
俺は脱いだ服をきちんと畳み、籠に入れた
そして、木製のドアをゆっくりと開けた
俺「……あんな所まで歩かなきゃならないのか……」
少し先にある丘に風呂があるので、そこまで裸で歩いていかなければならない
時々来る風に身を縮ませながらも、辿り着いた
俺「おお……これが露天風呂ってやつか……」
俺は湯気を立てているお湯にゆっくりと体を沈めた
俺「…温けぇ……癖になりそうだ…この感覚…」
俺は幸せな気持ちを感じつつ、素晴らしい景色をしばらく眺め続けた
俺「ふぅ? さっぱりした…」
俺が濡れた髪を手で乾かしながら、医務室へ向かった
そして、医務室の椅子に座ったと同時に隊一番のちびっ子
フランチェスカ・ルッキーニ少尉が入ってきた
ルッキーニ「ねぇねぇ!俺!ちょっといい?」
俺「…なに?」
ルッキーニ「あのね!ちょっとお腹がイタイの!」
俺「……昨日、どんなもの食べました?…」
ルッキーニ「えーっとね!チョコクッキーいっぱいでしょ!あと、芳佳に作ってもらった扶桑のお菓子をいっぱい!」
「あと、ケーキもいっぱい!ピッツァも!」
俺「………それは食べすぎによる腹痛ですね」
俺はルッキーニの口から出てくるたくさんの食べ物の名に少し呆れた
ルッキーニ「そうなの?食べすぎ?」
俺「しばらく菓子を控えましょう。そうすれば、腹痛も治ってくるかと…」
ルッキーニ「えぇーっ!?ヤダーッ!!」
ルッキーニは嫌そうな顔をして、すぐさま医務室を去っていった
俺「…………はぁ…」
何ともいえぬ倦怠感から溜息が出る
俺が医務室の窓から海を見ようとしたとき、一人の金髪娘がコソコソと医務室に入ってきた
俺「……なにやってるんでしょうか?」
エーリカ「わっ!?気づかれちゃった…」
俺「……バレバレです」
エーリカ「む? 気づかない振りしてくれてもいいじゃん!!」
俺「なにか用ですか? もしかして腹痛とか?」
エーリカ「違うよ? ちょっと聞きたい事があってね?」
俺「聞きたい事?」
エーリカ「ん? 大した事じゃないんだけど…」
俺「大したことじゃないなら、帰ってください」
エーリカ「俺? ちょっと冷たいよ?」
俺「俺は温かいですよ…冷たきゃ死人です」
エーリカ「違うよ!態度が冷たいってこと!!」
俺「…はいはい……で、用は?」
エーリカ「あのね、俺はどうやってお医者さんになったの?」
俺「俺は医者じゃないですよ。"元"医者です。どうやってなったのと聞かれても………気がついたらなってました」
エーリカ「もう!真面目に話してよ!!」
俺「…これでも大真面目です。まぁ、普通に医師免許取って、普通に患者を診てた、ただそれだけです」
エーリカ「ね? お願いだから、真面目に話してよ!!」
俺「…しつこい……」
エーリカ「ひどい!」
俺「だって本当にしつこいんですもん!」
エーリカ「む?!」
俺「………」
エーリカ「………」
俺「………」
エーリカ「実はさ…私、将来お医者さんになりたいんだ」
俺「だから、どうやったら医者になれるか聞いてきたんですね。しつこく」
エーリカ「しつこくないよー!」
俺「…………お気楽そうに見えて、結構将来の事考えてるんですね…」
エーリカ「…俺、ヒドイ…」
俺「……気にしないで」
「まぁ医者になりたいなら、人を助けたいっていう気持ちを持ち続けてればいいと思う」
エーリカ「ん? そうだよね!俺、ありがとう!!」
俺「はいはい…」
「まったく……騒がしい人だなぁ…」
この基地に来て3日も経っていないが、疲れは既にピークだ
俺「……眠っ………」
俺は医務室にある簡易ベッドの上にねっころがり、静かにまぶたを閉じた
ドン!
俺「うわっ!?な、なんだ!?」
俺はドンという大きい音で目を覚ました
バルクホルン「起こしてすまない。この書類はミーナから俺へのものだ」
ドンという音は大量の紙を机に置く音だった
俺「………その量……」
バルクホルン「言っておくが、ミーナ…ミーナ中佐に文句を言うと、自分の手で自分の首を絞めることになるぞ」
俺「……はい……なんの資料ですか?」
バルクホルン「今度、実施する身体検査の資料だ。我々ウィッチだけではなく、整備士たちの資料も含まれている」
俺「…まさか、俺一人で全部?……」
バルクホルン「当たり前だ」
少し強気な態度をとる女……ゲルトルート・バルクホルン大尉か…
あんな子供っぽい顔して大尉…可愛いらしいけど
俺「……なんとか負担を軽減できませんか?…」
バルクホルン「無理だ。それに身体検査は明日行う。それまでに一通りこの資料に目を通しておくように」
バルクホルン大尉はそういうと、部屋をつかつかと去っていった
俺「……はぁ……こんな量…無理だって…」
俺は愚痴をぶつぶつと言いながら、資料の一枚一枚に目を通していった
俺「……ほぅ…前回のデータだと、爆乳リベリアンはバスト94cm、ウエスト61cm、ヒップ86cmか……」
「……やべぇ体してんな……シャーロット・E・イェーガー大尉…」
「16歳って……反則じゃねぇか……」
俺はイェーガー大尉のスリーサイズを記憶にしっかりと残し、次の資料へと目を移した
その時、コンコンと軽くドアが叩かれた
俺「……はい?」
ガチャッ
ミーナ「俺さん、資料は見てるかしら?」
俺「……見ての通りでづ……この量なんとかしてくだせぇ……」
ミーナ「仕方が無いわ、俺さんの仕事だもの」
俺「………はぁ…」
笑顔で無理と言われるほど、絶望を感じるものは無い
俺「………これ読み終わらなかったら?」
ミーナ「読み終わらせるのよ」
俺「…………終わらなかったら?」
ミーナ「終わらせるのよ」
俺「……………はぁ…」
何を言ってもムダだということを悟った俺は再び資料を見始めた
そういえば、バルクホルン大尉に"文句を言うとヒドイ目に遭う"とか言われた気がする。
さっきの鋭い視線を経験すれば、何となく大尉の言っていたことも分からなくはない
ミーナ「俺さん、ここでの暮らしはどう?」
俺「まぁ快適です」
ミーナ「それなら問題は無いわね。必要な物とかないの?」
俺「……そうですね……煙草と酒が欲しいです」
ミーナ「お酒はいいけど……煙草は駄目よ」
俺「……ここの隊員に悪影響を与えるから…でしょうか?」
ミーナ「あら、よくわかったわね」
俺「…煙草吸うと周りに悪いですから……それに、吸う方にも悪いですし…」
ミーナ「でも、なぜそういうことが分かっていて俺さんは吸うの?」
俺「もう止められない身体になっちゃって」
ミーナ「そう……お酒は明日からでも用意できるけど…煙草はしばらく考えさせてくれないかしら?」
俺「了解です」
ミーナ「では、引き続きがんばってください」
バタン
俺「……はぁ……」
さっきから溜息しか出てない
資料読むの疲れるし…
まぁ仕事だから仕方が無いけど
俺「……まだ半分以上あるし…」
俺は半分以上ある資料に嫌気を感じながらも、一枚一枚読んでいった
俺「………やっちまった…」
俺は資料を読み終えることなく、寝てしまったのだ
俺「…………ま、バレないだろうし……別にいいか…」
俺はお気楽な考えで身体検査に望むことになった
つづく
最終更新:2014年09月27日 16:59