次の日、ストライクウィッチーズの面々は基地の側の砂浜へとやってきていた。

シャーリー&ルッキーニ『きゃっほーい!』

海へ着くなりシャーリーとルッキーニが走り出し、岩場から海へと飛び込んでいく。
他にも海で泳ぐ者、砂浜でぼーっとしている者などがおり、それぞれさまざまな形で海を満喫している。

俺「はぁ……」

そこに一人だけ憂鬱そうにしている人物が現れた。俺である。
履いている水着は地味な黒色のハーフパンツタイプで、股間部分に赤い文字ででかでかと『磨修羅生』と書かれている以外は普通の水着だ。
ちなみに、後ろには『GNX-U02X』と書かれていた。

坂本「おお、やっと来たか。……その、なんだ、変わった水着を着ているな」

俺「そうですか?」

何となく顔の赤い坂本の顔を見つめ、俺は首を傾げた。
買い物の際、バルクホルン達を待たせないために適当に選んだのがいけなかったのだろうか。

俺(そんなに変かな……)

坂本「いや、俺が気にしていないならいいんだが……。それより、今日の訓練では戦闘中に海上に落ちた場合を想定し、ストライカーを履いたまま泳いでもらう」

ミーナ「他のみんなはもうやったから、後は新人のあなた達だけよ」

坂本「というわけで……さっさと飛び込めぇい!」

新人達『は、はいぃっ!』

俺、芳佳、リーネの3人が坂本の指示で一斉に海へ飛び込み、そしてそのまま沈んでいく。
それからしばらくすると、ようやく芳佳とリーネが浮かんできた。だが、俺は未だに沈んだままだ。

坂本「浮いてこないな……」

ミーナ「さすがにそろそろ助けないとまずいわね……。ペリーヌさん、お願いできるかしら。トゥルーデも手伝ってあげて」

ペリーヌ「了解しました」

バルクホルン「了解だ」

ペリーヌとバルクホルンによって俺が海の底から助け出される。
だが、砂浜に引き上げられた俺は既に意識が無かった。

ルッキーニ「俺! 死んじゃだめだよ!」

シャーリー「おーい、しっかりしろー。そうだ、今すぐ起きたらあたしのおっぱい揉ませてやるぞー?」

芳佳「!」

ペリーヌ「ふざけてる場合じゃないでしょう! 俺さん、しっかり!」

一部のメンバーの必死の呼びかけにより、俺はようやく意識を取り戻した。

俺「う……げほっ! ……ごほっ! ……あれ……?」

エーリカ「俺は訓練の最中に溺れたんだよ。ていうかさ、もしかして俺ってカナヅチ?」

俺「ごほっ!……宇宙じゃ水は貴重品だったし、泳ぐ必要だって無かったし……仕方ないだろ」

俺の言葉は嘘ではないが少し違う。
宇宙で水が貴重なのは確かだが、コロニー内で使った水は全て循環され再利用されている。
よって、シャワーどころか大型プールを備えたレジャー施設だってコロニー内にはあったのだ。

俺(彼女でもいたら一緒に行ってたんだろうけどなぁ……)

つまり、ただ単に行く機会が無かっただけなのだ。
自分の寂しい青春時代を思い返し、俺がどんよりとした顔をする。
ミーナは俺が大事に至らなかったことに安堵すると、疲れた様子で溜息を吐いた。

ミーナ「はぁ……。泳げないなら先に言っておいてちょうだい」

坂本「誰か泳ぎが得意な者……そうだな、バルクホルンが俺に泳ぎを教えてやってくれ」

バルクホルン「了解した。俺、付いてこい」

俺は早速バルクホルンに連れて行かれ、海の中へと入っていく。
海水が胸の辺り程の深さの場所まで来ると、俺は不安そうにバルクホルンに訊ねた。

俺「ふ、深くないですか?」

バルクホルン「この位で怖がってどうする。さぁ、まずはバタ足からだ」

バルクホルンに手を引っ張ってもらい、俺がぎこちなく泳ぎ始めた。
その様子を砂浜で他のメンバーが面白そうに眺めている。

エイラ「俺って割となんでもできる奴かと思ってたけど、意外とそうでもないんダナ」

リーネ「なんだかこうして見ると、ちょっと微笑ましい光景ですよね」

ペリーヌ「………………」

エーリカ「なんでペリーヌは不機嫌そうな顔してるの?」

ペリーヌ「……別に。そんなことありませんわ」

そう言いながらペリーヌはぷいっとそっぽを向いてしまう。
それを見たエーリカが今度は俺達の方を見る。
そして再度ペリーヌを見ると、面白いものを見つけたようにニヤリと笑い、俺達の元へと向かった。

エーリカ「私もレッスン手伝ってあげるよ〜。ほら、膝は曲げないでまっすぐ伸ばす!」

バルクホルン「ハルトマンの言う通りだ。膝を曲げると体が沈んでいくぞ」

現在、バルクホルンは俺の手を引いて後ろ向きに歩いている状態だ。
二人の指導によって俺のフォームが正しい形になり、泳ぐスピードが増してきたこともあって、バルクホルンの体勢が少しずつ崩れていく。
そして、バルクホルンがバランスをとる事に気を取られている隙に、エーリカが素早くバルクホルンの後ろに回り込んだ。

バルクホルン「ん? ハルトマンは……?」

エーリカ「とりゃ!」

後ろに回ったエーリカがバルクホルンに足払いをかけた。
バルクホルンが体勢を立て直そうと腕を振り回す。すると、それにつられて俺の体がバルクホルンに引き寄せられた。

俺「あ……」

バルクホルン「……え?」

気が付くと、俺の頭はバルクホルンの胸に受け止められていた。

シャーリー「おお〜!」

ルッキーニ「俺だいた〜ん!」

ペリーヌ「なななななにやってますの!」

浜辺であれやこれやと言われているが、俺の耳には全く届いていない。
何故なら、意識は全て自身の顔に当たる感触に向けられていたからだ。

俺(やわらかい……)

シャーリーやリーネには及ばないが、意外と大きな胸の膨らみ。
軍人として鍛え上げられているはずなのに、顔を押し返す弾力はその柔らかさを存分に伝えてくる。
時間が止まったような感覚の中、俺は意識の片隅で身の危険が迫っているのを感じ取った。

バルクホルン「死ねぇ!」

俺「うわっ!」

慌ててその場から飛び退くと、眼前をバルクホルンの拳が通り過ぎていった。
空振りした拳が海に叩きつけられ、大量の海水が宙に舞う。

俺「違うんです! わざとじゃ……ていうか、エーリカの仕業ですよ!?」

俺の言葉を無視し、バルクホルンが拳を打ち下ろしながら俺を追いかけ始める。
俺は転びそうになりながらも無我夢中で逃げ出した。

俺「ひぃぃぃ! ……うわっ!」

俺は浅瀬のあたりまでなんとかたどり着いたが、足をもつれさせて転んでしまった。
後ろを向くと、バルクホルンが猛烈な勢いで迫ってくる。
立ち上がる余裕も無く、尻餅をついたまま後ずさっていくと、不意に誰かの足が背中に当たった。

俺「……ペリーヌ?」

ペリーヌ「今日の私は、阿修羅すら凌駕する存在ですわ♪」

仮面のような笑顔を浮かべ、ペリーヌは俺の頭をがしっ! と掴んだ。

ペリーヌ「トネェェェル!」

笑顔が反転し、文字通り阿修羅のような表情になったペリーヌが俺の脳天に電撃をぶち込む。
悲鳴を上げることもできず、俺は一瞬で気を失った。


          ●


俺「う……」

俺が瞼を開けると、太陽の光がまっすぐに飛び込んできた。
あまりの眩しさに慌てて手をかざし、目を細めて辺りの様子を探る。

バルクホルン「起きたか」

俺「ひぃっ!」

突然横から声をかけられ、俺は悲鳴を上げて逃げようとする。
バルクホルンは素早く俺の手を掴み、俺をその場に引き留めた。

バルクホルン「なぜ逃げようとする?」

俺「殺されるかと……」

バルクホルン「安心しろ。今はその気は無い」

俺「(今は……?)ところでエーリカはどうしたんです?」

バルクホルンが「あそこだ」と指を指した先では、坂本とミーナの前でエーリカが正座させられていた。
どうもエーリカの様子を見る限り、あまり反省しているようには見えないが。

バルクホルン「全く……。あいつにはカールスラント軍人としての自覚が欠けている!」

俺「まぁ、いいんじゃないですか。年相応で」

バルクホルン「何をのんきなことを──」

俺ののほほんとした言葉を聞き、バルクホルンは呆れ顔で俺を見た。
だが、俺の顔を見た瞬間、思わずはっと息を飲む。
エーリカを見る俺の表情が、なぜか悲しそうに見えたからだ。

バルクホルン「俺……?」

シャーリー「敵だ!」

バルクホルンが抱いた疑問はシャーリーの鋭い声によって脳裏から吹き飛ばされた。
直後に基地からの警報が聞こえ、他のメンバー達と共に基地へと駆け出す。

バルクホルン「俺! 行くぞ!」

俺「はい!」

身体能力の差からか、先にハンガーへ飛び込んだのは俺とバルクホルン、シャーリーの3人だった。
3人は着替える間も無くストライカーユニットを装着し、武器を抱えて空へと舞い上がる。

シャーリー「敵は既に内陸に入ってる! 急ぐぞ!」

そう言うとシャーリーは更に加速した。
俺とバルクホルンもそれに続こうとするが、その差はどんどんと開いていく。

俺(日頃からスピードの限界に挑戦しているだけのことはあるな)

俺が内心で感心していると、突然シャーリーに異変が起こった。
ストライカーユニットから煙が吹きだし、急に失速したのだ。

シャーリー「何で……!? まさか昨日の!?」

シャーリーが思い出すのは昨夜のルッキーニの一件だ。
俺とルッキーニが謝りに来た後、バラバラになったストライカーユニットは二人と共に組み直した。
だが、その後のテストや調整等を行っていなかったのだ。

シャーリー「……あたしはここまでみたいだ。あとは二人に任せるよ」

スピードを落としたシャーリーがあっと言う間に後方へ遠ざかっていく。

俺「シャーリー!」

バルクホルン「大丈夫だ。基地に連絡して後続に回収を頼んである。それより先を急ぐぞ!」

だが、俺とバルクホルンは既に限界までスピードを出している。
シャーリー程の速度は出ないため、思うように距離を詰められないのが現状だ。

俺「……そうだ、こいつなら!」

俺は突然G-B.R.Dを起動させ、何やら操作し始めた。
重量による機動性低下を防ぐため、G-B.R.Dに追加スラスターが内蔵されているのを思い出したのだ。

俺「大尉、掴まってください! こいつの推力を足して速度を上げます!」

バルクホルン「了解した!」

バルクホルンがG-B.R.Dに掴まったのを確認し、俺はスラスターを起動させた。
起動させた瞬間、G-B.R.Dが俺達の体を引っ張るように凄まじい勢いで加速していく。
すると、そのせいで俺とバルクホルンの体が引き寄せられ、互いの体が密着する形となった。

俺「た、大尉! そんなにくっつかないでくださいよ!」

バルクホルン「仕方ないだろう! って、こら! 何処を触っている!」

俺「大尉が押しつけてくるんでしょうが! ……あれ?」

ふと俺が前方へ目をやった時、何やら黒い点のようなものが見えた。
バルクホルンも気付いたらしく、二人揃って目を細める。
急速に大きくなってきたシルエットを確認し、二人は同時に口を開いた。

俺&バルクホルン『……ネウロイ!』

正体は判明したが、それはあまりにも遅すぎた。
敵は既に目の前に迫っている。もはや減速や回避をしている余裕は無い。
敵機にぶつかる寸前、バルクホルンが咄嗟にシールドを展開し、俺に向かって叫んだ。

バルクホルン「俺! 撃て!」

バルクホルンの指示に従い、俺がG-B.R.Dのトリガーを引く。
撃ち出されたビームによってネウロイの装甲に穴が空き、そこに俺達が高速で突っ込む。
その直後、何かを砕いたような感覚がしたのも束の間、俺達はネウロイの先端を突き破って外へと飛び出していた。

バルクホルン「やったか!?」

振り返って確認すると、既に敵ネウロイは崩壊を始めていた。
どうも先程の感覚はネウロイのコアを砕いたものだったらしい。

バルクホルン「敵機の撃墜を確認。ミーナ、聞こえるか? ……ミーナ? ……インカムの調子が悪いのか? 俺、そちらで連絡を──」

俺「た、大尉……その……」

何故か後ろを向いて自分の方を見ようとしない俺を不審に思い、バルクホルンは視線を下ろしてみた。
すると、目に飛び込んできたのは白い双丘。その先端にはピンク色の蕾が慎ましやかに鎮座している。
なんだか見覚えのある光景に、バルクホルンは暫し絶句した。

俺「た、多分ですけど、普通の水着だったからこうなったと思うんです。確かウィッチ用の軍服なら魔法繊維が──」

俺がその場を繕うように今の状態になった原因を予測する。
つまり、魔法繊維が編み込まれた服ではなかったため、魔力による防護効果が服に働かなかった。それが原因でネウロイ撃破時の爆発に耐えきれなかったのではないか。ということだ。
だがしかし、バルクホルンは俺の言葉をまったく聞いていなかった。

バルクホルン(見られたAMSから光が裸男と女痕おっぱい攻め股間のG-B.R.D殺はいだらー妹意外と筋肉尻死刑後ろからでもミーナに説明キュッ宮藤×クリス)

乱れに乱れるバルクホルンの思考。
その間にも二人の水着はボロボロと崩れていく。
そして、問題はこれだけでは済まなかった。

バルクホルン「なッ! ストライカーが……!」

俺「大尉!」

突如バルクホルンのストライカーユニットから小さな爆発が起き、推力が著しく低下したのだ。
高度を維持出来なくなり、落下しそうになったバルクホルンを俺が慌てて支える。

俺「大丈夫ですか?」

バルクホルン「ああ、すまない。おそらく先程の爆発の影響だと思うが……あ」

俺「あ」

自分達の格好を思い出し、俺達は抱き合ったまま硬直した。
俺はすぐにバルクホルンから離れようとしたが、ストライカーユニットが故障している以上、支えを失えば彼女は海に落ちてしまう。

俺「どどどどうしましょう、大尉」

バルクホルン「き、気にするな。私は気にしない。そうだ、まずは基地に連絡だ。状況を報告して、何か着るものを持ってくるように伝えろ」

俺が基地への連絡を終えると、途端に辺りが気まずい雰囲気に包まれた。
時間を潰そうにもする事など無いし、おまけに裸で抱き合っているのだ。そうなるのも仕方がないだろう。
そんな状態のまましばらく時間が経ち、バルクホルンはふと重要な問題に気が付いた。

バルクホルン「……そう言えば、回収に来るのはウィッチーズの誰かなはずだ。私はいいが、俺の裸を見せるのはさすがにまずいな」

俺「……そう、ですね」

エーリカあたりならさらっと流してくれそうだが、サーニャやリーネが来たら最悪だ。
恥ずかしがるどころか泣かせてしまうかもしれない。

バルクホルン「というわけで俺、少し体勢を変えるぞ」

俺「ち、ちょっと待って下さい。動かないで。変なとこ触ってますって!」

バルクホルン「あっ! こら! お前こそ動くな!」

俺とバルクホルンが体勢を入れ替えようともみ合いになる。
だが、互いに相手を見ないようにしているため、うまく体勢を入れ替えることができない。
すると突然、俺の手に不思議な感触の何かが触れた。
柔らかいながらも張りがあり、ほのかに暖かい。先端部分には小さくて少し硬い何かがくっついている。
なぜかその感触は、つい最近触った覚えのあるものだった。

俺「ん? これは……」

バルクホルン「き、貴様ぁ……! 一度ならず二度までも……!」

怒りで拳をぶるぶると震わせるバルクホルン。
俺はようやく自分が何をしたのかを察し、恐怖で体を震わせながら命乞いをした。

俺「わ、わざとじゃないんです。助け──」

バルクホルン「俺……死ねよや……!」

それから十数分後。
俺達を回収しに来たウィッチーズの面々が見たのは、死体のように海に浮かんでいる俺と、その横で顔を真っ赤にしているバルクホルンの姿だった。
最終更新:2014年10月22日 23:44