501統合戦闘航空団基地 庭

俺「すぅー…ふぅー…今日も葉巻は旨いなぁ…」モクモク

基地の中に緑が生い茂る珍しい庭の中で灰皿を持った俺は紫煙を吐き出し、緑色に広がる草木で目の保養をしていた

シャーリー「そんなに旨いのか?それ」

俺「旨い…のかなぁ、舌で感じれば苦いが頭で感じるのは旨いよ」

シャーリー「まったく分からないな!」

俺「胸を張らなくて言う事じゃないだろ…」

シャーリー「一本くれよ」ゴソゴソ

葉巻を吸っている俺の横から右手を俺の整備用ジェケットのポケットの中へと突っ込まれるのを、ジャケットの上から押さえられる

俺「ダメ」

シャーリー「ケチ!一本くらい良いだろ~」

俺「くれる分には良いんだけど、こいつを吸うと止められなくなる 依存症って感じだな」

シャーリー「危ない薬か何かに聞こえるなそれ」

俺「似たようなもんだ、手を出したが最後ってね シャーリーは髪が長いから臭い付いちゃうだろうし止めといたほうが良いよ」

シャーリー「そっか あんまり煙臭いとルッキーニにも嫌われそうだしやめておくよ」

ポケットに入っていたシャーリーの右手は葉巻の入ったハードケースを放してゆっくりと出てくる

俺「右手、治ったんだな」

シャーリー「あ、ああ ちょーっと時間掛かったけど完治したぜ~」

俺「良かった、治らなかったらどうしようかと思ったよ」

シャーリー「傷物にしたら責任でもとってくれるのか~?」

俺「そうだなー、その時は腹括るよw」

シャーリー「腹括る覚悟でなきゃ、この『グラマラス・シャーリー』じゃ不満なのかい!」

ガシっとシャーリーが俺の首を右腕で固める

俺「悪い悪い 喜んで責任取らせていただきますよw」

シャーリー(…嘘つき)

首を離してもらった俺は葉巻の吸殻を灰皿に押し込む

俺「さてと…休憩終了だ そろそろガレージに引きこもるわ…」

シャーリー「あんまりコンを詰め過ぎるのは良くないぞ?手伝ってやろうか?」

俺「手の掛かる子だからなぁ、俺のロータリーストライカーは 有難く手伝ってもらおうかな」

シャーリー「よしきた!」


      ◆


ガレージ

俺「うお、ウーシュ 今日は休みだろう?」

ガレージに戻った俺とシャーリーは銃を解体整備しているウルスラと出くわした

ウルスラ「そうですが昨日俺さんの銃の整備出来なかったので」

俺「そっか、悪いな」

シャーリー「ありゃ、これは手伝い要らなかったかな?」

シャーリーは残念そうな顔をしつつ銃の解体をしているウルスラの様子を覗き込む

シャーリー「珍しい機銃だよなぁ バルクホルンもハルトマンとも違う機銃だよな?」

ウルスラ「そうですね俺のMG 131機関銃はバルクホルン大尉の機銃より威力は低いですが
通常弾・徹甲弾・曳光弾の他に炸裂弾がこの銃に合わせて開発された魔弾があって
戦況に合わせて扱える銃です」

俺「そ、そんな銃なのかこれ…通常弾しか使ったことないや」

シャーリー「あははははw ちょっともったいないな。 ん、なんだこれ?」

ばらばらに分解されてある機銃の中に何かが文字が書かれたパーツを手に取る

シャーリー「武器の名称じゃないな、え~っと…」

文字を読もうとしたシャーリーの手から突如ウルスラにパーツを奪われる

シャーリー「おおう…大事なパーツだったか?」

ウルスラ「はい…この部分は重要度の高いパーツですので」

ウウウウウ~~~~~ウ ウウウウウウ~~~~~ウウ

俺「敵襲!?」

シャーリー「予報は明後日だったろ、あてにならなくなって来たな 悪いな俺手伝いはまた今度だ」

ウルスラ「俺さんは出撃準備を 3分下さい その間の機関銃を組み終わらせますので」

俺「了解、頼むぜウーシュ」


      ◆


ミーナ<敵ネウロイは中型機が3機 坂本少佐とシャーリーさん 
俺中尉、宮藤さん、ペリーヌさんでコレを迎撃してください>

シャーリー<敵が3体に対してちょっと少ないな>

ミーナ<他の人はローマで補充と休息中です、彼女達にも出撃してもらえるようにローマ基地に申請中ですが時間が掛かります>

ペリーヌ<無いもの強請りをしても仕方ないですわね>

坂本<そういう事だ、ペリーヌと宮藤は私の後ろに 俺はシャーリーの後ろに続け!>

<<了解>>

各メンバーが次々と魔方陣を展開して出撃していく

ウルスラ「機関銃の組み立て終了しました 俺さんご無事で」

俺「サンキュー、では行ってくる 俺中尉、出撃するぞ」ヴヴヴヴヴウウウウ…イイイイイ!!

途切れるような爆発音からロータリーストライカーが甲高い咆哮を上げて飛び立った





坂本<敵ネウロイはこの間ジェットストライカーでバルクホルンが落とした
ロケット型ネウロイに酷似 敵も馬鹿ではなければ何かしらの対策をしているはずだ
シャーリーと俺は全速で先行して叩けるだけ叩け、私と宮藤、ペリーヌは打ちもらした敵を
打てるように敵の速度を合わせられるようにする、私に遅れるなよ二人とも>

宮藤・ペリーヌ<了解>

シャーリー「今度こそ私についてこれるかな~俺?」ブウウウウウ…

俺「今度は負けないからな、遅れても獲物は取っておかないぞ」ウィイイイイイイイイイイイ…

二人は坂本少佐の部隊を引き離し全力で射程距離ギリギリまで先行する
先行していた俺に放たれたネウロイのビームを左ひねり込みのロール挙動で回避し若干失速する

俺「撃ってきた!」ギイイイイン…

シャーリー「ネウロイからご挨拶だ、しっかり答えないとな俺 シャーリー交戦」ブウウウウン

ネウロイの攻撃が来るまで並んでいた二人だが失速した俺を残し、シャーリーが単独先行する

俺「邪魔が無ければ勝てたんだがなぁ、邪魔したお礼は返さないとな 俺交戦」ヴヴヴヴ…イイイイイイイ…

失速し、魔力共有が少なくなったエンジンに再び魔力を大量に流しこみ
歓喜のように答えるロータリーの甲高い声と共に一気に加速した


      ◆


坂本<聞こえるかシャーリー、俺、敵ネウロイのコアはデカブツにしかない>

シャーリー<解り易くていいねぇ>

坂本<他の2機にはコアは確認出来ない、コアのある奴を優先して叩け>

俺<了解>ダダダダダ…

中央に大きめのロケット型ネウロイの横に取り巻く中型ネウロイのビーム攻撃を回避し
背後を取って俺は反撃する

俺<敵が早いな…>

シャーリー<けど急旋回をしない所を見ると一線離脱法しかしないみたいだな、旧式の戦い方では私達に勝てないことを教えてやるよ!>

トップスピードに近い状態でコアのあるネウロイの背後を取ったシャーリーは銃を構え狙いを定める

俺<後ろだシャーリー!>

シャーリーの背後に回った取り巻きのネウロイがビームで彼女を肉薄する

シャーリー<っく、旋回すればコアのあるネウロイが逃げるな…俺、何とかならないか?>

俺<こっちも追ってるが背後に付かれて正確に狙えない!>

シャーリー<固有魔法は?>

俺<ウンヴァーハイトは魔法力の消費が酷いから飛行能力が落ちる この速度を維持出来ないから 騙せても一瞬、あとは振り切られて有効射程範囲外だ>

シャーリー<欲しい時に使えないのは辛いな!>

俺<うるせぇ!そううまく行くか!>

坂本<ぼやくな二人とも、今私達もそちらに向かっている 現状維持しつつ耐えててくれ>

俺<了解>

コアのあるネウロイは進行方向を変えずに、二人に背後を取られていても速度を落とさずに進んでいる


       ◆


坂本「ネウロイが来るぞ、宮藤、ペリーヌ 仕掛けるぞ!」

敵ネウロイよりも更に高度を飛んでいた坂本、宮藤、ペリーヌは迎撃に備える

坂本「敵の進行方向を合わせ! 攻撃できる時間は限られるぞ! ここを抜かせるな!」

宮藤・ペリーヌ「了解!」

3人は進んでいた方向から反転し、ネウロイの進行方向に合わせて体を旋回し速度を緩める

シャーリー<あとは抜かせる前に片付けるだけだ>

俺<まて、メインターゲット進路変更! 少佐!>

ずっと同じ進路方向をまっすぐ進んでいたネウロイは坂本少佐達が反転して迎撃体制を取ったと同時に
迎撃準備を終えた小隊へと角度を変え、上昇した

坂本「ぬ、全機散開!」

小隊が散開した場所にビームが通り過ぎ、そのままコアのあるネウロイが通り過ぎる
だが、ネウロイはそのまま直進せずに高速で反転し小隊へ再び攻撃をしかける

坂本「通りすぎずに私達を迎撃しに掛かるか…」

俺<攻撃してくるなら迎撃しやすいですけどねぇ…>

取り巻きを振り切った俺とシャーリーは2度目のネウロイからの攻撃を回避した坂本少佐達の隊に合流し 迎撃体制を取る

ペリーヌ「ネウロイも馬鹿な事を、私達を倒そうなんて思った事を後悔させて差し上げますわよ!」

宮藤「あ!ネウロイが!」

シャーリー「なんだ…?」

反転してからの2度目の攻撃で再び反転しようとするコアのあるネウロイの横に取り巻きとして飛んでいた
ネウロイが取り付く

宮藤「くっついちゃった…」

坂本「何をしてくるか分からん以上固まってるのは不利だ、敵は1機 散開して囲むぞ!」

一同「了解」


      ◆


坂本少佐率いる部隊は散開し、迎撃体制を取る

俺<5人の中で俺を選んでくれるのは有難いが、可愛い子よりソッチの気なのかお前!>ヴウウウ…

合体し、更に加速したネウロイは俺に対して多数のビーム攻撃を向けるもこれを下方に方向転換し回避し
そのまま敵ネウロイの背後へ方向を変え、機関銃を撃つ

俺<当たるには当たるけど、連続して当たらないからコアまで届かねぇ!>

シャーリー<射撃が下手なのか?あとでお姉さんが慰めてやるぞ?>

俺<違う!敵が早すぎるんだ!一気に離脱されてしまう>

引き離された俺はネウロイが反転するのを見て追うのを止めて迎撃体制を取る
しかし次に攻撃対象としたのは宮藤だった

坂本<宮藤、訓練どおりにやれ!>

宮藤<はい!>

高速で迫るネウロイのビームを冷静に回避し、背後を取る

宮藤「早い…!」ダダダダダ…

背後から攻撃をするも高速で移動するため弾丸が中々当たらず、コア撃墜には至らない
徐々に宮藤との差が広がり 速度を保ったままネウロイは誰もいない前方へビームを出し微弱に旋回行動を取る

宮藤「旋回した!今なら!」

坂本<敵は旋回した、追いすぎるな宮藤!>

敵が旋回によって減速したため、再び射程距離圏内に捕らえた宮藤はネウロイに狙いを定めた時
誰も居ない前方へ出されたネウロイのビームが宮藤を含む周辺の空間が太陽のように光り、大きな爆発を起こした

宮藤「うわあああああああああああ!?」

シールドで爆破の直撃は防いだ物の不意を撃たれた為に体が吹き飛び、バランスを崩す
ネウロイは進路方向をバランスを宮藤に向け、狙いを定める

俺「ミヤフジヨシカアアアアアアアアアアアア」ギィィィィィイイイイイイ…

振り切られていた俺は咆哮を上げ、衝撃波と可聴域をほぼ超えた高音と共に姿が消えた

シャーリー「うわあああああ!?」

俺の前方にいたシャーリーは急な衝撃派を受けて体が揺さぶられた

宮藤(ああ…シールドを…力が…)

機体を錐揉み回転させ、意識も朦朧となった宮藤はなんとか体を建て直すも
正面遠方に既にビームを今のも放ちそうなネウロイがこちらを向いていた

宮藤(間にあわ…)

彼女に放たれたビームは正面に現れた何かによって軌道が反れた


      ◆


宮藤「俺さん!?」

俺「宮藤、次はガード出来ない回避しろ!」

第2波のビームを散開して回避し、ネウロイが通り過ぎた所で体制を建て直す

坂本<大丈夫か俺?>

俺<大丈夫って言えるかどうか分かりませんが 武器を失いました>

坂本<そうか、奴の懐に入れれば良いのだが…>

俺<俺が『隠し』ましょうか?>

坂本<他人にも出来るのか?>

俺<くっつく必要がありますがね>

坂本<ならば私に抱きつけ! 私を隠せばよい>

俺<了解>

武器を失った俺は坂本少佐の背後に回り腰からお腹に掛けて手を回し 固有魔法によって坂本少佐共々姿を消した

坂本<シャーリー、ペリーヌ、宮藤、私達が消えた地点は分かるな?そこにネウロイが来るように陽動しろ あとは私が叩く>

3人<了解!>

再び旋回し宮藤に狙いをつけたネウロイを、俺と坂本少佐の居た方角へと飛び誘導するが
宮藤を狙うために放たれたビームはその位置に向かった

宮藤「坂本さん!」

坂本「大丈夫だ!烈 風 斬 !」

放たれたビームごと、姿を現した坂本少佐はネウロイを断ち切った

俺「凄いな…ビームごと断ち切った…」

坂本「コレが扶桑の奥義 ネウロイだろうが何だろうが断ち切るツルギだ はっはっはっは! よし!ネウロイ撃墜完了だ全機帰等せよ」

一同「了解!」


      ◆


501統合戦闘航空団

基地の滑走路に着陸し、ゆっくりとガレージへ向かう坂本中隊

シャーリー「なぁ俺、さっき音速超えたんじゃないか?」

俺「そうか?」

シャーリー「私を振り切って宮藤を助けに行く時、ソニックブームみたいなのが出たからな」

俺「…そりゃあ、俺も音速の域を見たのかねぇ、一瞬だけど」

ペリーヌ「まるでお姫様を守るベタな騎士ですわね」

俺「…ほっとけ」

宮藤「あの時はありがとうございました!」

俺「ああ…」

ガレージ内に入った俺を待っているかのようにウルスラが立っている

ウルスラ「お疲れ様でした、俺さん」

俺「ああ、ありがと…」グシャ

ウルスラの声を聞いたと同時に俺はストライカーを履いたまま、倒れた

宮藤「俺さん!?どうしたんですか俺さん!」

坂本「どうしたんだ?」

シャーリー「俺が倒れた、医療班ー!」

ペリーヌ「きゃあああああああああ!?」

坂本「今度はどうした!?」

ペリーヌ「少佐、お背中から血が…」

坂本「血?私は被弾などしては…っ」

坂本少佐の白い軍服に血がべっとりと付いているのをペリーヌは顔を青くして見ている

シャーリー「さっきまでこんなのは無かっただろ…」

坂本「そんなのは後で良い!宮藤、治癒魔法を」

宮藤「やっているんですが、傷が塞がらないんです!」

肩口と右腹部から大量の出血をしていた俺を治癒の安定した青い光で包むも
傷が全く塞がらない

ウルスラ「…」

目を瞑ってウルスラの手を弱々しく引き、俺が口を動かしている事に気がついてウルスラは
彼の口に耳を当てる

ウルスラ「…ごめんなさい、俺さん」

悲しそうな表情でそう呟き、ウルスラはロータリーストライカー側面にある緊急排出装置を作動させ
俺からストライカーを外した

俺「ぐぅあああぁぁあぁああ・・・・・!!!!!!!?????」

先ほどまで声を出す事すら難しかった俺の悲鳴がガレージに木霊し、気を失った


      ◆


501統合戦闘航空団基地内 廊下

バルクホルン「俺…俺は…!?」

補給から帰ってきたバルクホルンは
顔を青くして、廊下を早歩きで医務室の近くまで駆けていた

シャーリー「待て、今宮藤が治療している 中には入るな」

バルクホルン「だが…」

医務室の前で壁にもたれ掛っていたシャーリーに肩をつかまれ静止する
その手を払いのけ、バルクホルンはシャーリーの両肩を掴んだ

バルクホルン「リベリアン…貴様が居ながら何故だ!」

シャーリー「…」

バルクホルン「何故俺はこんな事になったかと聞いているんだ!」

坂本「落ち着けバルクホルン、俺がこんな事になったのは私が気付かなかったからだ、シャーリーの責任ではない」

バルクホルン「少佐…」

バルクホルンの背後から現れた坂本少佐は息で体が上下に動いている彼女の肩に手をあてて落ち着かせる

坂本「俺は撃墜されそうになった宮藤を庇って変わりに被弾したんだ」

バルクホルン「それだったら何故すぐに治療を…」

坂本「…固有魔法で被弾していたのを『隠されて』いたんだ、ウルスラ中尉がそう教えてくれた」

バルクホルン「…くっ」

シャーリーの肩を掴んだままのバルクホルンは肩を微弱に動かしながら下を向いている

シャーリー「大丈夫だ…あいつは2度の撃墜から帰ってきた男だ 今回だって大丈夫さ」

震えていたバルクホルンを胸の中に収め、震える彼女の頭をシャーリーは優しく撫でた


最終更新:2013年01月28日 14:43