医務室

岩で出来たような頑丈な壁の部屋で、宮藤は青い治癒魔法の光でガレージで倒れ、今は白いベットに横たわる俺に治療を続けていた

俺「…ぐぁ…うぅ…」

俺は苦しみながら手を動かす

宮藤「俺さん?ダメです、今は動かないで安静に…」

動かした俺の腕は両手をかざしていた宮藤の右手を捕まえ、自分の胸へと持っていった

俺「すま…す…まない…すまな…い、すまない…」

宮藤「…謝るのは私のほうです、私が深追いしたばっかりに 俺さん?」

意識は回復していないのに
宮藤の手を掴んだままうわごとのようにずっと『すまない』と繰り返している俺に
宮藤は右手を俺の胸に当てたまま黙々と治癒魔法を続ける

宮藤(この感じ…俺さんはやっぱり何処かで…)

傷がふさがった俺の体に左手も当て、宮藤は何かを探すようにさすり
続けていた治癒魔法による魔法力の消費による疲れで眠りについた



      ◆



事務室

コンコン…

ミーナ「入って頂戴」

ウルスラ「失礼します…」

ミーナ「ごめんなさいね、こんな時に戦闘解析なんてやらせて」

ウルスラ「これも任務ですから…」

浮かない顔を浮かべているウルスラに対してミーナが申し訳無さそうに左手をソファーへ向けたが
ウルスラは首を横に振り、その場を微動だにせず 持っていた書類に目を通し話し始めた

ウルスラ「先のロケット型ネウロイとの戦闘の際、俺中尉は固有魔法によって姿を隠し加速
 宮藤軍曹を守ったとされます」

ミーナ「固有魔法は『虚偽』じゃなかったかしら?」

ウルスラ「そうなります、『虚偽』によって存在を消し、全ての抵抗を減らしてロータリーストライカー
 の全快出力を行ったと考えられます」

ミーナ「そう…続けて」

ウルスラ「宮藤軍曹の所に付いた際、全快飛行、固有魔法によって魔力を消費していたためネウロイの
 攻撃が俺中尉のシールドを貫通 被弾 持っていた武器をその時に失ったと考えられます
 その後、俺中尉は『虚偽』によって自身の痛みと血液含む外傷を隠し作戦続行
 坂本少佐と共に存在を消し、隠れてロケット型ネウロイを迎撃したと考えられます」

ミーナ「かなりの魔法力を消費したみたいね」

ウルスラ「はい、『虚偽』は俺中尉曰く魔法力消費が激しい事、そして試作型のロータリーストライカーが
 従来のレシプロストライカーよりも若干多くの魔力を消費する仕様です」

ミーナ「…」

ウルスラ「続けます、俺中尉は作戦終了後も固有魔法によって外傷を隠すもガレージにて魔法力切れで
 『虚偽』が弱まり、外傷と痛みが戻り 倒れました
 その際宮藤軍曹が治癒魔法をかけましたが、本能で痛みを抑えるために『虚偽』が少なからず
 俺中尉に作用していたため これが干渉して治癒魔法の効果が薄かったため……」

ミーナ「どうしたの?」

ウルスラ「…俺中尉の指示の下、ストライカーを強制排出 ストライカーの魔力補助の切れた俺中尉は痛みのショックで気を失いました」

ミーナ「そう…」

ウルスラ「現在は治癒魔法も効いて傷自体はふさがっている様子です あとは回復を待つだけでしょう」

ミーナ「わかったわ、ありがとうウルスラ中尉」

ウルスラ「いえ…」

報告を終えると、暗い表情のウルスラは持っていた薄い報告書を机の上に置く

ミーナ「俺さんの所に行きたいのに申し訳ないのだけど…
 ウルスラ中尉にノイエ・カールスラントから伝令が届いています」


      ◆


数日後 夜 医務室

俺(んー…体が重い…ここ何処だ?)

ブロックで出来たような天井が視界に入り、首を動かす

エーリカ「あ、起きた?気分は悪くない?」

視線を下に向けて視界に入ったのはエーリカと

バルクホルン「…」スースー…

腕を枕にしてベットに寄り掛かり寝ているバルクホルンだった

エーリカ「起きた所悪いけど静かにしてあげてね…お水でも持ってこようか?」

俺「ああ…よろしく頼む」

エーリカ「了解~、ちょっとまってね」

小声で話していたエーリカは音を立てずにそーっと医務室を出た

俺(暗いな…今は夜か?)

部屋が暗く、窓から月明かりが伸び、バルクホルンの寝顔を丁度良く写している
少し疲れてるような彼女の頭を優しく撫でる

バルクホルン「んん…んぅ…」スースー…

寝ている所を邪魔されたくは無かったのか、顔の位置を反対側にされて見えなくなる

エーリカ「ごめんね、最近ネウロイの攻撃が激しくてトゥルーデも疲れてるんだ」

静かに戻ってきたエーリカが俺に水を渡し、バルクホルンとは反対側に座る

俺「ネウロイが?」

エーリカ「うん、最近予報が外れてたのは知ってたでしょ?
 俺が倒れてからネウロイの攻撃も激しくなってね…トゥルーデが出撃が一番多いんだ」

俺「…こいつは偉い立場にもいるしな」

エーリカ「それだけじゃ無いと思うけど…でもずっと夜は俺の看病してたんだからね?」

俺「そっか…」

エーリカ「私もついでに看病してたんだからほめてよ…」

俺「はいよ、ありがとうな エーリカ」

笑顔を見せたエーリカの顔は少しだけ元気が無い

エーリカ「本当はウルスラが看病してあげれば良いんだけどさ、今501に居ないから」

俺「どっか出かけてるのか?」

エーリカ「ノイエ・カールスラントからの伝令で扶桑に行ったよ
 多分扶桑艦大和の実験事故の関係で呼ばれたんだろうってミーナがいってた
 あ、俺が倒れてから後の話ね」

俺「そっか…開発者も大変だな」

エーリカ「そうだねぇ…でもあっちでの仕事が終わればまた501に帰ってくるみたいだからそれまでに
 ちゃんと回復するんだよ 私も診てあげるからさ」

俺「そいつはちょっと不安だな…」

エーリカ「なにおー、私はこれでも医者の卵なんだぞー!」

俺「そいつは初耳だw まあ動かない体だ トドメを刺さない程度に頼むよ」

エーリカ「態度しだいだねぇ~」

夜の医務室小声で笑いあいながら、二人はバルクホルンと共に眠りに落ちた



      ◆


俺が回復して1週間後 夕方のガレージ

俺「あー…しんどい…」カチャカチャ

俺はガレージで肩を落としながらロータリーストライカーの整備をしている
ここ最近からネウロイの攻撃が激化しており、ほぼ毎日迎撃している
501メンバーも態度には出さないが疲れが顔に出始めていた

ミーナ「ここに居たのね、俺さんちょっと良いかしら?」

俺「はい?」

珍しくガレージに現れたミーナに呼ばれ俺は彼女に誘われるままについて行く

ミーナ「ごめんなさいね、本来ならもう少し休暇をとって休ませてあげたいんですが」

俺「いえ、ネウロイの攻撃が激化してる中で一人だけ動けるのに休むわけにも行かないですから
 治癒魔法のおかげで傷もとっくにふさがりましたからね」

ミーナ「そういってもらえると助かるわ」

俺「ところでこれから何処に行くんですか?」

ミーナ「今日、ウルスラさんが帰ってくるの 彼女が出かけた時貴方は倒れてたから元気になった
 所見せてあげたいと思ってね」

俺「そういえばそうでしたっけか…」

廊下を渡り、飛行船発着場へとたどり着いた
丁度、輸送機が視認できる位置まで近くに来ており、俺とミーナ中佐はその様子を着陸に
邪魔にならない場所で待機して待っている

着陸した輸送機はプロペラによって風を強く吹きながら着陸し、ハッチを開ける

ミーナ「おかえりなさい、ウルスラさん」

俺「おかえりウーシュ」

ウルスラ「俺…さん…」

俺「おわ…!?」

よろよろと出てきたウルスラは俺の目の前で倒れそうになるのを抱きとめた

ミーナ「どうしたの!?」

ウルスラ「…」スースー…

俺「寝て…ますね」

ミーナ「びっくりさせないで…とりあえず医務室へ運んでもらって良いですか?」

俺「了解、それじゃあ…よっと、軽いな」

ウルスラをお姫様だっこで抱えて医務室へ運んだ


      ◆


医務室

軍医「寝不足ですね、疲労も重なって倒れたのでしょうね 休養を取れば治るでしょう」

ミーナ「そうですか、分かりました」

ベットに寝ているウルスラを囲むように軍医、俺、ミーナ中佐が並んでいる

ウルスラ「…俺…さん、俺さん…」

寝ている彼女は俺の名前を呼びながら顔を歪めている

ミーナ「…俺さん、今日はもう戦闘待機から外れてください」

俺「え、でも変わりは…」

ミーナ「代わりは私が用意しますので、今日はウルスラさんの傍に居てあげて」

少し暗い表情をするミーナ中佐

俺「…了解、ありがとうございますミーナ中佐」

軍医「あなたも度重なる出撃で寝てないでしょう…眠れるお薬出すから眠れなかったら飲んでね」

俺「すいません、助かります」

軍医から液体状の薬が入った手のひらに収まるほど小さい茶瓶を3つほど渡される

ミーナ「ごめんなさいね、ウルスラさんをお願いね」

そういってミーナ中佐は医務室を後にした
軍医も部屋から出て行き、残された俺はウルスラの眠るベットの隣に簡易的な丸い椅子を出して座る

ウルスラ「…行かないで、俺さん…行かないで」

俺「…ここに居るぞウーシュ」ギュッ

うなされる様に呟く彼女の右手を両手で握ると、顔の歪みは取れて静かに眠っているように感じた


      ◆


ウルスラが501に帰還から翌日 夜ガレージ

俺(こう毎日ネウロイに攻撃されると整備で手一杯だな…やはりもう少し改良が必要か?)カチャカチャ…

ウルスラが帰還してから翌日も朝からネウロイが襲撃しており、
俺の出撃数は怪我から復帰して10度目を数えていた

ウルスラ「…」スタスタ…ストン

俺「お、ウーシュ、もう良いのか?」

ウルスラ「はい、睡眠を十分取りましたのでもう大丈夫です」

ガレージに入った早々、俺の機材箱を椅子にして本を読み始める

俺「悪かったな、お前に貰った銃ダメにしちゃって…」

ウルスラ「あの子(MG131 13mm機関銃)は十分役目を果たしてくれましたから…」

俺「ノイエ・カールスラントからの長い付き合いだったからなぁ」

ウルスラ「ガリアで撃墜された時でもあの子だけは離さなかったみたいですからね…」

俺「まあなw あの銃には中におまじないが彫ってあったからな」

俺の言葉にウルスラは肩を一瞬だけピクリと動かした

ウルスラ「…知っていたんですか?」

俺「何年あの銃握ってたと思うんだw 俺だって銃のメンテナンスくらいするさ」

ウルスラ「…」

俺「ただ、『俺さんが無事でいますように』ってのは可愛かったがなw」

そう言われ、ウルスラの顔は耳まで赤くなる

ウルスラ「…お祈りみたいな非科学的な事をするのは初めてでしたから」

俺「おかげで無事だったよ、ありがとうなウーシュ」

ウルスラ「…いえ」


      ◆


俺「よし、整備完了だ これでまた飛べるな」

ウルスラ「また…飛ぶんですか?」

俺「当たり前だ、俺はウィッチだからな 戦っていずれカールスラントを…」

ウルスラ「魔法力も減衰しているのにまだ飛ぶんですか?」

俺「…何を言っている、俺はこいつで空を飛んでシールドを張って戦ってるだろ?」

ウルスラ「その子以外で…『魔法力蓄積炉』と『ストライカーオペレーションシステム』のサポートの無い他のストライカーで飛べるんですか!?」

ウルスラは椅子にしていた機材から立ち上がり大きな声で叫んだ
その言葉に二人の間に沈黙が出来る

俺「…やっぱり知っていたのか、俺の魔法力はもうとっくに枯渇寸前だって事」

ウルスラ「ノイエ・カールスラントから誰が何年も二番機をしてると思ってるんですか…」

俺「優秀な二番機のおかげで俺の撃墜数はぜんぜん伸びなかったなw」

ウルスラ「茶化さないでください!」

震えながらウルスラは続ける

ウルスラ「どんどん魔法力が衰退しているのだって知っていました…それなのにガリアの応援に行くなんて
 無茶をして、どんな気持ちであの銃にあの言葉を彫ったと思っているのですか…」

俺(…非科学的な事はまずしないウーシュがそんな事をするなんてまずノイエ・カールスラントでは見せなかったもんな)

ウルスラ「撃墜されたって聞いた時、本も読めないほど心配しました…でも生きていてくれたから戦う事のない研究所へと
 手配したのに…俺さんは…自分が飛べるようにってストライカーを作って…」

俺「…」

ウルスラ「本当は手伝いたくなかったです…でも俺さんはそれでも飛ぼうとするから…もう撃墜されないようにって
 私は丹精こめてこの子を…」

いつの間にか涙を流しているウルスラは小さな軍人でもなく、一人の少女としてそこにいた

ウルスラ「もう…心配かけないで下さい…飛ばないで…」

俺「…すまないウーシュ」

ウルスラ「…」

俺の言葉に少女は覚悟を決めたように言葉を続けた

ウルスラ「…扶桑艦大和は1ヶ月後の作戦の為に、ヴェネツィア上空のネウロイの巣を迎撃する新兵器の実験を行っていました」

俺「…」

ウルスラ「ウィッチを必要とせずに、ネウロイの巣を迎撃するための新兵器『魔道ダイナモ』の実験中に事故があったため私はそこに呼ばれました」

俺「機密のような話だな」

ウルスラ「…『魔道ダイナモ』は実験の事故で故障、修復を急がれていますが昨今のネウロイの攻撃の激しさから
 予定を変更せずに戦艦大和を『ネウロイ化』させネウロイの巣を破壊する計画が進んでいます
 そのためにウィッチの魔法力が必要ですが、当初の計画通り『ウィッチは必要無い』という理念を上層部は
 押したいらしく妥協案としてウィッチを一人だけ『魔道ダイナモ』を乗せた扶桑艦大和へ乗艦し魔力を供給する
 という作戦で現在修理を急がれています」

俺「上層部も無茶を言うな…」

ウルスラ「また事故で分かった事として、『魔道ダイナモ』でネウロイ化した大和でもネウロイの巣の外装
 しか破壊出来ない事が分かりました…
 外装破壊後はネウロイの巣のコアを『偶然』大和を援護していた高火力武装ウィッチによって破壊される
 というのが大部分の作戦です」

俺「偶然ね…」

ウルスラ「現在そのウィッチを選定中ですが…戦艦を『魔道ダイナモ』を起動するまで隠す事、戦艦から姿を現さずに
 敵を騙し、操り倒す事が出来るとして 俺さん、貴方が第一の有力候補になっています 伝令も明後日には届くでしょう」

俺「…また無茶を言ってくれる」

ウルスラ「…これでも飛ぶんですか?」

俺「…」

ウルスラの問いに俺は黙って肯定する

ウルスラ「普通なら現役を引退したって不思議じゃないんですよ!俺さんは既に20を過ぎて魔法力のピークは過ぎたんです
 今引退したって誰も責めたりしませんよ…?」

少女の声は若干上ずって俺へ問う

ウルスラ「みんな俺さんの事を『不死身の悪運』なんて言いますけど…そんなの俺さんが傷ついてるのを
 見てこなかった人たちが勝手に付けただけです!
 俺さんは不死身でも特別でもない…『普通のウィッチ』なんですよ?」

俺「俺自身でもそれは分かるよ」

ウルスラ「魔法力の衰退した『普通のウィッチ』が単機でネウロイの巣に行ったらどうなるか…今度こそ…」

俺「…」

ウルスラ「お願いです…もう飛ばないで下さい…『ロータリー魔道エンジン』『魔力蓄積炉』や
 『ストライカーオペレーションシステム』を作った俺さんなら開発室でも十分にやっていけるはずです…」

俺「それは嬉しい限りだが、それでも俺は飛ぶよ、守るために…」

突如、カランと何かが落ちる音がする
しかしウルスラはそれに気にせずに続ける

ウルスラ「私では…ダメですか?」

俺「何を…」

ウルスラ「私は俺さんが好きです…空や使命よりもずっと大切です…
 貴方が私の前で初めて昇進してからずっと 居心地の良い貴方の隣が」

俺はウルスラの言葉に何も答えず立っている

ウルスラ「失いたく無いんです…ずっと傍に居たいんです…
 なのに貴方はいつも無茶をして…私のところに帰ってきた時はボロボロで…
 いつか本当に居なくなってしまいそうで…」

大粒の涙を流しながら少女は続ける

ウルスラ「俺さんが望むなら子供だって作れます…私はもう初めて会った時のような子供でもないですから…
 だからもう飛ばないで…ずっと…傍に居て下さい…」

俺「…すまない、どんな事があっても俺はあの巣があるうちは飛ばなきゃいけないんだ」

ウルスラ「どうしても…飛ぶんですね…」

俺「…ああ」

その言葉を聞き、ウルスラは涙を拭ってルガーP08(拳銃)を取り出し、俺に向けた


      ◆


ウルスラ「…」グッ…

俺「…そんな拳銃でどうしようって言うんだウーシュ」

微動だにせずに銃を両手で構えたウルスラは少し息を吸い込んで語る

ウルスラ「作戦に選ばれたウィッチは負傷、銃すらシールドで防げないウィッチは作戦から
 外されるでしょう…」

俺「そうだな…魔法力が無いことがばれるような物だからな」

ウルスラ「どうして平然としてられるんですか…?ロータリーストライカーの恩恵が無ければ
 この銃だって防げないんですよ?」

俺「…」

ウルスラ「…信用してるから…ですか?」

俺「…どんな意味で信用してるかによるな」

ウルスラ「私は…カールスラント軍人です、甘くはありません!」

俺「そうだな、狙うなら、命に別状の無い場所にしてくれよ」

ウルスラ「そうですね…私は射撃があんまり得意じゃないですから…」

俺「怖いねぇ…」

ウルスラの握る銃が手によって震える

俺「止められないのか?」

ウルスラ「私は…私は…それでも…」ブルブルブル…

ウルスラ「飛んで欲しくは無いんです!」

ガレージに銃声が響き、ルガーP08から弾丸が発射された

ウルスラ「あ…ぁ…ぁ…」

銃を撃ち、尻餅をついたウルスラの目に映ったのは紫のシールドで銃弾を止めていた俺の姿だった

俺「悪い…ウーシュ、これが答えらしい」

前に突き出していた拳銃を床に落とし、崩れるウルスラ

ウルスラ「…まだ何かを『隠して』るんですね」

俺はその問いかけに無言で答える

ウルスラ「…一つだけ条件があります、ネウロイの巣殲滅作戦で使うストライカー
 私に作らせてください」

俺「そうだな、俺は普通のストライカーじゃ飛べないからな…頼むぜウーシュ…」


      ◆


501統合戦闘航空団基地 廊下

バルクホルン「はぁ…はぁ…」

何故私は逃げたのだろう
俺を風呂の時間だから呼びに行ったら、ウルスラ中尉と話していて…

バルクホルン「俺の魔法力は…もう…」

考えればすぐに分かる事じゃないか!アイツはもう20を過ぎている…パ・ド・カレーの時とは違うんだ…

バルクホルン「なぜ…」

俺は男性ウィッチだから、俺は生きて私のところに帰ってきてくれたから、俺は2度の撃墜からも帰って来れたから

だから俺をどこか『特別』なウィッチとして現状に疑問を抱かなかった

バルクホルン「私は…馬鹿だ…」

もうまとも飛べなくなったあいつが、どんな気持ちでここまでたどり着き 私にあんな事を言ってくれたんだろう…

バルクホルン「うぅ…くぅ…ぅ…」

廊下で膝から力が抜けて崩れ落ち むき出しの太ももに暖かい粒が落ちている

そしてあいつは、守る為に巣へ突入するんだ…魔法力も限界なのに

バルクホルン「…私は」

その続きの言葉が言えず、私はおぼつかない足取りで自分の部屋へと向かった


最終更新:2013年01月28日 14:44