1945年 第501統合戦闘航空団基地内 医務室 ロマーニャ開放一週間後の夜
バルクホルン「んん…俺ぇ?」
俺は過去を振り返りながら再びバルクホルンの頭を撫でていると起こしてしまったのか椅子に座りながらベットに体を預けて眠っていた
彼女は目をゴシゴシと指で拭くような動作をしながらベットに預けていた上半身を起こす
俺「起こしちゃったか…おはようトゥルーデ、といってもまだ夜みたいだけど」
バルクホルン「…!?気がついたのか俺!今すぐ誰か…」
俺「しー、静かに、俺は大丈夫だから夜くらい静かにしよう?」
急に立ち上がったバルクホルンの手を取り、口に人差し指を立てに立てて静かにというジェスチャーを交えて言う俺の言葉に
バルクホルンは静かに元の座っていた椅子に座る
バルクホルン「…その、体は大丈夫なのか?」
俺「ああ、宮藤が治してくれたんだろう 傷も無いみたいだし痛みも無い」
バルクホルン「そうか…よかった…」
俺「大げさだなぁ…」
バルクホルン「大げさな物か…一人でネウロイの巣へ行くなどと…どれだけ不安だったか」
俺「悪い悪い…」
俺が軽く謝罪をするとバルクホルンは身を乗り出して俺を抱きしめる
バルクホルン「もうあんな無茶はしないでくれ…お前を失ったら私は…」
俺「そうだな…すまない」ナデナデ
彼女をあやす様に頭を撫でるが彼女からの抵抗は無い
俺「ふふ…」
バルクホルン「な、なんだ?」
俺「ちょっと昔を思い出してな…昔のトゥルーデは俺を突っぱねてたから今のこの状況がちょっと可笑しくてな」
そういわれ、バルクホルンは抱きしめていた両の手を離し元の椅子へと座る
バルクホルン「へ、変だったろう…すまない…」
俺「いや、可愛かったよ?」
バルクホルン「なっ…!ぬ…むぅ…」
俺の言葉にどう反応して良いのか分からず、バルクホルンは月明かりのみが照らす薄暗い医務室で頬を赤らめる
俺「なぁ、トゥルーデ ゲルト母さん達は今…」
バルクホルン「母上も父上もカールスラントと共に…」
俺「そっか…ごめん」
バルクホルン「だがクリスは元気だ!撤退戦の時に怪我こそして病院に居るが今は元気でやっている」
俺「クリスが…良かった」
バルクホルン「お前の事を手紙で書いたら大喜びしていたぞ?ただ結婚はしないのかと聞かれた時は困ったが…」
俺「困る事なの?」
バルクホルン「あ、当たり前…いや…」
バルクホルンは途中で言葉を詰まらせたように飲み込んで、首を振り俺を見据える
バルクホルン「…自分の気持ちに正直になると決めたのだ、俺?」
なんだ? と返す俺に月明かりを背にしたバルクホルンは左手で右肩を抱きながらベットに身を乗り出して不安そうな表情で俺を見つめる
バルクホルン「私はもうお前を失いたくは無いのだ…5年前のように…」
パ・ド・カレーの撤退戦を両者は思い出しながら、彼女は続ける
バルクホルン「これから…これからはずっと私の…うわ!?俺、何を…」
彼女の言葉を遮るように、俺は身を乗り出したバルクホルンをベットに引きずり込んで彼女をベットへ仰向けに寝かせた
俺「トゥルーデ、そこから先は俺の台詞だ…俺ももうトゥルーデの傍から離れたくないんだ
あれから5年も経つから、最初会った時は不安だったけど…」
その言葉にトゥルーデは少しだけ笑いながら答える
バルクホルン「嘘を付くな、出会いがしらに求婚する奴の何処に不安がある?」
俺「あ、あれでも緊張したんだぞ? もう結婚してたりとか、俺の容姿はこんなんだから綺麗になったトゥルーデに振られるんじゃないかって…」
バルクホルン「ふふふ…そうだな、どうしようも無い奴だったらどうしてくれようかとも思ったよ」
俺「う…」
バルクホルン「だがお前は生きていてくれた…一人でネウロイ一体どころかネウロイの巣を倒してきてしまったしな」
俺「…あれは俺一人の力じゃないよ、それに今までだって誰かに支えられてネウロイを倒してきたし生きてきたんだ
到底一人前なんて言えないな…」
そこまで言う俺にバルクホルンは覆いかぶさっている俺へ手を伸ばして背中を包むようにして抱きしめる
バルクホルン「生還してくれれば良いのだ…生きてお前が今ここに居る、お前はもう立派な一人前だ」
微笑みながら一人前だと認めてくれるバルクホルンに俺は喜びを隠せず頬が緩んでいく
俺「そっか…へへへ…」
バルクホルン「情け無い顔をするな」
言葉こそ厳しいがその声色はとても優しい だがその言葉に俺は一つ咳払いをしてバルクホルンに向き直る
俺「…一人前になりました」
バルクホルン「…ああ」
俺「トゥルーデ、俺は君の傍にずっと居たい 俺と…結婚してくれませんか?」
心臓の音が酷く俺の鼓膜に響く、月明かりの照明のみの夜の医務室はとても静かで布切れ音すら聞こえない部屋の中で
二人は見つめあう
バルクホルン「…私で良ければ、喜んで引き受けよう」
彼女の答えは実に彼女らしい答え方だった
◆
俺「ありがとう…」
俺は彼女の答えに感謝したまま動かない
両者はベットに倒れたまま沈黙を続けると困ったようにバルクホルンは言い出す
バルクホルン「…こういう時、どうすれば良いのか分からないのだ」
俺「俺も良く分からないや…短絡的かも知れないけど…」
バルクホルン「…ぅ」
俺は小さな布切れ音を出しながら右手の人差し指と親指で小さな輪を作り、彼女の顎をその輪に乗せ
バルクホルンは静かにその瞳を閉じる
バルクホルン「んん…」
夜の医務室に二人の影が重なり合う
バルクホルン「ん…ん?」
コツコツ、とバルクホルンの歯に何かがノックをするように当たる
彼女は訳も分からず口の閉じられた歯の門を空けてしまう
バルクホルン「うん゛っ!?むー…!」
少しだけ身じろぎしながら、彼女の口の中に進入した物に驚く
狼が待ち構えていながらも鍵の閉めた家の門を開けてしまった赤ずきんのように、
ただ怯えるように動きすらしないバルクホルンの舌は入ってきた俺の舌に丹念にその全身をなぶられていく
バルクホルン「う゛ー…むー…う…あむ…」
最初こそ体に力が入って俺へ手で訴えかけるように背中を平手で叩いたが次第にその抵抗が弱まり
弱々しくバルクホルンは俺の背中を掴む
バルクホルン「ぷぁ…」
唇を離した彼女は目は熱に浮かされたように赤くなり少しだけ涙を貯めて疲れても居ないのに肩で息をしている
少しだけ俺は彼女のそんな様子を見ていたら息が整ったバルクホルンは静かに俺へと訴える
バルクホルン「俺!?行き成りすぎるぞ…」
俺「あー…ごめん、その…勢いが止められなかった」
バルクホルン「私の
初めてが…その…深い方だなんて…」
その言葉に落ち込んだように思えた俺は慌てて謝罪する
俺「ご、ごめん…」
バルクホルン「まったく…だが良い、それだけ私を求めてくれるのだ…」
そういってバルクホルンは俺の背中から手を離してゆっくりとベットへ両の手を下ろす
バルクホルン「前の結婚式はここまでしなかったからな…」
俺「…花嫁姿は可愛かったけどねw」
バルクホルン「う、うるさい!」
彼女をからかいながら俺はゆっくりと体を離そうと上半身を両の手で支えながら上げるとその手をバルクホルンに掴まれる
バルクホルン「…」
俺「どうしたんだ?」
その問いに彼女は俺を見据えたままゆっくりと答える
バルクホルン「…あの結婚式の後、お前が居なくなって…お前が二度と私の前に現れないんじゃないかと不安になったんだ」
俺「もう離れないって言ったろ?」
バルクホルン「…そうかもしれない、だがこうしてまたお前が離れていくと不安なんだ…怖いんだ、またお前が居なくなってしまいそうで」
俺「…」
バルクホルン「俺…私を…んむぅ!?」
彼女の言葉は続かずに、彼女の唇は塞がれ、しばらく重なり合う
バルクホルン「はぁ…はぁ…」
俺「不安にさせてごめんな…」
バルクホルン「お前は謝ってばかりだな」
俺「俺の悪い所かもな…言わせてばっかりな所もさ」
彼女の言いかけた言葉に答えるように俺は右手をむき出しになった彼女のおへそあたりに伸ばし、服を止めているボタンの所で止まる
その指を感じ取ったのかバルクホルンは一回だけピクンと全身を震わせせたが、抵抗をせずに無言で俺を見つめ
ベットに下ろしていた彼女の両手を俺の首筋にまわす事で彼の問いに答えた
最終更新:2013年01月28日 14:50