ロマーニャ開放から3週間後 第501統合戦闘航空団基地内 バルクホルン&エーリカの部屋
宮藤「失礼しま~す、わぁ…綺麗です~…」
バルクホルン「あ、ありがとう宮藤」
片付けられ、物がほとんど無い部屋の椅子に座っている白いウェディングドレスを着たバルクホルンを見て宮藤は息を呑みながら
彼女の近くに寄る
宮藤「おめでとう御座いますバルクホルンさん!クリスちゃんが来てるのでお知らせに来ました」
バルクホルン「何っ!?クリスが!」
宮藤「あ!?駄目ですよすぐ動いたら…」
ガタンッ と音を立てて座っていた椅子から立ち上がろうとしてこの世界では珍しい長い純白のスカートに足を取られ
転げそうになるのを宮藤に抱きとめられる
その二人が抱きしめられる格好を部屋に入ってきた人物に見られ大笑いされた
シャーリー「あっはっはっは!履きなれない物だから気をつけないと本番でも転ぶぞ?」
バルクホルン「た、大尉っ!?どうしてここへ…」
シャーリー「結婚式の準備も大体終わったからね、花嫁の様子を見に来たんだけど良いものが見れたな~」
バルクホルン「この衣装も要らぬと言ったのにあいつがどうしてもと言うから…笑うが良い」
シャーリー「そうだな、歩きなれない格好をするバルクホルンを見るのは笑えるけど…」
部屋の入り口に立っていたシャーリーはゆっくり彼女の近くに歩いてきて、ウェディングドレスを纏ったバルクホルンの目の前で止まる
シャーリー「綺麗だと思うぞ?その姿はさ。 本当にあの堅物かと疑うくらいだよw」
バルクホルン「ぬ…ぬぅ…」
少し気恥ずかしそうにバルクホルンは優しく笑うシャーリーの視線から目を外して入り口を見ると
車椅子に乗ったクリスと、その後ろで車椅子を引くミーナが部屋に入ってきた
クリスはその姿に息を呑み、ミーナは少し羨ましそうに惚れボレしている
ミーナ「見違えるわねぇ…おめでとうトゥルーデ」
クリス「わぁ…」
バルクホルン「ひ、久し振りだな、クリス…」
バルクホルンは自分の姿のせいなのか妹のクリスに対してどう接して良いか分からず椅子から純白の手袋をした手を振る
その態度を見かねてミーナはクリスの乗る車椅子を押してバルクホルンの前に歩み寄る
クリス「うん…久し振りだねお姉ちゃん。 結婚おめでとう!」
バルクホルン「ありがとうクリス」
クリス「相手ってあのお兄ちゃんなんだよね?」
バルクホルン「そ、そうだぞ!」
クリス「いいなぁ…昔の結婚の約束を守ってくれる人と結婚出来て…」
シャーリー「ほほぅ…?」
ミーナ「あら?」
宮藤「へぇ~…まるで映画みたいなお話ですねぇ、詳しく聞かせてくれる?」
花嫁の部屋に居たシャーリー、ミーナ、宮藤はクリスの発言に興味を持ったのか
ニマァ~っと頬を緩めてその話をもっと聞かせてと頼み始める
バルクホルン「そ、その話はいいじゃないか!?な、クリス?」
クリス「でも本当の事だよ?」
バルクホルン「私はあの時考えるって言ったんだ…」
クリス「でも今日本当に結婚するんでしょ?」
バルクホルン「あ、ああ…」
結婚をするという言葉に未だ頬を赤らめている純白の花嫁は頬を掻いて肯定する
クリス「これでお兄ちゃんも家族だね~、お父さんとお母さんは居なくなっちゃったけど喜んでくれるかな?」
バルクホルン「…そうだな、父上も母上も俺の事を好いていたからな とても喜んでくれるだろう」
クリス「一番お兄ちゃんを好きなのはお姉ちゃんだけどね~」
バルクホルン「なっ…!?」
クリスの言葉に恥ずかしくなりつい否定しそうになるが、反動的に出そうな言葉を飲み込み、
赤面しながらもゆっくりと正直な気持ちを吐き出す
バルクホルン「そうだ、私はあいつを一番好いているぞ」///
シャーリーとミーナからご馳走様でしたと言われ、バルクホルンは耳まで真っ赤になる
ミーナ「そろそろトゥルーデの仕度も終わらせないといけないし、皆は外で待っててくれる?」
シャーリー「あいよ、私は花婿の様子でも見てくるよ」
宮藤「私はクリスちゃんと外で待ってますね、それじゃあ行くよ?」
クリス「うん!ありがとう芳佳ちゃん!」
元々面識の無かったクリスと宮藤だったがお互いの姿が何処か似ていた為か、それともバルクホルンに前もってお互いの事を知らされていた為か
仲睦まじい友達のように話しながら宮藤がクリスの乗った車椅子を押して部屋を後にする
バルクホルン「これでもまだ準備が足りないのか…」
ミーナ「そうよ?今日の主役ですもの、もっと着飾らなくちゃ」
そういってミーナは花嫁衣裳を着たバルクホルンの背後に回り、彼女の髪を縛っているリボンを解き、机の上のバックから白い花の付いたリボンを二つ
取り出して彼女の髪を再び二つに縛る
バルクホルン「しかし…この格好は不慣れでいかんな…」
ミーナ「その言葉、俺さんが聞いたら泣くわよ?」
バルクホルン「ふふふ…確かに泣きそうだ。だがどうしてもこの長いスカートは履き慣れん…」
片方白い花の付いたリボンを巻き終えたミーナはもう片方に取り掛かりながらゆっくりと花嫁へと語る
ミーナ「そうね、私達ウィッチは常にズボンを履いてるから慣れないのかも知れないわね…でも」
バルクホルン「ん?」
ミーナ「その長いスカートには戦わないって意味があるのよ?」
バルクホルン「戦わない?私は軍じn…」
軍人だと言おうとした彼女の口を後ろから人差し指を立てに立たせミーナはバルクホルンの口に当てて静止させる
ミーナ「今日の貴方は花嫁なのよ?今日という日はストライカーを履かない、戦う必要の無い、ウィッチとしてではなく一人の女性として
結婚する…昔はウィッチの力を必要として結婚する場合もあったみたいだけど、今日の貴方は違うでしょ?」
バルクホルン「…ああ」
ミーナ「一人の女性として、そして守ってもらえるほどの人と結婚する…羨ましいわよ?」
バルクホルン「ふふふ…守ってもらえるほどあいつに器量があるかは問題ではあるがな」
ミーナ「そうして貰わないと困るわ、なんて言ったって私の、私達の家族が嫁いで行くんだもの…」
バルクホルン「ミーナ…」
もう片方のリボンも終わり、バルクホルンは二つのリボンに付いた白い花を揺らしながらミーナに振り向くと
彼女の目は少しだけ潤みながら優しく微笑んでいる
ミーナ「ちょっと感傷的になっちゃったわね…後はベールを被れば大丈夫だから…」
バルクホルン「…なぁミーナ」
かばんから机の上に白いブーケを出したミーナにバルクホルンはゆっくりと彼女の前に立つ
ミーナは少しだけ涙声になりながら答える
ミーナ「どうしたの?」
バルクホルン「私とヴァージンロードを歩いてくれないか?」
ミーナ「それは…」
本来花嫁の両親のどちらかが花嫁を花婿へと託すまでの道を共に歩む習わしがある
バルクホルン「私の両親は居ない…だが私を気にかけてくれた『家族』はここに居る、だからミーナ、私と一緒に歩いて欲しい
もちろんこの501の皆が家族だが…」
花嫁の言葉に涙をするようにミーナの瞳は揺れながら花嫁の手を握る
ミーナ「勿論一緒に歩くわよ、家族としてね…ありがとうトゥルーデ…」
バルクホルン「感謝を言うのは私のほうだ、ありがとうミーナ」
◆
第501統合戦闘航空団 昼前 俺の部屋
ペリーヌ「もうちょっとシャキっとしなさい!」
俺「そう言われましてもコレが素の顔で…」
エイラ「酷な事いうなッテ」
ロマーニャが開放されてから3週間後、俺が意識を取り戻してから2週間後の事
俺とトゥルーデは第501統合戦闘航空団が解散する前に結婚しようという流れになった…というか俺がそうした
最初こそ皆に驚かれたが、今は祝福している…ハズ
ペリーヌ「今日の貴方はバルクホルン大尉にとって最高の紳士になってもらわなければなりませんのに…」
エイラ「…最高の紳士って聞くとちょっとアレな人っぽイナ」
白いタキシードに身を包んだ俺はペリーヌの監修の元みっちりと外見を固められていった
タキシードなんてどれも同じだと思ったがまさか白一色になるとは思わなかったけど…
ペリーヌによって花婿に仕立てられている俺の様子をエイラは椅子に座って楽しそうに笑っている
ペリーヌ「おだまりなさい!それほど今日が重要な日って事ですのよ?まったく…」
少しだけ不満そうにしていたペリーヌは大きくも無く、かといって小さくも無い白い薔薇を俺の胸ポケットにつけ始める
ペリーヌ「これは私からのプレゼントです事よ、貴方には少々勿体無い気もしますがそれで少しは品が出ますでしょう」
それだけ言って再び衣装の道具が入っているであろうバックを漁りにペリーヌは俺から離れる
俺「なあ、エイラ、俺ってペリーヌに嫌われてる?」
エイラ「くっくっく…あのツンツン
メガネな、この間ずっとこの白い薔薇をロマーニャじゅうを探し回ってたんダヨ」
横で傍観していたエイラは楽しそうにかばんを漁っているペリーヌを指して笑いながら言う
エイラ「大尉の為ってのもあるかも知れないケド、嫌いな奴にそこまでするような奴じゃないからキニスンナッテ」
俺「そっか…」
何かを取り出したペリーヌは再びプリプリと少し不満気味に俺に近づく
ペリーヌ「どうかしまして?」
俺「中尉、ありがとうな」
ペリーヌ「な、なんてことありません事よ!?コレくらい淑女の嗜み…」
行き成り感謝されたペリーヌは肩をビクつかせ驚いたが不満そうな表情は消えてくれたようだ
その様子を見て再びエイラは笑っているとシャーリーが俺の部屋に入ってくる
シャーリー「よう、順調にやってるか?」
俺「おおぅ…多分順調だ」
シャーリー「ほほぅ…バルクホルンも凄かったけど俺も花婿って感じだな」
俺「そうか?」
シャーリーは俺の目の前までやってきて俺の体を下から上まで見るように上半身を動かしながらじっくり見ている
シャーリー「…ああ、とっても似合ってるぜ」
ペリーヌ「当たり前ですわ、私が見立てているのですから」
エイラ「ハイハイソウダナ、ちょっとサーニャの様子見てこようぜツンツンメガネ」
ペリーヌ「え?ちょっとお待ちになって、確かにもう終わりですがバックくらい仕舞わせt…」バタン
エイラは待ちきれないと言わんばかりにペリーヌの腕を掴んで俺の部屋を後にする
置いていかれた花婿とシャーリーは出て行った扉を見てあっけに取られている
俺「どうしたんだあいつら?」
シャーリー「ん~…サーニャがピアノの練習を見られるの恥ずかしいからって言ってたからな、俺の部屋で時間を潰してたみたいだけど待ちきれなかったみたいだなぁ」
俺「ピアノはサーニャにまかせっきりだからなぁ…ちょっとすまない事をしたな」
シャーリー「いいんじゃないか?本人は張り切ってるみたいだしさ」
俺「なら良いんだけどさ、なあシャーリー、ウーシュとエーリカを見なかったか?朝から見かけて無いんだけど…」
ハルトマン姉妹の事を聞かれたシャーリーは一瞬ビクッ と肩を震わせた後、バツの悪そうな顔で視線を外に向ける
シャーリー「あ、あいつらは私も朝から見てないなぁ…ほんと、せっかくの日なのに何処に行ってるんだか…」
俺「そっか…」
シャーリー「そんな暗い顔するなって、あいつらもそのうちひょっこり出てくるだろうからさ 今日は胸張ってバルクホルンの花婿を務めろよ?」
俺「ああ」
俺はシャーリーの言葉に迷いこそ心の中にあったが、彼女を心配させないように間もおかず肯定した
◆
第501統合戦闘航空団基地 中庭 昼頃
俺「…」
昼のまぶしい光が差し込む緑溢れる中庭には赤いヴァージンロードが基地内部への入り口から敷かれて今日の為に作った祭壇へと続いている
ヴァージンロードのわきには世話になった整備兵達やリーネ、ペリーヌ、エイラ、シャーリー、ルッキーニ、そして車椅子に座ったクリスとその後ろに宮藤が
立って見守ってくれている
祭壇の向こう側には牧師に装ったのか黒い服装を来た坂本少佐がボードに挟まれた紙を必死に呼んで復習している
その中にはミーナにウーシュ、エーリカの姿が無い
ミーナは俺が衣装の準備を始めた時に姿を見せていたから今は別の所に居るから良いとして…
俺「やっぱ来ない…か」
少しだけ、いや…とても寂しい気持ちになった
- 「私は俺さんが好きです…空や使命よりもずっと大切です…貴方が私の前で初めて昇進してからずっと 居心地の良い貴方の隣が」---
2ヶ月ほど前のガレージで人類の反抗作戦『オペレーションマルス』の単独参加を止めようとして放ったウーシュの言葉が蘇る
気がつけなかった…というよりは早すぎたのかも知れない
初めて彼女の前で昇進したのは俺がまだ魔法力のピークを終えていない時であり
彼女もまた幼かった
けどそれから数年以上もずっと俺を慕ってくれた彼女の気持ちに答えることが出来なかったのだから、来ないのも当然なのかも知れない
だが自分で出した答えに嘘は付かない、受け止めなければ成らない事ならどれだけ寂しくても自分の出した答えだ
そう自分に言い聞かせて暗くなっているかもしれない表情を振り払うかのように1度だけ首を左右に振って顔を上げる
ヴァージンロードの先、基地内へ続く扉が開かれ、外に運び出されたサーニャのピアノの優しい音色が中庭中に響く
そこには少しだけ正装をしたミーナと、目を見張るほどの純白のウェディングドレスに身を包んだトゥルーデが二人、トゥルーデがブーケを持ちながら
左手を少し持ち上げ曲げているミーナの腕にそっと右手を置くようにして繋ぎ、ゆっくりと祭壇近くに居る俺のところへ歩み寄る
ルッキーニ「うじゅ~、まっしろ~」
リーネ「わ~…」
クリス「お姉ちゃん…とっても綺麗だよ…」
綺麗としか言いようの無い神秘的な雰囲気を出すウェディングドレスのトゥルーデの顔は白いブーケに包まれているにも関わらずその下は真っ赤なのが
良く分かる
様々な人達の小さな声とサーニャのピアノが進むにつれて彼女達は俺の所に近づいてきて目の前で止まる
ミーナ「トゥルーデをよろしくね…」
優しく微笑むミーナは折り曲げていた腕を戻し小声で俺にそう語りかけて花嫁の隣を花婿へと譲る
俺はその言葉に静かに首を立てに肯定して空けてくれた花嫁の隣に立ち、ミーナがしていたように左腕をまげて花嫁をエスコートする
花嫁は花婿の腕に掴まり、ゆっくりと二人は坂本少佐の立っている祭壇へと歩み、たどり着いた
◆
坂本「えーごほん…」
坂本少佐はバルクホルンの頼みによって牧師役をしている
彼女の黒髪と相まって黒い衣装は実に凛々しく見えているが
当の本人はミーナやペリーヌによって作られたボードに挟まれているお決まりの台本の台詞に悪戦苦闘し、未だに言いずらそうにしている
だが坂本少佐の言葉が始まると501の少女達や整備兵達は坂本少佐の台詞を聞くために声がフェードアウトするかのように止まる
坂本「お、俺…貴様…いや貴方はこの者にょを愛し、慈しみ…言いづらいな…」
結婚式のお決まりの牧師の台詞すら言いにくそうにしているとクスクスと501の少女達から笑いが漏れる
ミーナ「少佐、頑張って」
小声で応援される坂本少佐だがどうにも言いづらい事は変えられないらしく持っていた台本を祭壇に置きゆっくりと二人を見る
坂本「…ふぅ、」
台本を置かれ、それを準備していたミーナとペリーヌの頭に「?」が出そうな何をするのだろうという顔をしている
坂本「今日、この二人は結ばれます」
ミーナ(少佐!?誓いの言葉を飛ばしてるわよ!?)
坂本「私達はこの記念すべき日に立ち会うことが出来ました」
既に覚えられる台詞を言いやすい台詞に変えられて坂本少佐の牧師の言葉が続く
坂本「ここに生あることを心より感謝し 二人の永遠の愛を共に祈りましょう」
準備された台詞とは違うが、牧師のような、そして最前線で戦っている者達に共感さえするような台詞を語り
坂本少佐は小さく頭を下げて目を瞑ると結婚式に集まった皆は少しの間坂本少佐と同じ様に小さく頭を下げて目を瞑り祈り始める
ミーナ(…もう美緒ったら、でも用意した台詞よりももしかしたらトゥルーデ達にとって良い台詞なのかも知れないわね)
互いに生のある事、それはパ・ド・カレー撤退戦で彼が生きていたこと、最終作戦でトゥルーデが撃墜されても生還した事
俺がネウロイの巣から生還した事…
それらを経験した新郎新婦にとってこの言葉はとても有難いことなのかもしれない
そう思ってミーナは一安心していたが、坂本少佐の奇跡はここまでのようだったようで…
坂本「では、この新しいチームに最初の任務を遂行してもらおう」
ミーナ「えっ!?美緒…」
俺「え…ぁ…え?」
バルクホルン「くっくっくっ…」
坂本少佐らしいその牧師の台詞に俺は戸惑うも
坂本「男らしく早く行け!」
と急かされる…
俺は出鼻を挫かれるものの、その意図を感じ取ったようでトゥルーデの頭に掛かったブーケをゆっくりと上へとめくり花嫁の顔をあらわにする
その顔は坂本少佐の言葉でリラックスしていたのか顔の赤みは取れて微笑んでいるように思える
花嫁の両肩を優しく包むように両手のひらに収めて花嫁の唇へと俺は顔を近づける
ウルスラ「ちょ、ちょっとまったーーーーーーーーーー!」
中庭に、この先まず聞くことも無いであろうウーシュの大音量の声と魔道エンジンの音が結婚式を開いていた中庭に響く
◆
俺「ウーシュ!?それにエーリカ?」
二人の双子はメッサーシュミットを履いて中庭の上を旋回している
エーリカ「間に合ってよかった!俺ー!トゥルーデー!私達からの贈り物だよ~~~~」
ウルスラとエーリカは手に大きな籠を持っており、そこに手を入れて何かを結婚式を開いている中庭へと振りまく
バルクホルン「これは、花?」
白い花びらが結婚式場に舞う
ウルスラ「私達からのプレゼント、フラワーシャワーです」
エーリカ「ほらほらウルスラ、もっと一杯降らせないと!」
ウルスラ「は、ハイ…」
姉のエーリカに急かされるように空中でせっせとフラワーシャワーを降らせる様は天使のような双子の花さか爺さんのようでちょっと
おかしくなって俺は笑ってしまう
ルッキーニ「花の雨だー!」
シャーリー「よく考えたもんだな~、あっはっはっは」
宮藤「すご~い…」
白い花の雨が一通り終わって、ウルスラとエーリカは中庭に着陸し、双子は笑顔を新郎新婦に向ける
ウルスラ「おめでとう御座います、俺さん、バルクホルン大尉」
エーリカ「おめでとう、トゥルーデ、俺もねw」
その双子の言葉に俺とバルクホルンはそれぞれ多くの感謝の意味もこめて「ありがとう」と言い
俺は自分の顔が酷いくらいニカッっと笑っているのを自分でも分かりながらトゥルーデに向き直り
俺「愛してるよ、トゥルーデ」
バルクホルン「私もだ、俺」
まだ名残のように振っているフラワーシャワーの中、二人は誓いのキスを交わした
◆
第501統合戦闘航空団基地内 中庭奥
結婚式に参加した基地のメンバーは祭壇のある中庭から奥に進み
物干しなどに使われる海の見える広い丘に出ていた
トゥルーデを囲った501メンバーの中で俺の隣にはエーリカがストライカーを外して歩いている
ウルスラも同様にストライカーを外して宮藤とクリスの隣に落ち着いていた
俺「今日は来ないかと思ったよ」
エーリカ「えー、どうして?」
俺「朝から見かけなかったしそれに…」
彼女達双子の思いに答えられなかったことに俺は少し寂しそうな顔をする
エーリカ「俺が決めた事だもん、しょうがないよ それにね?」
エーリカは俺の顔を覗き込むように上半身を倒しながら前を歩く
エーリカ「私も、ウルスラもエースなんだよ?」
俺「エース?」
エーリカ「うん、エースは弱くないんだよ 俺が決めた事を受け入れて立ち上がれるの」
俺「…流石だな、俺はエースじゃないから分からない境地だよ」
エーリカ「俺は撃墜数40以下だもんね~」
俺「カールスラント勢の撃墜数が異常なだけだとおもうがなぁ…」
エーリカ「ネウロイの巣に単独出撃した人が言えるのかな?」
俺「それはそれ、これはこれ、だ」
エーリカ「そんな物なの?あ、そろそろブーケトスかな?」
全員が中庭の外の海の見える丘に出たところで皆が新郎新婦の周りに集まり始めた
トゥルーデは持っていたブーケを胸に抱えてミーナに目配せをした後、背中を向ける
ブーケを投げ、次に受け取った女性が結婚できるという慣わしのある儀式である
ブーケ・トスの準備に取り掛かった
俺「大丈夫なんだろうな…?」
エーリカ「大丈夫だよ」
背後を向けたトゥルーデの正面には501メンバーが様々な面持ちの表情で待っている
リーネ(芳佳ちゃん、芳佳ちゃん、芳佳ちゃん…)
ペリーヌ(次は私と少佐が…)
エイラ(サーニャ、サーニャ、サーニャ!)
ミーナを囲うように3名が獲物を見るような目でトゥルーデの背中を見つめている
更にその奥にニヤニヤとした表情をするシャーリーとルッキーニ…
俺「本当に?」
エーリカ「…多分」
バルクホルン「それでは行くぞ?そらっ!」
トゥルーデの掛け声と共に花嫁の手に握られたブーケは宙を舞い、ミーナ達のところへ飛んでいく
シャーリー「ふふふ、いっけー!ルッキーニ!」
ルッキーニ「うじゅあ~~~~~~~~ん!と~~~つげき~~~~~~」
エイラ「ゲッ!?ルッキーニを投げた!」
ペリーヌ「させませんわ!」
シャーリーの掛け声と共に投げられたルッキーニの前にペリーヌは慌てて飛び出しブーケを掴もうとして
手を伸ばし、ルッキーニとペリーヌの手にブーケは触れられるも掴む事は出来ないまま二人はブーケを通り過ぎる
ブーケは触れられた事により予定していたコースを大きくはずれ
ウルスラ「…?」ポスッ
ブーケは宙をくるくると回りながら、車椅子に座っているクリスの隣で
ただその様子を眺めていたウルスラの手元に落ち着いた
エイラ「アアアァァ…」
リーネ「そんなぁ…」
シャーリー「えへへ、失敗しっぱい」
シャーリー「あははは、これは仕方ないな~」
バルクホルン「む?投げたコースを見誤ったか…すまないミーナ、約束なのに」
ミーナの隣までトゥルーデは歩いて小声で謝罪する
ミーナ「仕方ないわねぇ、皆元気なんだから ふふふ」
ミーナは怒った様子も無く仕方ないと言わんばかりに笑いながら
俺の近くにいたエーリカの両肩をガシっと掴む
ミーナ「フラウ、貴方が結婚した時はお願いね?」
エーリカ(ミーナ、目が笑ってないよ…それに私より後に結婚する気なの…?)
501メンバーは様々な表情を浮かべながらブーケを受け取ったウルスラを見る
状況を把握していないウルスラにクリスは声をかけた
クリス「次はお姉ちゃんが結婚だね~」
ウルスラ「次?」
クリス「そのブーケを受け取ると、次に結婚出来るって習慣があるんだよ~?」
ウルスラ「…そうですか」
宮藤「わ~、おめでとうございます、ウルスラさん!」
宮藤の言葉に コクン と頷いたウルスラはトトトッ と俺の傍まで静かに歩み寄る
ウルスラ「俺さん」
俺「どうしたウーシュ?」
ウルスラ「次は私らしいです」
ウルスラ持っていた花束を俺の目の前に笑顔で突きつける
ウーシュが落ち込んだ表情ではなく、明るい表情で笑っているのを見て俺は救われた気持ちで彼女を撫でる
俺「そういう習わしらしいな、おめでとうウーシュ 先に祝っておくよ」ナデナデ
ウルスラ「ありがとうございます、次は…ふふふ」
撫でられたウルスラはメガネの奥に滅多に見せないはにかんだ笑顔を見せながら舞い込んだ幸せのブーケをその胸に抱きしめた
最終更新:2013年01月28日 14:52