Episode2 『胎動』
翌日
新しい朝・・・
この日から本格的にストライクウィッチーズが始動する。
坂本「ほらほら頑張れ!残り2セットだ!」
リーネ「ハァ・・・ハァ・・・大丈夫・・・芳佳ちゃん?」
芳佳「ハァッ・・・ハァ・・・なんで・・・わたしまで・・・」
坂本「はっはっは!ついでだついで!」
芳佳「そ・・・そんな~・・・ハァハァ・・・」
軍医になった芳佳だったが朝は前と同様と一緒に走らされる羽目になってしまったようだ。
坂本「よし!そこまで!2人ともよく頑張ったな。汗を流してから飯としよう!」
芳佳&リーネ「はい!」
今朝の朝食は基地直属の食事班が作ってくれていた。
だがここはカールスラント。
この地の料理といえば・・・
---食堂---
エーリカ「わーい!いもだー!」
ゲルト「こらハルトマン!あまり騒ぐんじゃない!カールスラント軍人たるものいかなるときでも・・・」
エーリカ「隙あり!」
ゲルト「あ!ちょ、お前!それは私の・・・」
ミーナ「少し声が大きいわよトゥルーデ。」
ゲルト「ミ・・・ミーナ・・・」
エーリカ「やーい、怒られてやんのー」
ミーナ「あなたもよ、フラウ。」
エーリカ「ちぇー。」
シャーリー「それにしても芋が多いな・・・ま、あたしは食べられればなんでもいいけど」アムッ モグモグ
ペリーヌ「もしかしてこれからずっと毎日芋料理・・・なんてことはありませんわよね・・・?」
芳佳「あはは・・・それはちょっと・・・」
ルッキーニ「え?でもよしかも作ってくれるんでしょ?」
芳佳「あ、それもそうだね!」
エーリカ「わたしは毎日いもでもいいんだけどな~」
俺「それはちょっと勘弁っス・・・」
午後
それぞれが訓練のため外に出ていた。
俺一等兵はしばらくの間日中の哨戒に参加することに決まった。
もちろんそれは彼の実力をはかる目的だ。
---基地内格納庫---
ミーナ「それじゃあ、俺一等兵。あなたの実力を測るためにまずは飛行テストからはじめます。」
俺「はいっス。」
今回の訓練にはシャーリーとルッキーニがいっしょだった。
ミーナ「まずはこの2人の後についていってください。途中、急な旋回行動をとる場合もありますから十分に注意してくださいね。」
俺「了解。」
ミーナ「それじゃあ2人ともお願いね。」
シャーリー&ルッキーニ「りょーかい!」
3人が勢いよくエンジンをふかす。
ブロロロロロロロロと大きな発信音と共に3人が空中へと舞い上がった。
---バルト海上空---
ミーナ「ザザッ・・・3人とも聞こえますか?」
インカムを通してミーナの声が聞こえる。
シャーリー「ああ、良好だよ隊長。」
ミーナ「それでは飛行テストを開始します。俺一等兵は先ほど言ったように2人についていってください。」
俺「了解です。」
ミーナ「それとシャーリーさん。」
シャーリー「なんだい?」
ミーナ「あまりスピードは出し過ぎないようにね。」
シャーリー「あはははは・・・了解・・・」
俺「?」
ルッキーニ「じゃあいくよ俺!」
俺「はいっス!」
3人は勢いよく飛び始めた。
時にひねりや旋回を入れたりして絵を描くかのように様々な機動で飛ぶ。
ミーナ「彼・・・なかなかやるわね・・・」
坂本「ああ・・・並みのウィッチでも難しい機動にも難なくついていってるな・・・」
シャーリー「おーい!大丈夫か俺?ついてきてるか?」
俺「はい、大丈夫っスよ。」
シャーリー「へー、やるじゃないか!(少しいじわるな旋回も入れたりしたんだけどな・・・できるなコイツ・・・)」
ルッキーニ「俺、すごーい!」
ミーナ「ザザッ・・・3人ともそこまで。」
ミーナ「一度帰投してください。」
シャーリー&ルッキーニ&俺「了解。」
---基地内格納庫---
シャーリー「ふぅ~・・・それにしてもお前、なかなかやるじゃないか!」
俺「いや~、イェーガー大尉ほどではないっスよ。」
シャーリー「ハッハッハ!謙遜するなって!あの旋回についてこれたんだ、大したもんだよ。」
ルッキーニ「あたしもびっくりしたー!だってシャーリーけっこうスピード出したのにについていってるんだもん!」
俺「あ~、それはこのストライカーのおかげかも知れないっスね。」
シャーリー「そうそう、飛んでるときに気になったんだけど、俺のそのストライカーって見たこと無いんだよな。」
俺「そりゃそうっス。これは俺専用に作ってもらったストライカーっスから。」
シャーリー「へ~、あたしらのストライカーとどっか違うのかい?」
俺「いえ、基本的な性能は一緒なはずです。ただこいつ・・・『オルフェウス』は装備者の気持ちの持ちようで性能が結構変わったりするそうっス。」
シャーリー「オルフェウスっていうのか、そいつ。で、気持ちの持ちようで変わるってのは・・・」
俺「なんでもこいつの性能は装備者の意識に呼応するように出来てるそうっス。詳しいことは俺も良くわかんないっスけど・・・」
俺「簡単に言えば俺が速く飛びたいって強く念じればスピードもそれに伴って早くなるし、急速旋回するときなんかはあらかじめ機動を決めて念じればそれと同じように飛べるっス。」
俺「まぁ速く飛んだり、複雑な機動で飛んでればその分魔力の減りも早いんスけどね。」
シャーリー「へぇ~。なんだか不思議なストライカーだな。今度中身見せてもらってもいいか?」
俺「はい、かまわないっスよ。」
ルッキーニ「うじゅ~、シャーリー・・・」
シャーリー「ああ、ごめんなルッキーニ。つい話し込んじゃったよ。」
ミーナ「3人ともお疲れ様。」
ミーナ「今回の分の俺さんのデータは十分に取れました。今日のテストはこれで終了とします。」
ミーナ「これから夕飯なので食堂に向かってください。あ、俺さんは少し話があるから残ってね。」
俺「了解っス。」
シャーリー「じゃーな、俺。またあとでな。」ツカツカ
ルッキーニ「またねー!」タッタッタ
俺「はい、また。」
そう挨拶を交わして2人は去っていった。
ミーナ「それで俺さん。」
俺「なんでしょうか隊長。」
ミーナ「あなたのさっきの動きだけど・・・」
俺「あ~はいっス。さっきもあの2人に教えたんスけど・・・」
俺はミーナにもう一度ストライカーのことを話した。
ミーナ「・・・なるほどね。その意思に呼応するストライカーのおかげでさっきの機動も難なくこなせたと・・・」
俺「まあ、俺の実力も少しはあるでしょうけどね。」
ミーナ「フフフ、そうね。さあ皆が待ってるわ。食堂へ行きましょう。」
俺「はいっス!」
---食堂---
食堂ではすでに皆が集まっており団欒を交えながら食事を楽しんでいた。
芳佳「あ、俺さん!ミーナ隊長!」
芳佳「お2人の食事もちゃんと用意できてますよ。」
俺「ありがとうございますっス宮藤さん。」
ミーナ「ありがとうね、宮藤さん。」
見渡してみると朝見かけなかったエイラとサーニャもいた。
彼女達は夜間哨戒のために睡眠をとっていたのだ。
俺「隣、いいですかリトヴャク中尉?」
サーニャ「あ、はい・・・構いませんよ。」ニコッ
一瞬エイラがムッとした顔を見せたがサーニャと話すとすぐに機嫌を取り戻したようだ。
芳佳「えっと今回は俺さんには特別に・・・」
エイラ「あれは・・・」
ペリーヌ「もはや通過儀礼ですわねこれも・・・」
俺「? なんのことっスか?」
芳佳「納豆をご用意させていただきました!」
俺「おっ!納豆!ひさびさに食べるなぁ~」
芳佳「あれ?」
ペリーヌ「嫌ではありませんの?」
リーネ「すごいですね・・・」
俺「あれ?なんでっスか?」
芳佳「いえ、いつもは扶桑以外の方はこれをあまり食べてくれないんですけど・・・」
俺「ああ、そういえばまだリトヴャク中尉とユーティライネン中尉にしか言ってませんでしたね。」
芳佳「なにがですか?」
俺「俺はオラーシャと扶桑のハーフなんスよ。」
芳佳「はーぶ?」
リーネ「ハーフだよ・・・芳佳ちゃん・・・」
ペリーヌ「彼のご両親が扶桑とオラーシャの方、ということよ・・・」
芳佳「あー!そうだったんですか!よく考えたら『俺』って扶桑名ですもんね!」
俺「親父が扶桑人なんで朝にはよく納豆を食わされてました。初めは嫌だったんスけど、年を重ねるにつれてだんだんと・・・」
芳佳「あ~わかります!それ!わたしもそうでした!」
ゲルト「豆の話だけであれほど盛り上がれるとは・・・」
エーリカ「・・・隙ありっ!」
ゲルト「あ!ハルトマン!お前はまた私の食べ物を・・・」
ズルズルッっと威勢の良い音が聞こえる
ペリーヌ「本当に食べますのね・・・」
エイラ「お前、よくそれ食えるナ・・・」
サーニャ「・・・・・」
俺「え?だって美味いっスよ?これ。」
俺「んでも、夜に食べる納豆ってのもまた一味・・・」ズルズル
坂本「はっはっは!なかなか威勢のいい食べっぷりじゃないか!」
芳佳「おかわりまだいっぱいありますから、遠慮なく言ってくださいね。」
俺「あ、じゃあおかわり。」
芳佳「って早っ!」
その後もこんな他愛も無い会話で夕食の時間が終わった。
翌日
---基地内格納庫---
俺は再び格納庫に来ていた。
ミーナ「今日は射撃訓練も兼ねてペイント弾を使っての戦闘訓練を行います。」
ミーナ「今回はハルトマン中尉とバルクホルン大尉に協力してもらいます。」
エーリカ「よろしくね~俺。」
ゲルト「お前の実力見せてもらうぞ。」
俺「よろしくお願いします。」
ミーナ「それじゃあ3人とも所定の位置へ向かってください。」
ゲルト&エーリカ&俺「了解。」
---バルト海海上---
ミーナ「ザザッ・・・3人とも聞こえますか?」
ゲルト「ああ、聞こえているぞ、ミーナ。」
ミーナ「それでは戦闘訓練を行います。戦闘を行うのは俺一等兵とハルトマン中尉。被弾判定はバルクホルン大尉にお願いします。」
ゲルト「了解だ。」
ミーナ「ペイント弾といっても当たればそれなりに痛いはずですから被弾しないようお互いベストを尽くしてください。」
エーリカ「いっとくけど手加減はしないよ!」
俺「はいっス!全力でお願いしますっス!」
ゲルト「ではいくぞ・・・始め!」
ゲルトの合図と同時に2人が急速に上昇した。
お互いに相手の後ろを取ろうと器用にストライカーを操作する。
と先に後ろをとったのはエーリカだった。
エーリカ「もらったぁ!」ダダダダダダダ!!
俺「舐めてもらっちゃ困るっス!」
エーリカ「!!」
俺が見せたのはかつて坂本の十八番であった・・・
エーリカ(左捻り込み・・・!!)
俺「もらったっス!」ダダダダダダ!!
今度は俺が後ろを取る。が・・・
エーリカ「まだまだ!シュトゥルム!」
エーリカの掛け声と同時に彼女の固有魔法によって、疾風の如く急速に離脱されてしまった。
俺「すげ・・・!これがウルトラエース・・・!!」
エーリカ「見とれてる場合かなっ!」ダダダダダダダダ!!
上方から迫るエーリカ。
俺「あぶねっ!」ヒョイ
しかし、俺は迫るペイント弾を異常ともいえるブレイクで難なくかわす。
エーリカ「嘘・・・」
すれ違い、今度はヘッドオンの状態に。
ダダダダダダダダダ!!
とお互いにロールを加え、回避しつつペイント弾を放つ。
だが・・・
ベチャ
と鈍い音。
俺「うぇ!?」
ゲルト「しょ・・・勝負有り!ハルトマン中尉の勝ち!」
見ると、俺の顔面にペイント弾がしっかりと付着していた。
俺「だー!やっぱ無理かぁ・・・」
エーリカ「うん・・・でも、あたしもう弾切れなんだよね・・・」
ゲルト「なに!?・・・まさか、あのハルトマンをここまで追い込むとは・・・」
エーリカ「びっくりしたよ。いきなり変な機動で動くんだもん。」
俺「あ~、それはこいつのおかげっスね。」
コツコツとストライカーを叩く俺。
俺「こいつはなんでも俺の思い描いた機動をダイレクトに反映してくれるみたいで、これまでもずっとその機能に助けられてきたんス。」
俺「ただ、この機能使うと魔力の消費が著しく早くなるんで、あまり機能を使いながら長時間航行し続けたりするのは無理なんスけど・・・」
ゲルト「そうか・・・ただお前が使えると証明するには十分すぎる結果だな。なにせあのハルトマンをここまで追い込んだんだ。」
エーリカ「なんか勝ったのに負けた気分・・・」
俺「ははは・・・」
ミーナ「ザザッ・・・訓練は終わったようね。3人ともそろそろ帰投してもらえるかしら?」
ゲルト「ああ、今から帰投する。」
ゲルト「2人とも聞こえたな。そろそろ戻るぞ。」
エーリカ&俺「了解!」
---基地内格納庫---
ミーナ「3人ともお疲れ様。俺さん、あなたには驚かされっぱなしだわ・・・」
俺「あはは・・・恐縮っス・・・」
ゲルト「同感だ、なにせあのハルトマ・・・」
エーリカ「わーわーわー!もう、何回同じこと言うんだよぉトゥルーデ!」
ゲルト「しかしあの結果は誰も予期していなかったからな・・・」
ミーナ「そうね、今回の結果であなたの力が全員に認められるはずだわ。」
エーリカ「ミーナまで・・・よし決めた!勝ったけど、明日もっかいリベンジするからね!」
俺「ええ~・・・」
エーリカ「するったらするんだからね!いい!?」
俺「は・・・はいっス・・・」
ミーナ「あらあらフラウがこんなに本気になるなんて珍しいわね。」
ミーナ「でも今日はもう終わり。さぁ、この後は夕食よ。3人ともシャワーを浴びてから食堂に行ってね。」
次の日、俺はエーリカによってペイント弾まみれにされたのだった。
最終更新:2013年01月29日 14:09