Episode10 『正義』
---医務室---
俺「ヘックション!」ズルズル
芳佳「大丈夫ですか?」
俺は先の戦いで海へ落ちたのが原因で風邪を引いてしまった。
元々風邪気味だったのに加え、さらに追い討ちをかけるような気温と海水温のおかげで余計に悪化してしまった。
俺「あはは・・・こりゃちょっときついっスね・・・ハックション!」ズルズル
彼の声は風邪のせいで鼻声になっていた。
芳佳「これ、おかゆ作ってきました。これで体あっためて、早く元気になってくださいね。」ニコ
俺「かたじけないっス。いただきます。」
素朴だがこれが意外と美味い。
芳佳「どうですか?お口に合いましたか?」
俺「はいっス。とてもおいしいです。」
芳佳「よかった。それ、サーニャちゃんとエイラさんと一緒に作ったんですよ。」
俺「そうだったんスか・・・後でお礼言わないとな・・・」
芳佳「はい。だから早く体治してくださいね。」
俺「はいっス。」
芳佳「それじゃあ私は失礼します。食べ終わったらそのままで結構ですから。」
俺「ありがとう、宮藤さん。」
にっこりと笑いかけて宮藤はいってしまった。
俺(さて・・・どうっすかな・・・)
やることがなくなってしまった。
今日は普通に訓練日なので当分の間訪れる者はいない。
俺(おとなしく寝よう・・・)
しばらくの間眠ることにした。
---???---
俺「・・・あれ?」
目を開ける。
そこには見慣れない街の風景が広がっている。
俺「どこだ・・・ここ・・・?」
あたりを見渡しても見たことのない建物ばかりが並んでいる。
そこかしこに扶桑語が書いてあるあたり、ここは扶桑なのだろう。
俺「扶桑にこんな街あったか?」
往来を歩く市民はこれまた扶桑では見慣れないフォーマルな格好をした者や、ラフで派手めな服装をしている者など様々だ。
俺「ちょっと歩いてみるか・・・」
この往来の中では俺の服装は明らかに浮いていた。
しかし、誰も俺の様子に気づくものはいない。
まして存在にすら気づいていないようだ。
ここで俺が少し立ち止まる。
俺「えっと・・・あれってここの名前かな?」
列車の駅と思われる場所で足が止まった。そこには駅名らしきものが書かれていた。
俺「巌戸台駅・・・?」
『いわとだい』
確かにそう書かれていた。
俺「全然知らないな・・・扶桑もまだまだ広いんだな・・・」
もうしばらく探索してみることにした。
周りの人間はせわしなく動き続ける。
止まっている者は大概手に持った機械をなにやら弄っているか、タバコを吹かす者ばかりだ。
俺(なんなんだろうな・・・あれ・・・)
見るもの全てが新しかった。
少し冒険気分になったところで誰かに声をかけられる。
?「そこの君。」
俺「?・・・俺っスか?」
?「そう、君だ。」
俺の存在に目を向けるものが現れた。
声をかけてきたのは
メガネをかけた、どこか優しそうな男性だった。
?「見たところ君はここの住人じゃなさそうだね。一体どうやってここに来たんだい?」
俺「え?さ・・・さぁ・・・目が覚めたらここにいました・・・」
?「そうか・・・私も似たようなものでね。今、元の世界へ戻るためにいろいろと調べているんだ。」
俺「元の世界?」
?「うん。おそらく君と私のいた世界は同じだ。そしてここは私たちがいたところとは別の世界。」
?「これを見てくれ。」
見せられたのは世界地図。
しかし、明らかに地形が異なっている。
俺「あれ・・・似ているけど・・・違う・・・」
?「そう。それで今私たちがいる国がここだ。」
そう言って男性が指を指した場所は本来『扶桑』と書かれているはずの場所だ。
しかし、そこにはこう書かれていた。
俺「日本・・・?」
?「そう。私たちの世界では扶桑と呼ばれているがここはどうやら日本と言うところらしい。」
?「そして・・・」
今度は別の建物のほうを指差す。
そこには巨大な画面があり、この日の日付が書かれていた。
俺「2009年・・・9月6日・・・2009年!?」
明らかに年号がおかしい。
?「そうなんだ。世界も違えば明らかに年代もおかしい。」
?「私は何年もの間この世界から出られずにいる・・・」
?「家族も心配しているかもしれない・・・できることなら一刻も早く帰りたいんだ・・・」
俺「あの・・・あなたは一体・・・」
?「ああ、すまない。まだ私の名前を言っていなかったね。」
?「私の名前は宮藤一郎。前までは扶桑で技術者をしていたんだ。」
俺「宮藤って・・・あの宮藤博士ですか!?」
一郎「私を知っているのかい?」
俺「いや、寧ろ知らない人のほうが少ないんじゃ・・・」
俺「それに宮藤さんの・・・芳佳さんのお父さんですよね?」
一郎「君は芳佳を・・・娘を知っているのか?」
俺「はい。一緒にネウロイと戦ってる仲間っスから・・・」
一郎「そうか・・・それにしても君は男性のウィッチのようだね。これは珍しい・・・」
俺「はい。よく言われます・・・」
一郎「そうか・・・話を聞く限りではネウロイはまだ消えていないようだね・・・」
俺「はい・・・いまだに出現しています。最近ではより一層手ごわくなってきていて・・・」
一郎「私たちの世界はいまだ危険な状態にあるんだね・・・」
俺「はいっス。でも、平和な空を取り戻すまではあきらめられないっス!」
一郎「そうだね。正直成人もしていない君たちに戦わせるのは非常に心が痛むのだが、今は君たちに頼らざるを得ないんだ。すまない・・・」
俺「大丈夫っス!みんなも平和な世界を取り戻したい気持ちは一緒っスから!」
一郎「そう言ってもらえるか・・・ありがとう。しかし、しばらくは私はまだ戻れそうにない。それまでは君たちに向こうの世界を頼むよ。」
俺「任せてくださいっス!」
一郎「それじゃあ私は行くよ。どうか平和な世界を取り戻してくれ、えっと・・・」
俺「自分は『俺』っていいます。」
一郎「そうか。では頼んだよ俺くん。」
俺は宮藤博士に敬礼をする。
博士もそれに応えるように答礼してくれた。
宮藤博士はそのまま群集の中へと消えていった。
俺「でも博士がここから出れないんじゃ俺も出れないよな・・・」
俺「仕方ない、もう少し出る方法を探るか・・・」
再び歩き始める。
しばらく歩いていると横断歩道に差し掛かる。
ふと反対側へ目をやると向こう側に一人の少年がいた。
少年の髪はダークブルーに近い色で、髪の毛が右目にかかっていた。
そして少年の耳には妙な機械が取り付けられ、それは胸元あたりの小さな機械とつながっていた。
俺はなぜかその少年が気になった。
多くの人々の中で、ただその少年だけが・・・
信号が青へと変わり人々が歩道をわたり始める。
それに合わせて俺も向こう側へと渡る。
向こうの少年もこちら側へ歩いてくる。
そして、その少年とすれ違う瞬間、彼の耳元の機械から音がもれて聞こえてきた。
"Burn My Dread"
俺「!?」
ザザッ…
その言葉を聴いた瞬間、急にノイズのように頭の中に言葉が流れ込んでくる。
Man was born free, and everywhere he is in chains.
complex
what does not kill me makes me stronger ressentiment
ego anima
frouss animus
OMME FIGURE ANTHROPOMORPHE
he who has a why to live can bear almost any how
Penes, Done je suis
topological space
Aufheben
ou personnage fictif
Living not breathing, but doing.
"The meating of two personalites is like the contact of two chemical substance:
if there is any reaction, both are transformed."
forgetting pain provides relief, but only leads to repetition Chaos theoly
La mort est personnifie
des le debut de I'humanite
life is the law, death merely sleep
consciousness matter
generalization
concept ldeology
cogito, elgo sum
dependency semblance
induction
spirit hypothesis
そしてひたすらこの言葉が頭の中で繰り返される。
"Memento mori"
---医務室---
俺「ハッ!」ガバッ
エイラ「うおっ!」
サーニャ「・・・!」ビクッ!
俺「ハァッ・・・ハァ・・・こ・・・ここは・・・?」
エイラ「い・・・医務室に決まってんダロ!それより急に起きんじゃネーヨ!サーニャもびっくりしただろうガ!」
俺「ハァ・・・ハァ・・・すみません・・・」
サーニャ「大丈夫ですか・・・?すごい汗・・・」
俺「いえ・・・ただちょっとすごい夢見ちゃったみたいです・・・」ハァハァ…
エイラ「・・・夢?」
俺「はいっス・・・」
サーニャ「聞かせてもらえますか・・・その夢・・・」
俺「たぶん訳わからないと思いますけど・・・」
エイラ「いいから話せヨー」
俺「わかったっス。」
俺は夢の中の出来事を2人に話した。
サーニャ「宮藤博士が・・・」
エイラ「ふーん、まぁ夢だしナ。」
俺「そうっスね・・・」
サーニャ「・・・このお話、芳佳ちゃんにしてあげたらどうですか?」
エイラ「そうダナ。あいつ喜ぶかもしれないゾ?」
俺「そうですか?じゃあ時間があれば・・・」
エイラ「それにしても、お前もう風邪は大丈夫なのカ?」
俺「ん?そういえば体が軽くなったような・・・」
サーニャ「体温計持ってきますね・・・」トコトコ
俺「ありがとうっス。」
サーニャが体温計を取り出し俺へと渡す。
サーニャ「はい、どうぞ。」
俺「どうもです。」
熱を測るとすでに熱は下がっていた。
エイラ「36.4℃・・・うん、もう大丈夫ダナ。そりゃあれだけ汗かいてれば下がるカ。」
サーニャ「でも今日は大事をとってもう少し休んだほうがいいと思います・・・」
俺「そうっスね。そうさせてもらいます。」
サーニャ「それじゃあ、お夕飯の時また来ますね。」
エイラ「じゃーナー。」
俺「何から何まですみませんっス。あ、そうだ。」
サーニャ&エイラ「?」
俺「おかゆ、とってもおいしかったっス。お2人ともありがとう!」ニコ
エイラは下を向いていたため表情が良く見えなかったがサーニャはにっこりと笑顔を返してくれた。
満月の3日前の夜
---俺の部屋---
深夜0:00
アニマ「こんばんは。」
俺「ん・・・ああ、来たのか・・・」
アニマ「今日はね、やってくる『終わり』についてもう少しだけ思い出したんだ。」
俺「そういえばそんな話してたな・・・」
アニマ「もしかして忘れちゃったかな?でも一応話しておくね。」
アニマ「その『終わり』は、みんなに望まれてやってくるんだ。」
アニマ「おかしな話だよね、終わりを望む人がいるなんてさ。」
俺「そうか?」
アニマ「え?君は、『終わり』を望むのかい?」
俺「いや、お前の言う『終わり』がどういうものか分からないけど、俺は早いとこ、このネウロイとの戦いを終わらせたいけどな。」
俺「多分、これって他の普通に暮らしてる人とかも思ってるはずだ。」
アニマ「フフフ。君は面白い考え方をするね。」
俺「それに約束もしたからな。この戦いを終わらせるって。」
アニマ「そっか。えっと、じゃあ今回現われるやつの話をするね。」
アニマ「今回は1体だ。その者は正義の名の下に君たちに立ちはだかるだろう。」
俺「正義・・・ね・・・」
アニマ「まぁ今の君たちならきっと倒せるはずだよ。じゃあね。」スー…
俺「ああ、またな。」
少年は消えていった。
翌日・・・
ゴロゴロ…
外は生憎の雨模様だ。
俺「雨か・・・今日はどうすんだろうな・・・」
---ブリーフィングルーム---
ミーナ「みなさん、おはようございます。」
ミーナ「今日は雨が強いため訓練は中止とします。この天気ならネウロイの進行の心配も無いでしょう。」
ミーナ「なので今日は・・・」
坂本「大掃除だ!」
基地の掃除をすることになった。
まずは自室の掃除。
---エーリカ&ゲルトの部屋---
エーリカ「めんどくさいー」
ゲルト「いい機会だハルトマン。今日という今日はおとなしく片付けてもらうぞ!」
エーリカ「え~。じゃあトゥルーデも手伝って。」
ゲルト「私のほうの掃除が終わったら手伝ってやろう。」
廊下から声が聞こえてくる。
ルッキーニ「むしー!」
エーリカ「なんかやってる!」タッタッタ
エーリカは部屋を飛び出した。
ゲルト「おいこら!ハルトマン!!」
---基地内廊下---
ゲルト「まてー!ハルトマーン!」
ゲルト「シャーリーか!ハルトマンはどっちへ行った!?」
シャーリー「ルッキーニと一緒にあっちに・・・」
ゲルト「そうか!助かった!」タッタッタ
シャーリー「お、おい!あたしもルッキーニを追うかな・・・」
シャーリー「ってかあいつ、いつからあたしのこと『シャーリー』って呼ぶようになったっけ・・・?」
---大浴場---
浴場ではすでに自室の掃除を終えた坂本、宮藤、リーネ、ペリーヌがいた。
坂本「ふぅ・・・これだけ大きいと掃除も大変だな。」
宮藤「そうですね・・・」ゴシゴシ
リーネ「清掃班の方々も大変なんですね・・・」ゴシゴシ
ペリーヌ「少し休みたいですわね・・・」
その時浴場に誰か入ってきた。
ルッキーニ「まてーむしー!」
エーリカ「まてー!」
2人はどうやら虫を追っているようだ。
宮藤「ルッキーニちゃん、ハルトマンさん!?」
ペリーヌ「なんなんですの、騒がしい!」
坂本「おい、どうしたんだ2人とも?」
ルッキーニ「あんね!見たことないむしがいたんだよ!」
エーリカ「そうそう!青くてきらきらしたちょうちょ!」
リーネ「青い蝶?」
芳佳「あ、あれじゃない?」
宮藤が指を指した場所には能天気にひらひらと舞う蝶がいた。
ルッキーニ「いたー!」
エーリカ「つかまえろー!」
ゲルト「いた!こらーハルトマン!!」
エーリカ「げっ!トゥルーデ!」
ゲルト「まったく・・・手こずらせおって・・・」
その時ゲルトの近くに蝶が近づく。
エーリカ「トゥルーデ!それ捕まえて!」
ゲルト「ん?」
ルッキーニ「そのちょうちょだよバルクホルン!」
ゲルト「まったく・・・これをとったら戻って掃除するんだぞ?」
エーリカ「分かったからはやく~!」
ゲルト「よし・・・それ!」
少しジャンプして蝶を掴もうとする。だが・・・
スカッ
ゲルト「あれ?」
ゲルトの腕はむなしく宙を掴んだ。
ゲルト「クソ!・・・この!」スカッ スカッ
何度やっても捕まりそうにない。
エーリカ「も~、なにやってんのさ~トゥルーデ~」
ゲルト「やっても捕まえられないんだ!!」
シャーリー「あ、いたいた。おーいルッキーニ~!」
ルッキーニ「シャーリー!そのちょうちょつかまえて!」
シャーリー「ん?こいつか?よし、任せろ!」
シャーリー「よっと!」
ジャンプして捕まえようとするが・・・
スカッ
シャーリー「ありゃ?」
どうも蝶はつかまりそうにない。
シャーリー「おっかしーなー・・・確かに捕まえたはずなんだけど・・・」
その間にも蝶はまた廊下のほうへと出て行ってしまう。
ルッキーニ「まてー!」タッタッタ
エーリカ「逃がさない!」タッタッタ
ゲルト「おいハルトマン!」タッタッタ
シャーリー「ルッキーニー!」
4人はどこかへ行ってしまった。
リーネ「行っちゃったね・・・」
芳佳「うん・・・」
坂本「3人とも・・・」
ペリーヌ「どうされました、少佐?」
坂本「蝶を捕まえに行くぞ!」ムフーッ!
芳佳&リーネ&ペリーヌ「・・・・・・」
坂本「私の部屋に網があったはずだ。取りに行って来るからお前たちは先に行ってろ!」タッタッタ
芳佳&リーネ&ペリーヌ「・・・・・・」
ペリーヌ「行きますわよ・・・」
芳佳&リーネ「はい・・・」
3人はゆっくり追うことにした。
---エイラ&サーニャの部屋---
エイラ「フー・・・一段落したナ。」
サーニャ「お疲れ様、エイラ。はい、お水。」
エイラ「サンキューな、サーニャ。」ゴクゴク
エイラ「うん、一仕事終えた後の水はうまいナ!」
サーニャ「あれ・・・なんだろう・・・?」
エイラ「ん?あれは・・・」
そこには青色に輝く蝶が一匹。
ルッキーニ「むしー!!」
エーリカ「どこだー!」
突然ルッキーニとエーリカが2人の部屋へ押しかけて来た。
エイラ「なになに!?なんダヨ急に!」
ルッキーニ「エイラ、サーニャ、ちょうちょいなかった?あおくて、キラキラしてるやつ!」
サーニャ「それなら・・・そこにいるよ。」
サーニャが指を指した先では蝶が羽をはためかせ舞っていた。
エーリカ「いたー!う゛!」グイッ
襟首を誰かに引っ張られた。
ゲルト「ようやく捕まえたぞハルトマン。さぁ、部屋へ戻って掃除だ!」
エーリカ「えー!やだーいやだーい!!」
ゲルト「ええい!駄々をこねるな!」ヒョイ
ゲルトはエーリカを担ぎ上げ部屋へと戻っていった。
エーリカ「はーなーせー!」
声はどんどん遠くなっていった。
シャーリー「あはは・・・あいつも大変だな・・・」
そこへまた一人現われる。
坂本「蝶は!?蝶はどこだ!!」
坂本は手には網を、肩には虫かごをかけていた。
シャーリー「少佐・・・それ・・・」
ルッキーニ「少佐!ここだよー!」
坂本「そこか!なるほどその位置ではルッキーニには届かんな。どれ、私が捕まえてやろう!」
そう言って坂本は網を振りかぶり・・・
坂本「烈風斬!」
と言って網を振り下ろす。が・・・
スカッ
坂本「なに!?」
網でも蝶は捕らえられない。
芳佳「あ、いた。坂本さん!」
ペリーヌ「少佐!」
坂本「来るなお前達!」
リーネ「!?」
坂本「これは私と蝶の闘いだ・・・横槍はいれてくれるなよ・・・」
ルッキーニ「よくわかんないけど少佐かっちょいー!」
シャーリー「あはは・・・」
坂本「とうっ!せいっ!やぁッ!」スカッスカッスカッ
しかし、何度やっても結果は同じだった。
坂本「ゼェ・・・ゼェ・・・なぜだ・・・」
そう言っている間にも蝶は悠々と去っていく。
ルッキーニ「あ、逃げちゃう!」タッタッタ
坂本「逃がすか!」タッタッタ
サーニャ「行っちゃった・・・」
シャーリー「とりあえず私は追うけど、みんなはどうするんだ?」
ペリーヌ「とりあえずは・・・」
芳佳「追います・・・」
リーネ「私も・・・」
シャーリー「エイラとサーニャは?どうするんだい?」
サーニャ「いきます。」
エイラ「マジでカ!?・・・じゃあ私も行く。」
シャーリー「じゃあみんなで行くか!」
---基地内廊下---
ミーナと俺が掃除を終えて話していた。
俺「みんなが一段落したらお茶でも入れましょうか。」
ミーナ「そうね。あら?」
2人の近くに蝶が現われる。
ミーナ「珍しいわね、こんなところに・・・」
俺「蝶?」
遠くのほうから誰かが駆け寄ってくる。
ルッキーニ「中佐ー!俺ー!」
坂本「ミーナ!」
ミーナ「ルッキーニさんに美緒!?どうしたの!?」
坂本「その蝶を足止めしてくれ!」
ミーナ「これのことかしら・・・それ!」スカッ
ミーナ「あ・・・あら・・・?」
蝶は能天気にひらひらと舞いつつ次第に俺へと近づく。
俺「ん?」スッ
俺は右手を差出し、蝶を手のひらへと迎え入れようとした・・・その瞬間、
カッ!
俺「うおっ!?」
ミーナ「!?」
突如蝶が強烈な光を発する。そして次に目蓋を見開いた時には・・・
俺「あれ・・・」
ミーナ「び、びっくりしたわ・・・なんかのおもちゃだったのかしら・・・」
蝶の姿はどこにもなかった。代わりに俺の目の前に、帽子をかぶった雪だるまのような人形が一つ落ちていた。
俺「なんだ・・・これ・・・?」
人形を拾い上げ、背中のタグを見ると、扶桑語でジャックフロストと書かれている。
ルッキーニ「あれ?ちょうちょは?」
俺「えっと・・・なんか消えちゃったみたいっス。」
坂本「なん・・・だと・・・?」
シャーリー「おーいルッキーニ!どうだった?」
遅れてシャーリーたちもやってきた。
ルッキーニ「あ、シャーリー!あのね、ちょうちょどっかいっちゃった・・・」
シャーリー「そっかー、残念だったな。次は捕まえられるといいな。」
ルッキーニ「うん・・・」
ミーナ「あらあら、みんな揃って・・・掃除は、終わったのかしら?」
芳佳「私たちは終わりました。」
エイラ「こっちもダ。」
ミーナ「そう、それじゃあお茶にしましょう。みんな、ラウンジに集合ね。」
皆が続々とラウンジへと向かっていく。
俺「う~ん・・・」
そんな中、俺は相変わらずその場で人形を眺めていた。
サーニャ「あの・・・どうしたんですか・・・?」
俺「あ、サーニャさん。いえ・・・なんかさっきの蝶が消えた途端に、目の前にこれ落ちてて・・・」
サーニャ「・・・?」
俺「あぁ・・・訳わかんないですよね・・・すみません。」
サーニャ「・・・・・」ジーッ…
サーニャはまじまじと、その人形を見つめている。
俺「・・・あの・・・よかったら、いりますか?これ?」
サーニャ「え・・・?いいん、ですか・・・?」
俺「俺が持っててもしょうがないっスし、サーニャさん、きっとこういうの好きかなって思ったんスけど・・・もらってくれますか?」
サーニャ「は、はい。ありがとうございます・・・」
俺はサーニャに人形を手渡す。
俺「そいつ、ジャックフロストって言うらしいっス。よかったら、大切にしてあげてくださいっスね。」ニッ
サーニャ「はい・・・ずっと、大事にします・・・」ギュッ
サーニャ(なんだか、普通の嬉しいとは違う・・・とっても嬉しい・・・)
結局この日もエーリカの部屋は掃除されず、ジークフリート線は引かれたままだった・・・というのはまた別のお話。
2日後
---ブリーフィングルーム---
ミーナ「今回で11体目ね・・・運がよければ今日で全て終わらせられるかも・・・」
坂本「2体同時に出ればな・・・」
エイラ「それはそれできつくないカ・・・?」
ルッキーニ「ねー中佐!」
ミーナ「なにかしら、ルッキーニさん?」
ルッキーニ「あのねあのね、まだあたしと俺だけコア壊したことないんだよー!」
ルッキーニ「だからさ!もしかしたら今日はあたしの攻撃で壊せるかもしんないよ!」
ミーナ「!・・・そういえばそうね・・・でも、確かめてみなければ分からないわ。」
ミーナ「では今日の1番目の攻撃はルッキーニ少尉にお願いします。」
ルッキーニ「了解!にひー!」
夜
---基地内ハンガー---
俺(後2体・・・か・・・)
―――なぁ、1つ言いたいことがあるんだが・・・―――
突然頭に声が響く。ルシフェルの声だ。
俺(? なんスか?)
―――『そんな装備で大丈夫か?』――――――
俺(・・・・・・)
ルシフェルは期待しているようだ。
俺「大丈夫だ、問題ない。」ドヤァ…
リーネ「俺さん・・・?」
ペリーヌ「急に大声出して・・・どうかしましたの?」
俺「へ?あ、いや・・・なんでもないっス!あははははははは!」アセアセ
―――クフフフ・・・結構だ。―――じゃあ、頑張れよ。―――
俺(・・・・・・)
ミーナ「ストライクウィッチーズ、出撃します!!」
---バルト海上空---
深夜0:00
俺&サーニャ「来た!!」
2人の魔導針の色が変わる。
シャーリー「あれは・・・」
ペリーヌ「天使・・・ですの・・・?」
満月のほうを見ると翼を持った天使の様なネウロイがいた。
正義のアルカナのネウロイだ。
サーニャ「上空5000m地点に『ジャスティス』を確認。」
ミーナ「ルッキーニさんお願い!俺さんと宮藤さんは彼女の援護を!」
俺&ルッキーニ&芳佳「ウィルコ!/了解!」
3人がジャスティスへと接近する。
ルッキーニ「うりゃりゃりゃりゃー!」ガガガガガガガガガガガガガ
先手を打ったのはルッキーニ。
無数の弾丸がジャスティスを捉える。
ギュアアアアアアアアアアアア!!
ジャスティスが悲鳴を上げる。
そしてジャスティスが行動を始めた。
ヒュン!ヒュン!
ルッキーニ「うぇー、はやいよー!」
俺「これはちっとキツイかッ・・・!」ガガガガガガガガガ
ジャスティスは瞬間移動をするかのように現われては消える。
芳佳「俺さん!ルッキーニちゃん!あれ!」
俺「あれ?」
ルッキーニ「?」
宮藤の指を指した先に何かがある。
俺「石像か・・・?」
ルッキーニ「なんか浮いてる~!」
そこにはネウロイ特有の模様が刻み込まれた黒い物体・・・それこそ石像のようなものが宙に浮いていた。
よく見ると離れた別の場所にも2つ同じものが浮いていた。
芳佳「あれって多分ネウロイのですよね!?だったらあれを壊せば・・・」
俺「やってみる価値はありそうっスね・・・」
俺「リーネさん!」
リーネ「はい!」
俺「そこからボーイズであの石造狙えますか!?」
俺が指差した方向を確認する。
あの位置なら十分ボーイズの射程距離内だ。
リーネ「やってみます!」
リーネが照準を覗きライフルを構える。
ダンッ!
銃声が響き弾丸は一直線に石像へと向かう・・・が・・・
リーネ「そんな・・・」
弾丸は石像を通り抜けてしまった。
俺「ダメか・・・」
リーネ「すみません・・・」
俺「リーネさんのせいじゃないっス!だからそんなに気に病む必要ないっスよ!」
芳佳「そうだよリーネちゃん!」
リーネ「うん・・・ありがとう2人とも。」
ルッキーニ「じゃさ!ぴったり3つあるんだし、3人に分かれて壊そうよ!」
俺「そうっスね、それがベストかも・・・」
芳佳「じゃあ私はあっちを!」
ルッキーニ「あたしこっちー!」
俺「なら向こうは俺がやるっス!」
3人が別れ、それぞれ石像へと向かう。
ヒュン!
ジャスティスが突然俺の前へと立ちはだかる。
俺「そう簡単には行かせないってか・・・」
両手を前へと構えビームを撃つ構えを取る。
俺「至近距離は無理だっての!」ビュン!
俺は急速に上方へと離脱する。が・・・
ヒュン!
ジャスティスがすぐに目の前へと現われる。
すでにビームの充填は完了していた。
俺(やられるッ・・・!)
そう思った瞬間。
ギュアアアアアアアアアアアア!!
ジャスティスが突然悲鳴を上げる。
俺「隙ありだッ!」ズバッ!
俺が横一閃に抜刀。
蒼炎を纏った刀はジャスティスの装甲を大きく散らす。
だが、装甲はジワジワと再生する。
ジャスティスはフラフラになりながら少し遠くへ瞬間移動をする。
芳佳「俺さん、大丈夫ですか!?」
俺「はいっス・・・大丈夫っス。」
芳佳「石像を破壊したんですが、効果あったみたいですね。」
俺「なるほど・・・それで・・・」
ルッキーニ「うじゃ!」
突然インカムを通してルッキーニの声が聞こえた。
芳佳「ルッキーニちゃん!」
ルッキーニへ視線を向けると、彼女のの前にはジャスティスが立ちはだかっていた。
芳佳「俺さん!石像を!」
俺「はいっス!」
俺は刀をしまい拳を構える。
俺「本気出せよ・・・オルフェウス・・・!!」
俺「巻き起これ!」ブロロロロロロロロロ!!
石像へと急速に肉薄し、黒風を纏わせた拳で殴りつける。
ガキッ!!バキバキバキ!!
石像が拳に纏われた風から発生した鎌鼬により、激しく削られ、砕けた。
ギュアアアアアアアア!!
間一髪のところでジャスティスがルッキーニの前から離脱する。
ルッキーニ「ありがとう!俺!」
俺「さぁ・・・仕上げっスよ、ルッキーニさん!」
ルッキーニ「うん!」
俺と宮藤が再びルッキーニと合流する。
ジャスティスが最後の石像の破壊を阻むため舞い降りる。
俺「俺があいつをひきつけるっスから、お2人は破壊をお願いするっス!」
芳佳&ルッキーニ「了解!」
石像の破壊はジャスティスに大きな影響を与えたようで、もはや瞬間移動は出来なくなっていた。
ジャスティスは破壊しようとする2人を阻むため近づこうとするが・・・
シュバ!
俺「お前の相手は俺だ。」
神速の居合いがジャスティスを捉え、斬り裂く。
ギュアアアアアアア!!
一度後退したジャスティスは渾身の力を込め、ビームを空へ放つ。
俺「どこ狙ってんだ?」
するとビームが矢の形になり驟雨の如く降り注ぐ。
俺「マジかッ!」シュババババババ
刀を振るい矢を掻き消してゆく。
しかし・・・
俺「しまった・・・!」
俺へと向けられていたはずの矢の一部が宮藤とルッキーニのほうへ向かっていた。
俺「宮藤さん!」
芳佳「え?うわっ!!」
宮藤が矢の存在に気づく。
芳佳「れ・・・烈風斬!!」ザン!
烈風斬により生み出された風圧で、一瞬の内に矢は全て薙ぎ払われた。
俺「すげぇ・・・」
ルッキーニ「うりゃりゃりゃりゃりゃー!」
その隙にルッキーニが得意の光熱魔法を応用した突撃で石像を破壊する。
ギュアアアアアアアアアア!!
ジャスティスが再び悲鳴を上げ、動かなくなる。
ルッキーニ「シャーリー!」
シャーリー「おう!」
下で待機していたシャーリーがルッキーニの元へ向かい、いつものあの技を繰り出す。
ブォンブォンブォンブォンブォンブォン
ルッキーニの足を持ちジャイアントスイングを始める。
そして・・・
シャーリー「いっけええええええええええええルッキーニ!!」
ルッキーニ「どっかーん!」ビュン!
シャーリーのカタパルトによる超加速でネウロイへと急速接近するルッキーニ。
そのまま多重シールドを張り、ジャスティスへと突撃する。
ズドーン!パリーン…
ルッキーニの突撃によりジャスティスの中心部にあったコアは貫かれ、一気に砕けた。
ルッキーニ「やっほー!!あたしらの勝ちー!」ブイ!
シャーリー「ナイスだ、ルッキーニ!!」
俺「あはは・・・すげぇや・・・」
こうして11番目の敵は見事退けられた。
---俺の部屋---
デブリーフィングを終え、部屋へ戻ってきた。
俺「ふぅ・・・ちょっと疲れたな・・・」
机に目をやるといつものカードがある。
今回は1枚だ。
俺「【JUSTICE】・・・『正義』か・・・」
カードのアルカナ名は【JUSTICE】。秤を持った天使が描かれていた。
カードが砂のように消え、頭に声が響く。
――私は耳を傾けるもの―――――スラオシャ――――
―――――お前に邪(よこしま)を退ける力を与えましょう――――
スラオシャから与えられたのは護る力。
自分以外の味方1人に強力な全方位シールドを展開することが出来るようになった。
俺「お前の護る力・・・借りるっスよ、スラオシャ。」
最終更新:2013年01月29日 14:15