Episode15 『束の間の休息』

---俺の部屋---

俺「・・・・・」パチパチ

俺(夢・・・か・・・いや、現実だったんだよな・・・)

バタン!

ルッキーニ「俺ー、朝だぞーおっきろー!」

俺「あれ・・・ルッキーニさん?どうして・・・」

ルッキーニ「んとね、少佐が俺を起こしてこいって。」

俺「へ!?」ガバッ

起き上がり、眼鏡をかけてから時計を見る。時刻はすでに7:30。朝食の時間だ。

俺「やっば!すみませんルッキーニさん。起しにきてもらっちゃって・・・」

ルッキーニ「ううん。でも俺、もう、悲しくない?」

俺「悲しい?」

ルッキーニ「だって俺、昨日いっぱい泣いてたでしょ・・・?それでみんな、俺はまだ悲しんでるじゃないかって・・・」

俺「・・・・・」

俺はベッドから降り、ルッキーニの元へ歩み寄る。

それからルッキーニに目線を合わせるように屈み、ポンと彼女の頭に右手を乗せた。

俺「ありがとうっス。でも、俺はもう大丈夫っスよ。」ナデナデ

ルッキーニ「ホントに・・・?」

俺「これでも俺、嘘ついたことはあんまりないっスよ。」ニッ

ルッキーニ「あんまりってことはあるの?」

俺「まぁ、何回かは。でも今は嘘ついてないっス。」

ルッキーニ「うん・・・じゃあ信じる!じゃ、あたし先行くね!」タッタッタ

俺「っと、俺も急がないとな・・・」

洗顔と着替えを済ませ食堂へと向かう。

---食堂---

俺「すみません!遅れました!」

エイラ「・・・・・」

リーネ「俺さん・・・」

ゲルト「その・・・もう平気なのか・・・?」

ルッキーニ「平気だよ!ね、俺!」

俺「うっス!ご心配かけたみたいで申し訳ないっス。俺は全然平気っス。」

ゲルト「本当か・・・?」

シャーリー「ルッキーニが平気って言ってるなら大丈夫だよ。ま、そんだけ俺のことが心配なのは分かるけどさ。」

ゲルト「わ、私はただ隊の士気に関わるからと・・・」

芳佳「あの、ご飯早くしないと冷めちゃいます・・・」

ミーナ「そうね。俺さん、席について頂戴。」

俺「了解っス。」

坂本「よし、そろったな。今日の朝食は私も手伝ったから、扶桑方式で食べるぞ。」

坂本が手伝っただけあり、テーブルの上には味噌汁と俵大のおにぎりが人数分置かれている。

坂本「納豆では皆あまり食べないからな。具は焼き鮭にしてある。宮藤に味見してもらったから味についての心配は要らんぞ。では、いただきます。」パンッ

全員「い、いただきま~す。」

―――――
――

デスの存在を知ってから数週間。一向にその存在が明らかにならない。

唯一分かるのはデスが滅びを呼ぶ者ということだけだ・・・

---基地内廊下---

今日一日は非番のため、俺は基地をふらつく事にした。

その途中、向かい側から一人歩いてくる。

僕「あ、俺君。」

俺「ん?僕か。ここももう慣れたか?」

僕「うん。でも、やっぱり暇だね。」

俺「暇って・・・お前普段は何してるんだ?」

僕「う~ん、君やルッキーニちゃんやシャーリーさんがよく誘ってくれるから、それで一緒に遊んだりとかかな。」

僕「あとは坂本さんやミーナさんも時々部屋に来て気にかけてくれるよ。」

俺「そっか・・・そだ、今暇なら一緒に基地探訪でもしないか?まぁ、軍事関係のとこは見せられないけど。」

僕「ほんとに?じゃあよろしく頼むよ。」

僕と一緒に基地を見て回ることになった。

俺「つっても暇つぶしになるものなんてこの基地に・・・あ、そうだ。」

僕「?」

俺「お前、本とか読む?というより文字は読めるのか?」

僕「いくら記憶が無いからってそれくらいはできるよ。」

俺「そっか、じゃあいいとこがあるんだ。」

---図書室---

ギィィィ…

俺「はい、とうちゃーく。」

僕「ここは・・・」

僕が連れてこられた場所は多くの棚が並ぶ部屋。棚の中にはもれなく本がつめられている。

俺「501ご自慢の巨大図書室。世界中の本がここには集まってる・・・らしい。」

僕「らしい?」

俺「ん~、俺はあんまりここは使わないんだよ。だからほんとに世界中の本があるかは知らない。あ、あとここでは静かにな。」

僕「どうして?」

俺「どうしてって、こういう場所ではそうするのが当たり前だし、それにほら、あそこ。」

俺が天井に向かって指を指す。

ルッキーニ「しゃうしゃうしゃぅ・・・しゅるしゅるしゅ~・・・」Zzz…

見上げれば柱の上でルッキーニがマットを敷いて器用に眠っていた。

俺「ここはルッキーニさんのお昼寝スポットの一つなんだ。俺も前に教えてもらって、柱の上じゃないけど寝た事がある。」

僕「へ・・・へぇ・・・」

俺「ここの本はどれも閲覧自由だから、気になるのがあったら手にとってみろよ。」

僕「うん。」

しばらく本を探す二人。

僕「ん?これは・・・」

棚から一つの本を見つけ、手に取る僕。

俺「なんかいいのあったか?」

僕「これは・・・『こころ』?」

俺「お、扶桑語が読めるのか。俺もこの本くらいは知ってるよ。」

僕「どんなお話なんだい?」

俺「えっとたしか、夏目漱石っていう扶桑でも有名な作家さんが書いたやつで・・・」

1分後・・・

俺「・・・で、親友のKを差し置いてプロポーズしたらそのKが自殺しちゃった、って大まかな流れはそんな感じだったかな。」

僕「それはもしかして・・・自殺に見せかけた・・・殺人・・・!?」

俺「お前の脳内では、この話が江戸川乱歩張りのミステリー展開になってるんだな。」

僕「ちがうの?」

俺「いや、いい・・・俺の説明が悪かったよ・・・」

僕「? まぁでも、この本はあまり僕には向いてないみたいだね。」

こころを棚へと戻し、再び本を探す。

しばらくして・・・

僕「これは・・・」

再び別の本を取り出す僕。

俺「どうした?」

ルッキーニ「どうした?」ヒョコ

俺「うおぅ!?」ビクッ

僕「あ、ルッキーニちゃん。おはよう。」ニコ

ルッキーニ「うん!ねー、なにしてんの?」

僕「えっとね、僕が暇をもてあましてたから、俺君にここまで連れてきてもらったんだ。それで何か面白そうな本が無いか探してるんだよ。」

ルッキーニ「ふーん。で、見つかった?」

僕「うん。これなんだけど・・・」

少し埃のかかった図鑑大の本を見せる。

俺「世界の歴史・・・か・・・そういえばお前、この世界についてもよく知らない・・・ってか、覚えて無かったよな。」

僕「うん・・・」

ルッキーニ「じゃああっち行って読もう?」

三人は読書スペースへと移動し、本を眺める。

ペラ…ペラ…ピタッ

僕「・・・・・」

一つのページで僕の手が止まる。

俺「どうした?」

僕「怪異・・・」

そのページは、この世界に幾度と無く侵攻してくる人類の敵達について書かれたページだ。

俺「ああ。俺たちの世界はさ、何の因果か怪異って呼ばれる人外の敵が昔から何度も現われるんだ。」

ルッキーニ「あたしの嫌いなネウロイとかね。」

俺「そうそう。それで、俺らのご先祖様たちが昔からずっとその怪異達と戦ってきたんだ。」

僕「ずっと・・・ネウロイと・・・?」

ルッキーニ「ううん。昔はもっと生き物みたいにうじゃうじゃしてたんだって。あたしはそっちのほうがいいのに~。」

俺「ははは・・・まぁ、加えて言うと昔の怪異は今と比べてもあまり強くなかったらしいんだよな。魔力が無くても、普通の武器で倒せたらしいし。」

ルッキーニ「あいつらが来なきゃ、マーマやパーパもみんな笑って暮らせるのに・・・」

僕「そう、だね・・・」

僕が少し俯く。

僕(何故だろう・・・僕はこの怪異と言う単語に妙に親近感を抱いてしまう・・・)

僕(僕は一体・・・)

俺「おい、大丈夫か?」

僕「え・・・?」

ルッキーニ「ボーっとしてたよ?」

僕「あ・・・ううん、なんでもないよ。」ニコ

俺「そっか、ならいいけど・・・」

ルッキーニ「ね~あたしここ飽きちゃった。他のとこいこ~。」

俺「あはは・・・どうする?ここの本は持ち出しOKだから、それ持ってって後で読むのもありだぞ?」

僕「そうだね、行こうか。」

三人は図書室を後にする。


昼過ぎ

---基地内廊下---

廊下を歩く人影が一つ。

テクテク

サーニャ(せっかくだし、今日、お菓子作ってみよう・・・)

彼女の手に握られた一枚の紙。

そこには先日リーネと練習したお菓子のレシピが記されていた。

サーニャ(俺さん・・・喜んでくれるといいな・・・)

――(回想)―――

エーリカ「そのエプロン凄い似合ってるね、サーニャ。」

サーニャ「そうでしょうか・・・///」

リーネ「うん。その胸のハートとフリル、すごくかわいいよ。」

サーニャ「ありがとう・・・リーネさんの胸のリボンも、素敵・・・///」

リーネ「本当?うれしいな///」ニコ

エーリカ「まぁエプロンはいいとしてさ、私、俺の好みならちょっと知ってるよ。」

リーネ「本当ですか?」

エーリカ「うん。俺ってなんかチョコレート系が好きみたいだね。」

サーニャ「チョコレート・・・ですか・・・?」

リーネ「どうして分かるんですか?」

エーリカ「私、よく俺にお菓子作ってって頼むんだけど、その殆どがチョコレート物なんだよね~」

エーリカ「だからさ、俺はチョコレートが好きと見てほぼ間違いないと思うよ。」

リーネ「へぇ・・・それで、何回くらい頼んだことあるんですか?」

エーリカ「う~ん、100回位もう行ってるんじゃない?」

リーネ「そ、そうなんですか~・・・」

サーニャ「でも、チョコレートといっても、何を作れば・・・」

リーネ「えっと今基地にある材料で作るとしたら・・・ブラウニーなんかいいんじゃないかな?」

サーニャ「ブラウニー・・・?」

リーネ「あ、大丈夫だよ。ちゃんと教えてあげるから。じゃあ、作ってみよう?」

サーニャ「うん。」ニコ

―――(回想終わり)―――

サーニャ(でも俺さん、帰ってからなんだかあまり私と目を合わせてくれない・・・)

サーニャ(私、もしかして嫌われたのかな・・・)シュン…

そこへ向かい側からやってくる3つの人影。

ルッキーニ「あ、サーニャだ。」

俺「あ・・・」

サーニャ「・・・!」

僕「こんにちは、サーニャさん。」ニコ

サーニャ「こ、こんにちは・・・なにを、してるんですか・・・?」

ルッキーニ「暇だからぷらぷらしてんの~。サーニャは?」

サーニャ「私は・・・お・・・お・・・」

サーニャ(うぅ・・・お菓子を作るって言うだけなのに・・・言えない・・・)

僕「どうしました?僕の横ならいつでも空いてますよ。」キリッ

俺(おいおい・・・)

サーニャ「いえ・・・そうじゃなくて・・・その・・・」モジモジ

僕(あ、もしかして俺君に・・・だったら・・・)

僕「お茶のお誘いですか?」

サーニャ「え?いえ・・・あの・・・はい・・・」

サーニャ(どうしよう・・・本当は違うのに・・・)オロオロ

僕「だってさ、俺君。どうする?」

俺「な、何で俺に振るんだよ・・・」

僕「じゃあルッキーニちゃんは?」

ルッキーニ「するー!」

僕「場所はどこですか?あ、ラウンジですねきっと。」

サーニャ「えっと・・・あの・・・じゃあ・・・そこで・・・」オロオロ

僕「わかりました。じゃあ行こうか、ルッキーニちゃん。」

ルッキーニ「え?俺は?」

僕「俺君はね・・・」

ボソボソ

ルッキーニ「ふんふん・・・な~るほど~」ニヒー

僕「と言うわけだから、僕は先にラウンジで本読みながら待ってるよ。」

ルッキーニ「あたし他のみんなも誘ってくるねー!」

サーニャ「え・・・!?みんなって・・・」

俺「おい!俺は・・・」

僕「君はお菓子作れるんだし、手伝ってあげたら?じゃ、あとでね~」タッタッタ

ルッキーニ「じゃね~」タッタッタ

俺「お、おい!」

そのまま2人はそそくさと何処かへ行ってしまった。

サーニャ「・・・・・」

俺「・・・・・」

俺&サーニャ「・・・あ、あの!」

俺&サーニャ「ご、ごめんなさい・・・」

俺&サーニャ「・・・・・」

俺「えっと・・・じゃあ、一緒につくり・・・ますか?」

サーニャ「は、はい・・・」

---調理室---

俺「・・・・・」

サーニャ「・・・・・」

俺(あぁもう・・・隊長と宮藤さんがあんな話題振るから、余計意識するようになっちゃったじゃんか・・・)

俺(ダメだダメだ!サーニャさんにはエイラさんがいるんだ。平静を保て、俺!)ブンブン

サーニャ(なんだかよく分からないけど・・・俺さんと、2人きり・・・///)

俺「えと・・・それで何を作るんですか・・・?」

サーニャ「・・・・・///」ボーッ

俺「あの・・・サーニャさん?」

サーニャ「!!」ビクッ

俺「だ、大丈夫っスか?さっきからてんで上の空みたいっスけど・・・」

サーニャ「大丈夫・・・です・・・///」

俺「そうっスか?・・・あの、それで何を作るんですか?」

サーニャ「えっと、ブラウニーを・・・作ります・・・」

俺「ブラウニーか・・・そういえば作ったこと無いな・・・」

サーニャ「あ、作り方は私、わかります・・・材料、取ってきますね。」

俺「あ・・・お、お願いします・・・」

その後、材料をひとしきりそろえ、作業に取り掛かる2人。まずはチョコとバターの湯煎。

俺「・・・・・」チョコトカシトカシ

サーニャ「・・・・・」バタートカシトカシ

5分後・・・

サーニャはボウルに卵とグラニュー糖を入れて混ぜ、俺はクルミを刻む。

俺「・・・・・」ザクッザクッ

サーニャ「・・・・・」シャカシャカ

10分後・・・

俺がバターとチョコ、さらに薄力粉と刻んだクルミを入れて混ぜる。

サーニャはそれをじっと見つめている。

俺「・・・・・」マゼマゼ

サーニャ「・・・・・」ジー…

俺(き、気まずい・・・さっきから黙りっぱなしだし・・・なんか話したほうがいいよな、これ・・・)チラッ

サーニャ(やっぱり、目を合わせてくれない・・・)シュン…

俺(や、やべー・・・なんかすごい寂しそうな顔してるよ・・・そうだよな・・・エイラさん居ないもんな・・・)

俺(・・・よし、ここは前にシャーリーさんたちに教えてもらった歌で・・・)

俺「き、きみのなかに~わーたしをずと~ブックマークしてね~♪」マゼマゼ

サーニャ(この歌・・・前にエイラと歌った・・・)

俺「笑いながら~がーんばったと~めちゃ!くちゃ!ほめってね~♪」マゼマゼ

サーニャ「・・・どんな時も~ぜ~んぶ本気~ギャップにもおーどろかないで~・・・♪」ボソッ

俺(お、のってきたな。よし・・・)

俺「たった今を~す~すまなくちゃ~♪」

サーニャ「・・・未来もないでっしょ?♪」

俺「タ・タ・カ・イ・の・意~味~♪」

サーニャ「あ~た~たかいな~ら~♪」

俺「た・た・かいぬ~くよ~♪」

俺&サーニャ「た~た~か~いな~どなーいわーたーしーたーちーのせ~かいのたっめに~!♪」

そう歌い終えたところで、一度顔を見合わせる二人。

俺「はは・・・」

サーニャ「ふふっ・・・」クスクス

俺(よかった・・・笑ってくれた・・・)

サーニャ(やっと、目を合わせてくれた・・・)

俺「うっし!んじゃあこの調子で仕上げちゃいますか!」ニッ

サーニャ「はい。」ニコ

キーミートナーラーキットデーキールコートー…

それから数十分後・・・

オーブンが焼成完了の合図を告げる。

俺「よし!完成っ!んじゃあ切り分けちゃいますか。」

オーブンから完成したブラウニーを取り出し、調理台の上へ置く。

サーニャ「切り分けは、私がします。」

俺「そうっスか?じゃあこれ。」

刃の部分にカバーのついたナイフを手渡す俺。

その時、

俺「っ・・・///」

サーニャ「・・・///」

僅かに互いの指が触れた。

俺(くっそ、なにやってんだよ俺・・・さっき意識しないって決めたばっかじゃんか・・・///)

サーニャ(なんだろう・・・ドキドキする・・・///)

俺「ご、ごめんなさい・・・」

サーニャ「どうして、謝るんですか・・・?」

俺「あ、いや、なんとなく・・・です・・・」

サーニャ「・・・?」

その後、13等分にブラウニーを切り分ける。

が、どうやら1つ余ってしまったようだ。

俺「あれ、余っちゃいましたか?」

コクリと小さく頷くサーニャ。

俺「じゃあこれ、今食べちゃいましょうか。」

サーニャ「え?」

俺「だって味見もしないで出すのもあれっスし、半分こにして2人で食べちゃいましょう。ね。」

サーニャ「は、はい・・・」

サーニャ(よかった・・・最初に食べてもらえる・・・)

余ったものを半分に切るサーニャ。

サーニャ「どうぞ・・・///」ドキドキ

俺「あ、ありがとうございます。そんじゃ、いただきます。」アムッ モグモグ

サーニャ「どう、ですか・・・?」

俺「うめぇ・・・めっちゃうまいっスよこれ!」パァァァ

サーニャ「よかった・・・(喜んでもらえた・・・)」

俺「サーニャさんも食べてみてください。これ本気で美味いですから。」

サーニャ「は、はい。いただきます。」パクッ モグモグ

サーニャ「・・・おいしい。」パァァァ

俺「ははは。よし!じゃあ大成功ってことで。」スッ

手のひらを前に出す俺。

サーニャ「・・・?(どうすればいいんだろう・・・こう?)」

ギュッ

俺「!?///」

俺が出した手を両手で握り返すサーニャ。

俺「あ、いやえっと・・・あの・・・///」

サーニャ「えと・・・何か、間違えたでしょうか・・・?」

俺「え?いや、まぁこれはこれでありかな・・・なんて・・・あはは・・・///」

俺(ハイタッチのつもりだったんだけど・・・天然でやってるんだよな、これ・・・///)

サーニャ「・・・?」

俺「その・・・そろそろ放してもらってもいいですか・・・ね?」

サーニャ「す、すみません・・・あの、それと・・・ありがとうございました///」

俺「いえ、こちらこそありがとうございました。俺も楽しかったっスよ。」

サーニャ「もし、よかったら・・・」

俺「?」

サーニャ「よかったらまた、一緒に・・・///」モジモジ

俺「あ、えっと・・・」

サーニャ「ダメ・・・ですか・・・?///」

身長差で自然と上目遣いになるサーニャ。

俺(エプロンと上目遣いは反則だって・・・って何考えてんだ俺!///)ブンブン

サーニャ「俺さん・・・?」

俺「あぁ、はい!もちろんっスよ!」

俺(やべ・・・勢いで言っちゃった・・・)

サーニャ「ありがとう、俺さん///」ニコ

俺「いえ・・・(まぁ、いいよね・・・これくらいは・・・)」ニコ


数分後

---501基地内ラウンジ---

すでに隊員の殆どがラウンジへと集まっていた。

待っている間、リーネの用意した紅茶を各々楽しんでいる。

エーリカ(なんか大事になってるな~。ま、お菓子が食べられるからいいけど♪)

リーネ(サーニャちゃん、上手くやってるかな・・・)

ペリーヌ「まったくなんなんですの急に呼び出して・・・」

ルッキーニ「あのね、サーニャんがお菓子作ってくれるんだって!だからここで待っててって。」

ペリーヌ「そういうことですの・・・」

芳佳(僕さんもいるんだ・・・でも、このくらい我慢しなきゃだよね・・・)

少し居心地が悪そうな宮藤。

僕「あ、早速来たみたいだ。」

サーニャ「おまたせしました。」

サーニャと俺がブラウニーをもって入ってくる。

エイラ(俺、居ないと思ったらサーニャと・・・ぐぬぬ・・・)

シャーリー「お、ブラウニーか!美味そうだな~!」

ゲルト「知っているのか、シャーリー?」

シャーリー「知ってるも何も元々アタシの国のお菓子だからな。これがまた美味いんだよな~。」

ゲルト「ほぅ・・・」

シャーリー「なんだ、珍しくしおらしいじゃないかバルクホルン?」ニヤニヤ

ゲルト「な!?どういう意味だリベリアン!!」

ミーナ「ほらほら、喧嘩しないの。折角サーニャさんが作ってくれたんだから。はい、あなたの分よトゥルーデ。」

それぞれの手元へとお菓子が渡る。

エーリカ「じゃ、いただきまーす♪」パクッ

エーリカ「んまー!」パアァァァ

リーネ「すごい・・・私が教えたときよりも美味しい・・・」

ペリーヌ「本当・・・美味しいですわ・・・」

エイラ「ツンツンメガネにしては珍しく正直ダナ。ま、サーニャが作ったんだから当然ダナ。」

ペリーヌ「め、珍しくって・・・一々癇に障る方ですわね・・・というよりも、これは俺さんも手伝ったのではなくて?」

エイラ「っ!それは・・・」

エイラ(そうか・・・これ、俺も手伝ってたんだ・・・)

エイラ(何でだろう・・・今までもこんな事、何回かあったのに・・・)

エイラ(今になって俺にサーニャがとられた気がしてならない・・・)

エイラ(今思えばサーニャも俺が居ない間、俺の話ばっかしてた気がする・・・もしかしてサーニャ・・・)

エイラ(いや、そんなはず無いよナ。第一あの俺だぞ?ナイナイ。)ブンブン

ペリーヌ「あの・・・どうしかしまして?」

エイラ「な、何でもねーヨ!それと、いくら俺が手伝ったからってこれはサーニャが作ったものには違いないからナ、だから美味しいんダ!」

ペリーヌ「は・・・はぁ・・・」

俺「どうだ、僕?」

僕「うん、すごく美味しいよ。」

俺「そっか。」

僕「それより、サーニャさんとはうまくやれた?」ヒソヒソ

俺「な、なんだよ急に・・・///」ヒソヒソ

僕「ふふっ・・・その様子だといい感じだったみたいだね。」ヒソヒソ

俺「うるせーよ・・・ってかお前、まさか狙って・・・」ヒソヒソ

僕「さあね~?あ、ミーナさん、お茶、入れますよ。」

俺「ったく余計な事・・・おかげで踏ん切りつけにくくなったっての・・・」ボソッ

その後、一通りお菓子を食べ終えたウィッチ達。ここでシャーリーから提案があった。

シャーリー「なぁなぁ、こうやって全員で集まったのって結構久々じゃないか?」

ミーナ「ええ。そういえばそうね。ここの所ネウロイの出現回数も多かったし・・・」

シャーリー「ってなわけでさ、この後全員で遊ぼうと思ったんだけどどうかな?」

ルッキーニ「やるー!」

シャーリー「お、ノリいいなルッキーニ。みんなはどうだ?」

芳佳「遊ぶって言っても、何するんですか?」

シャーリー「う~ん・・・あ、そうそう、ずっと前、宮藤が教えてくれた遊び、あったろ?ほら、あの缶使うやつ・・・」

芳佳「缶蹴りのことですか?」

シャーリー「そうそれだ!SPEMの空き缶なら一杯あるからさ、みんなでやろうよ。」

シャーリー「ほら、僕もここに来てからあまり交流のない奴とかいるだろ?だから親睦の意味も込めて、な!」

僕「シャーリーさん・・・」

坂本「なるほど、いい考えだ。それなら私も付き合おう。」

ミーナ「美緒も!?」

坂本「どうした、ミーナ?これでも私は昔、缶蹴りでは無敗だったんだぞ?」

ミーナ「そうじゃなくて・・・まぁいいわ・・・」

坂本「当然、ミーナもやるよな?」

ミーナ「ええ?私は・・・」

坂本「やらないのか・・・そうか・・・」シュン

ミーナ「わ、わかったわ。やるから、そんな顔しないで頂戴・・・」

ミーナ(少しキュンときちゃったじゃないの・・・///)

坂本「そうか!やってくれるか!はっはっは!」

ペリーヌ「あ、あの!少佐、わ、私もご一緒して・・・」

坂本「おお!ペリーヌもか!いいぞ、一緒に汗を流そうじゃないか!」

ペリーヌ「は、はい!」

俺「じゃあ俺もやります。」

サーニャ「わ、私も・・・」

エイラ「サーニャ!?じゃ、じゃあワタシも・・・」

芳佳「わ、私もやります!」

僕「宮藤さん・・・」

リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫?僕さん、いるよ?」ヒソヒソ

芳佳「うん、ちょっと辛いけど大丈夫。それに、ここで断ったらまた僕さんを傷付けちゃうから・・・」ヒソヒソ

リーネ「芳佳ちゃん・・・それなら私も。」

エーリカ「じゃあ私も~。もちろんトゥルーデもね。」

ゲルト「な!?勝手に決めるなハルトマン!」

エーリカ「えーいいじゃん。だってミーナだってやるんだよ?」

ゲルト「だからと言ってだな・・・」

シャーリー「なんだ、逃げるのかバルクホルン?」

ゲルト「誰が逃げるだと!?」

エーリカ「いくじなし~」

シャーリー「かたぶつ~」

エーリカ「シスコ~ン」

ゲルト「貴様ら・・・言わせておけば!いいだろう!!その勝負乗った!!」

シャーリー「別に勝負ってわけじゃないんだけどな・・・」

---基地内中庭---

と言うわけで全員で缶蹴りをする事になった。

チームはじゃんけんの結果以下の通り。

Aチーム(鬼)― 宮藤、エイラ、俺、僕、ルッキーニ、坂本

Bチーム― ゲルト、サーニャ、ミーナ、ペリーヌ、シャーリー、リーネ、エーリカ

勝敗は鬼が全員を見つければAチームの勝利。制限時間の30分を過ぎても全員が見つからなければBチームの勝利だ。

しかし・・・

坂本「ミーナみーっけた!!」カンッ

ミーナ「ええっ!?もう!?」

その数分後には・・・

坂本「ペリーヌみーっけた!」カンッ

ペリーヌ(遊びに興じられるお姿も素敵ですわ少佐・・・///)ウットリ

さらに数時十秒後には・・・

坂本「リーネみーっけた!!」カンッ

リーネ「うぅ・・・少佐速いです・・・」

坂本「はっはっは!鍛錬が足りんぞリーネ!」

坂本の無双ぶりが発揮され開始5分にして3人が坂本に捕獲された。

そしてゲームは開始から15分が経過。現在ミーナ、エーリカ、ペリーヌ、リーネが捕獲されている。

エーリカに関しては、途中から走るのが面倒になったらしい。

シャーリー「あちゃ~・・・まずいな・・・残ったのはあたしとサーニャとバルクホルンか・・・」

サーニャ「そう、みたいです・・・」

シャーリー「バルクホルンはあたしらとは反対側に隠れてるみたいだしな・・・よし、ここは時間差攻撃だ。」

サーニャ「時間差・・・?」

シャーリー「あたしはこっから少し離れた場所でもうしばらく隠れる。それで、残り時間が5分くらいになったらあの缶を蹴りに行く。」

シャーリー「その時、もしあたしが捕まっても、一度隠れていた場所の付近にはたぶんもう探しに来ないだろうから、サーニャが隙を見て缶を蹴る。どうだ?」

サーニャ「でも私、あまり走るの得意じゃないから・・・」

シャーリー「大丈夫。サーニャならきっとできるさ。それに、もし掴まってもまだバルクホルンがいるし、何とかなるだろ。」

サーニャ「は・・・はぁ・・・」

シャーリー「よし、じゃあ私はあっちに隠れてるな。」

ひっそりと見つからないようにシャーリーは別の場所に隠れた。

サーニャ(どうしよう・・・できるかな・・・)

ガサガサ

サーニャ(! 誰か来る・・・)

俺「な~・・・ほんとにここにいんのか?」

僕「僕の女性に対する嗅覚をなめないで欲しいね。僕はこっち探すから、君はそっちね。」

俺「はいはい。」ガサガサ

サーニャ(どうしよう・・・来た・・・)オロオロ

俺「ほんとに居るのかね~・・・」ガサガサ

僕「あっ!シャーリーさん見っけ!」

近くの別の場所で僕がシャーリーを発見する。

シャーリー「やっべ!」ダッ

僕「あ!俺君!シャーリーさんが缶に!!」

俺「何!?させっかよ!!」タタタタタタタタタ

反転し、全速力で缶へと向かう俺。

僕「あ、まってよ!」タッタッタ

サーニャ(あ・・・いっちゃった・・・)

サーニャ(あんなに近くにいたのに、見つけてもらえなかった・・・)ショボン

間もなくして俺がシャーリーへと追いつき、2人はデッドヒートを繰り広げる。

俺「うおおおおおおおおおおお!!」タタタタタタタタタ

シャーリー「うわっ!はえーな!でも負けるかぁ!!」タタタタタタタタタ

俺&シャーリー「おおおおおおおおおおおおお!!」タタタタタタタタタタタタ

缶まで残り十メートル。二人は依然並走状態だ。

俺「シャーリーさんみーっけたぁ!!」

シャーリー「させるかぁぁぁ!!」

そして・・・

カンッ!

シャーリーが蹴るより僅かに先に、俺が缶を踏んだ。

俺「よっし!今回は俺の勝ちっスね。」ニヒヒ

シャーリー「あーあ・・・まさかあの距離で負けるとはな~・・・」

ゲルト「何をやっとるかぁリベリアン!!」

遠くの茂みから大声を上げるバルクホルン。

俺「あ、バルクホルン大尉みーっけた。」カンッ

シャーリー「バカああぁぁぁ!!」

ゲルト「しまったああぁぁ!」ガックシ

半ばコント染みたやり取りをおえ、二人は渋々と掴まった。

俺「さてと・・・」

俺(さっきの茂みに人の気配があったんだよな・・・)

もう一度、先ほどの茂みへと戻る俺。

一方、茂みの中のサーニャ。

サーニャ(もう、私一人だよね、きっと・・・どうせならだれかに見つけてほしい・・・)

サーニャ(でも、俺さんも、エイラも、誰も気づいてくれない・・・)

サーニャ(このまま気づかれなかったら・・・寂しいな・・・)シュン

ガサガサ

サーニャ(!!)

俺「あ・・・」

サーニャ「・・・俺・・・さん・・・?」キョトン

俺「ここに居たんスね。」ニッ

そう言うと振り返り、缶へ向かう俺。

タッタッタッタ

サーニャ「・・・・・。」

そこへ別の声。

エイラ「サーニャ!こんなところにいたのか!」

サーニャ「エイラ・・・うん。でも、先に俺さんに見つかったわ。」

エイラ「俺が・・・(また俺か・・・)」

サーニャ(私に気づいてくれたの、俺さんだけ・・・)

サーニャ「・・・///」

エイラ「サーニャ・・・」

その頃、俺が缶へとたどり着き

俺「サーニャさんみーっけた!」

カンッ!

ゲーム終了。結果、鬼側の勝利となった。

・・・ ・・・ ・・・

ルッキーニ「あたしたちの勝っちー!」ブイ

シャーリー「あの時バルクホルンが・・・」

ゲルト「だから悪かったと言ってるだろう・・・」

シャーリー「ま、いいけどな。目的は僕との親睦を深めるためだし。というより、少佐強すぎだって。」

坂本「はっはっは!だから無敗だといっただろう。」

ミーナ「まさか開始2分で見つかるとは思わなかったわ・・・」

リーネ「私も、殆ど何も出来ませんでした・・・」

エーリカ「私も~」

ゲルト「お前は自ら見つかりに行ったようなものだろう・・・」

エーリカ「だって、思ったより疲れるんだもん。」

ゲルト「まったく・・・」

ペリーヌ(はぁ・・・少佐に見つけていただけるなんて・・・幸せ・・・///)

エイラ「お前なんで顔赤いんダ?」

ペリーヌ「べ、別に何でもありませんわ!///」

エイラ「なんだヨ~言えヨ~」ニヤニヤ

ペリーヌ「な、なんでもないって言ってるでしょう!!///」

俺「で、肝心の僕はどうだった?」

僕「うん。すごく楽しかった。今まで感じた中で、一番ね。」

シャーリー「あっはは!そいつはよかったよ。またこういうのできるといいな。」

僕「うん。みんな、今日は本当にありがとう。」ニコ

僕(ずっと、こんな時間が続けばいいな・・・)

芳佳「・・・・・」

続き→ペルソナ16
最終更新:2013年01月29日 14:20