Episode19 『決意の先に』
俺「俺は・・・いや、俺たちは・・・」
決意の一声。迷わず、言い放つ。
俺「・・・逃げない。俺たちは、立ち向かう。」
僕「・・・僕の言ったこと、うまく伝わらなかったのかな・・・いいかい、もう一度言う、僕は・・・」
俺「もういい。」
僕「えっ・・・?」
俺「もう、決めたんだ。みんなで立ち向かおうって。」
僕「・・・・・」
僕が501の仲間たちの顔を見渡す。誰もが迷いのない瞳を僕へと向けていた。
僕「・・・どうしても・・・なのかい?」
俺「ああ。この選択は、絶対に曲げない。」
その言葉と眼差しに僕は押し黙ってしまう。
それからしばらくして、ふぅ、と僕は一度溜息を吐き、閉じていた口を開いた。
僕「・・・わかった。残念だけど、命は君たち自身のものだ。その使い方もね。」
僕「君たちの選択に従おう。」
その言葉に皆の緊張が解け、一様に安堵の表情を浮かべる。
ミーナ「それじゃあ教えてちょうだい。その、『母なるもの』に会うにはどうすればいいの?」
僕「分かりました。もうすぐ0時になる・・・時間がないから、手短に話します。」
僕「『母なるもの』に会うには、約束の日に、北海海上に現れたあの塔の頂上に行けばいい。」
芳佳「約束の日・・・?」
僕「そう。明日から数えてちょうど一ヵ月。1月31日の満月の夜・・・その塔を目印にして『母なるもの』が降り立つ。」
僕「そしてそれを期に、世界中のネウロイが一斉に君たちに攻撃を開始する。それが、世界の終わる日だ。」
リーネ「一ヵ月・・・」
坂本「つまり、その日の夜に塔の頂上へ行けばいいのだな。」
僕「そうです・・・でも、いいかいみんな。明日からは君たちにとって途方もない絶望との戦いが始まる。」
僕「前にも言った通り、『母なるもの』を倒すことは不可能だ。直に向かい合ったとき、それが何故かわかるだろう。」
ミーナ「それは覚悟の上よ。そう何度も言わなくていいわ。」
エイラ「1ヵ月後の1月31日・・・ダロ?もう覚えたヨ。」
僕「うん。・・・それと、もう一つ悲しいことを言わなくちゃいけない。」
ルッキーニ「なに・・・?」
僕「仮に・・・もし仮にだ。君たちが『母なるもの』に打ち勝つことができたとしても・・・」
俺「この一年間の記憶は消える・・・ってか?」
全員「!?」
僕「・・・ああ。母なるものが消えればネウロイは消える。同時にそれは、宣告者である僕も消えると言う事。宣告者が消えれば、アルカナを持つネウロイたちに関しての記憶は全て消える。だから、もしかしたら、この一年間の君たちの思い出も一緒に・・・」
ゲルト「確証はない・・・ということはそのまま残ることもあり得るということだな?」
僕「少しはあるはずです。ただ、それでも消えてしまう可能性の方がずっと高い・・・」
俺「それでも、俺たちは立ち向かうよ。それに、消えるか消えないかなんて、その時になんなきゃわかんないし。」
サーニャ「俺・・・」
僕「そうか・・・うん、わかったよ。僕からは以上だ。それじゃあ、僕は先に行くよ。」
僕「あぁ、そうだ。宮藤さん。」
芳佳「は、はい・・・」
僕「君に怪我をさせてしまったこと、ずっと謝ろうと思っていたんだ。本当にごめん・・・謝って済むことじゃないけれど・・・」
芳佳「いえ、大丈夫です。私、気にしてなんかいないですから。」
芳佳「坂本さんも言ってました。昨日の敵は今日の友だって。」
坂本「宮藤・・・」
芳佳「だから、僕さんも私にとって大切なお友達の一人です。そのお友達を、責めるようなことはしません。」
僕「友達・・・」
シャーリー「そうだぞ。お前も、私たちの大切な友達だ。」
ルッキーニ「友達だよ!」
僕「うん・・・みんな、ありがとう・・・みんなの事は、ずっと・・・見守っているよ・・・」
そういって僕は歩きだし、俺の前で一度立ち止まる。
僕「俺くん。これが最後の試練に関してのアドバイスだ。『12の旅路の果てに最後の者は現れる。』」
サーニャ「12の旅路・・・?」
俺「・・・わかった。覚えておくよ。」
僕「ありがとう俺くん・・・僕の大切な友達・・・」
俺「ああ。また、会おうな。」ニッ
僕「俺くん・・・うん・・・また、会えるといいな・・・」
そして僕はドアへと歩き出す。そこで再び立ち止まり振り返ってこういった。
僕「良いお年を。・・・って言うんだよね、年の終わりは。」
サーニャ「良いお年を。」
サーニャに続いて皆も言う。
僕「ありがとう。じゃあね。」ニコ
ガチャ バタン
ペリーヌ「行ってしまいましたわね・・・」
ゲルト「1月31日か・・・」
ミーナ「行きましょう、みんなで!」
その言葉に、皆も力強く頷いた。
まもなく、新年を迎えようとしていた。
そして、数えきれないほどの思い出の詰まった1946年が静かに明けてゆく・・・
迎えた1947年1月1日。
深夜
---俺の部屋---
ガチャ パタン…
?「・・・・・」ウトウト
俺「くぅ・・・くぅ・・・」Zzz…
?「・・・・・」ヌギヌギ
ペタ…ペタ…ガバッ
スルリ モゾモゾ
?「すぅ・・・すぅ・・・」Zzz…
俺「ん・・・くぅ・・・くぅ・・・」Zzz…
~数時間後~
早朝
モゾモゾ
俺「ん・・・うん・・・?」ピコッピコッ
年明けの明朝。布団の中に妙な違和感を感じ、目を覚ます。
モゾモゾ
俺「モゾモゾ?」
近くに置いてある
メガネをかけ、布団をめくり上げる。
ガバッ
俺「!?」
サーニャ「すぅ・・・すぅ・・・」Zzz…
見れば布団の中では、サーニャが可愛らしい寝息を立てながら、丸くなって眠っていた。
しかし衣服は床に脱ぎ捨てられ、下着とズボン一枚だけのあられもない姿であった。
俺(な・・・なんで!?俺、一人で寝たはずだよな!?それがなんで・・・お、落ち着け俺・・・こういう時は確か素数を数えればいいんだよな・・・で・・・素数ってなんだ?)
サーニャ「う・・・んぅ・・・ふわぁ・・・」
俺があれこれと考えていると、サーニャが目を覚ました。
俺「お、おはよう・・・ございます・・・」
サーニャ「ん・・・」コクリ
俺「・・・・・」
サーニャ「・・・・・」
サーニャ「・・・すぅ・・・すぅ・・・」Zzz…
俺(いやいやいや、可愛いけどそれはないっスよ・・・)
俺「あの・・・さ、サーニャさん?」ユサユサ
サーニャ「ぅ・・・ん・・・なに・・・?」
俺「なんで俺の部屋にいるんスか?俺、一人で寝てたはずなんスけど・・・」
サーニャ「わからない・・・」ウトウト
俺「わからないって・・・」
サーニャ「・・・俺・・・・・」
俺「は、はい・・・?」
サーニャ「さむい・・・」
俺「・・・ごめんなさい・・・・・」
そう言って俺は布団をかけなおす。
俺(まぁいっか・・・それより、まだ結構早いよな・・・もう少し、寝てもいいか・・・ソファで寝るかな・・・)
横たわった状態のまま、ゆっくりベッドから抜け出そうとしたその時。
ムギュ
俺「!?」
ガバッ
再び布団を返すと、背中越しにサーニャの手が俺の腰に回され、美脚が俺の脚に絡められていた。
俺「な、何してはるんですか!?」
サーニャ「・・・こうすれば・・・あったかい・・・」スリスリ
俺の背に顔を埋め、猫のように頬をこすりつけるサーニャ。
俺「あったかいって・・・」
サーニャ「俺、こっち向いて・・・」
俺「・・・・・」
渋々体をサーニャの方へ向けなおす。
ギュゥ
サーニャの腕が俺の腰へと回る。
サーニャ「あったかい・・・♥」スリスリ
俺「そっスか・・・」
サーニャ「う、ん・・・すぅ・・・すぅ・・・」
サーニャはそのまま、俺の胸の中で再び眠りに落ちた。
俺(寝ちゃったか・・・)
眠るサーニャを、俺はそっと抱きしめる。
俺(それにしても・・・)
俺は腕の中のサーニャを一瞥する。
陶磁器のように白い柔肌に、整った顔立ち。そしてしなやかで、少し力を入れれば折れてしまいそうなほど細い体。
そんな目の前の儚げな少女がたまらなく愛おしくて仕方がなかった。
サーニャ「ぅ・・・ん・・・」
見つめているうちに思わず邪なことを考えていることに気づき、その思考をなけなしの紳士心で何とか押しとどめた。
サーニャ「すぅ・・・すぅ・・・」
俺(こんなにか細い子がネウロイなんて危ない相手と闘ってるんだよな・・・)
俺(そう考えると、ちょっと、な・・・いや、だからこそ俺が守らなきゃだよな。)
俺は片手を彼女の後頭部へ回し、髪を撫でる。
俺(・・・って・・・よく考えたらエイラさんに黙ったまんまだよな俺・・・エイラさんはきっと、サーニャの事大好きなんだよな・・・今だって・・・)
俺(でも、この子は俺の事好きって言ってくれた・・・別れようなんて言ったら今度はこの子が傷つくのかな・・・)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
男「またある時は他人の関係に良くも悪くも干渉し、言葉で隣人を殺す。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺(あれってこういう事なのかな・・・このままでいいのかな・・・俺・・・いや、よくないよな・・・でも、どうしたら・・・)
思案をするうちに次第に眠気が勝り、彼女を抱いたまま、俺はまどろみに落ちた。
~数時間後~
俺「ん・・・」パチクリ
サーニャ「・・・///」カアァァ
再び目を覚ました俺の目の前には、頬と耳を紅葉させたサーニャの顔があった。
サーニャ「お、俺・・・///」
俺「は、はい・・・?」
サーニャ「離して・・・///」
俺「あ、あぁ・・・すみません・・・」パッ
俺の腕から解放されたサーニャは体を起こし、恥ずかしそうに俺に背を向ける。
俺「そっか・・・俺、抱いちゃったまま・・・恥ずかしかったっスよね・・・ごめんなさい・・・」
その言葉にサーニャは俺に背を向けたまま首を振る。
サーニャ「ううん・・・違うわ・・・俺にぎゅってしてもらったのは、とっても嬉しい・・・ただ・・・///」
俺「?」
サーニャ「おなかに・・・かたいの・・・当たってたから・・・///」
俺「!?」
下半身へとゆっくり視線を落とす。
俺「・・・///」
サーニャ「え・・・えっちなのは・・・ダメ・・・///」
俺「ごめんなさい・・・///」
サーニャ「・・・で、でも・・・男の人はこういうの・・・我慢できないって聞いたことあるから・・・俺も、我慢・・・できなかったんだよね・・・///」
俺「えと、これは・・・その・・・」
サーニャ「ううん・・・いいの・・・これは、仕方ないこと・・・だ、だから・・・ホントは、ダメだけど・・・」
そう言うと、サーニャは俺に背を向けたまま上の下着の紐に指を掛け、それを取り払う。
ハラリ
俺「え!?いや・・・ちょ!?」
露わになった胸を彼女は右腕で覆い隠し、恥ずかしそうに俺に向き直り、こう言った。
サーニャ「俺がしたいなら・・・しても・・・いい・・・///」
俺「」
サーニャ「わ、私・・・シャーリーさんみたいに胸、大きくないし・・・ほ・・・ほかの人みたいに綺麗じゃないから・・・俺に・・・喜んでもらえるか・・・わからないけど・・・///」
顔を真っ赤にし、恥ずかしさからか、涙でいっぱいの潤んだ瞳で彼女は言う。
サーニャ「俺・・・///」
どこかなまめかしい表情で、ゆっくりとにじり寄るサーニャ。俺は後ずさりするが、すぐにベッドの端まで追い込まれた。
俺「ス、ストップ!あああ、あの、サーニャ!?」
左手を突き出し、静止を訴える俺。サーニャはその場で止まった。
サーニャ「・・・///」ウルウル
俺「い、嫌なら無理してそんなことしなくてもいいんスよ?今だって誰かに言われたからそんなこと言うんス・・・よね?」
サーニャはその言葉に首を横に振った。
サーニャ「誰にも言われてないわ・・・無理も・・・してない・・・私がしてあげたいって・・・思ったの・・・」
俺「え・・・」
サーニャ「男の人は、他の女の人に目移りしやすいから・・・ほっといたら別の人にとられちゃうって・・・」
俺「それは・・・誰から聞いたんスか・・・?」
サーニャ「本に・・・書いてあった・・・」
俺「どんな本読んだんスか・・・」
サーニャ「でも・・・えっちなことしろって・・・書いてあったわけじゃないの・・・これは、私が自分でしようって・・・決めたことだから・・・」
俺「どうして・・・」
サーニャ「・・・俺に・・・」
俺「?」
サーニャ「・・・俺に・・・ずっと好きでいてほしい・・・ずっと・・・一緒にいてほしいから・・・だから・・・」
俺「っ!」トクン
心臓が一度大きく鼓動を打つ。同時にみぞおちの奥がきゅうと締め付けられるような感覚が襲う。
ギュッ
サーニャ「あっ・・・」
俺「・・・・・」ギュゥ
無言でただ、抱き締めた。
サーニャ「俺・・・?///」
俺「・・・ありがとうっス、サーニャ・・・俺、好きになったのが君でよかったっス・・・」
サーニャ「!・・・///」
俺「それと、その・・・エッチなことしなくたって・・・俺はずっと、君の事・・・だ、大好きっスよ・・・」
サーニャ「本当・・・?」
俺「はい、絶対に・・・だから、服、着てくださいっス・・・///」
サーニャ「うん・・・でも、これじゃ着れないわ・・・///」
俺「あ、そうっスよね・・・すみません・・・」
抱擁を解こうとする俺の腕をサーニャがしがみ付いて制止する。
サーニャ「ま、待って!・・・もう少し、このままが・・・いい・・・///」ギュゥ
俺「・・・///」
しばらく抱き合いながら、お互いに照れくさがりながら微笑みを交わす。
その内、俺の胸の奥からどうしようもなく抑えがたい感情が沸き起こり、俺がサーニャへと唇を寄せる。
サーニャもそれに応えるように瞳を閉じ、
そして二人は――
バタン!
シャーリー「ハッピーニューイヤー!!お・・・れ・・・?」
俺「」
サーニャ「!?///」
シャーリー「あ・・・ああ、あ・・・」
ルッキーニ「? シャーリー、どしたの?」
シャーリー「わっ!み、見るな!ルッキーニ!!///」バッ
ルッキーニ「え~!?なんで~?見えないよシャーリ~!」
シャーリー「あ・・・あははは・・・ご、ごゆっくり~・・・」
パタン
<ネェネェナニガアッタノ? イイカラツギイクゾツギ! ア!マッテヨ~ タッタッタ…
俺「・・・・・」
サーニャ「・・・///」
俺「あ、あの・・・サーニャ・・・」
サーニャ「なに・・・?///」
俺「あけまして、おめでとうっス・・・」
サーニャ「う、うん・・・あけまして、おめでとう・・・///」
それから、誰もいなくなったことを確認し、
チュッ…
人知れず、二人はそっと口づけを交わした。
―――――
―――
―
しばらくして・・・
---基地内ラウンジ---
一通り新年の挨拶を済ませた皆はラウンジへと集まっていた。
芳佳「え!?着物、あるんですか!?」
坂本「あ、ああ・・・私の知り合いが勝手に送りつけてきてな・・・みんなにぜひ着てほしいと・・・(まぁ、醇子のことなんだけどな・・・)」
ミーナ「あら、綺麗な柄ね。この前のゆかた・・・だったかしら。あれとはどこか違うのかしら?」
坂本「浴衣は薄手で着るのも簡単なのだが、着物は誰かが着付けをしないと着るのがなかなか難しいんだ・・・宮藤、お前、着付けはできるか?」
宮藤「あ、はい。お母さんに教えてもらったことがありますから。」
坂本「よし、ならば私たちで着付けしよう。俺は・・・すまんな、お前のはまた無いみたいだ・・・」
俺「あ、いえ。俺はみんなの着物姿が見れればそれで十分っスから。」
坂本「そうか?なら、楽しみにしていろよ。」ニヤリ
長し目をしつつ、どこか怪しい笑みを浮かべる坂本。
俺「ゴクリ・・・」
数分後
シャーリー「う~ん・・・やっぱちょっときついなぁ・・・」
ルッキーニ「シャーリーはおっぱいおっきいもんね~」
宮藤「<●><●>」ジーッ
リーネ「よ、芳佳ちゃん・・・」
エーリカ「スースーする・・・」
ミーナ「ふふっ、似合ってるわよ、トゥルーデ。クリスにも見せてあげたいわね。」
ゲルト「か、からかうなミーナ・・・///」
ミーナ「あら、からかってなんかないわ。本当に似合ってるもの。」
ゲルト「うぅ・・・ミ、ミーナの方こそ、よく似合ってると思うぞ!///」
ミーナ「え?そ、そうかしら・・・?ありがとう///」
ペリーヌ「しょ、少佐・・・とてもお似合いですわ・・・///」
坂本「ん?そ、そうか・・・?少し恥ずかしいのだがな・・・はっはっは・・・///」
ペリーヌ「少佐・・・///(恥じらわれる少佐も素敵ですわ・・・///)」
俺「・・・///」ポーッ…
各々、色とりどりの色を見せるウィッチたち。浴衣とはまた違う美しさに俺は思わず見惚れていた。
エイラ「な~に鼻の下伸ばしてんだダ、このむっつりスケベ。」
俺「むっつりって・・・ひどいっスよエイラさ・・・」
振り返った俺の目の前には、いつもと違うエイラ。
彼女は藍色の地に、桔梗と清流が刺繍された着物に身を包み、髪を後ろに束ね、頭には蓮華の花飾り。
エイラ「な、なんダヨ・・・急に黙って・・・」
俺「い・・・いえ・・・エイラさん・・・めっちゃ綺麗だなって・・・///」ポーッ…
エイラ「な!?う、ウルセー!!///」ポカッ
俺「痛っ!し、しどいっス・・・叩くなんて・・・」
エイラ「わ、私よりも・・・その、サーニャのほうが綺麗だゾ・・・ほら・・・」
俺が視線をエイラの言われた方へと移す。
エーリカ「ねぇねぇ、サーニャもさ、『はいてない』の?」
サーニャ「えっ!? ・・・///」
少し離れた場所で、サーニャが団欒している。黒地に藤の花が刺繍された着物を纏い、髪は団子状に後ろにまとめられ、頭には白百合の花飾りをつけている。
時折首元からのぞかせるうなじが悩ましい。
俺「すっげぇ可愛いっス・・・///」
エイラ「ダロ?サーニャは何着ても似合うんダ。」フフン
なぜか誇らしげなエイラ。ただ、その横顔はちょっぴり寂しそうに見えた。
俺「・・・・・」
俺(やっぱり俺、サーニャが好きだ・・・だから、ちゃんと言わなきゃ・・・)
俺「あの・・・エイラさん・・・」
エイラ「な、なんダ・・・?」
俺「エイラさんは、サーニャのこと・・・大切に思ってるんですよね。」
エイラ「あ、ああ・・・当たり前ダ・・・」
俺「その・・・俺・・・俺は・・・」
そこで俺は口を噤んでしまう。
エイラ「・・・・・」
俺(クソっ・・・なんで言えないんだ・・・いや、怖いからだよな・・・エイラさんを傷つけるのが・・・)
俺「・・・・・」
エイラ「・・・知ってるよ。」
俺「えっ?」
エイラが口を開く。
エイラ「知ってる。お前とサーニャが、そういう関係になったってこと。」
俺「! ・・・・・」
エイラ「サーニャが言ってたんだ。お前に好きって言ってもらったって。サーニャ、凄くうれしそうだった・・・」
俺「・・・・・」
エイラ「それに、お前もいつの間にかサーニャの事名前だけで呼ぶようになってたし、それくらい、ワタシでもわかるヨ・・・」
俺「ごめんなさい・・・」
エイラ「あ、謝るなヨ!オマエ、サーニャの事好きなんダロ・・・?」
俺「そうっスけど・・・でも、エイラさんだってサーニャの事・・・」
エイラ「・・・ああ!好きだヨ!今だってずっと好きダ!でもさ、サーニャはお前を選んだんだヨ・・・」
俺「・・・・・」
エイラ「悔しいけど、サーニャが好きなのはお前ダ・・・でも、ワタシ自身、まだ踏ん切りがついてない・・・諦められないんダ・・・」
エイラ「それに・・・サーニャの両親が見つかるまで、私はサーニャを守るって決めたんダ・・・それは今でも変わらないし、これだけは譲りたくない・・・」
俺「・・・・・」
エイラ「それと、オマエの事もちゃんと見極めたい・・・ちゃんとサーニャを守ってくれるかどうか・・・ワタシの、勝手な考えだけどサ・・・」
エイラ「だから・・・」スッ
俺「・・・?」
エイラ「サーニャの両親が見つかるまでは・・・サーニャを・・・い、一緒に守ろうナ・・・」ポリポリ
手を差し伸べながら、そっぽを向き照れくさそうに頬を掻くエイラ。
俺「エイラさん・・・」
エイラ「そ、それと、サーニャだけ名前で呼ぶのはずるい・・・だから、ワタシもエイラって呼んでくれヨ・・・お前と私はその・・・家族、なんだからサ・・・」
俺(一応・・・許してもらえたのかな・・・)
エイラ「ど、どうなんだヨ!」
俺「・・・もちろんっス。こちらこそ、よろしくっス、エイラ!」
パシッ
交わされる固い握手。二人の間には、確かな絆が生まれていた。
サーニャ「エイラ、俺。なにしてたの?」
遠くで話していたはずのサーニャがいつの間にか近くまで来ていた。
エイラ「さ、サーニャ・・・いや、なんでもないヨ。な、俺。」
俺「はいっス。なんでもないっスよ。」
サーニャ「本当?・・・ちょっと怪しい・・・」ジトー
エイラ「ハハ・・・」
サーニャ「・・・あ、あのね、一つお願いがあるの・・・」
俺「? どうしたんスか突然?」
サーニャ「さっき、ミーナ中佐にお願いして時間を貰ったの。だから、基地の中だけだけど・・・このまま・・・デ、デートしたいなって・・・///」
俺「デート・・・っスか・・・?俺はいいっスけど・・・」
エイラ「・・・わ、ワタシ邪魔みたいだからあっち行ってるナ!」
サーニャ「待って、エイラ。どこ行くの?」
エイラ「どこって・・・だってサーニャ、俺と・・・デートするんだろ・・・?」
サーニャ「うん・・・でも、エイラも一緒よ?」
エイラ「えっ・・・」
サーニャ「前のお祭りの時みたいに、また3人でお出かけできたらなって思ったの・・・だから、エイラも一緒じゃなきゃ嫌よ?」
エイラ「いいのカ・・・?ワタシ、邪魔じゃないカ・・・?」
俺「邪魔なわけないっス。エイラが来ないのは、俺も嫌っス。」
サーニャ「だから、一緒に行こう?」
エイラ「サーニャ・・・俺・・・」
エイラ「・・・ったく・・・し、しょーがねーなぁ・・・今日ダケダカンナー」ニコッ
サーニャ「うん。じゃあ、行こう?」ニコ
サーニャがエイラと俺の手を引く。
それから三人は手を繋いだまま、ゆっくりと歩き始めた。
その後、デートを整備兵やその他男性配属員に目撃され、俺がボコボコにされたのは語るに及ばない。
最終更新:2013年01月29日 14:25