最終回 『俺の未来、私の好きな人』
501基地 エイラ自室
何かの物音がして目を覚ます
まどろむ眠気をこらえながら、目を開ければ、今まさに自分に迫ってくる俺の姿が視界に入った
エイラ『え!?ちょ、ちょっと待ッタ!』
俺『・・・』
迫る俺は、エイラの布団を剥ぎとり、更に迫る
エイラ『さ、流石に私にも心の準備ってモノガー!!』
俺の手が、自分の顔にそっと触れる
エイラ『ダメ、まだ・・・今は・・』
エイラ『ダメーーーーーーーーーーーーーーー!!』
エイラ『!?』
再び、目を覚ます、辺りを見回しても、当然俺の姿は無い
エイラ『マジかよ・・・これじゃ団地妻じゃナイカ・・・』
どこからか、聞き慣れた銃声が聞こえる
エイラ『また狩りしてんのか、人の気も知らナイデ・・・』
エイラ『バカヤロー』
エイラ(私は、誰が好きナンダロ?)
エイラ(そろそろはっきりさせないトナ)
アドリア海上空 夜間哨戒中のサーニャ
サーニャ『~~~~♪~~~~♪』
サーニャ『~~~♪~!?』
サーニャ『・・・これは!?お父さん!?お母さん!?』
サーニャ『・・・どうして?お父さん達の声が、ネウロイから?』
サーニャ『・・・私を、呼んでる』
サーニャ『・・・行かなきゃ』
翌日
エイラ『サーニャが!?ネウロイに!?』
ミーナ『ええ、落ち着いて聞いてください、サーニャさんは多数の小型ネウロイを引き連れた大型ネウロイ、通称、船団型に捕獲されました』
エイラ『落ち着いてイラレルカ!!』
俺『落ち着けよ、イッル』
エイラ『お前、サーニャが心配じゃ・・』
坂本『そんな奴がここにいるわけ無いだろ!!』
坂本『騒いだところで事態は解決しない、まずは対策からだ』
エイラ『・・・はい』
ミーナ『ネウロイは何度かサーニャさんを狙って行動を起こしました』
芳佳『あの時も・・』
ミーナ『どうやら、その行動の目的は人の心を知る事が目的だったようです』
ペリーヌ『ネウロイが?』
ミーナ『ええ、船団型の引き連れている小型ネウロイの動きが、まるで信頼関係があるかのように、互いを助け合い行動するそうです』
ゲルト『厄介だな』
ミーナ『私達だけでは、かなり分が悪い闘いになります、そこで他のウィッチーズに応援要請を出しました、応援が来るのはまだ先、救助作戦の決行は明日以降になります』
ミーナ『幸い、ネウロイはサーニャさんの心に干渉するのに手間取っているようです、専門家の方の判断によれば、時間的猶予はまだあるそうよ』
坂本『サーニャの身体がもてばいいが・・・』
エイラ『・・・』
501基地 ハンガー 夜
エイラ『サーニャの危機なんだ、明日まで・・待ってイラレルカ!』
エイラ『サーニャは、私が絶対助け出す!』
俺『お嬢さん、おでかけですか?』
エイラ『俺!?』
エイラ『・・・・』
エイラ『ええ、お姫様を救出ニ』
俺『それは、あなたの大切な人ですか?』
エイラ『ええ、私にとって・・・』
エイラは思い出す、サーニャの顔、声、ちょっと引っ込み思案の所
その儚さを、愛おしさを・・
エイラ『1番・・大切な・・人デス・・』
俺『・・・・』
俺『あなたの・・・一番大切な人までの道は必ず俺が・・・』
俺『切り開いてみせましょう』
アドリア海上空
俺(俺じゃあイッルを笑顔にできない)
俺(初恋が叶わないってのはマジなんだなー)
俺『おいイッル!ちゃんと助けたら中尉に想い、伝えろよ!』
エイラ『え!?急になんダヨ!』
俺『絶対だからな!!』
俺(そう、これでいい)
エイラ『お、オイ!!』
アドリア海上空 船団型ネウロイ司令官 大型ネウロイ内部
サーニャ(・・・私の心に入ってくる)
サーニャ(・・・人の心や感情が知りたいの?)
サーニャ(・・・いいわ、教えてあげる、それは信頼、愛情、人の持つ一番素晴らしい感情よ)
サーニャ(・・・もうすぐ来る、私の信頼する、愛する人達が)
サーニャ(・・・きっとその人達があなた達に新しい感情を教えてくれるわ)
アドリア海上空
俺『さーて、見えてきたな』
エイラ『で、作戦とかアルノカ?』
俺『お前が真っ直ぐネウロイに向かって飛んで、中尉を救出する』
エイラ『ワカッタ』
俺『あれ?ツッコミは?』
エイラ『だってお前が援護してくれるんダロ?なら私は真っ直ぐ、全速力で飛ぶダケサ』
俺『敵の数は100以上だぞ?それでも、信じれるか?』
エイラ『愚問ダナ』
俺『絶対って保障は無いぞ』
エイラ『今更何言ってんダヨ』
俺『確かに、今更か』
エイラ『敵がどんだけ強くテモ』
俺『敵がどんなに多くても』
俺・エイラ『『お前となら』』
俺・エイラ『『無敵だからな』』
俺『あはは!』
エイラ『アハハ!』
エイラ『じゃあ、お姫様を救イニ・・・』
俺『行きますか』
アドリア海上空 船団型ネウロイ 付近
矢のように、ダイヤのエースは飛ぶ
大切な人を助けるために
無数のネウロイが、まるで彼女の道を開けるかのように砕け散って行く
予知魔法はいらない、ネウロイ共の運命は決まっている
なんせ彼に狙われてしまったのだから、世界最高のスナイパー、白い死神に
俺(集中しろ!俺が外せばイッルが傷付く) バンッ!
俺(神に祈るな!心くじける) バンッ!
俺(心乱すな!恋の結末なんて解かってただろ) バンッ!
俺(徹しろ!死神に、命を狩り続けろ) バンッ!
俺(敵は、前にあり!!) バンッ!
アドリア海上空 船団型ネウロイ司令官 大型ネウロイ内部
サーニャ(・・・感じてるのね、仲間が次々に消えていくのを)
サーニャ(・・・怖いでしょう?)
サーニャ(・・・それが死よ、それが恐怖よ)
サーニャ(・・・そして、彼が、あなた達の死の象徴、白い死神)
サーニャ(・・・おびえる必要は無いわ、死は平等、あなたにももうじき届くから)
サーニャ(・・・彼の弾丸が)
ドンッ!!
爆音と共に、サーニャの目の前、ネウロイの外装が破壊される
サーニャ『エイラ!!』
エイラ『サーニャ!!来たよ!助ケニ!!!』
サーニャを抱きしめ、エイラは飛ぶ
瞬間、サーニャの背後にあったコアに、遥か遠くから放たれた弾丸が突き刺さる
サーニャ『・・・さようなら』
アドリア海上空に現れた、人の心を学ぶネウロイは恐怖という感情を学び、消滅した
100にも及ぶ異形の軍勢は、一匹残らず、その命を白い死神に刈り取られたのだった
サーニャ『・・・ありがとう、助けにきてくれるって、信じてた』
エイラ『サーニャ・・ウン』(い、言うなら今しかナイ!!)
エイラ『サーニャ、わ、私は!サ、サーニャの事を・・・』
しかし、その時、頭によぎったのは、いつも自分を見ていてくれた優しい瞳
エイラ『あ・・・』
自分を包んでくれていた、毛布みたいに暖かい大きな手
エイラ『あ、あ・・・』
自分の名を呼ぶ、心地良い声
エイラ『あ、あい・・・』
死神と呼ばれる、優しい男の姿だった
エイラ『あ、あ、あい・・・』
エイラ『相棒だと思ってる!!』
サーニャ『・・・私もよ、エイラ』
エイラ(私はなにやってンダーーーーーーーーーーーーー!!)
501基地付近 砂浜
エイラ『・・・・・』
俺『よぅ!ヘタレのエース!体育座りで海見て反省か?』
エイラ『ウルサイ、誰のせいだと思ってるんダヨ』
俺『なんだよ、二人仲好く謹慎処分で済んでラッキーだったじゃないか』
俺『それに、最初に中尉を助けに行こうとしたのはイッルだろ?』
エイラ『そっちじゃナイヨ!!』
俺『告白失敗したのはお前がヘタレだからだろ?』
エイラ『クッ!!』(いいとこでお前が私の頭の中に現れるから、告白失敗した!なんて言エルカ!!)
エイラ『人の気も知らナイデ』ボソッ
俺『あ?なんか言った?』
エイラ『言わナイヨ!!』
ロマーニャ解放後 スオムス コッラー河付近 雪原
バンッ!!
俺『よし、夕食確保っと』
遠くに飛び立つケワタガモを視認する
俺『お、我が生涯のライバルもスオムスに帰ってきたか』
俺『そうだな、ロマーニャ解放してから色々あったもんな、サーニャさんの両親が見つかったり』
あの女の事は忘れよう』 ブンブン
コッラー河付近 集落 俺自宅
エイラ『遅イゾ!!なにしてたんダヨ!!』
俺『悪いな、手間取った、一人にしてすまなかった』
エイラ『素直にあやまるナヨ!これじゃ私が寂しかったみたいジャナイカー』
俺『寂しかったのか?』
エイラ『ち、ちがう、断じてちがうゾ』
俺『はいはい』(やっぱ可愛いな、こいつ)
俺(あー、あきらめらんねぇー)
俺『でも、よかったのか?』
俺『サーニャさんと一緒にいれば、寂しい思いしなくてすむだろ?』
エイラ『サーニャは両親が見つかったんダカラ、家族とすごすべきサ』
俺『ほー』
俺『そうだな、ヘタレのエース様が言えば説得力も違うな』
エイラ『黙レヨ、白い童貞』
俺『な、てめぇ!』
エイラ『ピンナップ集めるくらい好きな子と一緒にいても手出さないとか、まったくスオムスの白い童貞はやっぱり世界一ダナ!』
俺『な!やっぱお前、俺の寝室入ってるじゃないか!!』
エイラ『おまえこそ、世界一の童貞ダヨ!』
俺『こ の 野 郎』(俺は銃を撃つことしかできない)
俺『いつか手出してやる』(だから、撃ち抜く、イッルの心も)
俺『絶対にだ!!』(絶対にだ!!)
エイラ『やってミロヨ』(あの日、サーニャを救いに行った日から、私達を占うカードは運命の輪の正位置に変わった)
エイラ『できるもんナラナ!』(その意味は前進・発展)
エイラ(私達の運命の輪は、今やっと回り始めたンダ)
エイラ(どんな未来が待っているのカナ?)
エイラ(気に入らない未来だったら、また変えればイイ)
エイラ(だから、今はこの幸せな時間を精一杯楽シモウ)
エイラ『俺!』
俺『あん?』
エイラ『嫌いじゃナイゾ!』
俺『俺もさ』
おわり
最終更新:2013年01月29日 14:36