『穏やかな日に』その2
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バルクホルン・俺「………………」
バルクホルン「良かった!じゃあどんどん食べてくれっ!」 キラキラ
バルクホルン(な、何だこの予想外の答えは……!?) スッ
俺「ありがとう、助かるなー」 キラキラ
俺(あれ?我ながら自分が気持ち悪いと思ったんだが・・・) パクッ
バルクホルン「あーん……」 スッ
俺「あーん……」 パクッ
バルクホルン(…………)
俺(…………) モグモグ
バルクホルン・俺(やっぱり恥ずかしい・・・///)
バルクホルン「あーん」 スッ
俺「あー……げっ」
バルクホルン「どうした?」
俺「俺、キノコはちょっと・・・」
バルクホルン「嫌いなのか?」
俺「食感がな~、どうも好きになれね」
バルクホルン「はぁー…(溜め息)。16にもなってキノコも食べれないのか、おまえは・・・」
俺「年齢は関係ないだろー?この前
初めて食ったんだが、やっぱ駄目だな~こりゃ」
バルクホルン「この前?」
俺「俺が初めて基地に来た日。宮藤達が扶桑料理作ってくれただろ?(※1話)そん中にキノコがあったんだよ。あん時は宮藤に無理やり食べさせられたけどさー」
バルクホルン「……今までキノコも食べた事が無かったのか?」
俺「あー・・・キノコって言うか、まともな料理ってもの自体も食べたのはあの日が初めてだな」
バルクホルン「……え?」
俺「まぁ、記憶を失う前には普通に食べてたんだろうけどさ」
バルクホルン「待て……、じゃあ記憶を失ってからは今までは何を―――」
俺「ん~?ああー。大抵は注射点滴で、たまーにカ○リーメイトが出るくらいかな」
バルクホルン「!」
俺「だから宮藤の料理食べた時はつい―――って、どうした?」
バルクホルン「……すまない」
俺「は?」
バルクホルン「そんな事情があったのも知らずに、16にもなってとか言って、すまなかった……」
俺「オイオイ……、何であんたが謝るんだよ」
バルクホルン「そうだった。何も知らずに私は―――」
俺「ストップ!」 ビシッ!
バルクホルン「……?」
俺「別に不幸自慢をしたくて話したわけじゃねーよ。それに―――」
俺「俺はこの世界の事は詳しく知らねーけどさ、戦争によって飢えてしまっている人達とかもいるんだろう?俺なんて飢えないだけマシな方さ」
バルクホルン「………………」
俺「それとカ○リーメイトって結構美味しいんだぜ?宮藤達の料理ほどじゃないがな」
俺「とりあえずフルーツ味は最高だな。あれだけで1年は戦える。あれは―――――」
俺「次点でチョコレート味かな?あれも中々良い。その次は―――――」
俺「チーズ味は駄目だな。駄目。あれ美味しいとか言うのは―――――」
656 :-Prototype-試作品-8話 >>653本当は全部好きなんだぜ…。支援感謝[]:2010/11/22(月) 17:55:14.89 ID:P+jUfYOIO
<十数分後>
俺「―――ってなわけで、結局はフルーツ味最高!って訳だな」
俺「って、バルクホルン聞いてるか?」
バルクホルン「……ふふっ。俺は凄いカ○リーメイトが好きなんだな」 ニコッ
俺「・・・やっと笑ってくれたな」
バルクホルン「え?」
俺「言っただろ?あんたには笑っていて欲しいってさ」
バルクホルン「あ……」
俺「だからさ、そんな風に笑っていてくれよ。俺、笑っているあんたの顔好きだぜ?」
バルクホルン「すっ、好きぃぃっ!?///」
俺「おう。可愛い・・・ていうか綺麗だしな」
バルクホルン「かっ、可愛い!?綺麗!?///」
バルクホルン「・・・・・///」 カァー…
俺(何か言っているこっちが恥ずかしくなって来た)
<食堂>
パリィーンッ!
宮藤「きゃっ!」
リーネ「芳佳ちゃん大丈夫!?」
宮藤「だ、大丈夫。・・・あーああ、お皿割っちゃった……」 シュン
リーネ「・・・芳佳ちゃん、何かあったの?」
宮藤「え?」
リーネ「今日俺さんの部屋から戻って来てからずぅーっと上の空。料理してる時も、食べている時も、後片付けしている今も」
宮藤「………………」
リーネ「芳佳ちゃん、1人で悩み込むなんて芳佳ちゃんらしく無いよ」
宮藤「リーネちゃん・・・」
リーネ「私達友達でしょう?ツラい事や悩み事があったりするなら、私に何でも相談して」
宮藤「リーネちゃん……!」
宮藤「ありがとう。リーネちゃん・・・。じゃあ、聞いてくれる?」
リーネ「うん!」
宮藤「誰にも・・・言わないでね」
――――――――――――――――――――
リーネ「バルクホルン大尉がそんな事を・・・」
宮藤「本当は盗み聞きなんてするつもりは無かったの、私・・・。俺さんにあんな事情があったなんて・・・」
リーネ「それで芳佳ちゃんは、俺さんにどうしたいの?」
宮藤「どうしたい・・・」
リーネ「自分には関係ない、どうでもいいと思った?それとも、助けてあげたいって思った?」
宮藤「どうでもよくなんて無いよ!」
リーネ「じゃあ、助けてあげたい?」
宮藤「う、うん。でも事情が複雑すぎて、私に出来る事なんて・・・」
リーネ「あると思うよ」
宮藤「リーネちゃん……」
リーネ「確かに私達には、バルクホルン大尉みたいに力や地位や人脈は無いかもしれない」
リーネ「でも俺さんがバルクホルン大尉の言うとおりの状況なら、ツラい時に話を聞いたり、優しくしてあげることくらいは出来るんじゃないかな?」
宮藤「…………」
リーネ「本当にツラい時って、誰かに話を聞いて貰えると凄い楽になるの。多分、誰かと意思を通じ合わせる事が良いんだと思う」
リーネ「だから、芳佳ちゃんに出来る事から始めれば良いと思うよ!」
宮藤「リーネちゃん・・・」
宮藤「そうだね……!私に出来る事から、1つずつ始めて見るよ!」
宮藤「ありがとう!リーネちゃん!」ギュッ
リーネ「ふふっ、芳佳ちゃん元気になってくれて良かったぁ。じゃあ、早速行ってみるといいよ」
宮藤「あ、でもまだ片付けが・・・」
リーネ「そんなのいいから!行って来て」
宮藤「・・・うん!ありがとうリーネちゃん!」 タッタッタッタッ
リーネ「行ってらっしゃーい」 フリフリ
リーネ(ふふっ。芳佳ちゃんたら本当に俺さんの事が心配なんだなぁ)
リーネ(でも知らなかったな…)
リーネ(まさか俺さんが『高所恐怖症』で、怖いの我慢して無理やり戦ってたなんて・・・)
リーネ(普通に飛べてるように見えたけどなぁー?)
宮藤(ごめんリーネちゃん。嘘吐いちゃった・・・)
664 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/11/22(月) 18:21:20.82 ID:Dr1uwJmi0
待つんだ
今行ったら・・・
支援
665 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/22(月) 18:25:19.49 ID:P+jUfYOIO
<再び医務室>
バルクホルン「なぁ、俺。思ったんだが……」
俺「何を?」
バルクホルン「おまえが人並みの食生活を送れていなかった事はわかった。それでキノコをこの前初めて食べたという事もな」
俺「ああ」
バルクホルン「初めて食べたばかりだからといって、おまえがキノコを好き嫌いしても良い理由にはならないのではないか?」
俺「げっ」 ギクッ
俺「いやー、昔話をしたら食欲も無くなっちった。それ、もう下げちゃってくれ」
バルクホルン「ほぅ?まだこんなに残っているのにか・・・?」
俺(キノコばっかりじゃねぇか・・・)
俺「いやー!これ以上あんたに迷惑かける訳にもいかないしさ!もう食事は終了で・・・」 タラー…
バルクホルン「安心しろ。私は迷惑などとは思っていない。私がぜぇーんぶ食べさせてやるからな」
俺「でもでも!怪我人なのに無理やり嫌いな物食べるなんて、体に良くないんじゃあ・・・」 アセアセ
バルクホルン「問題ない。 黙 っ て 食 え ☆」 キラキラ←飛びっきりの笑顔で
俺「\(^o^)/オワタ」
<医務室前の廊下>
宮藤「リーネちゃんの言うとおり、まずは話を聞くことから始めよう」
宮藤「話してくれなちゃ、何もわからないしねっ」 スッ
<コラー!ニゲルナ!カオヲコッチニムケロ!
<キノコダケハカンベンシテクレーッ!
宮藤(何の騒ぎ・・・?)
ガチャッ
宮藤「俺さん、どうし―――」
バルクホルン「ふふっ、もう逃げられないな。さぁ食え!食べるんだ!」 キラキラ
俺「キノコだけは・・・!キノコだけは勘べ―――がもっ!」 ムグムグ
バルクホルン「どうだ~、美味しいだろう?」 キラキラ
俺「ん゙ー~!!」 ムゴムゴ
宮藤「・・・・・」
ガチャン
宮藤(何、今の・・・)
宮藤(バルクホルンさんが俺さんの両手を封じて馬乗りになって、口に私の作った料理を突っ込んでいた・・・?)
宮藤「嫌だなー!私ったら、白昼夢を見ちゃうなんて!」
ガチャッ
バルクホルン「ほらっ、ちゃんと食べるんだ!もっとしっかり噛め!」 キラキラ
俺「んん゙~、ん゙ぅ~~!!」 ムグムグ
宮藤「夢じゃないぃっ!?」 ガビーン!
バルクホルン「ん?宮藤か」 クルッ
宮藤「あ、あの、一体ナニを・・・?」
俺「~~!(ゴクン)み、宮藤!助け―――モゴッ!?」 ムゴムゴ
バルクホルン「ほーら、次だぞ~」 キラキラ
宮藤「バッ、バルクホルンさんっ!俺さん嫌がってますよ!」
バルクホルン「そうだ宮藤、おまえも手伝え」
宮藤「ええっ!?」
バルクホルン「こいつ、おまえの料理を好き嫌い言って残したんだぞ」
宮藤「えっ、俺さん・・・?」
俺「ち、違う!宮藤の料理が嫌いな訳じゃない!俺はただキノコが―――ムグッ!」 モゴモゴ
バルクホルン「どうだ?宮藤。ぜひ食べさせてやろうとは思わないか?」 キラキラ
宮藤「・・・そうですね」
俺(宮藤ぃ!?)
宮藤「ほらっ、俺さん。食べて?」 スッ
俺「ちょっ、待てっ!おまえらさっきから様子がおかし―――」
宮藤「 食 べ て ? 」 ゴゴゴゴゴゴゴ
俺「あ…、うん……」 パクッ
俺(うぅ・・・、どうしてこうなった)
バルクホルン「ほらっ、次はこっちだぞー」 キラキラ
俺「んむっ」 モゴモゴ
宮藤「ほーら、もっと食べて?」 スッ
俺「うぅ・・・」 パクッ
バルクホルン(何だこれは・・・。楽しい///) ゾクッ
宮藤(あっ、俺さん涙目になってる)
宮藤(涙目の俺さん・・・可愛いなぁ///) ゾクッ
俺(早く終わってくれ・・・)←虚ろな目 モゴモゴ
――――――――――――
―――――――
――――
―
672 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/11/22(月) 18:49:31.30 ID:Ht4G34sI0
馬乗りはいいな 。すごくいい
674 :-Prototype-試作品-8話 >>672同志よ 支援感謝[]:2010/11/22(月) 18:53:11.69 ID:P+jUfYOIO
<次の日>
俺「昨日は酷い目にあった・・・」 ペラッ
俺「なんかあいつら妙にノリノリで食わせて来るし・・・」 ペラッ
俺「キノコなんて、この世から消えて無くなっちまえチクショー・・・」 ペラッ
コンコン、ガチャッ
宮藤「俺さーん」
俺「っ!」 ビクッ!
俺「み、宮藤・・・?」
宮藤「うん、昼食を持って来たよ」
俺「あ、ああ。そこに置いといてくれ……」
宮藤「俺さん昨日はごめんなさい。ちょっと悪ノリしちゃって・・・」
俺「! ああ、その事ならもういいんだ。気にしないでくれ」
宮藤「だから、今日も私が食べさせてあげるねっ」 ニコッ
俺「えっ」
宮藤「昨日のお詫びだよっ。遠慮しないで」
俺「いや、俺もう右腕だけなら自由に動くし、問題ないぞ?」
宮藤「え?もう動かせるの?」
俺「・・・まあな。怪我の治りが早くなるよう出来ているし」
宮藤「ふーん。でも怪我人には違いないよね?ほらっ、食べて?」 スッ
俺「いや、でも悪いし・・・」
宮藤「いいから食べて?」 ズィッ
俺「あ、うん…」
俺(なんか時々こいつ妙に怖いよな・・・)
宮藤「キノコは入ってないから安心してね♪あーん///」
俺「あ、あーん……」 パクッ
俺(何回やってもこれは慣れないな・・・) モグモグ
宮藤「おいしい?」
俺「ああ。とってもおいしいよ」
宮藤「えへへー、良かったぁ」 ニコッ
――――――――――――――――――――
俺「ごちそうさま」
宮藤「おいしかった?」
俺「ああ、勿論。宮藤は料理が上手だよな~」
宮藤「あ、ありがとう///」
宮藤「……ねぇ俺さん」
俺「何だ?」
宮藤「もっと私達を頼ってくれていいんだよ?」
俺「・・・どうした急に」
宮藤「私達は俺さんの事をあまり知らない。俺さん自分の事を全然話してくれないから」
俺「・・・・・」
宮藤「俺さん、時々凄い寂しそうな目をしているよ。とても悲しくて寂しい目」
宮藤「何か思い悩んでいる事や、ツラい事があったら相談して欲しいの。だって・・・」
宮藤「私達は・・・仲間でしょう?」
俺「…………!」
宮藤「何があるのか私にはわからない。話してくれないから。」
宮藤「けど、いつか話せるようになったらいつでも話して?私達は、家族なんだから」
俺「……ははっ」
宮藤「俺さん?」
俺「ついこの前、バルクホルンにも同じ事を言われたよ」
宮藤「バルクホルンさんが・・・」
俺「ありがとうな」 ポンっ
宮藤「あっ・・・///」
俺「宮藤は本当に優しいな」 ニコッ、ナデナデ
宮藤「こ、子供扱いは止めて下さい///」
俺「嫌だったか?すまん」 サッ
宮藤「あ、待って!」
俺「?」
宮藤「もうちょっとだけ……撫でてて欲しいなぁ///」
俺「お安いご用だ」 ナデナデ
宮藤「えへへー///」
――――――――――――――――――――
宮藤「ところで俺さん、さっき何を読んでたの?」
俺「ああ、これな」 スッ
宮藤「『カールスラント軍規大全・1つ1つの心構えから初めよう!』? 凄い厚い本だね。こんなのどうしたの?」
俺「さっきの事なんだがな―――」
~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~
コンコン、ガチャッ
バルクホルン「俺、入るぞ」
俺「! あ、あんたか、何の用だ?」
バルクホルン「……用が無くちゃ来ては行けないのか?」
俺「いや、全然そんな事は無いけど……」
バルクホルン「まずは昨日は済まなかった。冷静になってから考えたんだが、どうやらあの時の私は調子に乗ってしまっていたようだ」
俺「あ、ああ。その事はもういいよ。気にするな」 (完全に別人になってたじゃねーか)
バルクホルン「そして俺、おまえにこれをやろう」 ドサッ
俺「・・・何コレ?」
バルクホルン「この本にはカールスラントの軍規、その心構え、その他諸々が全て載っている」
俺「本? 鈍器の間違いだろこれ。魔力込めて投げりゃ戦車くらいは一殺だろうな」
バルクホルン「あと一週間はこのままなのだろう?やる事も無いだろうし、丁度良い機会だ」
俺「いや、でも面倒だし―――」
バルクホルン「この際に軍規を頭に叩き込んでおけ。暇潰しくらいにはなるはずだ」
俺「いやだからさ、暇潰しでも面倒な事は面倒だと―――」
バルクホルン「確かに渡したからな。カールスラント軍人たるもの、それくらいは覚えておけ」
俺(完全無視!?)
バルクホルン「邪魔したな、では」
ガチャッ、キィッ……、ガチャン
俺「俺の意志は・・・」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺「ってな訳だ」 ペラッ
宮藤「それは大変だったね・・・」
宮藤「って、あれ?」
俺「なんだ?」 ペラッ
宮藤「この本って午前に受け取ったばかり何だよね?」
俺「そうだけど」 ペラッ
宮藤「もうこんなに読んだの?こんな字だらけなのに」
俺「まぁな」 ペラッ
宮藤「ちゃんと読んでいるの?ペラペラめくっている様にしか見えないけど・・・」
俺「ちゃんと読んでるぜ?」 ペラッ
宮藤「今、私と話しながらも?」
俺「勿論」 ペラッ
宮藤「それって読んだ事になるの?本当にちゃんと読んでる?」
俺「本当だって。意外と面白いぞ?これ」 ペラッ
宮藤「ふーん・・・」
宮藤「ところで俺さんってさ」
俺「何だ?」 ペラッ
宮藤「最近バルクホルンさんと仲良いよね」
俺「え?」 ピタッ
宮藤「なーんか最近俺さんとバルクホルンさんって一緒に居る事が多いらしいし、向こうも俺さんの事を気に掛けてるよね?」
俺「そりゃそうだ。あいつ自分のせいで俺が死にかけたと思っているみたいだし」
宮藤「それにしてもだよ。最初は会った途端喧嘩始めそうになるし、口喧嘩から
模擬戦始めるし」
俺「あー、そういやそうだったな。まぁ、誤解だったよ。話せば良くわかったさ。あいつが―――バルクホルンが良い奴だって事ぐらいはな」
宮藤「バルクホルンさんと何かあったの?」
俺「まぁ、ローマに行った日に色々とな」
宮藤「じゃあ……」
俺「?」
宮藤「じゃあ今度は……、私と2人で行こうよ!」
俺「一応任務で行ったんだけど」
宮藤「じゃあその内休暇をとって2人で行こう?偶の休みは必要だよっ」
俺「・・・そうだな。じゃあその内暇が出来れば行こーぜ」
俺(つっても怪我治ったら実験ばっかで忙しくなるんだろうな・・・)
宮藤「うんっ!」 (やった///)
――――――――――3日後――――――――――
ミーナ「異常な速度ね」
坂本「何がだ?」
ミーナ「俺さんの回復速度よ。あの速度は異常だわ。この調子じゃ、明日には完治しそうね」
坂本「宮藤が治癒魔法を使ったのだろう?」
ミーナ「いえ、宮藤さんは魔法力の使い過ぎで倒れてからは、使用を禁止しているわ。これは彼自身の生命力の高さよ」
坂本「宮藤の事だ。こっそり使ったのだろう」
ミーナ「なら、いいのだけれど・・・」
坂本「ミーナ、気を使い過ぎだ。ここは素直に仲間の復活を喜ぶべきではないか?」
ミーナ「・・・そうね。わかったわ美緒」
坂本「バルクホルンはどうだ、毎日様子を見に行っているのだろう?」
バルクホルン「確かに異常に早く回復しているがそれだけだ。本人に変わった点は見られない」
バルクホルン「むしろ、退屈な怪我人生活に飽き飽きしているようだったぞ?」
坂本「はっはっはっ!死にかけた身だというのに、大した奴だ!」
ミーナ「・・・そうね」
――――――――――夜・実験部隊専用船・ラオホウ――――――――――
<助手の部屋>
助手「はぁ・・・もうこんな時間かぁ」
助手(実験計画の組み直しと、グリフェプタン濃度の調整。テウルギストの最大飛行速度実験の準備や、バスターライフルのデータ収集、その他諸々・・・)
助手(やる事が多すぎるのよ・・・。鏡を見る暇も無い・・・)
助手「着替えて寝よう・・・」 シュルッ、パサッ
助手(結局あれからあの子のお見舞い行けなかったなぁ・・・世話係りなのに) プチプチプチプチ
助手(そりゃ本来私はこういう立場だけど、だからってねぇ?この部隊人手不足過ぎだよ・・・) パサッ、ヌギヌギ
助手(せめて起きている時に1回会いたかったなぁ・・・) シュルシュル、パサッ
ガチャッ
助手「!!?」
俺「おーい、助手。起きているか?話が―――」
助手「」 プルプル
俺「あるん、だ・・・」
助手「キャアアアアアアアアアァァァッ!!」 バッチィーンッ!!
俺「ぶべらっ!?」 ドサッ
<5分後>
助手「すっ、すいません・・・」 ヘコヘコ
俺「いや・・・。ノックしなかった俺が悪いんだし」 ヒリヒリ
助手「それで一体、こんな時間に何の用ですか?」
俺「ん?ちょっとな」 スッ
ギュッ
助手「へっ?///」 (て、手を握られた?)
助手「な、な、いきなり何を―――」
俺「ほいっ」 ポンっ
助手「これは、……ブローチ?」
助手(綺麗な琥珀色・・・)
俺「ありがとな」
助手「え・・・?」
俺「バスターライフル!お陰様で助かったぜ。あの野郎に何て怒られた?」
助手「……『君は研究者としての自覚はあるのか』、『実験を何だと思っているんだ』と小一時間程言われました」
俺「悪いなー、大変だったろ?」
俺「だけどそのおかげで助かった。アレが無ければネウロイ倒せなかったしな」
助手「ちょっ―――」
俺「ありがとうなっ、それじゃ―――」 スタッ
助手「ちょっと待って下さい!」
俺「ん?」
助手「私は……結局は研究者の一員なんですよ?このような物をあなたから貰える資格なんて、ありはしな―――」
俺「何だ。今日は随分と後ろ向きな事言うんだな。そんな事言ってないで、素直に受け取って欲しいんだけど」
助手「しかし・・・・・」
俺「いい言葉がある」
助手「……何です」
俺「こういう時は、『それはそれ、これはこれ』byエーリカ」
助手「へ?」
俺「つまり研究者としてのあんたの事は置いといて、助手という1人の人間に受け取って欲しいって事」
助手「! それは―――」
助手「……わかりました。受け取って置きますよ。ありがとうございます」
俺「あんたはそういう細かい事は気にしないでくれよな。普段のあんたには、意外と助けられてんだぜ?」 ニコッ
助手「・・・・・!」
俺「だからさ、明日からはまたいつも通りに接してくれ。……そんじゃまぁ、もう行くよ。夜遅くに悪かったね」
ガチャッ、キィッ……、ガチャン
俺(風呂でも入って寝るかなー)
テクテクテクテク……
助手(・・・・・)
助手「あの子、初めて私に笑ってくれたなぁ……」
助手「あんな顔も・・・出来るようになったんだ」
助手(でも私には、あの子に笑顔を向けられる資格も、礼を言われてこんな良い物を貰う資格もありはしない・・・)
助手(本当、酷い人間ね。私って)
助手(中途半端に手を差し伸べるだけ。助ける事は出来ない―――いや、助けようとしない)
助手(私、きっと間違っているよね?)
助手(でも・・・)
助手「お父さん・・・、お母さん・・・。前みたいにやれるかな」
――――――――――基地内・露天風呂――――――――――
カポーン・・・
バルクホルン「………………」 チャポン
~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~
〔助手『……本当に俺中尉の事を思っての事なら、これ以上深入りはしない方がいいです。この子の為にもやめて下さい』〕
〔バルクホルン『なに?』〕
〔助手『許されないとか、認める訳にはいかないとか、そんな道徳的な問題ではないんです』〕
〔助手『あなたが探りをいれたとしても、何も変わりませんよ・・・。それどころか、大佐の耳に入ったら、この子が傷つく事になる』〕
〔助手『だからもう・・・この子の為にもやめて下さい』〕
~~~~~~~~~~回想終了~~~~~~~~~~
バルクホルン(あの忠告・・・どういうつもりだ?)
バルクホルン(「俺」が傷つく?……嘘を言っているようには見えなかった)
バルクホルン(この件を報告するべきか?それとも・・・)
バルクホルン(……しかし忠告が本当なら、迂闊に他言するべきではない。私1人で何とかするしか……)
バルクホルン「私は・・・どうすれば……」
ガチャッ
バルクホルン(今のは・・・脱衣所のドアの音か?)
バルクホルン「こんな夜更けに誰だ……?」
?<テントセンノシュンカンモ~♪
バルクホルン「!?」
?<マチボウケノハテニキエル~♪
バルクホルン(この歌声はまさか……)
俺『哀しき最先端~♪ 虚しき sensation~♪ 胸をえぐるよ~うな、甘い名~残り~♪』
バルクホルン(俺!?)
俺『散りゆくポラロイド~♪集めてパラノイアー~♪』
バルクホルン(な、何故俺が風呂に!?まだ療養中のはずじゃ・・・)
バルクホルン(しかもこんな時間に……?)
バルクホルン「はっ!」
そこでバルクホルンは、自分がタオル一枚つけてない全裸である事に気がついた
バルクホルン(まずいっ!)
歌声はどんどん近づいてくる。このままでは裸を見られてしまう。しかし隠れられるような場所はない
バルクホルン「ど、どうすれば・・・」 アタフタ
俺『次は~誰のば~んだ 教えて~欲しい~♪』 テクテク
バルクホルン(き、来た!) ジャポン!
俺「不k・・・ん?」
俺(……気のせいか?)
バルクホルンはとっさに湯の中に潜り込んで隠れてしまった。だが湯気が濃いおかげでまだ見つかっていない
バルクホルン(・・・・・) ブクブク
俺「うお~! でかい風呂だな~っ」
バルクホルン(・・・・・) ゴボゴボ
俺「おっ、丁度良い湯加減」 チャプッ
チャポン
俺「…………ふぅ」
バルクホルン(も、もう息が・・・) ガボガボ
俺(どこまで歌ったっけ……あ、あそこか)
俺「不~完全な実態に~♪」
バルクホルン(もう駄目だ・・・) ゴボッ
バルクホルン「ぷはぁっ!はぁ、はぁ」 ジャパンッ!
俺「よりそい眠れば~ー…ば、ば、ば、バ…、バルクホルン?」
バルクホルン「み、見るな!」
首から下を再び湯船に沈め、胸と股を両腕で隠す
バルクホルン「~!」 プルプル
俺(うわ~顔真っ赤!…じゃなくて)
俺「す、すまん! 入っているとは知らなかった! すぐに出る!」 ザパァ
バルクホルン「ま、待て! 出るなら私が―――」 ガシッ
露天風呂から去ろうとした俺の腕を、バルクホルンが掴んだ
俺「イダダダダダダダダダッ! 痛い! 痛い! 掴むな!」
バルクホルン「お、おまえ…、まだ腕が?」
――――――――――――――――――――
ゴシュ、ゴシュ
バルクホルン「気持ちいいか?」
俺「あ、ああ……。とても」
バルクホルン「それは良かった」
俺「むしろもう少し力を入れても大丈夫だぞ?」
バルクホルン「……こうか?」
ゴシュ!ゴシュ!ゴシュ!
俺「うっ…、ちょっと指に力入れすぎかな」
バルクホルン「なら、これくらいか?」
ゴシュ…!ゴシュ…!
俺「ああ・・・いい。気持ちいい」
俺「それにしても悪いなー。こんな事して貰っちゃって」
バルクホルン「仕方ないだろう?今のおまえは利き手が使えないんだ」
バルクホルン「だから、私がシテやっているんだぞ?」
723 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2010/11/22(月) 21:37:55.64 ID:kEQqz07x0
グラロデわろた。 ゲルトォォォォォォォ!!
724 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/22(月) 21:39:49.78 ID:P+jUfYOIO
ゴシュッ、ゴシュッ
バルクホルン(もうすっかり真っ白だな)
俺「それにしても、こんな事されるのがこんなに気持ち良かったなんて・・・」
バルクホルン「誰かにシテもらうのは初めてなのか?」
俺「もちろんだ。あんたは人にするのは初めてなのか?」
バルクホルン「いや、妹に何度かしたな」
俺「ふーん、だからこんなに上手なんだ。洗髪」
バルクホルン「上手いか?」
俺「少なくとも俺は凄い気持ちいいぞ」
バルクホルン「・・・流すぞ」ザパァ
俺「うおっ」
バルクホルン「……さて、次は背中だな」
俺「いや、別にもう」
バルクホルン「利き腕が使えないと不便だろう?私がやるから、大人しくしていろ」
ゴシゴシ
俺「にしても、あんたがこんな事してくれるとはね」
バルクホルン「おまえはまだ利き腕も使えない怪我人だ。手伝うのは当然だろう?」
バルクホルン「それに怪我人に風呂は危険だ。ショックで何が起こるかわからない」
俺「……俺はじいさんかよ」
バルクホルン「だいたい、何故怪我が治りきってないのに風呂なんかに?」
俺「何故ってそりゃ風呂くらい入りたいだろー。ここ数日着替えと濡れタオルで体を拭いただけだぞ」
バルクホルン「まったく・・・仕方のない奴だ」 ゴシゴシ
俺(あ、気持ちいい・・・)
ゴシゴシ
バルクホルン(意外と背中大きいんだな・・・)
ゴシゴシ、ザパァー
バルクホルン「さて、終わ・・・ん?」
俺「どうした?」
バルクホルン「俺、その首のチョーカーは・・・」
俺「っ!」 バッ
バルクホルン「あっ」
俺「背中ありがとな。もう大丈夫」
チャポン←湯船に浸かる音
バルクホルン「? ……ああ」
――――――――――――――――――――
俺「なぁ、バルクホルン」
バルクホルン「何だ?」
俺「ありがとな」
バルクホルン「気にするな。負傷した仲間の世話くらい、何という事はない」
俺「違うよ。まだ、一番大切な礼を言ってなかった」
バルクホルン「一番大切……?」
俺「この前、ローマの町であんたが俺に言ってくれた事だよ」
俺「おかげで色々吹っ切れた……てか割り切れた」
バルクホルン「・・・何を?」
俺「色々だよ」
そう言ってバルクホルンに向き直る
俺「だからさ、戦うよ」
俺「過去や今までの事はもういい。これからは未来の為―――守る為に戦うよ」
俺「あんたらとなら俺でも出来る気がするんだ」
スッ
バルクホルンは手を差し出す
バルクホルン「この前は出来なかったからな」
俺「あっ・・・」
バルクホルン「共に戦う仲間として―――家族として、改めて歓迎するよ」
バルクホルン「ストライクウィッチーズへようこそ、俺中尉」
俺「ああ、ありがとう」
そう言って手を握ろうとする
俺「うっ・・・」 ガクッ
しかし手が触れる直前、急に俺が力無く倒れる
バルクホルン「!? 俺っ、どうしたっ!?」
とっさに体を支えて顔を覗き込むバルクホルン
バルクホルン(まさか悪化した―――)
俺「うへぇ~~…」 クラクラ
バルクホルン(・・・のぼせたのか)
――――――――――――――――――――
俺(あれ・・・?)
俺(何だか温かい・・・)
俺「ってあれ!?」
バルクホルン「お、起きたか」
俺「って……ええ!?」
バルクホルン「どうした?」
俺「お、降ろしてくれ!1人で歩ける!」
バルクホルン「駄目だ。怪我人は大人しく運ばれていろ」 スタスタ
俺「いや、だからといって・・・」
バルクホルン「のぼせて倒れるなんて・・・、まったく仕方のない奴だな」
俺(ぐ・・・!何だこの敗北感は・・・!)
俺(こんな感じも初めてだ!)
俺「こ……、この借りはすぐに返すぜ。あんたが倒れた時は、俺が運んでやるよ」
バルクホルン「ふふっ、軟弱なおまえでは無理だ」
俺「」 カチン
バルクホルン「だが、私がおまえをカールスラント軍人として一から鍛え直してやろう」
俺「・・・あんたが?」
バルクホルン「ああ、女の背中で運ばれるような男のままじゃ嫌だろう?」
俺「……上等じゃねぇか、やってやるよ!」
バルクホルン「よし、その意気だ」
<俺の部屋の前>
俺「軟弱とか言ったの絶対取り消させてやるからな?絶対見返してやるからな?」
バルクホルン「それは楽しみにしているよ」
俺「・・・あっ、いけねー。忘れるとこだった」
バルクホルン「?」
ガチャッ、ガサゴソ・・・、ガチャッ
俺「はい、これ」
バルクホルン「これは……この前の服」
俺「さっきの礼のついでだよ。ありがとな」
バルクホルン「しかし、このような服は私には―――」
俺「じゃあ持ってるだけでいいよ。俺に女装趣味は無いしな。それに言ったろ。絶対かわいいって」
バルクホルン「…………///」
俺「ま、服が駄目ならこれかな」 スッ
バルクホルン「ペンダント?」
俺「ああ。首に掛けれる。良かったら受け取ってくれ」
バルクホルン「あ、ありがとう・・・」
俺「どういたしまして」 ニコッ
バルクホルン「それと、服も一応貰っておく・・・」
俺「おお。気が向いた時にでも着てくれ」
バルクホルン「わ、私はこれで……」 テクテク
俺「あ、バルクホルン!」
バルクホルン「ん?」
俺「おやすみっ」 ニコッ
バルクホルン「ああ…、おやすみ」 ニコッ
739 :-Prototype-試作品-8話[]:2010/11/22(月) 22:31:52.80 ID:P+jUfYOIO
〈変えようの無い事実がある〉
〈逃れられない現実がある〉
〈決まってしまっている未来〉
〈決まってしまっている最期〉
〈だけど、それでもいい〉
〈やっぱり、まだ怖い〉
〈死ぬのは怖い〉
〈でも、だからといって全てを捨てるのにはまだ早いようだ〉
〈あいつらと一緒に戦いたい。一緒に過ごしたい〉
〈だから俺は、もう少し人として生きる―――いや、生きたい〉
〈下ばかり見るのは少し止める〉
〈あいつらとなら、出来る気がする。あいつらとなら俺でも〉
〈あいつらと一緒に『人』として精一杯生きる〉
〈俺はそう決めた〉
〈そう遠くない内に訪れる、――――――その時まで〉
第一章・おわり
風呂で俺が歌っていた歌
最終更新:2013年01月29日 15:04