『降り注ぐ光の中で』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<リーブラ船体下側・中央部>
リーブラ「━━━━━━━━━━」 ギュィーン…………
坂本「くそ! 近づけない! もう主砲が・・・!!」
船体下側中央、リーブラの中心にある巨大な主砲が光を集束させ、ローマの街を消し飛ばすべく、今にもそれを発射させようとしていた。
坂本は何とか主砲を破壊しようとするが、あまりにも子機の攻撃が激しく全く近寄れない
235 :試作な俺-23話:2011/06/19(日) 16:18:00.17 ID:uIwFBJBMO
シュゥーン……
宮藤「光が……」
坂本「消えた!?」
だがその時、発射直前だったのにもかかわらず、突如主砲に集束されていた光が消える。
それに続いて、外からでも内部から聞こえたとはっきり分かるような、巨大な爆発音がした
坂本「今の音は、中から……」
宮藤「坂本さん! リーブラが!」
坂本「!! リーブラが、落ちる…………」
爆発音と同時に船体中央下部の主砲が光と化し、消滅する。続いて中央部から船体全体に地割れのように罅が広がり、その空中都市のような巨体が崩れて行く
エイラ『サーニャ、見えるカ?』
サーニャ『ええ、見えてるわ……』
リーネ『リーブラが……』
ペリーヌ『落ちて行きますわ……』
シャーリー『勝った・・・勝ったんだ!! あんなデカい奴に勝ったんだぁ!!』
ルッキーニ『やったぁーーーーーーっ!!! だーいしょぉーーりぃーーーーっ!!!』 キャッ、キャッ
エーリカ『ミーナ、これは……』
ミーナ『…ええ。私たちの勝利よ』 (やったわね、美緒……)
236 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/19(日) 16:21:44.47 ID:TTBEC4PP0
しえんしえん
237 :試作な俺-23話-降り注ぐ光の中で:2011/06/19(日) 16:24:38.37 ID:uIwFBJBMO
中央部より生じた巨大な罅は、波紋のように巨大な船体に広がって行く
コアを破壊されたリーブラに、それを止める事など出来る筈が無い
天井のように広く広がる巨体が、徐々に光と化し消滅して行く
時折大きな破片が落ちて行くが、常に高高度を飛んでいると言う特性が幸いして、その破片が地上に被害を齎す事は無い
激しい閃光と轟音と共に、リーブラが断末魔の叫びをあげる
リーブラ「━━━━━━━━!! ━━━━━━━━━━!!!!! ━━━━━━! ━━━━━━━━━━━━━━━━━…………・・・・・・・」
バキィィンッッ!!! パシュゥーーーーン………………
ヴェネツィア上空の巣より出現し、かつて無い規模と性能でウィッチ達を苦しめた、母艦要塞型ネウロイ・『リーブラ』
ロマーニャの海に巨大な暗い影を落とし、一時はローマの街を消滅寸前にまで追い込んだ黒き箱舟は、
数多くの人々と、11人の少女達と、1人の少年の手により心臓部を打ち砕かれ─────
完全に消滅した
62 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:13:54.27 ID:dMrCGFJFO
<爆心地(リーブラ心臓部跡)>
リーブラが完全に消滅し、俺とバルクホルンが抱き合って宙に浮かんでいた
バルクホルン「うぅ・・・」
俺「大丈夫か?」
バルクホルン「ここは……リーブラは?」
俺「あのコアのあった部屋。コアをぶっ壊したから、敵さん消滅したんだよ」
バルクホルン「そうだ、ローマはどうなった!? 主砲は……」
俺「大丈夫。どうやら、ギリギリセーフだったみたいだぜ」
バルクホルン「(ホッ) そうか、良かっ───俺、おまえ・・・!?」
俺「?」
バルクホルンはようやく、目の前に居る俺の状態に気がついた
よほど激しい爆発だったのか。
背中を中心に皮膚が焼けて黒ずんで、ブスブスと薄く黒煙を上げている。重度の火傷だ。
そして全身に数え切れないほどのネウロイの破片が突き刺さり、左肘から先を失っていた。
痛みを感じて無いとは言え、これはどう見ても致命傷だ
そしてそんな俺とは対極的に、バルクホルンは火傷もネウロイの破片も殆ど負っていなかった
63 :試作な俺-23話 支援感謝です:2011/06/24(金) 22:20:41.12 ID:dMrCGFJFO
バルクホルン「み、宮藤……。宮藤は!? 宮藤を!!」
俺「落ち着けって、大丈夫だ」
パニック状態になりながらもバルクホルンは助けを呼ぼうとする。
しかし俺は彼女を宥め、止めさせようとする
バルクホルン「何が大丈夫だと言うんだ! 早く・・・早く治療しなければ・・・!」
俺「平気だよ、こんなの。本当に大丈夫だ」
バルクホルン「平気なものか! 大丈夫なものか! いくら痛みを感じないからって、ここまでの傷……が…………」
シュゥゥウウゥゥゥゥゥーーー……・・・
俺「ほら、大丈夫だったろ?」
背中に負った重度の火傷と、破片が消滅して体に空いた無数の穴の傷と欠損した左腕が、見る間に再生していく
そう。まるで・・・、ネウロイが再生する時のように
バルクホルン「こ、これは…………」
そしてあっという間に再生が終わり、全ての火傷と傷も消えて、俺の体は元通りになった
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 22:21:12.24 ID:V166R4ZT0
支援だ。・・・最後まで見るぜ!!
65 :試作な俺-23話 支援ありがとう:2011/06/24(金) 22:25:49.80 ID:dMrCGFJFO
俺「驚いた?」
バルクホルン「な、何が起きた……」
俺「気味が悪いだろ、こんなの。自分でもそう思ってるしな」
バルクホルン「どうなっている……。何故、再生なんて…………。これも強化ウィッチの力だと言うのか……?」
バルクホルン「これでは……。これでは余りにも───」
俺「”人間じゃない ”・・・、みたいだろ?」
バルクホルン「!」
俺「いいよ、それで正解。強化ウィッチは人間じゃないからな」
バルクホルン「ち、違う。私は───」
俺「おっと、悪いがこの話はここまでだ」
バルクホルン「何……?」
俺「ほら」 チラッ
宮藤「俺さあああぁーん!! バルクホルンさぁーん!」
坂本「無事だったか!」
宮藤と坂本が、下方からこっちにやって来るのが見えた
66 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:31:13.55 ID:dMrCGFJFO
俺「この話の続きは、帰ってからまた後でな」 ビューン
バルクホルン「あっ、待て俺。まだ話は───」
バルクホルンの制止も聞かず、俺は宮藤達の方へ行ってしまった
バルクホルン「俺…………」
――――――――――
人々は勝利した
天を覆うように広がる巨大な敵。今までで、最も”大きい ”敵
かつて無い脅威をうち砕き、絶望的な戦いの勝利を手中に収めた
ウィッチもそうでない者も、上官も下士官も、パイロットも整備兵も、男も女も年齢も性別も関係ない
今はただ、そこに居る誰もが勝利の美酒に酔いしれていた
――――――――――MISSION COMPLETE・任務完了――――――――――
―――――そして、その日の夜―――――
67 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:36:13.93 ID:dMrCGFJFO
<基地内・バルクホルンとハルトマンの部屋>
ドア< コンコンッ
バルクホルン「……どうぞ」
ガチャッ
俺「良かった、まだ起きてたんだ」
バルクホルン「ああ」
俺「…………」
バルクホルン「…………」
エーリカ「(-.-)zzZ」 スー…、スー…
俺「ハルトマンは寝たのか……」
バルクホルン「こんな時間だし、とても激しい戦いだったからな。無理もない」
バルクホルン「それで……、話があるんだろう?」
俺「…………」
俺「ああ。……だけどここじゃハルトマンが寝てるし、場所を変えよっか」
バルクホルン「・・・そうだな、わかった」
68 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:41:57.60 ID:dMrCGFJFO
<数分後・俺の部屋>
ガチャッ
俺「お茶入れて来たぞー」
バルクホルン「いいのか? おまえは・・・」
俺「これは眠気覚まし用だし。別に味が分からなくても問題ないさ」
バルクホルン「……そうか」
俺「ほい、あんたの分」 コトッ
バルクホルン「ありがとう。いただく」 ゴクッ
バルクホルン「Σ ぶはぁ!!?」 ブフーーッ!
俺「Σ うおぁ!? どうした吹き出して!」
バルクホルン「こ、このお茶、物凄く不味いぞ……。よく嗅いでみたら、何か匂いも変だ」 ポタポタ
俺「うーん、そうなのか。悪くなってた奴を淹れちゃったのかなぁ」
バルクホルン「口の中が甘酸っぱしょっぱ塩辛い…………」
バルクホルン(嗅覚も麻痺しているから気付かなかったのか……?)
69 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:47:43.14 ID:dMrCGFJFO
―――――数分後
俺「静かだ……、みんなもう寝ちゃったのかな?」
バルクホルン「あれほどの戦いだったのだ。皆、体力も魔法力も限界だったのだろう」
俺「ま、そりゃそうだよな……」
バルクホルン「…………」
夜遅く、激闘に身を投じた少女達や人々が眠りにつき、静まり返った基地内の俺の部屋。俺とバルクホルンが円卓を挟み、椅子に腰掛けて対面していた。
2人共真剣な表情をしており、やや場の空気が張り詰めているようにも感じられる
バルクホルン(……おかしいな)
ふとバルクホルンは、部屋の中の変化に気付いた
バルクホルン(俺の部屋、こんな感じだったか……?)
俺「それにしてもさ、凄いよなぁ……」
その時俺がゆっくりと口を開いた。先ほどまでの重苦しい空気を一掃するような、日常会話のような気楽な調子でだ
バルクホルン「何がだ?」
俺「今のこの状況……いや、状況って言うか……そうだな」
俺「この巡り合わせ……かな」
70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 22:51:30.33 ID:Hq+II0kK0
支援
71 :試作な俺-23話 支援感謝です:2011/06/24(金) 22:53:02.57 ID:dMrCGFJFO
バルクホルン「巡り合わせ……」
俺「そう。このストライクウィッチーズは、こんなにも様々な国の人間が1つの部隊に集まって戦っている……。しかも、ちゃんと機能している」
俺「考えてみたらさ、これって物凄い事なんじゃないか?」
バルクホルン「確かに……、その通りだな」
俺「もしさ、そんなの……絶対に嫌なんだけど・・・」
俺「もしも人間同士が戦争やってたら、最悪ここに居るみんなは……、その…………殺し合ってたり・・・、してたかもしれないんだよな」
バルクホルン「…………」
俺「でも今人間は、ネウロイという共通の敵に立ち向かう為に、手を取り合って生きている。まとまっている」
俺「ネウロイに感謝している訳じゃないけどさ、人間同士が戦わなくちゃいけないだなんて…………そんな悲しい世界は俺は嫌だ」
バルクホルン「勿論、私やフラウやミーナ…………誰もがそう思っているだろう」
俺「だよな。 ・・・だからさ、凄いと思うんだ。こうやって本来バラバラの立場の筈の人間が、1つになって生きている……ってのがさ」
バルクホルン「俺……」
俺「もしもこの部隊が無かったら……例えば宮藤は軍人にならずに、故郷の診療所を継ぐために勉強中かもしれない」
俺「みんながそれぞれの戦場で戦って、俺も試作体としてただただ戦い続けて……。きっと縁なんか無かったんだろうな」
バルクホルン(そうか……。ミーナとも出会えなかったかもしれないんだな……)
73 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 22:58:37.78 ID:dMrCGFJFO
俺「だから、さ。俺は奇跡なんざ全く信じちゃいないんだけど…………この出会いには、凄い感謝しているんだ」
バルクホルン(巡り会い、か……)
俺「……前に宮藤と一緒の時に、両親について話したの……覚えてる?」
バルクホルン「ああ。フラウが居なかった時の事だろう? (結局影で聞かれていたがな)」
俺「そう、その時の話でさ。俺、両親を軽視するような事を言ったんだけど……」 (※10話)
俺「あれ、嘘なんだ」
バルクホルン「嘘とは……?」
俺「強がりだったんだよ。実を言うとあの時の俺は、見栄を張っていただけ」
俺「本当は憧れてたんだ。家族だとか、仲間だとか……そういうのにさ」
バルクホルン「俺…………」
俺は少々気恥ずかしそうに話し続ける
74 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 23:03:47.21 ID:dMrCGFJFO
俺「あんたが……そして、みんなが教えてくれた。また思い出させてくれた。 誰かを”守る ”と言う事を」
俺「今でもちょっと信じられないよ。壊すだけだった俺に仲間が出来て、一緒にリーブラみたいな凄い強い敵を倒して、沢山の人々を守る事が出来ただなんて……」
バルクホルン「……これは確かに、私達が勝ち取った結果だ。私達が、みんなが守ったんだぞ」
俺「そうか……俺達がやったんだ。俺達が守り抜いたんだよな」
俺「あんな馬鹿デカい敵から、ローマの街を。沢山の人々を。ロマーニャを……」
バルクホルン「ああ、その通りだ。少しは実感が湧いたか?」
俺「……ははっ、そうだな。・・・でも、だからさ……───」
バルクホルン「……だから?」
俺「だから、もう……十分なんだ」
バルクホルン「えっ・・・?」
クラッ・・・
バルクホルン「っ……!?」
俺の言葉の意味を理解するより先に、突如バルクホルンを強烈な眠気が襲った。瞼が重くなり、頭にモヤがかかったように思考が鈍くなる
俺「……そろそろ効いて来る頃だと思っていたけど、いいタイミングだな」
バルクホルン「な、何…………?」
75 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 23:09:13.42 ID:dMrCGFJFO
俺「悪いね、睡眠薬を入れさせてもらった。 って言っても、副作用は無いから安心してくれよ。ちゃんと安全な物だから。
……あ、ちなみにネタばらしするとだな、さっきのお茶は痛んでたんじゃなくて、薬に気付かれないように俺が味付けしたんだよ。……少しやり過ぎたっぽいけど」
バルクホルン「どう、して…………」
俺「…………」 スタッ
俺は椅子から立ち上がり、卓に突っ伏した状態のバルクホルンを見る。怒りも悲しみも無い、穏やかな暖かい目で
彼女は眠気を覚まそうとするが、もはや力が入らず卓から体を起こす事が出来ない。ひたすら瞬きを繰り返すが、眠気は底なし沼のようにドンドン深くなり抗えなくなる
俺「すぐに飛び出して追って来そうなのは、あんたくらいだと思ったからな。他のみんなは……中佐が抑えるだろうし」
バルクホルン「な、に……?」
俺「……本当の事を言うとさ、別れの挨拶を言いに来たんだよ」
バルクホルン「別れの挨拶…………」
俺「上からあの野郎に指令があったみたいでな、『D特殊戦闘実験部隊及び強化ウィッチ試作体壱号・プロト01』は、本国に帰還する事になった」
俺「そこで最終実験を行って……ようやく量産に必要な全てのデータが揃うんだと」
バルクホルン「!」
俺「役目を果たす時が……、本来の俺に戻る時が来たって事だ」
バルクホルン「おまえ。まさ、か……!」
76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 23:11:52.94 ID:6/vbkzkQ0
試作来てるやん支援
77 :試作な俺-23話 支援感謝です:2011/06/24(金) 23:14:52.74 ID:dMrCGFJFO
俺「必要なデータさえ揃えば、一年もせずに世界中に量産型の強化ウィッチが配備される事になる」
俺「そうすれば、世界はあっと言う間にネウロイから救われる。みんなが戦う必要なんか無くなって、救われた世界で平和に暮らせるんだ」
ファサッ……
机に突っ伏した状態のバルクホルンに毛布を掛ける。もう、言葉を出すのも難しいようだ
俺「俺は……あんたやみんなに、大切な物をたくさん貰った。俺は本当に、本当に幸せだったんだよ。これは嘘じゃない」
バルクホルン「お、れ…………」
俺「俺はもう十分。だからさ、今度は……あんたが幸せになってくれ」
俺「これが俺の最後のお願い…………いや、我が儘かな」
バルクホルン「そんな、こと……」
そう言って俺は、部屋から出ようとする。バルクホルンは引き止めようとするが、もう体を動かさせなかった
バルクホルン「待・・・て・・・・・」
バルクホルンの瞳の中で、ドアへ向かってゆっくりと歩く俺の背中が、彼女が以前見た夢の中の俺の姿と重なる。(※19話)
全身血塗れでこそ無いが、今この部屋から去ろうとしている俺の背中は、あの夢の中で去っていく俺の姿その物だった
バルクホルン(駄目、だ。もう眠気が……)
78 :試作な俺-23話 支援感謝です:2011/06/24(金) 23:17:35.63 ID:dMrCGFJFO
瞼が重く、段々と視界が狭まって行く。もう声が出せず、心の中で叫び続ける事しか出来ない
バルクホルン(行くな……俺、行くな・・・!)
バルクホルン(こんなのっ・・・急すぎる。一方的、すぎるッ・・・!)
バルクホルン(言わなくちゃならないのに…『それは間違いだ』って……。伝えなくては…ならないのに…………)
声にならない声を出そうとするバルクホルンの思いが通じたのか否か、部屋から出る寸前のドア前で俺の足が止まる
俺「・・・何もかも無くしちゃったけど、最後に1つだけ……大切なものが残った」
俺「思い出を、ありがとう」 ニコッ
バルクホルン「!」
俺「さようなら」
ガチャ、キィッ…………ガチャン!
バルクホルン(違う……。あの笑顔は……。あの、眼は……っ、違う…………!!)
最後に振り返りこちらに見せた笑顔。薄れ行く意識の中、その笑顔だけがはっきりと彼女の瞳に焼き付いていた
バルクホルン(俺……。おま、え…は・・・・・) ガクン
圧倒的な眠気を前にとうとう頭もあげられず、最後に彼の名を呟いてから、彼女はゆっくりと意識を手放した
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 23:18:48.27 ID:9epUdQLo0
支援
80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 23:19:48.59 ID:gAsKwY6w0
支援
終わりも近いな……
81 :試作な俺-23話 支援多謝!:2011/06/24(金) 23:24:12.08 ID:dMrCGFJFO
───
<基地内・港>
すっかり陽も沈んだ夜遅く。空一面に広がる雲が月明かりを閉ざしている為に辺りは暗く、海は静まり返っている
港に停泊している実験部隊専用船・ラオホウ。その前に、待ち人を待つ助手の姿があった
助手(静かな夜…………)
大きい作戦の直後だからか人の気はまるで無く、港には波の音だけが静かに響いていた
テクテクテクテク……
助手(あっ……)
俺「……悪い、待たせた」
静かな足音と共に、闇の中から俺が現れた
助手「良いんですか? もう……」
俺「大丈夫だ。もう……全部済んだ」
助手「……わかりました。じゃあ、行きましょう」
82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/06/24(金) 23:28:50.58 ID:eTci9+SV0
GN支援だ!
83 :試作な俺-23話 GN感謝:2011/06/24(金) 23:29:54.52 ID:dMrCGFJFO
テクテクテクテク……
俺「…………」
助手「……本当に、良かったんですか?」
俺「へ?」
助手「顔に書いてありますよ。『行きたくない』って……」
俺「…………」
俺「んな訳ねぇだろ。……もういいんだよ、ホントにな」
助手「でも……」
俺「覚悟なんざ、とっくの昔に出来ている。『この時』が来るのも、それがそう遠くないのも……、全部……わかっていたからな」
助手「…………」
俺「俺はおまえらの指示に従って、ただただ戦い続けるだけだった。出ろって言われりゃ出て撃つだけ……、そこには、『自分』なんてものはどこにも無かった。
ただ生きている……いや、生かされているだけ。もう、死んでいるようなものだった」
俺「……でもさ、思えたんだ。アイツに───みんなに出会って。『俺もまた、誰かを守りたい』って……」
俺「人形だった俺が、この戦いの中に意味を見つけられたんだ。ただ残り少ない時間を消費するだけだった、この戦いの中に……」
俺「だからさ、俺はもう……十分なんだよ」
助手「俺……」
84 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 23:35:19.40 ID:dMrCGFJFO
俺「……でも」
助手「でも?」
俺「どうせならさ、いずれ創られる俺達の『量産型』なんかじゃなくて───」
俺「自分の手で……、みんなを守りたかったな」
助手「!!!」
俺「……今のは聞かなかった事にしてくれ。もう全部……終わった事だ」
助手「……ごめんね。結局私は、あなたに何も出来なかった」
俺「何言ってんだ、あんたは研究者の一員だろ。いいんだよ、それで。 ……それにもう、十分なほど助けてもらったからな(ボソッ)」
助手「え…?」
俺「何でもない。 さぁ、もう行こうぜ。クソジジィにドヤされちまう」
助手「……そうですね。行きましょう」
助手を先頭に2人はゆっくりと階段を上がり、船の中に入って行く
暗い船内に助手が消え、それに俺が続こうとしたその時───
俺「あっ……」
85 :試作な俺-23話:2011/06/24(金) 23:41:16.76 ID:dMrCGFJFO
それは空が俺に恵んでくれた最後の手向けか
突然、雲が途切れて月明かりが差し込み、暗闇に包まれていた基地全体を照らし出す
既に色覚に異常を抱いている為に色が正常に判別出来ないが、月明かりに照らされたロマーニャ基地はとても幻想的で、その姿は美しく俺の脳裏に焼き付いていた
俺(これで見納め、か……)
唯一残された大切な思い出たちが、俺の中を駆け巡って行く
〈楽しかったなぁ・・・・・〉
〈みんなと過ごした日常が・・・、共有した時間が・・・・・〉
〈楽しくて・・・・〉
〈楽しくて・・・、楽しくて・・・、本当に楽しくて・・・・・〉
〈仲間が出来て、家族が出来て、好きな人が出来て・・・〉
〈辛い事や、大変な戦いも沢山あったけど・・・・・〉
〈みんなと一緒に居るのは、そんな辛さを忘れてしまう程・・・、自分の定めを忘れてしまう程に・・・・・〉
〈楽しかったんだ〉
86 :-Prototype-試作品-23話-降り注ぐ光の中で:2011/06/24(金) 23:45:20.96 ID:dMrCGFJFO
〈・・・でも、それもここまで〉
〈役目を果たす時が来たんだ〉
〈だから俺は、もう行かなくてはならない〉
俺(さようなら、みんな)
今、仮初めの時間は・・・・・・
俺(さようなら……、トゥルーデ)
終わりを告げた
俺「・・・時間切れだ」
俺が暗い船内に消えると同時に、再び雲が重なり月明かりを閉ざし、ロマーニャ基地が暗闇に包まれる
時計の針が、ちょうど0時を差した
第3章・おわり
最終更新:2013年01月29日 15:32