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流星Ⅱ 2

俺「ストライクウィッチーズね!」 >>756-
作者: ID:zhe7qJGw0
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756 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 08:55:22.05 ID:izl/qcEN0
………
……

キャサリン「うえー、午後は戦術訓練ー?」

まるで、サルミアッキでも食べたような表情をするキャサリン。
こっちに来てから整備班のやつにもらって俺も食べたが、あれはやばい。

智子「そうよ。貴方達はまだまだ知識面も甘いわ」

ハルカ「居眠りする自信があります‥‥」

智子「まったく‥‥そういう態度がダメなんでしょうが」

俺「あー‥‥多分俺も寝るだろうな」

智子「あら。珍しいわね」

俺「今日は魔法力使いすぎたからな‥‥ちょっとだるい」

表情から詭弁ではないことを察してくれたらしい智子。

智子「しかたないわね。無理させちゃったし。いいわ、リュウセイは休息して」

キャサリン「まだまだヘタレねー!」

俺「好きに言ってろ」

757 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:00:17.18 ID:izl/qcEN0
キャサリン「そうだ! 魔法力の回復魔法とかないね?」

俺「そんな便利な魔法あるわけ無いだろ」

キャサリン「むう‥‥」

俺「そもそも俺は回復系の魔法は使えないんだよ」

ハルカ「え、そうなんですか?」

俺「ああ、たまに肉体回復の固有魔法を持ってる奴もいるが、俺はそれが使えない」

智子「へぇ、あんたにもできないことなんてあんのね」

俺「なんでもできるなんて言っておいてあれだがな」

軽く笑いながら言う。自分が情けない。

ビューリング「だが意外だな。できそうなものだが」

俺「俺の姉さんが回復魔法を使えたんだ。だから俺は覚える必要がなかった」

智子「なるほどね。でも今からでも遅くないんじゃない? 回復魔法って貴重よ?」

俺「一回試したことあるんだが、異様に難しくてな。諦めたよ」

キャサリン「やっぱりヘタレねー!」

俺「ほっとけ」

758 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:05:43.49 ID:izl/qcEN0
そういえば、姉は一時期から回復魔法を使えなくなっていたな。固有魔法だけが使えなくなることなんてあるのだろうか。

俺「なあ、固有魔法って使えなくなることあんのか?」

キャサリン「知らないねー」

エルマ「私たちの中に固有魔法使える人居ませんからねー」

ビューリング「強いて言えばお前ぐらいなもんだ」

固有魔法を持つウィッチは、ただでさえ少ないウィッチの中でも極少数。
やはりわからないか‥‥

智子「なんで急に?」

俺「いや、その姉さんが急に使えなくなったんだよ。回復魔法をさ」

智子「えーっと‥‥こんな事聞くのもなんだけど、お姉さんは何歳ぐらいだったの?」

俺「18の時に亡くなって、あのペンダントもらったのが2年ぐらい前だから‥‥15,6の頃だな」

智子「と、言うことは上がりってわけでもないわね」

上がりというのは魔法力の減衰から来る、魔女引退の事だ。
標準では20代前半でウィッチは上がりを迎えることとなる。
まあ、前線に立てなくなるだけで、飛べることはできるのだが。

俺「結論は出なさそうだな。ありがと」

俺はそこで話題を切り、スープを掬った。

759 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:10:58.69 ID:izl/qcEN0
………
……

昼食を食べ終わると雑談もそこそこに部屋に帰ってきた。

もちろん部屋には俺しか居ない。
まっすぐベッドに向かい、御世辞にも綺麗とは言えないベッドに倒れ込む。

俺「しかしこんな昼間っから寝るってのもなんかもったいないな‥‥」

うつ伏せになり顔を横に向け、誰に語るわけでもないのに口に出す。

ビューリング「なら付き合え」

突然の返答にびっくりする。
体を起こし入口の方を見るとビューリングが入って来るところだった。

俺「付き合うって‥‥おまえ訓練は」

ビューリング「サボる」

俺「サボるって‥‥いいのかよ」

会話をしながら、どこかへ出かける準備をするビューリング。

760 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:15:44.95 ID:izl/qcEN0
ビューリング「こんなの日常茶飯事だ」

俺「? そうなのか?」

少なくとも、俺がここに来てからはそんなことはしていないはずだが。
むしろ真面目な方だと思う。某隊員たちのおかげで。

ビューリング「軍規違反82回、始末書232枚、営倉入り55回、軍法会議8回、銃殺刑になりかけたこと3回」

俺「は?」

ビューリング「私の成績だ」

俺「‥‥よく数えてたな」

乾いた笑いが漏れる。

ビューリング「なんども言われたんでな」

したり顔でこちらを見つめるビューリング。どうやら準備が終わったようだ。

俺「はぁ‥‥俺は知らないからな」

ビューリング「べつにいいさ。行くぞ」

762 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:20:37.30 ID:izl/qcEN0
………
……

俺「もうすぐ3月だな」

ビューリングの運転する車に揺られ、スラッセンへと向かう。
窓ぎわに肘を付き銀化粧した丘を見つめる。太陽の光が反射して眩しい。

ビューリング「そうだな」

俺「ここは暖かくなるのいつごろなんだろうな」

ビューリング「さあな」

あたり一面に広がる雪は溶けることを知らなそうに居座り続けている。
肌寒さにも慣れた‥‥とはいえないものの外に出るのが嫌なほどではない。

763 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:25:23.79 ID:izl/qcEN0
俺「‥‥なあ」

ビューリング「なんだ?」

俺「なんで俺を連れてきた?」

ビューリング「暇そうだったから」

期待通りのリアクションを返される。つまらん。

俺「‥‥それだけ?」

ビューリング「‥‥お前といると楽しいから」

俺「‥‥」

ビューリング「とでも言えばいいのか?」

俺「はぁ‥‥お前も物好きだよな」

ビューリング「既出だな」

俺「そうだったな」

ほんと、変わらない。

764 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:30:52.10 ID:izl/qcEN0
外を見ていた俺は隣でハンドルを握る女の顔を見る。
‥‥この女は俺のことをどう思っているんだろうか。

ただの便利なライター?
同じ部隊の一員?
つまらない話し相手?
それとも‥‥

‥‥俺は彼女のことをどう思っているんだろうか。

ビューリング「今度はなんだ」

俺「‥‥いや」

そんなことを聞ける度胸はなく、俺はふたたび外へ顔を向けた。

変な気分だ。

765 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:35:10.50 ID:izl/qcEN0
………
……

俺「で、何しに来たんだ」

スラッセンへ着き、車を停める。

ビューリング「今使ってるライターが自由に使えないんでな」

俺「‥‥なるほど」

ライター‥‥か。
なんか変な気持ちだ。

俺「お古のライターはどうする?」

ビューリング「…そっちの方がなにかと便利だからな、そっちを主に使うと思うぞ」

俺「そうかい」

大きな息と共にセリフを吐く。

安心したような、そうでもないような。そんな気持ちだった。

766 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:40:09.27 ID:izl/qcEN0
無事にライターとタバコのストックを購入し、店を後にする。

俺「で、もう用事は終わりか?」

ビューリング「そうだな‥‥せっかくだしどこか入るか」

俺「お好きに」

ビューリング「ならついてこい」

流れるような銀髪の後を歩く。
彼女は早速タバコを咥え、新しいライターの調子を確かめていた。

767 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 09:45:31.13 ID:izl/qcEN0
俺「なあ」

ビューリング「なんだ?」

俺「煙草ってのはそんなにうまいのか」

彼女は歩みを止め、俺の方へ振り返る。

ビューリング「うまい‥‥か。どうだかな」

ふたたび前を向き歩き始める。
俺はその間に隣へ並んだ。

俺「自分で吸ってて分かんねえのか」

彼女は一度煙を吸い、吐く。

ビューリング「おまえは空気がうまいかどうか分かるか?」

俺「‥‥なるほどね」

769 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 10:00:30.31 ID:izl/qcEN0
ビューリング「なんなら吸ってみるか?」

俺「あん?」

ビューリング「ほら」

そういうとタバコとライターを放るビューリング。

俺「こっちはいらねえよ」

ライターを投げ返す。
箱からタバコを一本取り出す。

俺「‥‥」

ビューリング「こっちをくわえるんだぞ?」

自分が咥えているタバコを口から外し、ニヤつきながら指摘するビューリング。
俺は少しだけ不機嫌になると、タバコを咥え、指を鳴らす。

が、タバコに赤が灯らない。

ビューリング「息を吸いながらじゃないとつかないぞ?」

よりいっそうニヤつきながらこちらを見るビューリング。
それに比例するように不機嫌になる俺。息を吸いながら火をつける。

770 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 10:02:17.72 ID:izl/qcEN0
俺「ぐっ! ゲッホ、ゲホゲホ!」

肺の中に異物が流れ込んくる感触がし、思わず体が拒否反応を示した。
すぐさま口からその煙を生み出すものを離す。

ビューリング「まあそうなるよな」

俺「うぅ‥‥こんなの毎日吸ってるのかよ」

ビューリング「まあな」

俺「まったく‥‥わけわからん」

ビューリング「ほら、貸せ」

ビューリングは自分の吸っていたタバコを踏みにじると、俺のタバコを奪い取り咥えた。

俺「あ」

ビューリング「うん? まだ吸いたかったか?」

俺「い、いや別にいい」

ビューリング「‥‥まだまだ子供だな」

その言葉には複数の意味が込められているようだった。

772 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/27(土) 10:06:40.62 ID:vXVFlfNYP
この二人なんかいいな

49 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:06:05.45 ID:uRxaYRG70
前スレ>>770から

………
……

カランカランと音を立てて茶色の扉をひらくと、薄暗い店内が広がっていた。
髭面の初老の男性が出迎えてくれる。

マスター「ホッホ、今日は男連れかい」

ビューリング「男ってほど成長してる奴だといいんだがな」

ビューリングはまっすぐ店の奥に進む。
俺もあわててそのあとを追った。

俺「行きつけって奴か」

ビューリング「そういう事だな」

店の一番奥のテーブルへ座ると、髭面が酒瓶とグラスを二つもって来た。
これがビューリングの"いつもの"ってやつらしい。

51 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:10:38.56 ID:uRxaYRG70
マスター「なにか飲みたいものはあるかい?」

俺「あー‥‥軽いウイスキー、ロックで」

髭面はホッホと笑うとカウンターへ戻っていった。

ビューリング「おまえどれぐらい強いんだ?」

俺「ん? そうだな、好きなのは70度ぐらいだけど」

その言葉を聞いてビューリングは驚いた後、にやっと笑う。

53 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:15:23.33 ID:uRxaYRG70
俺「それより、おまえ運転するのに飲んで大丈夫なのか」

ビューリング「心配するな。私も弱めの酒だ」

俺「‥‥信じていいんだろうな。酔った車の事故で死ぬなんてごめんだぞ」

髭面が琥珀色をした瓶と氷の入ったバケツを持ってくる。

俺「どうも」

マスター「軍の子かい」

俺「ああ、そうだよ」

マスター「若いのに整備士とは大変だね」

まあこんな若い男が軍に入ったと聞いたら、整備士に思われても仕方ないか‥‥
くすくす笑うビューリングが代わりに答える。

ビューリング「こいつはな、ウィッチなんだ」

56 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:20:23.83 ID:uRxaYRG70
髭面はその言葉を聞くと目を大きく開く。

マスター「ホッホ! 男のウィッチとは珍しい」

俺「でしょうね」

軽く笑いながらグラスに氷を入れ、ウイスキーを注ぐ。氷の割れる音が耳に届く。

マスター「頑張ってくれたまえよ、若造君。あの警報音にも飽きてきたところだからね」

髭面はホッホと笑うとカウンターの奥へ帰っていった。

62 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:26:57.91 ID:uRxaYRG70
ビューリングも自分のグラスに酒を注いだ。
双方のグラスを口づけさせ、胃を焼く。

たまにはこうやって薄いのを味わうのもいいかもしれない。

俺「ビューリングは良く此処に来るのか」

カラカラと氷を回しながら聞く。

ビューリング「時々、程度だな」

俺「そんなもんか」

ビューリング「昔よりは真面目になったものでね」

俺「これでもねぇ」

ビューリング「悪かったな」

俺「すねんなよ」

ビューリング「そう見えたか?」

俺「全く」

ほぼ同時にグラスを空にし、新しく注ぐ。
こうしてふたりきりで飲むというのも落ち着くものだ。

63 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:30:18.26 ID:uRxaYRG70
俺「そういえば」

せっかくだし話題を提供してやろうと思った。

俺「ハルカが見た赤リボンってなんなんだろうな」

ビューリング「‥‥ああ、あの話か」

少しだけ考えていたビューリングは酒を一飲みする間に思い出したようだ。

ビューリング「あれならたぶん私も見たぞ」

俺「へえ、そうなのか」

ビューリング「ああ、数日前にな‥‥そういえばハルカは早朝に見たといってたな」

俺「そうだな」

空になった銀白に琥珀を流し込む。

ビューリング「私が見たのも早朝だったな」

俺「ふむ、赤リボンは早朝に現れるのか」

だからといって何かするというわけではないが。

65 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:36:20.66 ID:uRxaYRG70
ビューリング「‥‥思えば、お前に体格が似ていたな」

ビューリングは俺を舐めるように見る。
なんだか変な気分。

俺「俺に?」

ビューリング「ああ。案外お前が女装したら似合いそうだな」

俺「おいおい、冗談だろ?」

ビューリング「そうか? お前結構中性的な顔だから似合うと思うぞ」

確かに俺は昔から中性的な顔だと言われる。
さすがに女に間違われたことはないが。

俺「‥‥似合わないと思うけどな」

ビューリング「今度私の服を貸してやろうか」

俺「お前の服も中性的すぎて女装にならねえよ」

ビューリング「失礼な奴だな」

俺「それは悪かったな」

同時に口角を上げて、同時にグラスを空にする。
適当に雑談を続けた。

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:38:22.83 ID:w62BAEss0
女装ときいてズボン脱いだ

67 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:40:27.35 ID:uRxaYRG70
………
……

ビューリング「おい」

肩を叩かれた。

俺「ぅん‥‥あれ? 寝ちゃってた?」

ビューリング「幸せそうだったぞ」

やってしまった。二人きりで来て、片方が寝るなんて。

俺「す、すまんビューリング」

口元のヨダレをあわてて拭く。

ビューリング「いや、疲れてるところを無理やり連れだしたのはわたしの方だ。すまなかったな」

そう言いながらカウンターの方へ向かうビューリング。
頼んだ酒はまだ半分以上残っていた。

マスター「そっちの、名前は?」

ビューリング「"リュウセイ"とでも書いておいてくれ」

マスター「あいよ」

ビューリング「じゃ、また来るよ」

68 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:45:43.37 ID:uRxaYRG70
カランカランと音を鳴らし外へ出ると、夕日も半分落ちている頃だった。

俺「おい、金は?」

急いでビューリングを追い、疑問をぶつける。
あのカウンターでのやりとりは残った酒を取っておいてもらうだけだったように見える。

ビューリング「ああ、もう払ってある」

俺「? どういう事だ。先に払ってたのか?」

ビューリング「あの髭面、ここら一体の復興資金を管理してるんだ」

俺「‥‥それはすごいが、関係あるのか?」

タバコを咥え火をつけるビューリング。
やはり全然酔っていないようだ。さすがに強いらしい。

ビューリング「ま、わたしにも良心はあるということだ」

そうつぶやくと、彼女は車へ向けて歩き出した。

71 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 22:51:24.99 ID:uRxaYRG70
基地に着く頃にはすっかり暗くなっていた。

訓練をサボったビューリングだったが、智子に一言言われただけで特にお咎めも無し。
他の隊員――主にハルカとキャサリン――からはいろいろ言われたようだったが。

もうだいぶ疲弊していた俺は、
夕食時に何を喋ったのかも、何を食べたのかさえも思い出すこともできず、
さっさとベッドに潜るのだった。

あとから聞いた話だが、ふたりきりでどこで何をやってたのか聞かれていたらしい。

‥‥俺、なんて答えたんだろうな。
変なコト言ってなければいいが。


流星Ⅱ 3へ続く
最終更新:2013年01月30日 14:51