労働意欲旺盛無職俺8
「最大の悩み最小の望み」
前回
休息のつもりであったロマーニャへの買い物は一応いい休みではあったがネウロイが来襲し、仕事をさせられるはめになってしまった俺一行
どんな仕事にも全力で挑む姿勢の俺は空へ舞い上がり、意気揚々としてネウロイを撃墜する
その際に俺の固有魔法である「旋風」を使い、撃墜する
仕事をおえ、ロマーニャに降り立つと素晴らしい仕事ぶりに拍手喝采がわくが、俺としては複雑な気持ちになってしまう
それを横で見ていた一人の少女は・・・
~翌朝、俺の部屋にて~
俺「まだねむい・・・。最近ちょっとがんばりすぎたか・・・。俺も元は無職でひきこもりだしな・・・。」
俺「もう一度寝よう・・・・・。」グー・・・グー・・・
昨日は疲れた
買い物やエーリカと遊んだり、ネウロイ倒したりいろいろして疲れてしまっていた
その前からも訓練や特訓で忙しかったので、あまり休みはとれていなかったのだが・・・
だから今日は非番だったため、休みをもらい、ゆったりと過ごすことにきめたのだ
それだからこんなに寝られるんだが、別に解雇されたわけではないのであしからず・・・
と、そんなときに俺の部屋の古びたドアがノックされる
だが俺はもう眠りに入っていた
コンコン ガチャ
「おーい俺ー。ん?なんだ寝てるのか。」
ひとりの少女が、むっさい男の部屋に訪ねてきたようだ
その少女は少しだけ歩き、ベッドの縁に腰をかけた
「・・・。かわいい寝顔だなぁ。最初見たときはなんかまぬけっぽい顔だな~とか思っちゃったけど・・・。」ポフッ
最初に会った時のことを少しだけ思い出す
俺は私のことを、俺の大好きな人だ、と本当に小さくつぶやいていたことを覚えている
あのとき、おもしろいやつだな~なんて思っていたけど、たしかに面白いやつだった
私にかまってきたり、色々甘やかしてくれたり、話してくれたりした
ロマーニャのときなんかでは、私を危ない目にあわないようにするのと、嫌なところを見せないようにするために優しいバレバレの嘘をついていた
「・・・こんな男なのになぁ。」ハァ・・・
昨日から・・・いや前から気にかかっていた
なぜだろう、男に対してこんな感じの気持ちになったことはない
「まさかね~。」
なんて少しごまかしてみる
でも一緒にいて楽しいし、落ち着くし、隣にいたい
...........でもそれは叶わないかもしれない
俺は私とは違う世界で、帰らなければならない場所が向こうには必ずあるはずだ
俺がこっちにいたいと言ったとき、私は少しだけ本音が出てしまっていたのをあとで後悔した
「向こうには家族がいるみたいだし・・・。にゃはは、確かに帰ったほうがいいよね~。」
それでも・・・と一瞬欲望が心を横切る
それを頭を振って、追い払う
もちろん家族といたほうがいいに決まってるじゃないか、家族と一生会えないつらさはここの部隊のみんなも知っている
そして前に見せたあの顔は・・・なにか悩んでる顔だ・・・予想は出来る・・・
それに俺は私のことを・・・
「はぁ・・・やめよ。私も疲れたからねよーっと。」ゴロン
俺の横にゴロリと寝転がる
なんだか心地がいい
私は眠気のせいもあって、まどろみにどんどん落ちていく
俺の服を少しつかんだところで私の意識は深い眠りにはいった・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
交代で目覚める
なんとまぁタイミングが悪いことだろう
俺「ん・・・。うあ~。よく寝たな~。もう昼過ぎか。」
エーリカ「すー・・・すー・・・。」
俺「・・・・。なんでエーリカが寝てるんだ?ここ・・・俺の部屋だよな・・・?」
俺「ふう・・・。あー、やっぱりかわいいな。」ナデナデ
エーリカ「ん・・・・。すー・・・。」
俺は頭を悩ませていた
正直俺はなにもできないし、いつもなにか考えているわけでもない
しかし最近になって頭をヒートさせそうな事項が何度も頭の中をめぐっている
――世界を選ぶこと
たしかとあるSSでも同じようなことがあった
あの人はたしか・・・ストライクウィッチーズの世界を選んだ
俺もあのときは共感したものだ
俺は元の世界にいるより断然ここが楽しいと思った
あの人のようにいちゃいちゃしたいもんだと悶えていた
まぁ実際は少し此処にきたときに期待はしていた
俺「でも・・・今頃悩んじまうとはな・・・。」
俺はこの世界の人間ではない、本来いてはならない存在
ここを俺が選べば、なにかが変わってしまうかもしれない
俺のせいで・・・なにかが変わって、なにかを失ってしまうかもしれない
俺「それだけが怖えぇよ・・・。」
ストライクウィッチーズの本やアニメの中じゃハッピーエンドであったのを俺はよく覚えている
だが・・・だが俺がいた場合はどうだ?
俺がいることで悪い結果を生み出すのならば、俺はこの世界に、みんなの中にいたくはない
俺「この世界にいたい・・・!」
その一心だ
理由は一つじゃない
みんなと笑って一緒にいたいってのも一つの理由だ
でも大きな一つの理由は・・・俺の隣にいるこの少女を、守りたいと思っていた
高慢で傲慢だと思う
正直、この強くてかわいい悪魔が大好きだ
最初は、ただ好きだったってやつが、今はこの子が本当にいとおしい
俺「でも俺なんかがそばにいていいはずがないよな。」
俺はあの世界じゃ、いわゆる落ちこぼれのクズだ
この世界には俺よりもっといい人がたくさんいるはずだと思う・・・
俺の頭はヒートしそうになっていた
感情がうずまき、理性がそれを鎮めようとする
この世界、501、エーリカの隣にいたい
でもこの世界、501、エーリカの隣にいられる存在ではない
二つの壁が俺を押しつぶそうとしていた
~~~~~~~~~~~~~~~~~
エーリカ「ぅん・・・?ふぁぁ~。俺、おきてたの?」パチパチ
俺「ああ、今さっきな。よく寝たか?てかどうしてここで寝てる?」ナデナデ
エーリカ「俺の部屋にきたら、俺が寝てたから私も眠たくなってきて、ついゴロリとなったらいつのまにか・・・。」
俺「まったく・・・。男の部屋で寝たら、襲われると習わなかったか?」
エーリカ「俺はヘタレだから、大丈夫だよ~。」ニヤニヤ
俺「くっ!まぁ・・・いいわ。ちょっと外でも散歩するか?」
エーリカ「う~ん、いいよ!」
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~~外、海辺にて~
エーリカ「そういや俺知ってる?ロマーニャ方面に向かってるネウロイが最近多いの。」
俺「ああ、気づいてるよ。なにかありそうだ。」
エーリカ「・・・今日実は夕食後にブリーフィングがあるんだ。俺ももちろんでてもらうらしいけど。」
俺「・・・なにかあったのか?」
エーリカ「実はロマーニャに向けて巣から空飛ぶ戦艦みたいなのがでてきたんだよ。」
俺「なんだってーーーーー!?で、撃破命令が下ったか。」
エーリカ「そうだよ。大型なんかよりもっと大きいよ!うーんと、赤城より少し大きいくらいって聞いてる。低速で進行してるらしいよ。」
俺「おおきいな・・・。じゃあ作戦開始は明日朝からだな。」
エーリカ「そうなるね。ねぇ俺・・・。・・・・・・・。俺!明日がんばろうね!」
そのとき何か言葉を止めたのに気づいた
でも詮索しなかった
俺「あ、ああ。がんばるさ。いつもどおりやれば、倒せる。」
エーリカ「そうだね~。ふふふ、とりゃ!」
エーリカがごまかしまぎれにだろうか、俺を海の方へ向かってドンと押してきた
俺を落とす気だろうが、そうはいくか!
俺「まだまだ!とりゃ!」
俺はエーリカの手をつかんで、道ずれになるように引っ張った
ずぶぬれになる瞬間俺の目の端に・・・海に光が生じたのが見えてしまった
感覚的に一瞬で理解した
やめろ・・・嫌だ!やめろ!やめろ!!
この手を離したくは・・・!
ないんだ!!!
...............でもそれも叶わない
.............俺はその世界から存在が消えた
~~~~~~~~~~~
私は俺に一気に腕をひっぱられて、音をたて共に海に突っ込んでずぶぬれになってしまった
エーリカ「あははは!ひっぱらないでよ!・・・あれ?」キョトン
一瞬なにが起こったのかわからなった
俺がいない、消えた
俺が・・・いない・・・
なら一つしかない
私は、俺がずぶぬれになる瞬間さびしそうな顔をしたのを思い出す
私ははやくにも察した
頭の回転が速いというのは嫌になる
エーリカ「えっ・・・。・・・・・・あ・・・なんだ・・・帰っちゃったのか・・・。・・・ひどいじゃん、突然消えるなんて・・・。」
エーリカ「消えちゃった・・・。俺、帰っちゃったんだ・・・。」
顔の海水を払おうと手を添える
でも払いたかったのは予想もしなかった突然の虚無感と空白感
エーリカ「結局なにもないままいなくなっちゃった・・・。あはは・・・。せっかく大切なこと言おうと思ったのに。」
帰るのが嫌なら私と一緒にいてよ、と
エーリカ「馬鹿・・・。だったら最初からこの世界に・・・・私に会いに来るなよ・・・。私のそばにいるなよ・・・。」グスッ
なぜかさびしさが襲ってきた
でも・・・これでいいんだよね・・・?
これが本来あるべきなんだよね?
私はそう心に押し付けていく
エーリカ「あ、は、はやくもどらなきゃ!風邪ひいたら明日困る・・・し・・・。」パシャ
.......私は立ち上がれなかった
仕方なくだらけた体をその場に残し、海に浸かりながらぼーっとしていた
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~俺世界、海辺にて~
空が見える・・・暗い空だ・・・
「・・・。なにしてたっけ・・・?」
俺はわかっていた、この世界に戻ってきたことを
「ははっ・・・。なんだよ、あんなところで戻らせるなよ・・・。あのあと、きゃっきゃうふふみたいな展開だったんだぜ?」
俺は海辺で横たわって空に向かってむなしくつぶやいたが、もちろんなんとも返ってこない
「・・・くそっ!あんなところで帰らせるなら、はじめから俺をあの世界につれていくんじゃねぇよ!」
だれともわからない全知全能の男を恨む
「・・・もしかして夢だったのか?俺が・・・あの話に影響されただけだってんのか?いつもの妄想だったってのか?」
信じたくない・・・!
信じるもんか!
最後ににぎった手の暖かさが・・・この手に残った温かさがニセモノだと思いたくない!
「はっ!ならもう一度もぐればいけるんじゃないか!?」
俺はそう思っていそいで、立ち上がって、海にもぐりこむ
少佐の訓練のおかげで泳げるようになっていたことを理解して、あれが嘘ではなかったことがわかった
あれが嘘ではないことはわかったが・・・光が一向にみえてない
夜空のようになにも、一条の希望の光さえない
俺は・・・すぐにあきらめた
今のでわかった
一度だけのチャンスだったことが
なんだってんだよ・・・
「ほんとなんだってんだよ・・・。」
「なんだってんだよ!あれだけッ!あれだけあの世界で満喫させといてこれかよッ!」
「ふざけんなあああぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!」
またなにかを失った俺は、あの世界に行く前の俺に逆戻りした
そう、さびしく誰にも必要とされない無用な男に戻った
あたりには、男の悲痛な叫び声がひびいていた
最終更新:2013年01月30日 15:06