また墜とされた……
なぜ彼らは抵抗するのか……
彼らが望んだことなのに……
墜とされたのはこれで何度目だろうか……
次は……どうしようか……?
落ちていくおちていくオチテイク
目を開ける、空が見える…否、空しか見えない。
風の音がうるさい、ごうごうとやかましく鳴り続ける。
ついさっきまで、暖かいものに包まれていたはずなのに。
そして、風の音よりもうるさい音が下から聞こえてくる。
何をやっているのか、彼は知っている。
そして己のやるべきことも知っている。
そこまで思考したところで、彼の精神はなにものかの干渉を受けた。
逆らえない、これは彼に役割を与えたハイヴより高位の存在からの指令だ。
これは非常にまずい状況というのだろうか。
ハイヴが消されるまえに彼はなんとしても、ヒトに質問しなければならないことがある。
高位の奴らに気付かれたのなら、ハイヴは三日持てばいい方だろう。
奴らから出された指令内容は休眠、遅くとも三日で目覚め質問しなければ
ハイヴの連中が浮かばれない。
そこまで思考し彼の意識はプッツリと途絶えた。
「坂本さん!」
「なんだ宮藤」
「空から何かが降ってきます!」
何をバカなことを…この空域にはネウロイと私たちしかいなかった。
隊の人間は基地に残してきたサーニャ以外全て揃っている。
ネウロイの親機にしても、たった今コアを破壊されたのだ。
この空域には私たち以外何もいない。
そこまで考え、私は思考を打ち切った。
確認をしなければならないことに代わりはないのだ。
そして視界を上に向けると、なるほど、確かに何か降ってくる。
「ミーナ、何かが降ってきている」
「何か?」
「ああ、今魔眼で確認するが、ネウロイかもしれん」
「あー、えっト、そノ、少佐?」
「なんだエイラ」
「嫌な予感がするんダ…、あんまり見ないほうがいいんじゃないカ?」
おかしい、エイラとは思えないほどの歯切れの悪さだ。
「確認しないわけにはいかないだろう?」
言うが早いか美緒は眼帯をはずした。
するととたんに赤面し、
「な!なんだこれは!」
美緒は対象を見た瞬間に大声を上げた、それも仕方ない。
降ってきたのが全裸の男ならばそうもなるだろう。
「坂本少佐!どうしたんだネウロイか!?」
「ま、待て早まるなバルクホルン」
「??では一体あれはなんなんだ」
美緒は迷いながらも、答えるほか無いと諦めたのか落ちてくるものの正体を口にした。
「裸の男だ」
「…………」
その場を何とも言えない沈黙が支配した。
「なんだその目は、私だって信じたくないさ、しかし実際
そこに落ちてきているのだから仕方ないだろう!」
「あの、坂本少佐…」
「なんだリーネ!」
「あの人落ちちゃいませんか?」
「…………」
またもや一瞬の沈黙
「私かよ!?なんで全裸の男をキャッチしなきゃいけないんだ!!」
悪態を口にはしつつも、既に落下地点へ向かっている辺り流石と言うべきか。
「頑張れシャーリー!!」
ルッキーニからの声援を受け、シャーリーは加速していく。
しかし、そこでペリーヌがあることに気がついた。
「坂本少佐、シャーリーさんが基地まで連れて行くにしても、あのままというわけには
いかないのでは?」
それもそうだ、仕方ない。
「私の上着をあれに着せるか…」
「しょ、少佐の上着を!?」
「それほど驚くことか?なに、風邪など引かんさ、それほど柔な鍛え方はしていない」
「いえそういう問題では…」
では一体何が問題だというのか?
私が悩んでいると、ハルトマンが意地の悪そうな笑みを浮かべながら、耳打ちしてきた。
「そういう意味じゃないんだよー少佐、ペリーヌはねぇ「ハルトマンさん!!」おっと
なんだよペリーヌ、まだなんにも言ってないだろー?」
「そういう問題ではありません!」
ずいぶんとかしましい鬼ごっこが始まったようだが、勝敗は始まったときからついている。
空においてハルトマンに勝るものなどそうはいない。
「ペリーヌどうしたの?息が上がってるよー?」
「あ、あり得ませんわ、触れもしないだなんて…」
ペリーヌは肩で息をしていたが、ハルトマンは余裕綽々である。
そうこうしているうちに、げんなりとしたシャーリーが戻ってきた。
「まさかこんな状況で、男の裸を見ることになるとは思わなかったよ」
「悪かったわねシャーリーさん、その人が?」
ミーナが極力視線を向けずにシャーリーへと話しかける
「そうだよ、というかルッキーニと同い年くらいの男の子だな」
二人が会話をしている間に、美緒は手早く上着を着せた。
「それでミーナ、こいつをどうする?」
「そうねぇ」
そのとき、芳佳がつぶやいた。
「この子、みっちゃんに似てる気がする」
一瞬にして全員の視線が集中した。
そして、ここから事態は意外な展開を迎える。
「むしろクリスに似ていると思うが」
「私もそう思う」
バルクホルンとハルトマンがそう言えば、
「えーマリアにそっくりだよ!?」
とルッキーニが言う。
エイラはエイラでサーニャに似ているとも言い始めた。
「どうなってるんだミーナ………ミーナ?」
ミーナは亡霊を見たかのように真っ青な顔のままこちらを見てつぶやいた。
「美緒、私には別の人にそっくりな気がしてならないの……」
誰に似ているかなんて聞かなくても分かる。
「本当に、どうなってるんだ?」
最終更新:2013年01月31日 14:57