「蒼穹の絆3-11」
―マルタ島奪還―
朝のハンガー。俺はのんびりとユニット整備を手伝っていた。軽いバカ話をしながら、整備兵と
組み上げていく。俺の魔力が安定してきた為、少しずつ配分を調整した。さて、これでテスト
をしてみよう。格闘戦の好きな少佐に頼もうかな、相手。
作業を終えて、礼を言う。工具箱を抱えて帰って行く整備兵を見送っていると、重厚な爆音が
耳に入った。通常機だ。
ジャケットを羽織り、のんびり滑走路に出た。
ん。ユンカース輸送機だ。ああ、例の特殊作戦の主力の一名か。ミーナ隊長から話は聞いた。
黄色の14番。ハンナ・マルセイユ大尉。
アフリカの星。俺の世界では、流星のように現れ、
そして輝いて消えた伝説の男だった。
少しだけ、俺の知識の中にある名前だけだが、俺世界とトゥルーデ世界の関連はあることは
理解している。ただ、トゥルーデのほうは全く知らん。まあ、いいや。死なせないから。
なぜ、ファイナルアプローチに入らない?只のフライパス?なんでぇ。戻ってコーヒーでも
飲も――
宮藤・リーネ「「きゃああああああああああ!落ちてくるぅぅぅ!」」
なにが?
え、人間? ちょっと!パラ降下するには高度が低いぞ!のろしになる!
落下予定位置を見定めて、走りだす。ぷっちょも後を追いかけてくる。骨折くらいで済めばいいが!
?「やあ。急ぎの出迎えご苦労さん。ストームウィッチーズのマルセイユ大尉だ。よろしくな」
俺「・・・・普通死ぬが。あ、いい。常識外がウィッチだった。何も言うな!走らせるな!ったく!」
マルセイユ「アハハハ!お前は?」
俺「501の俺少尉。宜しく。マルセイユ大尉」
敬礼はしない。どうみても答礼を返すようにゃあ見えん。気楽に行くとしよう。
宮藤「あの人が!!サイン貰えるかなぁ!美千子ちゃんが喜ぶかも!」
リーネ「わぁー!かっこいい~」
マルセイユ「あ。悪いが。私はサインはしない主義なんだ!」
あ、そ。まあ、あと40年も経てばサインし捲るけどな。クレジットカードの手続で。そう思うと笑い
がこみ上げてくる。宮藤君達はしょげている。まあ、色々居るからね、人間は。めげるな。
マルセイユ「何かおかしいか?」
俺「数十年経てば変わるさ、そうしないと買い物も・・・。いや、その服装はオリジナリティ溢れるな。
面白い趣味だ。隊長に会うだろう?こっちだ。テニスとかやるのか?」
マルセイユ「褒め言葉と取っておく。案内を頼む。テニス?趣味じゃない。で、その犬は?えらく
鼻がつぶれているな、短足だし」
態度でけー。トゥルーデと違うタイプだな。ま、どうでもいい。有能なことは確かだ。ただ、今回の
この作戦を立てたのが参謀本部のカールスラント勢だというのが引っかかる。アフリカから彼女を
押し込んできたのも、多分・・・・前の意趣返しだろう。それを考えると気が滅入る。みんなに迷惑を
かけてしまった。やっぱり、あの時やりすぎただろうか・・・。
案内し、俺は入り口で辞す。
*
ブリーフィングルーム。隊員勢ぞろい。マルセイユ大尉も居る。俺は資料を用意している。
ミーナ「今回の作戦に失敗は許されません。そのため、攻撃隊を二つに分けます。1.コアの破壊に専従
する主力攻撃班。二名です。バルクホルン大尉。それとマルセ――」
マルセイユ「はっ!駄目だ。役に立たん。私と組むのは、お前!ハルトマン中尉しかない」
バルクホルン「なんだと? もう一度言ってみろ」
取っ組み合いにエスカレート。おいおい。おまーら。ドラゴンボールか、北斗神拳か?床壊すなよ。
トゥルーデが激怒するのは
初めて見た。真剣な顔もいいもんだ。気をつけよう。
いかんな、制止されても聞いちゃいない。どうするか。
俺「おら、もっと真剣にやらんかい。気合が足りねーぞ~」
ミーナ隊長に睨まれた。だって、あなたの制止も聞かないからしょうがないじゃない。
二人の魔力が均衡したままとなった。
俺「見物するから。頑張れよ~」
悠々とタバコに火をつけて、紫煙を吐く。机に腰掛けて、脚をぶらぶら。
俺「キャットファイトって初めて見るんだ。無料だろ?さぁさぁ、派手にやってくれぇ」
坂本「私もそうだ。女相撲しか見た事が無い。思い切りやれ!ほらどうした!」
お。やる気が失せたな。よし、ひとまず収まった。少佐と目で笑いあう。やれやれ。
ハルトマン「私がハンナと組むよ。それでいいんでしょ?」
バルクホルン「いいのか?ハルトマン」
マルセイユ「そう来なくては!お前と決着をつけるいい機会だ!」
うーん。やる気が溢れすぎているな。ああ、でもフラウはいつもどおりに飄々としている。
この調子なら、風に柳、か。
ミーナ「―――では、作戦の概要を俺少尉から説明してもらいます」
ミーナさんも折れたか。ごめんね、元は俺が撒いた種だ。
さて、仕事しよう。タバコを携帯灰皿に落す。
俺「マルタ島への攻撃手順を説明します。これが巣の有るバレッタ港。島の北東にある。巣の中心は
ここ。ドームとなった巣の外縁はこのライン。半球状を成す。ドームの素材は、ネウロイの外皮と
同じ装甲プレート。厚みは110メートル」
俺「一トン爆弾をぶつけても、まあ、無理だ。侵入ルートは海となる。潜水艦で進入する。それに
搭乗してもらうのが主力攻撃班。マルセイユ大尉とハルトマン中尉。ユニットを装着したままで
発進できる潜水母艦を扶桑海軍が持っているので、それを提供してもらうことになった」
俺「次。一番の問題は、中が陸戦型と飛行型のネウロイで溢れていること。普通に浮上したら、ハッチ
を乗組員が開ける前に撃沈される。そのため制圧班を送り込む。方法は、ジャンプ。残りの隊員全員
がそれにあたる。制圧班の目標は、潜水艦の浮上する場所、ここね、この場所を目視できる海岸線一帯
の地上型ネウロイの破壊。ついで、敵が新規に投入してくる飛行型が主力攻撃班の邪魔をしないよう
サポートすること。配分は適宜隊長が指示する。地上型は、大きい奴と小さい奴がいる。写真はこれ。
でかい奴はビームを撃ってくる。小型は実体弾。口径は12.7から20ミリ。ともかく、数が多いので
実体弾でもシールドを破る可能性が高い。気をつけて」
俺「偵察時、目視確認できたことを話す。コアはここだが、中空に柱のような支柱の上にある。その
柱の根っこの部分から、敵が出てくるのを確認した。柱を壊すのは難しいと思う。下からガンガン撃た
れるだろう。主力攻撃班がコアを破壊するほうが楽だろうね。何か質問は?」
マルセイユ「潜水艦のハッチはどう開く?所要時間は?」
俺「右舷に向かって開く。片開き。浮上と同時に外部と内部から乗組員が操作。30秒以内だそうだ」
ハルトマン「制圧チームの突入を確認する方法は?」
俺「突入直後、ミーナ中佐が海面に手榴弾を一発投げ込み爆発させる。伊400・・君達が便乗させてもらう
潜水艦だ、その聴音手がそれを確認して、となる。予定時刻を3分過ぎても合図がない場合、撤収だ」
マルセイユ「その場合は、突入しないのか?」
ミーナ「あなたたちまで死なせるわけには行かないの」
ペリーヌ「制圧班はどうやってマルタ島まで行くのですか?飛行したら警戒されると思います」
俺「別の同型潜水艦に同乗する。ゴゾ島北岸で我々は艦を出、マルタ島に潜入する。場所は私が知って
いるから。制圧班は二分前に突入。制圧中に攻撃班潜水艦に浮上してもらう」
エイラ「探知されないカ?」
俺「ジャンプしている最中は問題なし。ユニットでの脱出時も特別な変化は無かったらしい。断言は出来
ないが、希望は持てる」
ハルトマン「一緒の潜水艦で行って、制圧班だけ先にジャンプすれば?」
俺「試験したんだが、ジャンプに失敗してさ。失神しちまった。完全に水中内は駄目らしい。頭を出す
と撃沈されるしね。不器用で済まんね」
頭を掻く俺に笑いがおきる。
*
作戦開始。浮上30分前。先に使った前進偵察地に入る。先に俺だけジャンプして、異常がないことを
確認済み。テレキネシスで埋めた水筒を掘り出しておいた。それを皆で回し飲みする。
皆、落ち着きがない。眼が釣りあがっているのも居るな。普段と違う作戦行動だ。きっと俺も過敏に
なっているんだろう。自覚が無いのが怖い。バックフィーバーと同じだろう。
バルクホルン「大丈夫か?」
俺「ん?緊張してるよ。ああ、小便したくなった。トゥルーデも一緒にどうだい?」
ウィンクする。ほれ、指揮官の務めだろ、部下の緊張を解くのもさ。
バルクホルン「そうだな。今のうちに私もしておこう。反対側ならいいな」
周りが仰天して見守る中、二人でテクテクと外れに行く。
俺「この辺だな。んじゃ失礼」
ジッパーを空け、悠々とホースを取り出して開始。左斜め後ろの茂みでトゥルーデが屈んでいる。
俺「緊張するとどうにもなぁ。あー、気持ちいいなあ」
バルクホルン「ああ。結構気持ちいいな。風を感じる。不思議な開放感だ」
坂本「私も済ませておくか!昔の武将でこんなことをしたのがいたなあ」
ミーナ「私もしちゃおう。ごめんなさいね?」
宮藤「あ、じゃあ私も。えへへ」
サーニャ「私も・・・」
エイラ「ええー! じゃあ・・・」
結局、全員で野ション。戻ったみんなの顔は余裕を取り戻している。オケ!
よし。マイナス4分前。二分前に我々が潜航突入だ。ミーナ隊長に頷く。
ミーナ「では、装着してエンジン始動。1Mでホバーして手を繋ぎます。銃の装填および安全解除を
再確認!」
俺「ジャンプ移動を開始する直前から、皆、目を軽く瞑ってくれ。中は薄暗い。眼を慣らしたほう
がいいから」
テレキネシスで、ユニット装着等の手伝いをする。完了。
皆で外向きに輪を作り手を繋ぐ。俺の横はトゥルーデとミーナさん。タイムカウントが始まった。
トゥルーデの手を握ると、確り握り返してくれた。頑張ろう!
俺「眼を瞑って。用意」
2,1、ジャンプ!
ドーム内側、小船のスロープ上で実体化。よし!
俺「ブレイク!」
ミーナ「制圧開始!」
皆、一気に火蓋を切る。この周囲を制圧する必要がある。背後で爆発音。ああ、合図だ。
敵が反応しきれていない。そこに全火力を集中し破壊する。
あと2分で攻撃班が浮上する。敵も撃ち始めた。シールドを張る手間隙を惜しんでジャンプしつつ
破壊し捲る。ブローニングの弾が尽きた。上方にジャンプし、装填開始。
手探りで作業しながら、様子を見る。いい感じ。横に移動して手榴弾も放り込む。キャップを緩めて
どうのこうのしなくても、着地ショックで爆発するから手間は掛からん。よし、装填終!
目星をつけた場所に一気にジャンプする。大きめの奴がたむろしている。ビーム相手なので、止む
無くシールドも併用する。これが尽きたら、暫くパンツァーファウストで暴れよう。
ふと気付くと、サーニャ君達が射すくめられている。ブローニングも尽きた。捨ててジャンプ。
二人を抱きかかえて即ジャンプ。
ほっとして相手の顔を見る。びっくりさせてごめんな。じゃ!
M1のフルオート射撃で攻撃再開。浮上時間まで後どれくらいだろう。時間経過が解らない。時計を見る
時間が惜しい。撃ちまくれ!制圧しろ!
弾倉を次々に取り替える。パンツァーは後でいい。臨機応変だ。
ミーナ「あと60秒!」
有り難い。ハッチを開くのに30秒だったな。よし!パンツァーファウストに切り替えよう!
上方にジャンプ。周りを良く見る。取り残しがあるはずだ。周りはビームと曳光弾が打ち上げられて
壮絶な状態。飛行型は友軍の対空砲火を恐れているのか、寄ってこない。よしよし。
ああ、あそことあそこか。よし。
パンツァーファウストの発射準備を整え、目標上空にジャンプ。大型に発射する。爆発前にジャンプ。
もう一つの目標上空で実体化。パンツァーを準備し、ぶっ放す。次!
横に移動し、M1で点射。
おっと、司令塔がやばいぞ。それいけ。
ミーナ「きゃっ!」
俺「許せ!」
横200で実体化。彼女を放す。あ、胸を掴んでいたか。
俺「マナー違反失礼!」
ミーナ「もう!ありがとう!」
あそこを叩くか!ジャンプ!
お、トゥルーデが居る。大丈夫そうだな。否!真下に!ジャンプ!
彼女の足元にいるのを掃射。彼女のズボンを覗いたやつはぶっ壊す!
バルクホルン「俺!左横300に行きたい!」
俺「了解!」
手を繋ぐ時間が惜しい。そのまま上昇して後ろから抱きしめてがっちりホールド。
バルクホルン「おい!はずかし―」
ジャンプ、実体化。
バルクホルン「いぞ! あれ?」
俺「後で謝る!」
周囲を背中合わせで掃射。あ、これ結構合理的だな。
俺「トゥルーデ!このまま行こう!残弾は?」
バルクホルン「まだいける!やれ!」
実体化。海岸線に戻った。最後の仕上げ!点射で片付けていく。彼女の背中が心強い。
俺「潜水艦浮上ハッチ展開中!完全に防御しろ!!」
返事がインカムに入ったが、誰の声やら。幸いにも、敵は全部俺達しか見ていない。なら、
より接近してやるさ。お、下からか。シールド展開。すぐ相手してやるからな。コイツを
潰して・・・。よし、右下!手榴弾を投げつける。シールドで破片を遮る。よ―――
胸にショックを感じる。何だ?くそ、撃たれたか。痺れだした。痛みはないが。
わき腹から胸に抜けたか。12.7かな?何で死なないんだろう?即死だろ?
俺「トゥルーデ」
バルクホルン「どうした!」
俺「撃たれた」
肩を掴んで廻された。視界が揺れる。
バルクホルン「俺!しっかり!下がるぞ!」「ミーナ!俺が負傷!ビル屋上に避難する!」
ミーナ「トゥルーデ!宮藤さん!応答!俺さんを救護して!」
俺「あそこのビルだな。わかった。一人で行く。戻れ」
バルクホルン「バカを言うな!連れて行く!肺をやられたのか!」
宮藤「はい!場所はどこですか!指示を!」
シャーリー「支援に向かう!場所は何処!?」
エイラ「私たちも!」
俺「いいから、大丈夫。今何をすべきだ?行かんか」
ミーナ「シャーリーさん!エイラさん!宮藤さんに任せて!私達は任務を!」
ペリーヌ「早く!宮藤さん!」
彼女の眼を見ながら、手を振り払う。上に押しやる。嫌々をしている彼女。しっかりしろ!
宮藤「場所がわかりません!何処ですか!バルクホルンさん!俺さん!」
シャーリー「んなこと言ったって!」
坂本「ミーナの言うとおりだ!宮藤!頼む!」
無理にM1を掴み、眼下を掃射。ほら、俺はまだ戦える。な?いいから!いいんだよ。
お前に当たらなくて良かった。ほんと、よかった。
俺「ほれ、大丈夫だって。仕事をしてくれ、トゥルーデ」「皆も、俺は大丈夫だから」
バルクホルン「でも!」
宮藤「何処なんですかああああっ!」
エイラ「解ったヨ。俺!頑張れ!」
ミーナ「トゥルーデ!宮藤さんに指示しなさい!しっかりして!」
シャーリー「解った。頑張れ!」
サーニャ「俺さん、しっかり!」
気を失う前にジャンプしよう。目標はあそこ。高度差は ええくそ、適当!
コンクリートの屋根に落下する。ああ、限界か。力が入らない。寒い。でも言わなくちゃ。
俺「トゥルーデ。避難完了。応急手当をする。以上」
バルクホルン「了解。すぐに戻るから!待っていろ!」「宮藤!私の下、4階建てビル屋上!芳佳、
頼む!」
俺「ああ。しっかり任務完遂、な」
トゥルーデ、ごめん。ごめん―――
宮藤「見えました!すぐに行き―――」
バルクホルン「急いでくれ!急―――」
*******
ドームが消失し、日光が戻った港内。伊400の甲板で、皆がしょんぼりと立ち尽くしている。
ハルトマン「ごめん。知っていたら決闘なんて・・・」
マルセイユ「済まなかった・・・」
坂本「しょうがない。あの混戦状態ではな・・・インカムも聞き取り難かった。悪気じゃないことは
承知している。それに、ミーナとバルクホルンでここに運べたんだ。気に病むな」
泣きそうなハルトマン、唇をかみ締めて俯くマルセイユには、その言葉は聞こえていないらしい。
搭載機のハッチから、ミーナ隊長が出てきた。
ミーナ「今、軍医の手当てが終わったわ。俺さんを向うの海軍基地に運びます。そこで輸送機
に移して基地に搬送することとしました。輸送機の到着予定は40分後です」
ハルトマン「容態はどう?」
ミーナ「わき腹から胸部にかけての貫通銃創が一番酷いそうです。左足太腿にも貫通銃創。動脈が
少し傷ついていて、ね。出血は止めました。宮藤さんが治癒魔法を掛けているわ。きっと大丈夫」
マルセイユ「バルクホルンは?大丈夫か?」
ミーナ「ええ。落ち着いて横に居るわ。大丈夫よ」
シャーリー「よし!そうと決まったら、ストレッチャーを運ぶ担当を決めよう。大尉は当然だね。
あとは?」
皆、さっと手を上げる。マルセイユも。
シャーリー「前後左右で4人だよね。んじゃ、私、、ハルトマン、マルセイユ。以上の4名。あと、海軍
基地の滑走路の状態を確認して来て貰いたいんだ。ネウロイが悪さしているかもしれない。こっちは
少佐、エイラ、サーニャ、頼めるかい?以上でいいかな?」
皆が頷き返す。
ミーナ「皆さん。お願いしますね」
*
ユンカースには、伊400の軍医も同乗した。501で同乗したのは、ミーナ、バルクホルン、宮藤の3名。
他はユンカースに寄り添って飛ぶ。
1時間で基地に着いた。滑走路には衛生班が待機している。そのまま治療室に搬送された。軍医同士で
引継ぎが成される。治療室では、各種パイプにつながれた俺に宮藤が治癒魔法を掛け続けた。
バルクホルンは、軍医に促されてシャワーを浴びた後、無菌服を羽織って宮藤の反対側の椅子で
俺を見守り続ける。
治癒魔法の応援として、504にも支援が求められた。考えたのは坂本少佐。2時間も経たず、ウィッチ
が飛んできた。
3日後の午後。俺が意識を取り戻す。
声を掛けるバルクホルンに、酸素マスク越しに微笑んで見せた。面会謝絶の札が取り下げられる。
見舞いに訪れた皆が見たのは、疲労で倒れ、横のベッドで点滴を受けているバルクホルンと、また眠り
についた俺の姿。胸部には鉄のガードが置かれ、ベッドの下には、ぷうがずっと座っている。
飲まず食わずなぷうに、皆が心配して差し入れするが口をつけようとしない。
翌日、病室に訪問者が2名。ハルトマン中尉とマルセイユ大尉。眼を覚ましていた二人に、静かに
語りかけ、部屋を辞した。ドアの外で、マルセイユが封筒をハルトマンに渡す。バルクホルンに
渡して欲しいと。
ミーナ中佐の見送りをうけて、そのまま機上の人となる。
ベッドから出ることを許されたバルクホルンが最初にしたことは、ぷうに水と餌を差し出すことだった。
起き上がったぷっちょが猛然と口をつける。
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最終更新:2013年02月02日 12:15