「蒼穹 EX-3」
―潜入―
ウィルマ「あなたが俺さんね?ウィルマ・ビショップです。よろしく」
俺「よろしく、新妻さん」
ウィルマ「あれ。さすが情報部ね。私に手を出さないでね?女垂らしさん」
俺「人の奥さんに手を出したことは皆無だ。空戦を教えてくれ」
ウィルマ「ええ。ほら、とっとと装着して飛びなさい!」
こんな調子で訓練は始まった。情報部のバカ共め、501の隊員の家族を私につけやがった。なにやっと
るんだ。
もうすぐ訓練期間は終わる。最初は散々だったが、何とか実戦に耐えうるようになった。時々発生する
夜間の防空戦闘にも参加する。昼間は周囲の目があるから参加できない。とりあえず、自力でエースの
資格は取った。やれやれ。
ウィルマ「あさってで御終いね、俺さん」
俺「だねえ。教官のお陰で何とかなりそうだよ」
ウィルマ「よく頑張ったわね。最初はどうしようと思ったけれど・・・。ほんと、よく頑張ったわ」
俺「お褒め下さり光栄の至り。作戦が終わったら、旦那さんと三人で食事でもしましょうや」
ウィルマ「あら?情報部にしては気が利くわね。でも、夫に心配かけてしまうから、気持ちだけね」
俺「あ、そういうこともあるね」
ウィルマ「あなたが恋人連れてくるなら別だけど。噂に聞く限りでは特定の人はいないみたいだし」
俺「そっちの情報部のほうが優秀だな」
ウィルマ「ふふ。アレクサンドラ・コバーン」
俺「おお!サンディ知っているの?」
ウィルマ「ええ。私の昔の僚機よ、アレックスは」
俺「元気かな」
ウィルマ「先週、帰国したわ。あなたを探し回っているって。連絡しとく?」
俺「無事か!よかったよかった。でも、私はこれから仕事があるから駄目だね」
ウィルマ「わるい人」
俺「そうかなあ。付き合いが重なったことは無いんだけどなぁ・・・」
ウィルマ「まあ、最初に安否を気遣ったし。そんなに悪い人じゃないかもね。でも、若い子に手を出し
ちゃ駄目よ。大人だけにしなさい」
俺「ああ。それを破ると提督自ら銃殺に来るんだよ。コワイコワイ」
ウィルマ「あっちこっちで心配されてるのね。まったく。あ、空いたわよ。最後の仕上げやりましょ」
俺「ああ!行こうか!」
――――――――――
バルクホルン「スパイだな!」
ミーナ「トゥルーデ。落ち着いて」
バルクホルン「落ち着け?無理だ!脅迫状の直後だぞ?絶対スパイに違いない!」
坂本「マロニー空軍大将か?」
バルクホルン「そうだ!撃墜数5.5機の素人が何で501に来る?ありえない!」
ミーナ「まあ、いろいろチョッカイ出してくれているけど・・・。今回のはその心配はないかなって」
バルクホルン「理由は?」
ミーナ「命令書のサインよ。ブリタニア軍総司令官のサインがあります」
坂本「ジョージ6世?!」
バルクホルン「えっ?」
ミーナ「マロニー大将の最高上司、ね。マロニー大将が手を廻しても、このサインは無理じゃない?」
バルクホルン「なるほど」
坂本「で、その中尉の経歴は?」
ミーナ「わかんない」
バルクホルン「何を言っているんだ?ミーナ」
ミーナ「経歴書は殆ど真っ白。カールスラント経由で調べても、情報無し。一体誰なのよ、この人」
坂本「マロニーの線は消えたな。そんな疑わしい履歴書でよこすわけが無い」
ミーナ「そうよねえ。潔すぎるわよね」
バルクホルン「ブリタニア空軍は・・・気が狂ったのか?」
ミーナ「それを言ったら、国王陛下が・・・って事になるのよ?トゥルーデ。それはともかくとして、
明日来ますから、この中尉。皆に事前に告知してください」
バルクホルン「何とか断れないか?」
ミーナ「ブリタニア国王陛下の命令書です!どうにも拒否できないわ」
――――――――――――
隊員が興味津々で新隊員を見る。
俺「ブリタニア空軍所属 俺中尉。よろしくお願いします」
ミーナ「では、より詳しい自己紹介は後でお願いします。後はバルクホルン大尉、よろしく」
バルクホルン「了解した。早速指導していいか?」
ミーナ「ええ。いいですけど?」
バルクホルン「ありがとう。では、俺中尉!シャツのボタンはしっかり留めろ!ネクタイは緩めるな!」
俺「煩いのがいるねえ。わかったよ、大尉」
ミーナ「中尉!発言は士官らしくしましょう。いいですね?」
俺「はい。中佐殿。 これでよろしいですか?」
ミーナ「ええ。結構よ。紳士に見えます。では、本日も皆さんよろしくお願いします」
バルクホルン「隊員から自己紹介させる。坂本少佐は執務室で会っているから省略。
階級順だ。私からやろう。カールスラント~~~~~」
俺「よろしく。大尉殿。高名は知っているよ。カールスラント軍人の鏡、だね」
バルクホルン「何を言いたいんだ?中尉殿?」
俺「殿はいらんでしょう。ブリタニアでは無用ですよ?」
バルクホルン「嫌味を言っただけだ!次!イェーガー大尉!」
シャーリー「リベリオン~~~~~~。シャーリーって呼んでよ。ま、よろしく~」
俺「よろしく。リベリオンの別嬪さん。あんたがグラマラス・シャーリー?雑誌で見た記憶がある」
シャーリー「そうだよ。ほれ、この胸に見覚えないか?アハハハハ」
バルクホルン「真面目にやれ。次!ハルトマン中尉!」
ハルトマン「カールスラント~~~~~~。よろしくね」
俺「へえ。黒い悪魔ってあんたか。こんな可愛い子が?ひどくね?そのあだ名」
ハルトマン「でっしょ~!それを友軍がつけたんだよ!ひどいよねー!こんな美少女に!」
バルクホルン「つぎい!クロステルマン中尉!」
ペリーヌ「
ガリア~~~~~~。よろしくお願いいたします」
俺「よろしくね。ガリアの希望。真面目だなー。こりゃ気が合わないか」
バルクホルン「黙れ。次!リトヴャク中尉! 起こせ!ユーティライネン少尉!」
俺「彼女、疲れているんだろ?可哀想だ。後でいいよ、大尉」
エイラ「お・・・おまえ。いい奴ダナー!」
バルクホルン「・・ユーティライネン少尉、次」
エイラ「スオスム~~~~~~~~。エイラって呼んでクレ。ヨロシクナ!」
俺「おう。北欧の美少女さん。よろしくねーエイラ」
バルクホルン「だから口の利き方をだな!」
俺「ん?俺中尉。あちら少尉。さほど問題ないし」
エイラ「ダナ」
バルクホルン「ぐっ・・・。次!ルッキーニ少尉!」
ルッキーニ「ロマーニャ~~~~~~。ところで、シャーリーの胸触っちゃ駄目だかんね!わかったぁ?」
俺「ぶっ!あはははは!了解!君は胸無いなー あ、他にもいるか。あ、失敬失敬」
ルッキーニ「私はこれからなのーー!今にすっごいナイスバディになるんだぞー!」
ペリーヌ「今何かおっしゃいまして?」
宮藤「・・・・」
俺「期待してるね~」
バルクホルン「・・・・次!ビショップ軍曹!」
リーネ「ブリタニア~~~~~。よろしくお願いします・・・」
俺「同郷だね。よろしく、気弱そうなビショップ君」
リーネ「ごめんなさい・・・」
バルクホルン「つぎ。宮藤軍曹・・・」
宮藤「ハイ!扶桑から~~~~~~~~。よろしくお願いします!」
俺「元気な子だな。よろしくね、ヨシカ」
バルクホルン「では、互いに質疑応答をやってくれ。その後、宿舎などの案内を・・私がやる」
あはは。石頭大尉自ら監督か。資料は正しいようだ。堅いぞ?この大尉。面白くなってきた。
―――――――――
バルクホルン「ここがお前の部屋だ。午前中かけていいから掃除をしろ」
俺「汚ねえ部屋だこと。軍の施設だろう、ここは。掃除してないのか?」
バルクホルン「使っていない部屋を掃除するほど人員が余っているわけではないからな!ではやれ。
昼食は1200時より先ほどの食堂だ。夕食は1800時。朝食は0700時。質問は?」
俺「バケツと雑巾、ちりとりとホーキはどこ?モップある?あと洗剤にネズミ殺し」
――――
リーネ「これでお洗濯完了!」
宮藤「今日も天気がいいから、カラッと干せるね。お疲れ様!リーネちゃん!」
リーネ「芳佳ちゃんもお疲れ様!」
宮藤「じゃあ、空戦訓練だね。行こう!」
リーネ「うん!」
宮藤「今度来た俺中尉って変な人だね。ブリタニアの人だから真面目な紳士なのかと思ってたよ」
リーネ「えへへ。かなり・・・面白い人だね」
宮藤「でも、存在感がすっごいよね。体の線は普通なのに」
リーネ「そうかな?胸が厚かったよ?あれだと既製品のシャツじゃ合わないんじゃないかな」
宮藤「へ?そんなに凄かった?気付かなかったよー」
リーネ「芳佳ちゃん・・・何処を見ていたの?」
宮藤「エヘヘヘェ。ばれてた?」
リーネ「荒削りっぽいけど、ハンサム?」
宮藤「リーネちゃんもそう思う?でも、目付きが、なんか怖いかな、って」
リーネ「・・・だよね。私も怖くて・・」
坂本「こらぁ!なにをちんたら歩いているか!駆け足!」
リーネ・宮藤「「はい!すみません!」」
――――
バルクホルン「おい。俺中尉。昼食の時間だぞ」
俺「あ、もうそんな時間?すぐに行きますよ。ハラヘッタ~」
バルクホルン「おお、素晴らしい掃除だ!見直したぞ!床板まで砂で磨いてあるじゃないか」
俺「いやぁ。やるときはやるんですけどね。やらないときは・・・あはは」
バルクホルン「いつもしっかり綺麗に整頓掃除!軍隊はかくあるべしだ」
俺「まあ、通常はそうですね」
バルクホルン「なにか言いたいのか?」
俺「さっき、ハルトマン中尉の部屋も掃除しましてね。あれはしんどかった」
バルクホルン「え!おい、付いて来い!」
―――
バルクホルン「いや・・・まさかそんな・・・」
俺「ん?気に食いませんか?」
バルクホルン「いや、大変結構だ!エーリカも手伝ったのか?」
俺「まあ。ゴミかどうかの取捨選択を。殆ど俺が捨てましたけど」
バルクホルン「基本手伝わんな、奴は。聞いた私がヤボだった。ところで、この麻袋は?」
俺「未洗濯の衣服。制服とか下着とかズボ―――」
バルクホルン「お疲れだった!よし!食事に行こう!いくぞ!俺中尉!」
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最終更新:2013年02月02日 12:20