「蒼穹 EX-9」
―解散―
シャーリー「結局、やっぱり解散かぁ。ま、敵が居なくなっちゃったしなー」
ペリーヌ「まるで、
ガリアからネウロイが駆逐されたことが残念、って仰っているように聞こえますが」
シャーリー「そうじゃないよ。そう聞こえたらゴメンな」
ハルトマン「ペリーヌだって、シャーリーの気持ち解っている癖に」
ペリーヌ「すみません・・・。皆さんと、またお別れしなくてはならないのが残念です・・・」
リーネ「・・・はい。二度も・・・」
宮藤「・・・ごめんなさい」
バルクホルン「宮藤。いつまで気に病んでいるんだ?お前のせいではない」
ハルトマン「そうだよ。結果オーライだってば」
宮藤「・・・でも。私が人型ネウロイに会わなければ、マロニーさんも行動を起こさなかったんじゃないか、
とか。・・・治癒魔法をもっと早く使っていれば、俺さんも・・・」
エイラ「面倒くさい奴だナ。いいか?宮藤。マロニーは、お前があれに会わなくても、きっと来た。結果
はもっと悪くなっていたかもしれないんだゾ?俺中佐が阻止できたかどうかも怪しいんだゾ?」
バルクホルン「そうだな。あれでよかったんだ、芳佳」
ハルトマン「トゥルーデ。今、ヨシカって呼んだね」
バルクホルン「そ、そうか?」
サーニャ「はい・・・」
ハルトマン「妹みたいだもんね」
宮藤「クリスさん、ですか?」
ハルトマン「そうそう。ほら、こうして髪の毛の跳ねを押さえて。ほら、トゥルーデ」
バルクホルン「クリス!!ああ、クリ――」
ハルトマン「で、手を離すと」
バルクホルン「・・・宮藤で遊ぶな、ハルトマン」
シャーリー「解りやすいな」
ルッキーニ「ワォ!おっもしろーい!」
坂本「漫才か?」
サーニャ・エイラ・リーネ「クスクス」
ルッキーニ「私はぁ?こうしてこうしてと。お姉ちゃーん?」
エイラ「私も効くのカ?こうすれば・・ お姉さま?」
バルクホルン「何をやっているんだ?二人して」
ルッキーニ「ウヂュヂュ」
エイラ「駄目カ」
ハルトマン「効果ないね」
サーニャ「・・・・お姉さま。サーニャを見てください」
バルクホルン「ブッ!!」
ハルトマン「おお!一瞬で真っ赤になった!」
シャーリー「余り遊ばないでやろうよ。でも、俺中佐を見送りしたかったな」
ルッキーニ「ウン。朝早く連れて行くなんてーひどいよねー」
坂本「見送りできたのは、ミーナだけ、か」
リーネ「ミーナ隊長は、早起きして見回りされていますから・・・」
バルクホルン「・・・・・」
坂本「私は海岸で素振りをしていて気付かなかった」
ハルトマン「全く、前もって連絡くらい寄越せっての」
宮藤「私の治癒魔法、役に立ったんでしょうか・・・」
リーネ「芳佳ちゃん!駄目!そんなふうに考えるのは!」
坂本「宮藤。お前は頑張ったんだ。くよくよするな!」
サーニャ「俺中佐とは・・・また会える予感がします・・・」
エイラ「そ、そうだヨ。だから、宮藤元気出せヨナ!」
―――――――――
バルクホルン「この書類は完了ファイルに仕舞うんだね?」
ミーナ「ええ。お願いね」
坂本「ミーナ。書類が出来たが、これでいいかな?」
ミーナ「ありがとう、美緒。・・・・・・・・・・・・・はい。次は・・・・・・・・・・・・・はい。申し分ありません。やれば
出来るじゃない」
坂本「やぁ、苦手だと自分で決め付けていたかな」
ミーナ「出来ない振りをしていたのかしら?もっと早く手伝ってもらえばよかったわ」
バルクホルン「次があったら、最初からやってもらうとするか」
ミーナ「それはもう」
坂本「いゃ、すまんすまん。次が、か・・・」
シャーリー「隊長、整備部及び武器管理部、医療班、基地防衛隊の設備撤収完了だよ。あ、高射砲が
数門残ってるけどいいんだろ?」
ミーナ「ありがとう、シャーリーさん。ええ、明日使うのよ」
バルクホルン「これで、大体片付いたな」
ミーナ「お疲れ様。あとは明日の解散記念式典ね。また、肩が凝りそう」
坂本「よし。じゃあ、内輪のパーティーの前に風呂に皆で行こう」
ミーナ「内輪の?」
バルクホルン「今夜、隊員だけで祝おうとね。リベリアンの提案だ」
シャーリー「えへへ。戦友同士で騒ごうよ。これなら肩も凝らないし、さ!」
ミーナ「ここのお風呂とももうお別れですものね。じゃあ、行きましょう」
坂本「さあ、呑め!ペリーヌ!お前も頑張ったな!」
ペリーヌ「有難うございます。少佐のご薫陶のお陰です。戴きます」
坂本「おお!いい飲みっぷりだ!さ、コップに替えて一杯!」
ペリーヌ「いえ!こちらでお願いします!(酔いに任せて、今夜こそ告白を!わたくしがガリア復興を
成し遂げて少佐の下に戻るまでお待ちいただくお約束を!)」
シャーリー「おお、大皿かい!ペリーヌも結構酒強いよな~。あははは!」
坂本「よぉし!ほれ、シャーリーも飲め!ガッハッハッハ!」
シャーリー「フフン!まけないぞぉ!」
ルッキーニ「がんば!シャーリィ!」
坂本・シャーリー・ペリーヌ「「「乾杯!」」」
エイラ「サーニャサーニャ!ウォッカがあったヨ!はい、どうぞ」
サーニャ「ゴクゴクゴク ふぅ。はい、エイラもご返杯・・・」
エイラ「エ!丼だよソレ。あ、戴きます。そんな目で見なくてもちゃんと呑むヨ」
宮藤「はい。リーネちゃん」
リーネ「ありがとう。芳佳ちゃん。・・・・う。ちょっと濃くない?」
宮藤「やだなあ、リーネちゃん。ただの水割りだよ、ほら、ぐーっとやって!(今夜決めるよ・・・)」
ハルトマン「ほらほら!ミーナもトゥルーデも!のんでのんで!」
ミーナ・バルクホルン「「ギク」」
リーネ「ハルトマンさん。その爆弾カクテル、芳佳ちゃんにも作って下さい(芳佳ちゃんを介抱して・・)」
ハルトマン「まっかしときー!」
ミーナ「あら??美味しい わよね?」
バルクホルン「フラウも、酒なら毒物を生成しないのかな?今のところ大丈夫のようだ」
ミーナ「そうねえ。さっきと今とで材料が違うみたいだけど(火薬とか入れているかと思った)」
ハルトマン「出来たよ。リーネ、これを飲ましたら即押し倒せるよ ボソ」
リーネ「ボッ 有難うございます。ハルトマンさん ボソ」
ハルトマン「今夜しかありません ボソ」
エイラ「はるとむぁん。いっぱい・・・つくってくれぇ。さーにゃ、つよすぎてダメぇ」
ハルトマン「顔色変わってないね、さーにゃん。よっしゃ!腕によりをかけて!1トン爆弾級!」
ミーナ「フラウ?あまり無茶しないでね?」
ハルトマン「偽伯爵直伝だよ~。大丈夫だって!」
バルクホルン「偽伯爵?(嫌な名前を・・・やっぱり飲むのを止めよう)。ミーナ、その後俺中佐は?」
ミーナ「ううん。なにも連絡は無いわ。大丈夫かしらね・・・」
バルクホルン「もう、三週間だ。きっと意識は回復しただろう。宮藤も頑張ってくれたから」
ミーナ「ええ。せめてお礼を言いたいわよね」
バルクホルン「うん」
ミーナ「明日、王女様もいらっしゃるそうだから・・・お聞きしてみようと思っているの」
バルクホルン「王女様か。ご存知かもしれないな」
ミーナ「ええ。せめて、安否だけでも」
シャーリー「よっ!いけいけ!宮藤!」
宮藤「あははは!なんか、気分いいですぅ!宮藤芳佳!いきまーす!」
リーネ「あれ?」
ルッキーニ「どんどん脱いじゃえ~!!いっけー!芳佳ァ!」
ハルトマン「よっ!宮藤!大統領!」
坂本「よーし。私も踊るぞ!」
ペリーヌ「わたくしも!坂本様!2番機お供いたします!」
サーニャ・エイラ「「zzzzzz・・・・」」
バルクホルン「やれやれ。まあ、いいだろう。 私の勘違いかもしれないが。ミーナ・・・お前別の意味で
俺中佐のことが気になるんじゃないか?」
ミーナ「!・・・」
バルクホルン「・・・・なにか、王女様から話が聞けるといいな」
――――――――――
昼前から、ハンガー前で式典が始まった。連合国のブリタニア代表のほか、連合3軍の代表達も出席。
ブリタニアからは国王の名代としてエリザベス王女、チャーチル首相。高射砲が礼砲を規定数発射した。
部隊員は、経理部まで含めて全員が整列して、スピーチを聞いている。最後はエリザベス王女。
演壇に上がった王女に、報道班のフラッシュが一際激しく焚かれた。
王女「・・・・掛かる戦火がブリタニアに及ぶことを防いでくださった501隊の諸氏に篤くお礼を申し上げます。
斃れた多くの英雄達の遺志を受け継いで、敢然と戦場に向かったウィッチの皆様、彼女達と彼を支えた
隊員の皆様に、何度お礼を述べても足りるものではありません・・・・・・・」
坂本「今・・・中佐のことを」
ミーナ「ええ。でも安否は・・・」
バルクホルン「最後まで聞こう・・・」
王女「・・・・ウィッチ隊の戦士諸氏は、善意と自己犠牲精神から戦いの場に赴くことを決意した高潔な心の
持ち主です。国境を越えた友情、いえ、それ以上の気持ちが彼等に育ったこと。その事をわたくし達は
忘れてはなりません。この部隊のウィッチ諸氏に一人の犠牲者も出なかったことを感謝します。彼らは
これから新たな任地に赴き、今後も高邁な精神で多くの人命を・・・・・・・」
ミーナ「・・・・」
バルクホルン「きっと大丈夫だ。ミーナ」
坂本「ああ」
ミーナ「でも・・・所属は情報部だし・・・」
王女のスピーチの後、叙勲式が執り行われる。王女の前に小振りな台が置かれる。王女は白い羽根飾り
の付いた帽子に黒いビロードのマントを羽織り、腰に長剣を携えている。
その横に陸軍の制服姿のチャーチル首相が並んだ。
シャーリー「うっわー。王女様かっこいいなぁ!なんだい?あの斜めになった台は」
ルッキーニ「あの帽子カッコイー!欲しいなー」
ミーナ「あそこに両膝をついて、頭を少し下げるんじゃなかったかしら?」
シャーリー「ふーん?ミーナ隊長の真似するよ!」
ミーナ「えええ!私知らないわよ?どうしましょう」
皆から小さな笑いがおきた。
最初に名前を呼ばれたのはミーナ中佐。静かに歩みで、頭を下げて礼をする。
チャーチル「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。カールスラントに生まれ、かの地よりここブリタニアに
至るまで、民の命を護らんと獅子奮迅の戦いをなし、今に至る。その誉れ、ガーター騎士団の一員に
相応しいものです」
王女「よろしい。では、これを」
王女から紐状のものがチャーチルに渡される。チャーチルは両手で受け取り、ミーナ中佐の左腕につけた。
ガーターだ。
チャーチル「『思い邪なる者に災いあれ』と書かれているんだ。君達に相応しい」
チャーチル「さ。台に膝をつけて。両膝ですよ」
ミーナが緊張しながら跪く。
王女「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。貴官にナイトの称号を授ける」
王女が剣を抜き、それでミーナの両肩をそっと叩く。
王女「カールスラント皇帝陛下のご許可は戴きましたから、安心してください」
剣を仕舞い、従者から青い大綬を受け取りミーナに着ける。続いて、左脇に星章を。
再び歩み出たチャーチルが、ビロードのマントをミーナの肩にそっとかけた。王女がボタンを嵌める。
そのマントの上から、細い首飾りを王女が装着した。
王女「さ、御立ちなさい」
「ガーター騎士団の新たな騎士が、今ここに。サー・ヴィルケ、今後も活躍してください」
握手を求められたミーナが紅潮した顔でそれに答える。静まっていたフラッシュが一斉に焚かれた。
王女が手を握ってじっとミーナの眼を見る。
坂本「サー?王女様が何でミーナにそういうんだ?」
バルクホルン「知らない?勲位ですよ。エエと・・・少佐、後で説明するから大人しく済ませて」
次に呼ばれたのは坂本少佐。本日は帯刀していない。事前にやんわりと取り上げられ、海軍短剣だけ。
同様に進む儀式を皆が見守る。
ハルトマン「少佐、泣いてない?」
ミーナ「フラウ、あなたもあそこに立てばわかるわ。凄い存在感なのよ」
帰ってきたものは、皆紅潮した面持ち。順番待ちのものは不安が増していく。
最後は宮藤。緊張して、手と足が同じ側を出して歩いていく。皆、声を掛けて緊張を解してやりたいと
思っても、この場の雰囲気でそれができない。リーネは、ずっと感涙に咽んでいる。
王女「これがあなたをこれから護るでしょう。有難う、サー・宮藤」
なんとか、終了。静寂が会場を包んでいる。
王女「本日、最後の戦いで受けた戦傷の為に出席できなかった一名の隊員にも、ガーター騎士団への参加
を要請し、了承して貰えたことを喜びに感じます。12名のナイトの皆さん。『思い邪なる者に災いあれ』
そして、正義が常に皆さんと共に有らんことを!」
大歓声が501の構成員全てから湧き上がった。
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最終更新:2013年02月02日 12:23