題名はモガミの元ネタの最上川について松尾芭蕉が書いた句を改変したものです。
悪い知らせの続きです。

 情報通の友人からこんな話を聞いた。アーキバスが技研都市という場所に到達したらしく、その中にはG3もいたらしい。
恐らく総長亡き後のレッドガンもといベイラムを見限ったのだろう。結果としては死んだらしいが。
前から思っていたがその情報をどうやって仕入れてきているのか聞いてみたが、企業秘密らしい。

 しばらくしたことだ。海上に浮かぶ無人都市ザイレムが突如浮上、アーキバスの強襲艦隊が迎撃を開始したらしい。
その際ある声明があった。

「灼けた空の上でレイヴンが戦っている。」

 その声明以降、解放戦線の勢いが増していっており、鹵獲したのか封鎖機構の兵器やシュナイダー製のACも見受けられる。現状殿を務めている俺含めたレッドガンの生き残りはそれらの猛攻に耐えていた。

 数週間も戦って疲弊してきていたが、ようやくベイラムの脱出を援護する援軍が来た。
強襲艦ほどではないにせよ、強力な艦には違いない。現地の部隊と合流したMTやAC部隊と共に脱出用の艦艇の離脱時間を稼ぎ、最後の一隻となったところで乗艦、ベイラムはこの惑星ルビコン3から一時的に撤退した。
そう、一時的にだ。

 大豊本社に戻った後に知ったのだが、を筆頭とした一部のレッドガン部隊がルビコンに取り残されていたこと、ベイラムの歴戦の女傑サラトガを筆頭としたレッドガン精鋭部隊の第1分遣隊、次いでインダス筆頭の第2分遣隊、トンレサップ率いる「アンコール分隊」の派遣と総長率いるレッドガン本隊の損失が嘘かのようにAC乗りを含めた大規模な派兵をベイラム上層部は決定していた。

 しばらくしてから、大豊上層部から直々に伝達があった。どうやら先の撤退の殿を務めた際の援軍部隊を新たに設立された自分の隊の隊員としてルビコンへ出向しろとのお達しだ。どうやら分遣隊とは別の即応部隊ということらしい。情報通の友人も自分の下につくようだ。
G6レッドを含めた旧レッドガン部隊員は総長の言いつけを守り、新生レッドガン部隊となるか、分遣隊などのルビコン派遣部隊に移籍するか、G3のようにベイラムから退社していった。

 隊長となるにあたって機体も大幅に改修されることになった。まず、外部アーキテクトの設計したテスターACのパイロットは俺に決まった。
頭部は総長も使っていた「VERRILL」、コアと腕は「MELANDER」、脚部は大豊の「TIAN-QIANG」
武装は右腕の「RANSETSU-AR」の性能がいささか器用貧乏だったのでベイラムの火力型アサルトライフル「SCUDDER」へ換装、後は空いていた右肩部に拡散バズーカ「MORLEY」を乗せたのみである。
内装は全面的に変えており、ブースターはファーロンの第二世代のものへ、FCSも「TALBOT」に変更し、ジェネレータの「LING-TAI」はEN不足を引き起こしてしまうので「MING-TANG」に変更した。
元のテスターACとは扱いが違うものになるだろう。シミュレーターで練習をしなければ。

 2日後にルビコンへ行くことが決定された。前とは違い、惑星封鎖機構の衛生砲からの狙撃に怯えなくてすむのは良いが、G13─いや、今はもうただの独立傭兵である─レイヴンの活躍によって勢いを増したルビコニアンたちが幅を利かせているらしい。余談だが隊長となる際「訓練生」では恰好がつかないので、故郷である国の川から自分の識別名をとった。

 レッドガン即応部隊、改め「モガミ隊」のメンバーが決まった。隊長は「モガミ」、つまりは俺である。副官は俺よりも訓練期間が長く、数か月前に士官学校を卒業した生真面目な女性士官「ミズーリ」、北欧出身であり、趣味はサウナの男「ヴァンター」。AC乗りは俺含めた3名であり、あとはMTや通常兵器である。ベイラムらしい、物量で圧倒させる構成だ。
投げられなかった賽は、誰かが代わりに投げるべきなのだろうか。


投稿者 秋棒

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小説 秋棒
最終更新:2024年03月06日 21:38