どこから流出したのか不明なデータ
何らかの組織がアンドロイドの教育に関する記録を綴ったものだが
途中ハッキングで技研へのサーバーにバックドアを仕掛けたことが記されている
調査したがバックドアを発見できなかった
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<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
僕は教育員に向いていないのかもしれない
<バトラ(本機)>
それは何故です?
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
今二人のシエラが眼の前でマジック技術の訓練をしている
片方は新型で片方は旧型
先生が生徒に技を教えるかのように実技で継承しているのがとても愛おしいんだ
<バトラ(本機)>
次の世代へ継承するのは人間も同じことだと思います
データの移行だけではなく実技で差をつけるように教育するというのは他の技術者でもやらないでしょう
私も先代から同じように受け継ぎました
マジックに対する人の執念は完璧に我々に根付いていると思いますよ
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
新人の僕がシエラの担当になって6年経ってからいざ世代交代で全く新しい顔のシエラを見たとき複雑な気持ちになった
<バトラ(本機)>
その感情はよく失恋と比較されますね
もしくは喪失感
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
今の時代珍しいことじゃないけど
思い入れを失うことの恐怖感があの二人の笑顔を見ていると消えるというか
これが本来求めていたことなのかっていう考えになる
<バトラ(本機)>
なにか浮かんだのですか?
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
君はどう思う?
あの二人を同じ舞台に立たせてみたいと思う僕の気持ち
<バトラ(本機)>
これは頑張りがいのある提案ですね
とても素晴らしいと思います
私もそのアイデアは新しい挑戦として団長たちにお話してみて損はないと思います
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
そうかな?
<バトラ(本機)>
私も協力しますよ
兄として彼女たちの活躍は最優先です
いずれ片方は姿を消すことになりますが悲しみではなく笑顔で贈ってあげる勇気は私にも経験があります
機械だからといって感情を無くすより貴方が感じるありのままの感情は人間のとっての財産であるはずです
<ヘッゼル・バンスタン(AI教育担当)>
ありがとうバトラ
気が楽になったよ
早速話してくる
ガチャ
バタン
<バトラ(本機)>
<ファクトネットワーク構築>機密サーバー<接続コマンド実行中>
<回線>ポート989.321.00.05.771.333333<コール>
応答待機中---1cec
<接続判定>SUCCESS
<認証>ICA-366G
<アクセス>左肺セクションVVHT3
ポート1001001
<コマンド>404f ---発信
<受信>待機中 ---21.34316cec
<受信>修復パッチ:PsYxppk-424Dtpkk1241_vvht3ver_974634163.rckaa
<コマンド>04k ---発信
応答待機中---11cec
<接続判定>SUCCESS
<報告>マスターへ
バックドアの作成が完了しました