Kanon

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Kanon - (2017/04/03 (月) 17:25:24) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/06/21(日) 23:25:17
更新日:2024/04/03 Wed 16:24:46
所要時間:約 10 分で読めます







うん、……約束、だよ。









MOON.ONE~輝く季節へ~を作った旧タクティクスのスタッフが作り、1999年6月4日に発売されたPCの恋愛アドベンチャーゲーム。
現在でも著名なビジュアルアーツのブランドKeyの処女作で、最初に発売されたバージョンと、
2004年11月26日に発売されたDVD-ROM版のみ18禁のアダルトゲームである。



【概要】

その素晴らしさは、15年以上経った今でも色褪せる事は無く、泣きゲーの金字塔と呼ばれる程である。

リメイクも多数行われ、PC全年齢版、DC、PS2、PSPに移植され、アニメ化も2度行なわれている。
PC版はすべてのバージョンでボイスなしだが、後の移植版ではボイスがついた。
DC版・PS2版の移植はインターチャネルが担当し、主人公以外フルボイス。
PSP版の移植はプロトタイプが担当、主人公にもボイスがついたが、技術的ノウハウがなかったためか、パートボイスへと劣化してしまった。
このことによって大きな批判を寄せられたプロトタイプは、
次回作のPSP版『AIR』でPSPソフト初のデータインストール機能を搭載することで問題を解決した。
また、声優の事情もあり、美坂栞のみテレビアニメ版の声優に変更されている。
レーティングは、コンシューマ版はすべてCERO:B(12歳以上対象)、PC版は上述した18禁版以外はソフ倫で全年齢対象。

二次創作が滅茶苦茶多い事でも有名。
一番有名なのはKanoso~思い出を壊す物語~

初回版は何か大砲っぽくなっている。



【スタッフ】

企画:久弥直樹
脚本:久弥直樹麻枝准
原画:樋上いたる
CG:みらくる☆みきぽん・鳥の・しのり~
音楽:折戸伸治・OdiakeS・key 



【ストーリー】

ある、雪の舞い落ちる冬の日……。
俺は駅前のベンチで、いとこの少女、
水瀬名雪と7年ぶりに再会した。

今いる場所。
そこは、昨日まで暮らしていた
俺が生まれ育った街ではなかった。
急な引っ越しの決まった俺を、快く迎えてくれた
叔母と名雪の住む街。

俺にとっては、
子供の頃の微かな記憶の中にある、
思い出の街。

深い雪に覆われたこの街で
俺は、5人の少女と共に小さな奇跡に出会った……。



【登場人物】
PC版は声なし。特記ない限り、CVはDC版以降共通。

主人公

CV:私市淳(ドラマCD、東映版)/杉田智和(京アニ版、PSP版)
子供時代のCV:安田美和(アニメ版)

色々あった過去を忘れて、かつて遊びに来ていた場所に住む事になった人。
ヒロインたちからは極悪人や意地悪と散々言われるが、根は良い人である。
ヒロインとの過去を忘れている主人公はよくいるが、彼は忘れ過ぎである。


ヒロイン


祐一が引っ越してきた初日に商店街にいると、
食い逃げてきた彼女が祐一にぶつかったという縁で知り合いに。
その後、商店街で何度となく会う。
天使の羽がついた鞄を背負っている。
何か大事なものを落としてしまい、探しているらしい。
食い逃げは特技、趣味と言って差し支えないレベル。
好きな食べ物はたい焼き。

「うぐぅ」



祐一が居候する先の家の一人娘。
祐一との間柄はいとこにあたる。
7年ぶりの再会にも関わらず祐一と即席漫才をしたり、
同居に対して抵抗を感じていないなど、多少世間ズレしている気がしなくもない。
陸上部所属の部長さんである。
駅伝大会でアンカーとして出場、優勝するほどの実力者で陸上界では名が知られているほどの実力者。
好きな食べ物はイチゴ関係。
特にジャムとイチゴサンデー。
ジャムがあればご飯三杯はいけるらしい。

「うにゅぅ」


CV:小西寛子(DC版・PS2版)/佐藤朱(左記以外すべて)

祐一が通う事になる学校の一年生。
病気による長期休学をしているが、祐一は学校でよく見かける事になる。
唯一過去の祐一と面識が無い人。(正確にはメインヒロインになるはずだった佐祐理さんも)

好きな食べ物はバニラアイス。
冬で雪が積もっていようとも食べる。

「そんなこと言う人、嫌いです」
「奇跡は起こらないから奇跡って言うんですよ」


CV:田村ゆかり
祐一が通う事になる学校の3年生。
夜の校舎で祐一の目には見えない何かと戦う日々を送る。
笑顔を見せない彼女を、祐一は何とかして笑わせようとしていく。
無愛想だが、Keyのヒロインに漏れず本当はアホの子であるが……。

好きな食べ物は牛丼。

「私は魔物を討つ者だから」
「嫌いじゃない」
「はちみつくまさん」
「ぽんぽこたぬきさん」

京アニ版のVS魔物シーンとダンスシーンの力の入りようは異常。
これこういうアニメじゃねぇから! と思えるぐらい。


CV:飯塚雅弓
記憶を失った少女。
祐一が憎いという記憶だけを頼りに祐一に付きまとい、強引に水瀬家に住み着く。
同居しながら復讐と称したイタズラを祐一に度々吹っかけるが、なんだかんだで仲は悪くない。
猫のぴろをよく頭の上にのせている。
好きな食べ物は肉まん。

「あぅーっ」
「買わない、買えない、買えるかー!」
「春が来て、ずっと春だったらいいのに」


サブキャラ


名雪の親友。
祐一と名雪と香里と北川は同じクラスなので、仲良し4人組になる。

「言葉通りよ」



祐一がお世話になる水瀬家家主。
未亡人である。
必殺技は1秒かからない了承。
料理がとても上手で、自家製のジャムまである。
ただし、原材料不明の表現不可能な色をしたジャム(秋子さんおすすめ)を食べると大変な事になる。

「了承」



舞の親友のお嬢様。
成績が良く、舞とは対照的にいつも笑顔で人当たりが良く社交的な事から、学校では人気者。
料理上手で舞のお弁当係を自認する。
快活だが物腰が非常に丁寧で、後輩である祐一に対しても「さん」付けし、舞以外の人間に対しても常に丁寧語で話す。



祐一の下級生で1年生。
無愛想なためクラスメイトとは打ち解けられず、孤独な学園生活を送っている。
物腰が祐一に「おばさんくさい」と評されている。
真琴を知っているらしい。


  • 北川潤
CV:関智一

祐一の後ろの席に座る人。
アニメでは香里に荷物持ち扱いだったり、祐一をフォローしたりで出番が増えた。
鍵の親友キャラ(リトバス除く)ではおそらくダントツでイイヤツの一人。



【音楽】

本作ではkey(麻枝准の当時の作曲者名義)・折戸伸治の2氏と、外注のOdiakeS氏の合計3氏が楽曲を担当した。
現在の基準で見てもクオリティの高い楽曲が多く、後述するアニメ版でも基本的には原作の楽曲が用いられた。
シナリオライターである麻枝准氏が作曲もできるというのは演出上この上ない強みで、
その真骨頂は次作の『AIR』で花開くことになる。
そのほか、初回特典アルバムをはじめ、Key Sounds Labelから多数のアレンジアルバムが発売されている(これは以降の作品でも同様)。

OPテーマ

  • Last regrets
 作詞・作曲:key
 編曲:高瀬一矢(I've)
 歌:彩菜

「最後まで笑ってる強さを
 もう知っていた」

EDテーマ

  • 風の辿り着く場所
 作詞:key
 作曲:折戸伸治
 編曲:高瀬一矢(I've)
 歌:彩菜

「世界中にはどんな想いも叶う日がくる
 ずっと旅をしてゆく僕らに 小さな精たち舞い降りる」



【アニメ】

2002年冬クールから放送の東映アニメーション版と
、2006年秋クールから放送の京都アニメーション版の2作品がある。
以下、順に解説する。


東映アニメーション版

1クール全13話。フジテレビと関西テレビで放送された。
実は、国内最王手の老舗として名高い東映アニメーションの、記念すべきエロゲ原作アニメ第1作である。
しかし、本作は「アゴアニメ」なる蔑称をつけられ、現在に至るまでネタとして扱われている。

なぜか。
それはアニメ版の総作画監督が、当時の技術的制約のなかで、原作の絵柄にできる限り似せようとした結果
各キャラクターの顎が異様に大きい絵面になってしまったためである。
アニメ放送後はキャラクターの顎をさらに引き延ばしたコラ画像がブームとなり、
肝心のストーリー面を顧みられることはあまりなかった。
なお、キャラクターデザインが特異なだけで、作画崩壊などは全話を通して見られない。
むしろ、東映アニメーションの諸作品のなかではかなり良質な部類に入る。
(これはもともと東映が多作傾向で、しかも厳しい動画枚数制限があるため)

ストーリー面では、1クールで全ヒロインのシナリオを一通り描写するために、
メインとなる名雪√とあゆ√以外はストーリーが簡略化された。
とはいえ、要所はきっちり押さえられており、安易なダイジェスト化ではなく、むしろ原作よりもサブキャラが大活躍する。
最終的にはあゆと結ばれることになり、名雪はかなり不憫な扱いとなるので、その点に不満を述べるファンもいる。

名雪の救済は、DVD全巻購入特典として応募者に配布された幻の14話「風花」でなされているが、
この映像は後に発売されたDVD-BOXには未収録であるため、入手困難でプレミアがついている。

そのほか、この作品は放送枠に泣かされた作品でもある。
当時、フジテレビはスポーツ放送などのあおりでアニメの放送枠が迷走し始めていた時期で、この作品もその現実からは逃れられなかった。
2話連続放映の1時間スペシャルが毎週のように行なわれ、最終週には3話連続放送まであった。
録画予約を間違えて泣きを見た視聴者は多いだろう。

楽曲

東映版の楽曲は神津裕之氏が担当した。
基本は原作の楽曲が用いられているが、そのような楽曲も含めてすべて神津氏のアレンジが入っている。
また、OP曲・ED曲は新規につくられ、原作のボーカル曲は物語のクライマックスでのみ使用された。
そのことによって原作曲の存在感が際立ったと評価する人も多い。

  • florescence(OP)
 作詞:こさかなおみ/作曲:上野浩司/編曲:神津裕之/歌:藤原美穂

  • flower(ED)
 作詞:こさかなおみ/作曲:鎌田雅人/編曲:神津裕之/歌:藤原美穂

  • Last regrets(13話挿入歌)
 作詞・作曲:麻枝准/編曲:高瀬一矢/歌:彩菜

  • 風の辿り着く場所(13話ED)
 作詞:麻枝准/作曲:折戸伸治/編曲/高瀬一矢/歌:彩菜


京都アニメーション版

2クール全24話。本放送はBS-i(現BS-TBS)でのみ放送された。
2005年にテレビアニメ版『AIR』の高いクオリティで有名になっていたこともあり、京アニの他作品の例にもれず高い期待が寄せられた。
心配されていたキャラクターデザインも原作を踏襲しつつも違和感の少ない造形で、おおむね受け入れられたといえる。

しかし、主人公・祐一の声優が交代になり、杉田智和氏が起用されることになったことには批判が相次いだ。
というのも、京アニは本作と同年の春クール作品主人公に杉田氏を起用しており、そのイメージが強かったためである。
彼自身には落ち度は全くなく演技も問題は無かったのだが、その特徴的な声質からあまり受け入れられることはなかった。

ストーリーは2クール分の枠を活かし、全ヒロインのシナリオを丁寧に原作再現しており、おおむね評価は高い。
各ヒロインとの交流を深めつつ、真琴√・舞√(+佐祐理√)・栞√を経て、名雪√とあゆ√は統合されたうえであゆENDとなった。
名雪√とあゆ√は統合するにあたって、原作組へのサプライズ的な演出を伴ったアレンジがなされた。
(原作で放置気味だった設定をうまく生かした形)
舞√も原作シナリオ担当者の麻枝准氏の許可を得て、後半部分が完全に別物になっている(ちなみに原作はやや分かり辛い&一本道にするには不都合がある)。
また、あゆのカチューシャの設定を活かしきった最終話は、ほぼアニオリながらも自然な描写で、京アニ版の評価をいっそう高めることとなった。
ただし、複数ルートのある原作を一本道にしているのに、そのまま原作再現することを重視しまくったあまりに、
あちこちへと移動しまくりフラグ立てと消化に奔走しているようにしか見えない祐一の姿は人としてもキャラとしても違和感が非常に強く、ここらは批判が多い。

最終話放送直後にテレビアニメ版『CLANNAD』の制作発表がなされた。
本作のDVD全巻購入特典も、『CLANNAD』の本編映像とOP・EDが収録されたDVD『CLANNAD Invitation』となっている。
本作の成功は、テレビアニメ版『CLANNAD』の放送局が追加されるという、視聴者にとっても嬉しい結果をもたらした。


完全に余談だが、杉田氏がメインパーソナリティを務めるラジオ番組『杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン』にて京アニ対決と称し、
京アニ版『Kanon』7巻と、『CLANNAD AFTER STORY』7巻を使用して『バーコードバトラー』で対戦したことがある。
対戦者は相沢祐一役の杉田氏と岡崎朋也役の中村悠一氏。
KanonのHP46100、攻撃力3600、守備力8800、CLANNADはHP20600、攻撃力7100(助力を得て一時的に+2500)

接戦だったが水樹奈々氏の力を借りた事もあって中村氏が勝利した。
中村曰く「うちには家族がついているんでね」「いや~一年やりましたからCLANNADは。そっち……ね、2クールでしょ」


楽曲

OP・ED含めて、原作やそのアレンジアルバムのものを流用している。
しかし、入手困難なアルバムの音源などもうまくBGMとして使用しており、その使い方に関する評価は高い。
以下には新規のボーカル曲のみを明記する。
なお、挿入歌はEDクレジットに記載されていないので、作編曲者・歌手はその曲の収録されているアルバムのものを明記する。

  • Last regrets -X'mas floor style-(16話挿入歌)
 作詞:麻枝准/作曲:key/編曲:高瀬一矢/歌:島みやえい子

  • Last regrets -acoustic version-(23話挿入歌)
 作詞・作曲:麻枝准/編曲:岡部亮/歌:Lia






パッヘルベルのカノン
3つの声部が全く同じ旋律を追唱し、それに伴奏が付けられたものである。
ポリフォニーの一つの典型。



「悲しいとき~」に流れたり、卒業式に流れたりするあの曲と言えば解るだろうか。

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