Kanon

登録日:2009/06/21(日) 23:25:17
更新日:2024/12/25 Wed 22:28:59
所要時間:約 10 分で読めます







うん、……約束、だよ。









MOON.ONE~輝く季節へ~を作った旧タクティクスのスタッフにして、現在でも著名なビジュアルアーツのブランドkeyの処女作。
WindowsPC向けの恋愛アドベンチャーゲームとして1999年6月4日に発売された。最初に発売されたバージョンは18禁のアダルトゲームだったが半年後の2000年1月7日には全年齢版も発売された。


【概要】

俗に「泣きゲーの金字塔」と呼ばれるゲームで、その素晴らしさは、15年以上経った今でも色褪せる事は無く、移植時には微妙に内容を改善するなどして何度も発売が行われている。
エロゲーである意味があまりないことを忘れる程、それぞれのシナリオで凝った展開は語り草となっている。
ただしAIR以降の「恋愛シミュレーションゲームと体裁を取りながら全体で1つのシナリオとして完成している」作品と比べるとまだまだ本作は十分恋愛ゲーをしていた。

全年齢版はDC、PS2PSPAndroid/iOSSwitchと何度も移植された。
PC版はすべてのバージョンでボイスなしだが、後の移植版ではボイスがついた。
DC版・PS2版の移植はインターチャネルが担当し、主人公以外フルボイス。

PSP版・Switch版の移植はプロトタイプが担当、主人公にもボイスがついたが、技術的ノウハウがなかったためか、パートボイスへと劣化してしまった。
このことによって大きな批判を寄せられたプロトタイプは、
次回作のPSP版『AIR』でPSPソフト初のデータインストール機能を搭載することで問題を解決した。
また主人公の声優は後述の京都アニメーション版、ヒロインの美坂栞はドラマCD・テレビアニメ版の声優に変更されている。
他にもPS2版Kanonからの移植としてみればあまり変わりはないものの、
PS2版のCLANNADで見られた当時のコンシューマーギャルゲーとしては質の高いオプションなどは悉く簡素化され、劣化している*1
Switch版ではフルボイスに改良(主人公を除く)されており、タッチ操作とHD対応も行っている。ボイスも一部再録された。美坂栞の声が全編でメディア化以降の声優に変わっているなど。

レーティングは、コンシューマ版はすべてCERO:B(12歳以上対象)、PC版は上述した18禁版以外はソフ倫で全年齢対象。

二次創作が滅茶苦茶多い事でも有名。
一番有名なのはKanoso~思い出を壊す物語~。

初回版は何か大砲っぽくなっている。

Keyとしてはメディア化が早い部類で、DC版のタイアップとして2000年から原作のシナリオをほぼ再現しつつドラマCD用に再編・再収録したシリーズが展開している。
アニメ化も2度行なわれているが、アニメ第一作の方がメディア化の幅は広い。ただし人気と知名度は後者の方が圧倒的である。(後述)

【スタッフ】

企画:久弥直樹
脚本:久弥直樹麻枝准
原画:樋上いたる
CG:みらくる☆みきぽん・鳥の・しのり~
音楽:折戸伸治・OdiakeS・key 



【ストーリー】

ある、雪の舞い落ちる冬の日……。
俺は駅前のベンチで、いとこの少女、
水瀬名雪と7年ぶりに再会した。

今いる場所。
そこは、昨日まで暮らしていた
俺が生まれ育った街ではなかった。
急な引っ越しの決まった俺を、快く迎えてくれた
叔母と名雪の住む街。

俺にとっては、
子供の頃の微かな記憶の中にある、
思い出の街。

深い雪に覆われたこの街で
俺は、5人の少女と共に小さな奇跡に出会った……。



【登場人物】
PC版は声なし。特記ない限り、CVはDC版以降共通。

主人公

CV:私市淳(ドラマCD、東映版)/杉田智和(京アニ版、PSP版)
子供時代のCV:安田美和(アニメ版)

色々あった過去を忘れて、かつて遊びに来ていた場所に住む事になった人。
よく皮肉を言うため、ヒロインたちからは極悪人や意地悪と散々言われるが、根は良い人である。
八方美人ではなく、恋愛感情を自覚したら一途なキャラ。

ヒロインとの過去を忘れている主人公はよくいるが、彼は忘れ過ぎである。
ただし、よく勘違いされているのだが意味不明に忘れまくっているわけではない。
当時はそれどころではなく気がそぞろだった&トラウマから思い出すことを心の奥底では忌避していることが最大の原因。
某ヒロインに関しては事情が事情なので思い出せなくて当然・別の某ヒロインについても実は詳細を思い出せなくて当然な説明がされていたりする。
メディア化以降に声優が変わった例で、これは京アニ関係では全てにおいて共通。旧作で唯一キャストに関して惜しまれる人。


ヒロイン


祐一が引っ越してきた初日に商店街にいると、食い逃げてきた彼女が祐一にぶつかったという縁で知り合いに。
その後、商店街で何度となく会う。
天使の羽がついた鞄を背負っている。
何か大事なものを落としてしまい、探しているらしい。
よく食い逃げ常習犯と勘違いされるが、作中では序盤の2度だけで、その後はちゃんと謝罪しており、まとめて払ったため以降は一切していない。
しかし時代の流れからか京アニ版では野良猫の乱入含めた偶然の重なり的な理由に改変された上に速攻で謝罪させられた。
好きな食べ物はたい焼き

「うぐぅ」



祐一が居候する先の家の一人娘。祐一との間柄はいとこにあたる。
7年ぶりの再会にもかかわらず祐一と即席漫才をしたり、同居に対して抵抗を感じていないなど、多少ズレている気がしなくもない。
陸上部所属の部長さんである。
好きな食べ物はイチゴ関係。
特にジャムとイチゴサンデー。
ジャムがあればご飯三杯はいけるらしい。

京アニ版では駅伝大会でアンカーとして出場、優勝するほどの実力者で陸上界では名が知られているほどの実力者とされている。
(原作含めそれ以外では特にそういった設定はない)

「うにゅぅ」


CV:小西寛子(DC版・PS2版)/佐藤朱(左記以外すべて)

祐一が通う事になる学校の一年生。
病気による長期休学をしているが、祐一は学校でよく見かける事になる。
唯一過去の祐一と面識が無い人。(正確にはメインヒロインになるはずだった佐祐理さんも)

好きな食べ物はバニラアイス。冬で雪が積もっていようとも食べる。
旧コンシューマ版で中の人がいろいろあって降板することになったが、奇跡的にほぼ違和感のない声優を発掘できた珍しい例。

「そんなこと言う人、嫌いです」
「奇跡は起こらないから奇跡って言うんですよ」


CV:田村ゆかり
祐一が通う事になる学校の3年生。
夜の校舎で祐一の目には見えない何かと戦う日々を送る。
無愛想で笑顔を見せない彼女を、祐一は何とかして笑わせようとしていく。
Keyのヒロインに漏れず本当はアホの子であるが……。
ただしこう見えて学業の成績は良いらしい。

好きな食べ物は牛丼。

「私は魔物を討つ者だから」
「嫌いじゃない」
「はちみつくまさん」
「ぽんぽこたぬきさん」

京アニ版のVS魔物シーンとダンスシーンの力の入りようは異常。
これそういうアニメじゃねぇから!と思えるぐらい(※戦い自体は原作通りです。ダンスはモンキーダンスみたいなものなはずだったけど)。


CV:飯塚雅弓
記憶を失った少女。
祐一が憎いという記憶だけを頼りに祐一に付きまとい、強引に水瀬家に住み着く。
同居しながら復讐と称したイタズラを祐一に度々吹っかけるが、なんだかんだで仲は悪くない。
猫のぴろをよく頭の上にのせている。
好きな食べ物は肉まん。

「あぅーっ」
「買わない、買えない、買えるかー!」
「春が来て、ずっと春だったらいいのに」


サブキャラ


名雪の親友。
祐一と名雪と香里と北川は同じクラスなので、仲良し4人組になる。
攻略出来そうなスペックだが一切脈がない。

「言葉通りよ」



祐一がお世話になる水瀬家家主。
理由は不明だが未亡人である。
必殺技は1秒かからない了承。
料理がとても上手で、自家製のジャムまである。
ただし、原材料不明の表現不可能な色をしたジャム(秋子さんおすすめ)を食べると大変な事になる。

「了承」



舞の親友のお嬢様。
成績が良く、舞とは対照的にいつも笑顔で人当たりが良く社交的な事から、学校では人気者。
料理上手で舞のお弁当係を自認する。
快活だが物腰が非常に丁寧で、後輩である祐一に対しても「さん」付けし、舞以外の人間に対しても常に丁寧語で話す。

「あははーっ」



祐一の下級生で1年生。
無愛想なためクラスメイトとは打ち解けられず、孤独な学園生活を送っている。
物腰が祐一に「おばさんくさい」と評されている。
真琴を知っているらしい。


  • 北川潤
CV:関智一

祐一の後ろの席に座る人。恋愛は奥手という設定が記されているがほとんど活かされていないことで有名。
一応原作では香里に気がある素振りは見せていたがまったく進展せず。アニメ媒体でその好意がよりわかりやすく描かれている*2
主人公と親友というほどの仲睦まじさはないが、あゆ編の終盤では普通なら手伝わないあることに手を貸し、大金星を決める。
アニメ2期(京アニ版)では香里に荷物持ち扱いだったり、祐一をフォローしたりで出番が増えた。(原作と全然キャラが違うが)
原作・アニメ両作等、全メディアおいて鍵の親友キャラ(リトバス除く)ではおそらくダントツでイイヤツの一人。


  • 久瀬
CV:神谷浩史(家庭用版全て、ドラマCD、東映版)/野島健児(京アニ版)

祐一の学校の生徒会長。超典型的な生徒会役員であり、問題行為の多い舞を目の敵にする。
実家が太いためか佐祐理を懐柔しようとしており、舞のことを利用してそれを実現させる。
原作では立ち絵すらない脇役だが出番が多い。東映版で初めてビジュアルが付いたとは中の人談。原作やったのか詳しいな
祐一が京アニ版の声優に変わった中、久瀬は京アニ版以外全て神谷浩史である*3

原作ではただの嫌な奴だが、公認アンソロジードラマCDや二次創作でイジられまくった結果脇役としては有名なキャラに。


【音楽】

本作ではkey(麻枝准の当時の作曲者名義)・折戸伸治の2人と、外注のOdiakeSの合計3人が楽曲を担当した。
現在の基準で見てもクオリティの高い楽曲が多く、後述するアニメ版でも基本的には原作の楽曲が用いられた。
シナリオライターである麻枝准が作曲もできるというのは演出上この上ない強みで、その真骨頂は次作の『AIR』で花開くことになる。
そのほか、初回特典アルバムをはじめ、Key Sounds Labelから多数のアレンジアルバムが発売されている(これは以降の作品でも同様)。

OPテーマ

  • Last regrets
 作詞・作曲:key
 編曲:高瀬一矢(I've)
 歌:彩菜


EDテーマ

  • 風の辿り着く場所
 作詞:key
 作曲:折戸伸治
 編曲:高瀬一矢(I've)
 歌:彩菜



【アニメ】

2002年冬クールから放送の東映アニメーション版と
、2006年秋クールから放送の京都アニメーション版の2作品がある。
以下、順に解説する。


東映アニメーション版

1クール全13話。通称:東映版Kanon、フジKanon。フジテレビと関西テレビで放送された。以降TVアニメ『CLANNAD』までKeyは地上波放送されなくなった。
国内最王手の老舗として名高い東映アニメーションだが、記念すべきエロゲギャルゲ原作アニメ第1作*4で、Keyとしても本作が初のアニメ化作品になった。
しかし、本作は総作画監督は原作の絵柄に寄せる画風であり、できる限り似せようとした結果、各キャラの顎が異様に大きく見える絵面に。
その印象は凄まじく「アゴアニメ」とネタにされ、顎を引き伸ばすコラ画像を作るのがネットで少し流行った。
これは作画崩壊の類ではなく、当時の技術的な差もあるとはいえ、キャラデザは本家のいたる絵以上に人を選ぶ。
コラ画像が流行っているのもそのインパクトの強さ故であり、東映版Kanonで検索して出てくるのは主にコラの方が多い。
それ以外のスタッフは後にデジモンセイバーズを手掛けた面々が担当している。

ストーリー面では、1クールで全ヒロインのシナリオを一通り描写するために、
メインとなる名雪√とあゆ√以外はストーリーが簡略化され、サブキャラをシナリオの締めに使用。ただし原作でも密度が濃いからか、舞編の尺が多い傾向にある。
反面、真琴が終始祐一からキツイ態度を取られて原作等で思い留まった平手打ちをかまし、あげくラストはほぼ救いなしの決着になるなど真琴ファンにとっては辛い扱い。
舞編は舞編で尺を使ったわりに原作を知らないと内容がよくわからない端折りっぷりであり、正直これらのヒロインの尺バランスは悪い。
最終的にはあゆと結ばれることになるが、恋のライバルとして噛ませにされ、徹底的に心を叩き折られる名雪の姿はかなり不憫。
このようにヒロインごとに扱いの差が大きいため、節々でバッドエンドや胸糞展開があり、後半のピリピリしたストーリー展開は当時「昼ドラ」と揶揄された。
ラストシーンでも数年間眠りっぱなしだったあゆが、最後は何故か元気に走っているなど、普通に考えておかしい映像もある。

一応このアンバランスな構成については、本作自体がギャルゲー原作アニメ化の黎明期の作品で、メインヒロインを中心とした一本道の脚本としてまとめるのが主流だったため。*5
それにしても構成が微妙すぎるので評価が悪い…名雪の中の人も放送後に微妙は反応を示してたし、公式BBSもプチ炎上していた
あげくいちばん大事なヒロインのその後についての補足は、応募者に配布された特別ディスクに収録された幻の14話「風花」でなされている始末。
一応補完の役割を果たす作品なのにもかかわらず、これの入手方法があまりにも険しく、全巻購入+当時展開していたグッズを数点購入して、ポイントを集める必要があった。
これが非常に高額なことから購入者には大きな負担になった。他、後に劇場版AIR公開を記念して発売されたDVD-BOXには未収録
しかもそのDVD-BOXすら特典のドラマCDが応募式という、どこまでもユーザーには優しくない仕様だった。
それだけ後押ししたためか、当時の目線で円盤はそれなりに売れたらしい。が、その4年後にこういったテコ入れが薄い京アニ版に、売上でダブルスコアの差を付けられた。
第2期が放送された後は大きく値崩れしたが、現在はその入手困難さから再びプレミアがつくという現象が起きている。
出回った数もそこまで多くないようで、当時としてもこれを強く求めた人間はさほど多くなかったことがうかがえる。

あゆ以外のヒロインは祐一と恋人関係になれない、他のヒロインの扱いの良し悪しが激しいなどシナリオの不満は多いが、代わりにサブキャラの出番や活躍が増えた点については評価が高い。
また主人公の声優は高評価で、ドラマCDからの続投とはいえ元々はまり役だったこともあり、本作で唯一惜しまれた要素と言えるだろう。
ツッコミどころや不満点は満載だが、全体の構成はわずか13話にしてはよくまとめたという評価もある。
人によっては胸糞な要素が補完がされた14話が普通に入手しやすければ、今ほど評価が悪くはならなかったという声も聞かれる。
しかしその後は異例の早さでリメイク*6されており、実際の当時のファンの不満は計り知れなかったことを物語る。
泣きゲーの金字塔とも言える作品を微妙なクオリティにしたことから、ファンには憎しみに近い感情すら抱かれていたこともあり、
公式も空気を読んで基本的に本作には触れず、軽く名前程度の言及に留め、誰も見たくない映像の使用は勿論、作品概要すら触れられない。
つまりはっきり言ってしまうと公式でほとんど黒歴史扱い、後に映像媒体において全てシャットダウンされたこともあり、半ば封印作品同然の扱いとなっている。*7

現状、公式では本作の存在をなかったことにして、アニメ版としては下記の京アニ版が紹介されているのが基本姿勢となっている。
今でも本作に触れるようなファンは少なく、触れるとしてもネタ的なものが多く、いかに当時の評価が著しく低かったか、そして本作の不評がKey自身にとって堪えたかがうかがい知れる。
Keyのアニバーサリーでも名前に触れられる以外はノータッチが基本であるが、25周年に公式discordで配信されたラジオによると腐っても初のアニメ化ということもあり、一応思い入れ自体はあるようである。
そのためか直接的にはネタにはされないが、かぎなどの水着回では当時アニメ誌に描き下ろされたピンナップが元ネタとして使われたり*8、本作のことに暗に触れられたりしていた*9
そんなわけでファンから腫れ物扱いこそされているせいで扱いにくいだけになっているのか、公式の態度自体は軟化してきているようである。
また、ある意味一番の被害者と言えるキャラデザの樋上いたるは東映にも「 感謝している 」・「 頑張ってくれていた 」と事務的好意的に言及している。

そのほか、この作品は放送枠に泣かされた作品でもある。
当時、フジテレビはスポーツ放送などのあおりでアニメの放送枠が迷走し始めていた時期で、この作品もその現実からは逃れられなかった。
2話連続放映の1時間スペシャルが毎週のように行なわれ、最終週には3話連続放送まであった。まともに放送されたのは地方のみ。
1話だけになった放送が半分くらいしかないいう有り様で、録画予約を間違えて泣きを見た視聴者は多いだろう。
それくらい古い時代だったため、Key作品としては唯一VHS版が発売されている。
アニメの評価は著しく低い一方で、ドラマCD展開では成功を収めており、本作が始まる前から開始されたドラマCDは実に3シリーズ*10も存在する。

これは余談だが、最終回で祐一とのお別れ回で北川が「CLANNAD」と書かれた服を着ている。なお当時はCLANNADが発売予定が迫っていたがその後2年も延期したのでこのスタッフなりのエールは無駄になった


楽曲

東映版の楽曲は神津裕之が担当した。
基本は原作の楽曲が用いられているが、そのような楽曲も含めてすべて神津のアレンジが入っている。
また、OP曲・ED曲は新規につくられ、原作のボーカル曲は物語のクライマックスでのみ使用された。
本作独自の主題歌は、原作のようなギャルゲーチックな楽曲とはかけ離れているものの、
ちゃんと冬をテーマにしつつ本作のために用意されたアニソン(つまりコテコテのタイアップ曲でがない)であり、評価は良い。ただし放送版だとSPの関係上、OPがイントロしか流れない回も多かった
また、あえてオリジナル曲を採用し、原作曲を最終回のみの使用に留めたことで、その存在感が際立ったという声は当時でも多かった。
音楽面も本作においては数少ない評価点と言えるだろう。アニメ版のサントラに原作主題歌が未収録で泣いた視聴者も多かった、ほぼ同時期に原作サントラもでたが

  • florescence(OP)
 作詞:こさかなおみ/作曲:上野浩司/編曲:神津裕之/歌:藤原美穂

一部の回、SPで連続放送される際はイントロだけ流れてタイトルロゴが表示される特別版だった。

  • flower(ED)
 作詞:こさかなおみ/作曲:鎌田雅人/編曲:神津裕之/歌:藤原美穂

  • Last regrets(13話挿入歌)
 作詞・作曲:麻枝准/編曲:高瀬一矢/歌:彩菜

  • 風の辿り着く場所(13話ED)
 作詞:麻枝准/作曲:折戸伸治/編曲/高瀬一矢/歌:彩菜


ドラマCD

DC版発売に合わせて2000年9月から原作再現ストーリーが、アニメ(東映版)に合わせて2001年末より公認アンソロジーが、
同アニメ放送後の2002年8月から同タイアップのラジオ番組『皆口さんち*11』由来のラジオドラマ『水瀬さんち』が発売された。
ラジオドラマ全盛期ということもあって悪名高い東映版アニメありきな中でも結構売れていた。特に水瀬さんちは人気で延長しまくった*12
なお『水瀬さんち』のCD版はドラマパートのみを収録しているが、ラジオ版から再収録されているため、本放送版を録音して持っている人はかなり貴重である。


京都アニメーション版

2クール全24話。本放送はBS-i(現BS-TBS)でのみ放送された。
2005年にテレビアニメ版『AIR』の高いクオリティで有名になっていたこともあり、当時の京アニの他作品の例にもれず高い期待が寄せられた。
心配されていたキャラクターデザインも原作を踏襲しつつも、後のAIRやCLANNADに近いマイルドな形に変更され、万人受けしやすい絵柄になった。
背景も札幌などをモチーフとして、雪国の寒さや風景を美麗かつ雰囲気たっぷりに描ききっており、こちらも絶賛された。
さらに作画方面に関しては期待された通りのクオリティを発揮したことや、イラストの高い再現度から高評価となっている。

前作の反省を受けて、本作は原作の麻枝准が監修し、2006年当時の風潮に合わせてアレンジされている部分が多い。
特にあゆの食い逃げをその場で有耶無耶のままにせず、すぐ謝罪に行かせているところなどは時代背景故か。
特に原作でこれといって個性のなかった北川は、本アニメのみ大きく脚色され、ややハイテンションなキャラになっている。
レギュラー声優は主人公・祐一と事故で療養中だった久瀬の声優が交代*13になった。祐一に関しては特徴的な声質の杉田智和の起用が当時は賛否を呼んだ。
これは杉田自身に落ち度は全くなく、同年に京アニ制作の春クール作品主人公とデザイン含めて*14イメージが重なったことと、
前任者である私市淳のイメージが根強く(担当期間が長かったため)評価も高かったためである。

ストーリーは2クール分の枠を確保できたことから全ヒロインのシナリオを丁寧に原作再現している。
各ヒロインとの交流を深めつつ、真琴√・舞√(+佐祐理√)・栞√を経て、あゆ√に名雪√を含める形で終わる。
あゆ√に名雪√を統合するためのアレンジされているため、東映版と同じく名雪が不遇な感じは変わらなかった。仕方ないけど名雪ファンは泣いて良い。
舞√も原作シナリオ担当者の麻枝准の許可を得て、結末付近は完全に別物になっている(原作での人気とは別に舞√はやや分かり辛い&一本道にするには不都合がある)。
また、あゆのカチューシャや真琴に関するアニオリなどもある。

原作再現重視の方針を貫きつつ、東映版と同じく全てのシナリオを総括するということにこだわっておる、尺があるため同作より余裕のある構成となった。
ただ場面の繋ぎ方には依然賛否があり、原作がADVである以上仕方ないがフラグ立てと消化に奔走しているように見えてしまった祐一の姿(脚本)は少なからず批判を受けてしまった。
俗にいう爆弾処理*15のアニメ化に見えるような展開は、言わばぷちセンチメンタルグラフティ状態。
原作に忠実という評価が一般的だがアニオリ要素は多く、また原作の麻枝が監修した「原作からの改修点」も多い。特に北川のキャラが薄かったせいか、ビジュアルが微妙に似ている春原をオマージュしたようなキャラとなったのは一部意見が割れる。
ほぼ意識されていないキャラだったので気にしない声もあったが、思い入れがある人にとっては苦手なキャラ付けと言えなくもないか。
先の通りこの点は先の東映版にもある要素で昼ドラじゃないだけマシ、シナリオを繋げる以上はやむを得ない部分は多い。この反省からかCLANNADではパラレルとして他ヒロインのシナリオを再現する試みが取られた。

最終話放送直後にテレビアニメ版『CLANNAD』の制作発表がなされた。
本作のDVD全巻購入特典も、『CLANNAD』の本編映像とOP・EDが収録されたDVD『CLANNAD Invitation』となっている。
本作の成功は、テレビアニメ版『CLANNAD』の放送局が追加されるという、視聴者にとっても嬉しい結果をもたらした。


東映版時代と違いタイアップラジオはなかったので完全に余談だが、杉田がメインパーソナリティを務めるラジオ番組『杉田智和のアニゲラ!ディドゥーーン』にて
京アニ対決と称し、京アニ版『Kanon』7巻と、『CLANNAD AFTER STORY』7巻を使用して『バーコードバトラー』で対戦したことがある。
対戦者は相沢祐一役の杉田と岡崎朋也役の中村悠一
KanonのHP46100、攻撃力3600、守備力8800、CLANNADはHP20600、攻撃力7100(助力を得て一時的に+2500)

接戦だったが水樹奈々の力を借りた事もあって中村が勝利した。
中村曰く「うちには家族がついているんでね」「いや~一年やりましたからCLANNADは。そっち……ね、2クールでしょ」


楽曲

本作はOP・ED含めて、原作やそのアレンジアルバムのものを流用しており、アニメオリジナルのBGMはほとんど無い。
しかし、入手困難なアルバムの音源などもうまくBGMとして使用しており、その使い方に関する評価は高い。
以下には新規のボーカル曲のみを明記する。
なお、挿入歌はEDクレジットに記載されていないので、作編曲者・歌手はその曲の収録されているアルバムのものを明記する。

  • Last regrets -X'mas floor style-(16話挿入歌)
 作詞:麻枝准/作曲:key/編曲:高瀬一矢/歌:島みやえい子

  • Last regrets -acoustic version-(23話挿入歌)
 作詞・作曲:麻枝准/編曲:岡部亮/歌:Lia



余談

パッヘルベルのカノン
3つの声部が全く同じ旋律を追唱し、それに伴奏が付けられたものである。
ポリフォニーの一つの典型。



「悲しいとき~」に流れたり、卒業式に流れたりするあの曲と言えば解るだろうか。

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最終更新:2024年12月25日 22:28

*1 後の作品やリトルバスターズPS2移植なども同様

*2 なお東映版の特別編ではほぼ恋人関係になった。

*3 当時神谷浩史が事故ったための変更とされているが実際は不明。京アニの前作でも敬介は変わっていたため。

*4 当時はコンシューマ展開されていたためギャルゲー化していた。

*5 つまり本作から数年後に一般化する「ヒロイン別のルートをパラレルワールド方式で再現する」のが主流では無かったことが理由として挙げられる。

*6 約4年という早さ、fateですら約8年

*7 同じく評価の低い同社の劇場版AIR・CLANNADですら配信自体はされているにもかかわらずである。版権の問題はあるかもしれないがそれらと製作委員会の内訳は多くが共通している。あるいは放送局のフジが原因か。

*8 あゆと名雪の水着のデザイン。

*9 同作では名雪が「『ゲーム』でも『アニメ』でも『アニメ』でも振り回された」という台詞があり、暗に本作のことを指していたりする。

*10 先述した原作再現シリーズ、原作の隙間の部分を埋めるアンソロジーシリーズ、アニメ版との連携込みで始まったラジオドラマをまとめた「水瀬さんち」等

*11 秋子役の皆口裕子がパーソナリティをしていたためこのタイトル。

*12 1巻があさごはん、2巻がばんごはんというタイトルでこれで終わりという体だったが、延長されたため3巻では「ひるごはん」と一歩戻り、4巻がおべんとう、最終巻がティータイムと続いた。

*13 ただしAIRでも橘敬介の声が変更になっており、男性レギュラー陣はCLANNADを除いて原則ほぼ全取り換えの姿勢なため、予定調和の可能性もある

*14 東映版の祐一のデザインがアゴを強調したように見えるデザインだったさいか、かなりキョンのイメージに寄せたデザインになった。

*15 本命以外と作業的に会ったりデートする