超人機メタルダー

「超人機メタルダー」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

超人機メタルダー - (2024/04/10 (水) 18:39:27) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/06/25(木) 00:42:48
更新日:2024/04/10 Wed 20:32:10
所要時間:約 5 分で読めます







画像出典:超人機メタルダー第1話「急げ!百鬼魔界へ」より
放送日:1987年3月16日 © 東映



る!

剣流星の体内に秘められたエネルギーが
怒りと共に頂点に達した時!
彼は、超人機メタルダーに瞬転する!!



●目次

【概要】

『超人機メタルダー』は、特撮作品メタルヒーローシリーズ第6作。全39話。
1987年3月から1988年1月にかけてテレビ朝日系列で放送。

人造人間キカイダー』をオマージュした作品で、主人公メタルダーはキカイダーをモチーフとしており、本作のプロデューサー、吉川進は『キカイダー』のプロデューサーも務めており、当初のインタビューでは「キカイダーを意識したものになると思います」と発言している。ただし、メインライターの高久進は『キカイダー』との関係について、「あれはもう14年も経っているし、質も内容も違うと思いますよ」と当時のインタビューで語っている。

基本的にスーパー戦隊シリーズよりも対象年齢の高い作風になることが多いメタルヒーローシリーズであるが、本作は『ジャスピオン』→『スピルバン』を経ていよいよインフレの極みに達したかのような内容をしており、シビアな世界観をベースに、時に都会的でトレンディな描写も交えつつ、ヒーロー側・悪役側ともに非常に濃密なドラマが展開されるのが最大の特徴。

メタルダーに変身する主人公・剣流星は超人機(人造人間)であるが、精神的には真っさらで知らないことだらけであり、頼れる仲間たちの助けを借りて少しずつ成長していく過程が描かれる。

一方、彼と対峙する悪のネロス帝国は世界を裏から牛耳る大組織であり、そこに所属する悪の戦士たちは非常にバリエーション豊富で、それぞれの所属先・派閥といった要素も緻密に設定されている。
軋轢に苦しめられたり、手柄を競いあったり、彼らの“社会構成員”としての側面を描いたそのドラマは、時にヒーロー側以上の感動を我々視聴者に与えてくれる。

特撮ヒーロー番組としては各種BGMが異常なほど豪華なのも特徴で、OPのクレジットには「演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団」と記載されているなど、音楽にかける並々ならぬ意気込みがうかがえる。

しかし、序盤こそシリアスな作風だったものの、視聴者からは受け入れられなかったようで、中盤から敵組織が運動会が行う等のコメディ的要素を追加。そのため初期と中期で作風が異なる。
が、それでもどうにもならなかったようで、もはや万策尽きたのか、メタルヒーローシリーズの中でも数少ない打ち切りによる終わりを迎える憂き目に遭った(詳しくは後述するが放送時間帯も途中で月曜夜7時から日曜朝9時半に変更されている。これ以降、ゴールデンタイムに特撮番組がレギュラー放送されることは現在に至るまでない)。
が、終盤はストーリーをキチンと描ききることに注力され、最終回に向けてのその展開は今なお高く評価されている。


ナレーションは『宇宙刑事ギャバン』や『特警ウインスペクター』でお馴染みの政宗一成氏。次回予告の「こいつぁ凄いぜ!!」は『仮面ライダーBLACK RX』の「ぶっちぎるぜぇ!!」と並んで有名。
アニメ版『ハヤテのごとく!』の次回予告のラストにハヤテがこのフレーズをしゃべったことも。


【メタルヒーロー、ゴールデンタイムから日曜の朝へ】

本作の放送期間中の1987年10月、1作目の『ギャバン』から平日19時台での放送だったメタルヒーローシリーズは日曜の朝へと移り、以後シリーズ終了まで日曜午前の時間帯で固定される。

これはテレビ朝日がこの改編で18時台に長年放送していた夕方のニュース『ANNニュースレーダー』を19時20分からの40分番組として移動させ、女優の星野知子をメインキャスターに起用した『ニュースシャトル』へと刷新する企みを行ったため。19時20分スタートとしたのはTBSの『JNNニュースコープ』が18時半から19時20分の番組だったため、その視聴者を引き込む目的とされていた。ちなみに空いた夕方の時間帯には『ヤーレンソーラン北海道』という楽曲が人気を集めた子供向けの生バラエティ番組『パオパオチャンネル』が放送された。

この改編はメタルヒーローだけではなく他の番組もモロに影響を被り、『川口浩探検隊』などでおなじみだった『水曜スペシャル』が終了したり(のちに別のタイトルで復活)、新主題歌も用意して継続が一度は決まっていた『宇宙船サジタリウス』が打ち切りになったり、藤子不二雄のアニメ作品でも『藤子不二雄ワイド』が『パーマン』諸共終了して『エスパー魔美』が独立、『プロゴルファー猿』は新番組の『ウルトラB』と『藤子不二雄ワールド』としての放送になったり、『ドラえもん』は放送時間が10分早まって18時50分開始になるという事態になった。

が、『ニュースコープ』の終了時間が『ニュースシャトル』の開始と同じタイミングで19時に短縮されるという思わぬ誤算と裏番組であるNHKの『7時のニュース』(まだ『ニュース7』ではない)やアニメ・バラエティ・野球中継に苦戦した結果、大いにコケることとなり、1年半で放送時間を夕方6時からに戻したもののこちらでも視聴率が苦戦したことから、『ニュースシャトル』は17時からに前倒しされていた『パオパオチャンネル』諸共半年後に終了。結果的に視聴率が低迷していた暗黒期のテレビ朝日における黒歴史の一つとなった。

一方、「メタルダー」側では月曜時代は視聴率が低調気味だったが、時間移動のタイミングで放送終了直後の時間帯に裏で『仮面ライダーBLACK』が開始したことにより流れで見る視聴者ができたことも相まって移動前よりも視聴率が持ち直した。


【あらすじ】

第二次世界大戦時に古賀博士によって作られた超人機メタルダー。だが、その絶大な力を悪用されるのを恐れていたために封印されていた。

しかし、世界征服を目論むネロス帝国の出現を知った博士はメタルダーを蘇らせた。



【登場人物】

剣流星メタルダー
演:妹尾洸(現・妹尾青洸) / 声:飯田道郎

太平洋戦争末期に作られた超人機。普段は青いジャケットを着た青年の姿をしており、正義の怒りを爆発させることによって、メタルダーへと“瞬転”する。
や動物といった自然の景色を愛する一方で、原宿のストリートパフォーマーに釘付けになったりと好奇心旺盛な一面も。
詳細は該当項目参照。


仰木舞
演:青田浩子

作中世界における有名な週刊誌、「週刊アップ*1」に携わる若き女性編集者(本人曰く「フォト・ジャーナリスト)。
とあるきっかけで流星と知り合い、ほどなくして彼の正体を初めて知った一般人となる。
以降は、彼の保護者のような、それとも友達のような、はたまた恋人のような奇妙な関係を築き、彼の成長の手助けをしていくこととなる。

雑誌編集者としての能力は高く、基礎教養や頭の柔軟性はバカにならないようなものがあり、作中世界の一般人は普通だったらまず知らないであろう「超人機」の噂に心当たりがあったり、流星が困っている時にヒントを出せば大抵正確だったりと何気にハイスペックヒロイン。
写真を撮るのが特技だが、本人も写真に撮られる機会がちょくちょくあり、アイドルのような決めポーズを披露することも。
ちなみに、演じた青田浩子女史は、1940年代はじめから50年代末に活躍したじゃじゃ馬の愛称で知られたプロ野球選手、故・青田昇氏の娘。つまりは二世タレントの一人である。


スプリンガー
声:林家源平

メタルダーの相棒であるロボットで、ドーベルマンに近い姿をしている。人間の言葉をしゃべることが可能で*2、くだけた性格&口調で流星とは好対照。
メタルダーのメンテナンスなどを担当するが、非番の時はテレビ(コン・バトラーVやら徹子の部屋やら)を見てくつろいだりする。


北八荒
演:河合宏(現・和興)

16話から登場。名前は「きた はっこう」と読む。元暴走族の頭で、現在はモトクロス選手権を目指す新人バイクレーサー。
女好きなイケメンで、どこか抜けた言動が目立つ、かつての某戦隊ヒーローのグリフォンの戦士みたいな雰囲気を持つ三枚目要員。
自分を取材してくれる舞に密かな想いを寄せており、舞と親しげに接する流星に当初は一方的に対抗意識を燃やしていたが、ネロス帝国に襲われてピンチになっていたところを助けられたりしているうちに次第に和解。以降は流星に積極的に協力するようになる。
流星の正体がメタルダーだと知っても全く態度を変えることもなく、今までどおり接してくれた善い人。

元暴走族ということもあり腕には覚えがあるようで、人間としては割と強い部類に入ると思われるが、本作の敵キャラは文字通り人外ばかりなので戦力としてはあまり役に立たない。変身できればよかったんだけどねぇ…*3
が、よせばいいのにそれでも戦いに行き、ちょくちょくピンチに陥るのだが、彼が体を張ってくれたおかげでメタルダーが危機を脱したりすることもあるので侮れない。
また、普段からあちこちバイクで遠出しているらしく、現地で様々な人と意気投合して知り合いになっており顔が広い。

数多の死線を潜り抜けてきた甲斐あって彼も成長してきたらしく、物語が進むにつれて流星へのアシストが次第に的確になっていった。
1人暮らしの影響か料理が得意。後述する彼の友人は、揃いも揃って人間やめてる化け物揃いである。


古賀竜一朗博士
演:上原謙

メタルダーの生みの親。
太平洋戦争末期に息子の姿を模した流星(メタルダー)を作るが、封印していた。
封印から目覚めさせたメタルダーに「死」と言う概念を覚えさせるためにネロス帝国の軍団員に挑み戦死する。

演じた上原氏は、既に亡くなって久しいためご存知でないアニヲタ諸兄も多いものと思われるが、実は戦前の頃から活躍していたレジェンド級の大スター。
アニヲタ的に説明すると、昭和ドラマ版ブラックジャックの父親*4で、『モスラ』・『妖星ゴラス』でも博士役で出演。
また、彼がオーナーだったホテル(及びその廃墟)は、後年の『五星戦隊ダイレンジャー』の頃までたびたび特撮ロケに使われていた。
ちなみに実の息子はあの加山雄三。岩倉具視は母方のご先祖様というすごい家系でもある。

ジャック電撃応援団
演:大葉健二(卓治)、春田純一(マスター)、渡洋史(哲也)、山田一善(徹)、澄川真琴(美樹)、田中澄子(リサ)

25、26話に登場した、義侠心に溢れる愛すべき荒くれ者集団。大型トラックの運転手や喫茶店のマスター、バイク好きの若い女性ら6人から構成される。
北八荒の昔馴染みの友達で、流星たち一行が彼らの行きつけの喫茶店の近くを通りかかったことがきっかけで接触した。
劇中では特に明言されていないが*5、おそらく、現在は足を洗ってカタギになった、八荒の不良時代の仲間or先輩であると思われる。
以後、ネロス帝国に狙われているゲストキャラの青年を彼の故郷まで送り届けるため、八荒、そして流星(メタルダー)に協力して行動を共にする。

特筆すべきは演じている俳優の顔ぶれで、そのメンバーは『宇宙刑事ギャバン』のギャバン、『宇宙刑事シャリバン』のシャリバン、『巨獣特捜ジャスピオン』のマッドギャラン、『超電子バイオマン』の二代目イエローフォ-*6、『時空刑事スピルバン』のダイアナレディ、そして海坊主*7という細かすぎて伝わらない超豪華メンバー
当然と言うべきか、メンバー全員が八荒と互角かそれ以上の身体能力を誇り、作中に登場した中では間違いなく最強の人間*8
が、やはり人間ということもあってか色々と限界があり、そんな彼らが一致団結して死力を尽くしても、ネロスが差し向けた敵には辛うじて勝てるくらいのレベルであった。
ゲスト的出演に留まったことを惜しむ声は多い。


暴魂トップガンダー
声:森篤夫

自らのポリシーに忠実なスナイパー。
該当項目参照。


ネロス帝国

表向きは大財閥である桐原コンツェルンだが、その裏では地下に巨大闘技場・ゴーストバンクを拠点にこの世全ての悪を支配する暗黒組織。
ヨロイ・戦闘ロボット・モンスター・機甲軍団の4軍団に分かれ、大勢の軍団員を擁する。
中闘士、暴魂、凱聖などの階級があり、頑張れば出世できるが階級が上がったキャラはそんなにいない。

桐原剛造/帝王ゴッドネロス
演:藤堂新二 / 声:渡部猛

桐原コンツェルンの社長であり、世界の株価や武器売買を行っている死の商人。
頭脳明晰かつ冷酷非情で、裏切り者や弱者には一切の情けをかけず邪魔者を全て抹殺する。
その一方、作戦に失敗した者でも有能もしくは忠実な者にはたびたび温情をかけたり、忠言や作戦に名乗り出た者の意見を汲むなど懐の広さも備えている。
詳細は該当項目参照。


ヨロイ軍団凱聖クールギン
声:森篤夫

を装着した人間*9で構成されているヨロイ軍団の凱聖。
剣の達人で冷徹な性格に違わぬ実力を持ち、初戦でメタルダーを倒した。部下に対する態度や相互の信頼も概ね良好。
その鉄仮面の下に隠された素顔は……。


戦闘ロボット軍団凱聖バルスキー
声:桑原たけし

戦闘用ロボットで構成された戦闘ロボット軍団の凱聖。
凱聖の中でも特に正々堂々として部下想いなので、軍団員は彼を慕う者ばかりが集まっている。
「責任は俺が取る!」など、名言多し。



バイオ科学によって生み出されたモンスターで構成されているモンスター軍団の凱聖。
卑怯な性格で「口八丁手八丁・卑怯未練恥知らず」を信条とする。台詞は何故か関西弁・広島弁・名古屋弁が入り混じっている。



兵器がモチーフで最新技術の粋を凝らした重装備に身を包む戦闘ロボットで構成される機甲軍団の凱聖。
戦艦をモチーフとしていて、各部に装備されたビーム砲やを武器として使う。
他の凱聖に比べて力押しを好む傾向にあるが、影の薄さも人一倍。



【共演作について】

デザインモチーフとなったキカイダーとは『スーパーヒーロー作戦』にて共演を果たし、ギルの笛に操られかけたキカイダーを助けた。
しかし、容量の都合上舞と八荒は未登場で、主人公(問わず)がその代役を務める。
また、ネロス帝国は人員削減されてなぜかモンスター軍団と機甲軍団は存在抹消。その代わりにギルハカイダー率いるハカイダー四天王とワルダービッグシャドウ様がダサいからと帝国入りするという、優遇されてるのか冷遇されてるのかわからない扱いになっている。
「ギルハカイダーがゲルドリング役となったと思えばOK」と割り切る人もいれば、「ゲルドリングとギルハカイダーの足の引っ張り合い掛け合いが見たかった」と残念がる人もいたり、と評価は微妙。
作中でも物語に頻繁に絡み、物語の主人公の一人といった立ち位置。
しかし、本編最終回と同様にゲーム終盤に戦線を離脱する。


【主題歌・音楽】

オープニング主題歌「君の青春は輝いているか」は名曲だが、過去に戻り青春をやり直したくなる一曲でもある。
作詞は脚本家のジェームス三木。作曲は「アンパンマンのマーチ」や「行け!牛若小太郎」で有名な故・三木たかし。
ヒーロー名が一切入っておらずメタルダーの曲だとは一見気づきにくいが。


この他、「星からの手紙」「一瞬のチャンス」「ネバー・ギブアップ」「ネロス帝国4軍団」「瞬転!夢の戦士」など、挿入歌も神曲揃い。

劇伴は「メガロマン」や「聖闘士星矢」などの劇伴を手がけた横山菁児が担当。
マリンバの音色が特徴的なBGMは後に『特警ウインスペクター』に流用された*10
次回予告のBGMは前年までの主題歌のインストではなく劇伴を編集したものが使用されている*11。提供クレジットのBGMはオープニングが「タイムリミット」のインスト*12、エンディングが「君の青春は輝いているか」のインスト*13である。


【フィギュア】

2009年にはメガハウスよりスプリンガーとセットのアクションフィギュアが発売。S.H.フィギュアーツと合わせられるサイズとなっている。
欲しければ誤解を恐れずにありのままの自分を太陽に晒しながら購入しよう。




※推奨BGM:襲撃

ネロス帝国・中闘士Wiki籠り。
その追記修正能力は、あらゆる情報を自在に書き換える。
メタルダー・剣流星は、迫り来る追記修正の罠をいかに切り抜けるのか?
瞬転せよ、超人機メタルダー!


……こいつぁ凄いぜ!!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/