登録日:2022/01/29 Sat 17:22:52
更新日:2025/06/21 Sat 11:27:36
所要時間:約 8 分で読めるで
概要
『プロゴルファー猿』は、藤子不二雄Aの
漫画作品。
プロゴルファーを自称する猿のような少年・猿谷猿丸が彼に目を付けた影のゴルフ界を率いるミスターXが送り込む敵と賭けゴルフ対決をしていくゴルフバトル漫画。
作中では基礎的なゴルフの知識解説があったり、実在のゴルファーの活躍が描かれたりとA先生のゴルフ好きっぷりが垣間見られる。
週刊少年サンデーで1974年に
読み切り版を掲載後、1975年〜1978年まで連載された。
1982年〜1988年には
コロコロコミックにて続編『新プロゴルファー猿』が連載。こちらは無印版ラストで本物のプロとなった猿の活躍を描く。
アニメ化されたのもこの頃で、アニオリキャラが途中から逆輸入された。
1999年にはビッグコミックで大人になった猿が主人公の『サル』が連載される。しかし、内容は『新』と
パラレルワールドで、色々あってプロテスト合格が取り消しとなり、やさぐれた大人になってしまっている。
1982年には2時間SPでアニメ化され、1985年〜1988年にテレビアニメシリーズが放送される。
内容は無印と『新』をまぜこぜにしており、中盤では『新』のシャドウマスターズ編が拡大されて物語に組み込まれた。
このアニメ版における影プロ達の存在感の強さ、そして「旗つつみ」をはじめとするゴルフ漫画界屈指の有名
必殺技の要素で人気を博した。
終盤はタイトルを『新プロゴルファー猿』に変更し、影プロやミスターXが登場しない一話完結のストーリーが描かれた。
現在はYoutubeに公式チャンネルが開かれており、デジタルリマスター版が数日ごとに公開されている。
1986年と1987年には映画ドラえもんの併映で劇場版『スーパーGOLFワールドへの挑戦!!』『甲賀秘境!影の忍法ゴルファー参上!』が上映された。
残念ながらこの2作は現状、DVDやブルーレイ化されていないため当時レンタルされていたVHSでしかまともに視聴する方法がない。
一応、原作の『新』に原作版が収録されている。
あらすじ
H県奥山市深森区にあるゴルフ場の近くに住む少年、猿谷猿丸は天才的なゴルフの腕を使い、ゴルフ場に来る客に賭けゴルフ勝負を挑む自称プロゴルファーだった。
彼の腕前を目撃した覆面の男ミスターXは猿を自分の組織に引き入れるため、自分の子飼いの影プロ達との賭けゴルフ勝負を挑む。
登場人物
声:
野沢雅子(SP版)、頓宮恭子(TV版)
本作の主人公。猿のような顔と身軽さを持つ自称プロゴルファー。
自宅のある「猿谷」という山を自分のゴルフ場としており、自然を利用したコースで天才的な腕前を身に着けた。
一応、中学生だが貧乏な家庭を助けるため、ほとんど学校には通わず近所のゴルフ場に侵入しては来る客をカモに賭けゴルフで稼いでおり、兄弟や母に高価なものを買ってあげる家族思いな場面も多い。
一方金にはガメツく、竜との勝負に勝った際は弟たちには一銭もやらず400万円の札束の中を転げまわるという守銭奴じみた光景も。
主に使用するのは木の根で出来た特製のドライバー。ほとんどの場合はこれ1本しか使わないため「猿といえばドライバー」という印象が強いが、状況に応じて弟たちが作ったクリークやウッドウェッジを用いることもある。
中盤でパター制作の名人・甚五斎から譲り受けた名刀「正宗」(パター)を使うようになる。この正宗は綺麗に打てた際に独特の音を響かせる性質があり、「ピィーン」という書き文字が使われるのはこのため。
しかし、これら特製の道具を使っていたため、『実は一般のゴルファーが持つような普通のグラブを使いこなせない』という
弱点がある。
どんな時でも裸足を貫くため、滑る場所では松脂を塗って滑り止めにすることもあった。しかし、このせいで雪の中でゴルフした際に雪に埋もれた鋭い枝で大怪我を負ってしまったこともある。
また、プレイヤーながらゴルフのルールに関する知識も不足しており、池ポチャした際に水の中に入ってはいけないことを知らず、ペナルティを受けたこともある。
猿の代名詞と言える
必殺技。カップに立っているピンの旗にボールを当て、真下に落とすことでカップインさせたり、悪くてもカップの近くに落とす。
実際のプロゴルファーがTVの企画で挑戦したこともあるが、超巨大な旗を使ってやっと成功させたほどの荒唐無稽な技だが、
そもそも小さな旗に自在に当てるだけでも猿の技術の凄さが分かる技となっている。
ちなみにこれはA先生本人の経験から生み出された技のため、先生本人的には実現可能な技の一つである様子。
なのでその後、別漫画『ホアー!! 小池さん』でも初回にて本気を出した小池さんがこの技を決めていた。
弱点は「ある程度の風がないと旗が靡かない」ために使用不可能になること。
代表的な技だけあって対策されることも多く、「旗の真ん中に穴を開けておく」「旗を金属製にしてボールが跳ね返るようにする」と旗に細工がされていることもあった。
そこら辺の岩にボールを当てて反射させることでフェアウェイに乗せる必殺技。
障害物を回避したり、フェアウェイに乗せるのが難しい場合に使用する。
ボールを高く打ち上げ、グリーンに乗せる必殺技。
グリーンが滑ったりする場合など、確実に止まる球を打ちたい場合に使用する。
無風状態の方が技の都合上使いやすいため、先述の「旗つつみ」が使えないときに代用の技として使用することが多い。
ボールに強いスピンをかけ、回転力で無理矢理カップインさせる必殺技。
木の枝や葉を利用してボールにブレーキをかけ、勢いを調整する必殺技。
斜めに一直線に伸びた岩などに乗った際に使用する必殺技。
打つ方向を固定しやすいため、フェアウェイに乗せるのが容易。
声:菅谷政子(SP版)、高木早苗(TV版)
猿の弟。眼鏡をかけた知能派で、猿のキャディやアドバイザーを務める猿最大の理解者であり相棒。
兄のためにコースの下調べをしたり、徹夜で対処法を考えたりと活躍は多岐に渡る。ゴルフのルールに関しての知識は猿よりかなり上。
博識かつティーチングも上手い。時には猿に釘を刺して力みをとったり、逆に焚きつけて実力以上のものを発揮させたりもする。
弟たちにクラブを作ることもあり、自身は
傘の柄を削ったパターを使用する。
声:青木和代(SP版)、峰あつ子(TV版)
猿の弟の一人。名前の通り兄弟で一番大きな体をしている。力持ちのため主にクラブセットを運ぶ。
原作では後におっちゃんから才能を見出され、ゴルフを始める。
声:千々松幸子(SP版)、原えりこ(TV版)
猿の弟の一人。まだ幼児で、舌足らずで猿の事を「あんにゃー(兄ちゃん)」と呼ぶ。
幼児のくせに酒好きで、常に一升瓶を抱えて酔っ払っている不良幼児。たまに猿も飲んでいる。
さすがにアニメ版ではまずかったため、一升瓶の中身は「ラジウム鉱泉のミネラルウォーター」に変更されていた。
彼のために作られたクリークを猿に貸したり、何かと猿を助けている。
声:中村紀子子(SP版)、高村章子(TV版)
猿谷一家の母親。夫については不明だが、シングルマザーの可能性もある。
藤子作品では珍しい事に作中では怒る場面がまったくない優しい母として描かれている。
ただしアニメ版ではアマチュア選手権に優勝したことで腑抜けになった猿に対し叱り、苦言を呈しているシーンもある。
声:鵜飼るみ子(TV版)
猿谷一家の長女。かなりの美人。
すでに成人済みらしく、原作では剣崎の家のゴルフ場でキャディをしており、アニメではデパートの店員をしている。
声:峰あつ子(TV版)
猿谷家で飼われている
犬。
尻尾をパター代わりにしてパットを決める賢い犬で、猿のサポートもこなす。
アニメ
オリジナルキャラクターだったが、後に原作に逆輸入された。
声:
緒方賢一(SP版)、富田耕生(TV版)
奥山カントリークラブの会員で、よく猿にカモにされているヘボゴルファー。
最新のクラブや補助道具を購入しており、猿にいくら持っていかれても賭けに応じるあたり結構裕福な模様。
雪の日に対決した際には誰も見ていないのをいいことに、こっそり雪でティーを作るという卑怯な戦法を用い、猿が不調だったこともあって勝利している。
原作では後に大丸の才能を見出してゴルフクラブ1セットを購入するなど支援するようになり、アニメ版では猿の保護者としてサポートしていた。
ちなみに声の人はこの後『笑ゥせぇるすまん』にて、『ゴルフ・ドミノ倒し』なる話にノーコンヘボゴルファー役でゲスト出演していた。
声:堀江美都子(TV版)
おっちゃんの娘。
アニメオリジナルキャラのヒロインで、後に原作にも逆輸入された。
猿に対して好意を持っており、戦いについて回り、応援したりシャドウマスターズ編ではサポートもこなした。
『新』では自らもゴルフを始める。ビギナーズラックも味方するが正直素質は高く、おっちゃんよりもかなり早く上達している。
声:
田中真弓(TV版)
奥山カントリークラブ周辺に住み着いている
カラス。
ロストボールを盗む癖がある。
声:
石丸博也(SP版)、
井上和彦(TV版)
初期から登場する猿の
ライバルで正統派ゴルファー。
猿の家近くのゴルフ場「奥山カントリークラブ」の御曹司で、たびたび勝手に入ってきて賭けゴルフをしていた猿を倒すべく勝負を挑んだ。
しかし、猿が自分の練習で使用する猿谷のコースで勝負したのが仇となって敗北。以来、猿は自由にゴルフ場に入れるようになってしまった。
アマチュアゴルファーとして順調に経歴を重ね、たびたび猿と勝負する。
アニメ版ではプロテストで一緒にコースを回り、しのぎを削った。
声:若山弦蔵(SP版)、
内海賢二(TV版)
覆面に
サングラスをかけた謎の男で影のゴルフ界を牛耳る重鎮。
とてつもない金持ちで、猿を自身の配下とするため毎度数百万クラスの賭けを持ちかけてくる。名士として知名度もかなり高いようで、原作ではテレビ出演してゴルフに対し語っていたシーンもある。
様々な影プロを使って猿を倒す、あるいは亡き者にしようとまでした。
あえて選手権中に賭けゴルフを持ちかけるなど、猿を罠にはめたことも。ちなみにゴルファーとしての腕前も相当高く、本気を出せばそこらのアマチュアなど問題にならない。
しかし、言い出した賞金は負けを認めれば必ず払うなど、猿との約束はきちんと守っており意外と律義な面もある。
後半辺りになると半ば猿パトロンみたいな感じになっている
その正体は猿を成長させるためにあえて敵役を演じていた猿の父親…と噂されていたが最後まで正体不明であった。
声:横沢啓子(SP版)、
平野文(TV版)
ミスターXが送り込んで来た影プロの一人。ヒロイン的キャラ。
猿のクラブを破損させたり、自分のホームカントリーで勝負したりと色々やったが負けている。しかし、猿は紅蜂との戦いで初めて「勝利の味の苦さ」を知った。
敗北後は猿の戦いを見守るようになり、次第に猿の理解者となっていく。
声:西尾徳(TV版)
最初に猿と戦った影プロ。見た目は
怪物くんのフランケンをリアルにしたような大男。
元
プロ野球選手だったが、人身事故を起こして引退し、表の世界から姿を消したという経歴を持つ。
強打者だった強みをいかし、バットで豪打する飛ばし屋。猿に負けた後はキャディをするなど、ミスターXの助手的な立場になる。
声:
中尾隆聖(TV版)
パター作りの名人である甚五斎の弟子だったが、かつて「村正」という傑作パターを盗み出し、ミスターXの組織に入って影プロになった。
原作では盲目ながら確実にパットを入れる名人で、アニメ版では目隠しをするという設定に変更されている。
声:小林清志(SP版)、
田中秀幸(TV版)
ミスターXが香港から連れて来た拳法家。
拳法の訓練の一環として
ヌンチャクをクラブにして鉄球を打ち、正確に曲げるという妙技を持つ。他にトンファーや三節棍も使用する。
原作では「ドラゴン打ちの竜」と呼ばれたが、アニメでは「ドラゴン」に変更されている。
その名の通り龍の姿を模した竜ヶ峰カントリークラブで猿と死闘を繰り広げた。武闘家ゆえに、勝負に関しては清々しいほどフェアでストイック。
本作の試合の中でも特に有名な試合と言えるだろう。
モデルはどう見ても
ブルース・リー。
声:納谷六朗(TV版)
ゴルフ
ロボット「タイタン(声:二又一成〈TV版〉)」を開発した科学者。
本人はゴルフをしないものの、自分のロボットこそ完璧であると自負しており、ミスターX側のキャラでは何度も猿と戦った一人。
劇場版では大ボスを務めるなど、けっこう優遇されている。
楽曲
オープニングテーマ。
作詞は原作者で、作曲は小林亜星、編曲は筒井広志、唄は
水木一郎という豪華メンバー。
ページトップの台詞と共に始まり、猿が突き出た崖の上からショットして旗つつみでホールインワンするまでを描く。もっとも有名な映像と思われる。
『新』でのオープニングテーマ。
作詞は高田ひろお、作曲・編曲、唄は同じく小林亜星、筒井広志、
水木一郎。
引き抜いた木でドライバーを作るところからショットするまでを描く。前OPから時間がたったこともあり、作画が綺麗で非常にぬるぬる動く。
追記・修正はナイスショットしてからお願いします。
- 去年辺りに再放送で久しぶりに全部見たけど、全体的に熱くて今見ても楽しめた。でも新の方はギャグ中心でちょっとコレジャナイ感あったわ。 -- 名無しさん (2022-01-29 19:25:36)
- 旗つつみ対策で一番直接的だったのは『旗自体がないホール』。他の技も全部対策されてたけど、そこまでするかと -- 名無しさん (2022-01-29 20:12:47)
- ずっと「プロゴルファーえん」って読んでた -- 名無しさん (2022-01-30 00:18:51)
- 必殺技や謎の道具、コースなどツッコミどころはあるけれどもルール自体は割と現実のゴルフに沿ってたりする。(違う場合にはちゃんとツッコミや注訳が入る)イップス(パット病)や賭け試合の禁忌さなどがネタになってたりとA先生のゴルフ知識が光る作品。 -- 名無しさん (2022-01-30 14:21:57)
- 女性キャラが藤子アニメとは思えないくらい美少女揃い -- 名無しさん (2022-02-16 06:06:29)
- 子供のころ見た時からミスターXの事好きだったなあ。悪役だけど声といい喋り方といい気品が漂ってる感じが良い。 -- 名無しさん (2023-09-04 00:53:25)
- ミスターXは猿のルールミスに「今は影のゴルフだからセーフ」とフォロー入れたりするのよね。さすが紳士のスポーツ -- 名無しさん (2024-10-12 15:21:05)
- 猿丸が他の兄弟と似てなかったり、次男以下の名付け方が大中小(丸)ではなく中大小(丸)だったり、少し謎のある家族。 -- 名無しさん (2024-10-12 19:35:35)
- アマチュア選手権編がマジで熱くて大好き -- 名無しさん (2025-02-20 22:57:16)
- 剣崎さんは良い人なのに作品の性質上この人が勝ってもつまらないから勝たせてもらえないよね -- 名無しさん (2025-06-20 22:56:13)
最終更新:2025年06月21日 11:27