魚沼宇水(るろうに剣心)

登録日:2010/02/11 Thu 00:30:18
更新日:2022/06/23 Thu 19:02:58
所要時間:約 14 分で読めます




いらっしゃ~い


魚沼(うおぬま) 宇水(うすい)とは、るろうに剣心に登場する架空の人物。

CV:流山児祥 演:村田充


【人物】

十本刀の一人で、『“盲剣”の宇水』とも呼ばれる。
1842年3月生まれ。年齢は初登場時、数え37歳(満36歳)。琉球王国出身。

全身に目玉模様が描かれた奇妙な服と「心眼」と書かれた目隠しを身に着けた異様な風体の男。
ちなみにデザインのモチーフはドラゴンボール桃白白

琉球王家秘伝の武術の使い手で、維新前は幕府側に対人斬り用として雇われていたほどの凄腕の剣客だった。
だがある日、維新側の人斬りとして現れた志々雄真実と闘うが両目を横一閃に斬り裂かれ、失明。

しかしその後、剣術の究極の型「心眼」に開眼。
盲目ながら以前を超える力を身に着けた宇水さんは、自身の目を奪った志々雄の下へと赴き、リターンマッチに挑もうとするが、そこで逆にスカウトを受けてしまう。
結果、「隙あらば何時、いかなる時でも斬りかかって構わない」という条件で十本刀に加わった。

常に飄々として相手を挑発するような薄ら笑いを浮かべており、性格ははっきり言って陰険そのもの。
十本刀の中でもかなり凶悪で、アジトに侵入する際に味方兵や、アジトに来る前に斎藤一が軍と警察から選りすぐり設立した志々雄討伐隊を殺害したり、
京都大火を全力で阻止していたを容赦なく殺そうとした(操殺害はすんでの所で安慈によって止められる)。
その振る舞いから一応味方である方治や由美などからは煙たがられており、特に由美からは「宇水なんて死ねばいいと思ってるけど(アニメ版)」とかなり嫌われている。安慈ともモロで対立している。
また志々雄へのコンプレックスからかなり歪んだ自尊心や自己顕示欲を持ち、兎に角自分の優位を相手に誇示したがるきらいがある。衣装からしてアピール全開だが、戦闘の途中だろうが自分の心眼や相手の「心理」を長々と語るなどの悪癖としてもこの上なく表れている。

テーマソングはその名もズバリ「心眼」。短いながらも彼の能力を余すことなく再現している。


【戦闘力】

上記の通り剣術における一つの究極の型とされる「心眼」を会得しており、全盲でありながら完璧に相手の挙動を理解し、それどころか先読みまでしてのける。
感情が欠落した瀬田宗次郎ですらその例外ではない。

とはいえ、これは妖術や超能力の類ではなく、異様に鋭い聴覚の産物。それってもう超能力じゃんって言わない。
筋肉の収縮音や骨の摩擦音で相手の動きを察知し、心臓の鼓動で心理を読むのである。
しかし後者は生物としての心理状態は分かっても、その内にある人間としての「思想」までは分からず、ドヤ顔で読み違える事もある。
具体的には、心音が早くなっていることで「興奮している」ということは理解できても、なぜ興奮しているのかまではわからない。

かつて、を失い剣客としての生命を断たれたことで幕府側にもあっさりと捨てられ、宇水さんは一人路頭にさ迷うことになる。
そうして飢えと渇きに苛まれながらとある山中を彷徨っていたが、その時遥か遠方にあった川のせせらぎを捉えなんとか生き延びることが出来た。
自分の持っていた異常聴覚に気づいたのはこの時である。
アニメ版では力尽きて心臓が止まったものの、川のせせらぎを捉えて立ち上がる流れになり、異常聴覚も臨死を越えて得たような解説がなされている。

武器は背中に背負った亀の甲羅でできた「ティンベー」と、石突に鉄球がついた短槍「ローチン」。
ティンベーの丸みで相手の攻撃を捌きながら死角を作り、ティンベーの影からローチンによる刺突でダメージを与えるのが基本戦法。一応これは実在する琉球武術である。
地味だが堅実な戦法に、心眼による見切りが加わり、強力無比。
身体能力も極めて高く、斎藤が軍や警官から選りすぐった50人もの討伐隊を一晩のうちにかつ数時間で壊滅させる程の猛者*1
この他ローチンを操り刃と鉄球による無数の突きを放つ「宝剣宝玉百花繚乱」という技を有する。

ちなみに失明以前は普通のを使っていた模様。
また、隠形術にも長けており上記のアジト侵入時には警備の兵に悟られることなく最奥にある志々雄の部屋の天井にまで到達している。
実力は十本刀の中でも宗次郎、安慈に並ぶ三強。
彼を毛嫌いしている由美もその実力だけは認めており、アニメ版だけでは討伐隊との戦いと思われる場面の回想を交えて「宇水は斎藤を斃すわ」「まさに神業なのよ」と剣心達にがなっている。


  • 宝剣宝玉百花繚乱
ローチンの鉄球部分での打撃と槍の刃の刺突を高速で何度も浴びせる乱舞技。



以下ネタバレ














【活躍】

決戦の日、志々雄一派のアジトで安慈に続く十本刀の二番手として現れ、斎藤一と対峙する。
アニメ版では戦闘前に宗次郎と言葉を交わしていたり、安慈に「自分と手を組まないか」と持ちかけ「お主と話すのは時間の無駄だ」と一蹴されたり、由美に対し「お前など志々雄亡き後は、私の足を舐める価値もない女」「剣心と斎藤の首を志々雄の首と共に我が祝いの膳に添える」と言い放ち短刀を抜かせたり色々出番が増えている。
盲目なのに明るい部屋で闘う騎士道精神溢れる宇水さん。
アニメでは暗い部屋で戦う卑怯な宇水さん。まあ、宇水さんの強みを考えればこれが一番効果的ではあるが。
他の十本刀が必殺技のような、固有技を発揮しているのに対し、基本戦術のみで戦う真面目な宇水さん。

まずは斎藤の牙突をあっさり受け流し手傷を負わせ、いつものように彼の心理状態を読んで悦に浸る……が、逆に「お前の心眼は相手の思考までは読めていない」と本質を看破され、
さらに斎藤の長年磨き上げた洞察力という「心眼」により、自らの屈辱の過去を薄ら笑いで語っていた宇水の姿から復讐の為再会したはいいものの当の志々雄は死線を潜り抜け自分以上に強くなっていたため、既に復讐を諦めていること
そして『周囲にそれを悟られまいとする自尊心から今でも志々雄を殺すと嘯いていること』を見透かされたうえ嘲笑されたことで怒りを露わにする。

なにが可笑しい!!

怒りながらも基本戦術を駆使して斎藤の両足に傷を負わせ「志々雄でさえ気づいていない自分の本心を知ってしまった事を後悔させてやる」とまたも悦に浸るが、
斎藤から「恐らく志々雄もお前の陳腐な自尊心など見抜いている。その上で体よくお前を利用してるんだよ」と更に痛い処を突かれてしまう。
そして逆上しティンベーで斎藤の視界を封じローチンによる不意打ちでトドメを刺そうとしたところを牙突・零式を喰らい、ティンベーを貫通した一撃で身体が腰から上下に引きちぎれる。
そのまま上半身は壁面に磔となり、絶命。
グロ過ぎるためかアニメでは千切れずにそのまま磔に…まぁそれでも充分グロいが。

一片の淀みなく…己が道を…貫く… 簡単なようで…何と…難しい事…よ…

斎藤…

お前は これから…近代化する明治で…どこまで刀に生き…「悪・即・斬」…を貫ける…か…な…

無論

死ぬまで

絶命する間際、彼は「己の道を行く難しさを知り志々雄打倒から逃げた」という己の惨めさを、そして斎藤の「悪・即・斬」によって果てる事を認めた。
色々と情けない彼であったが、それでも最期には真実から目をそらさずに、斎藤に激励のような挑発を口走った。
このやり取りは斎藤が最高にかっこよく、るろ剣屈指の名シーンと言える。
勿論斎藤の返しも見事なものであるが、醜態を晒さずに自らの失敗やに向き合った宇水も見事と言えるだろう。
なお、後に「戦わなければ男は負け犬にもなれやしない」と言い放つ世界線の斎藤がいる事も判明したため、この惨めさでも曲りなりに斎藤に負け犬と認めてもらえた分マシだった可能性も

ちなみに十本刀の他のメンバーには彼の真意はバレておらず「いまだに志々雄への闘志を失わないすごい奴」と見なされていたらしく(もちろん弱くはないのだが)、
剣心に敗北後、身柄を拘束されていた刀狩りの張は「いかにあんたら(剣心と斎藤)が強くても宇水には敵わない」などと評していたりする。
しかしながら彼の見栄にとっくに気付いている志々雄には実力の程も完全にバレており
「宇水は斎藤に負けるだろうが、それなりの傷ぐらいは負わせるはず」
と彼本来の実力を見込んだ上で完全に捨て駒扱いしていた。
アニメ版では両足に傷を負った斎藤を見て「アレも少しは役に立ったな」と吐き捨てた。
宇水さんは泣いていいと思うよ。

由美の話から、彼も地獄に堕ちたと思われるが「今度はホントに仲間にしてあげましょうよ」と言われていた。
由美さん優しい…。
アニメ版だと上記のやりとりの後でもこう言ってくれるからすごく優しい…。



【本編以外での活躍】

新京都編では復讐を諦めたどころか、一働きした報酬として真っ向勝負を要求。
騙し討ちではなく、一人の剣客として正々堂々と挑んで死闘の末に肩を切り裂かれ、胸を貫かれて死亡したような描写となっている。

この時は互いに全力を尽くした上での結末となっており、互いにたぎったらしい。
やだ…宇水さん素敵過ぎる。


実写映画版では村田充氏が演じたが、それもあってか原作以上に若々しくも不気味な雰囲気となっている。
京都大火編から登場。煉獄に単身乗り込んできた剣心を他の十本刀と挟撃した。
伝説の最期編では政府の役人を殺害したりと割と出番に恵まれており、終盤剣心たちの罠で演出された抜刀斎の処刑場にも登場。
原作通り、斎藤と対戦する………のだが、なんと大して剣を交えずに牙突の一撃で瞬☆殺されてしまった。それだけ見れば不遇に思えるが、半数近くがモブ同然の脇役で外見も大幅に異なっていた十本刀の中では割と目立っている辺り意見が分かれる。(ぶっちゃけ、みっともない内面をさらさずに済んだだけましかもしれない)

しかも煉獄戦後も浜辺で倒れたまま画面に映り込み続け、シュールな笑いを誘った。

小説版では出番と台詞が大幅に増え、斎藤との対決でも原作と同じくらいかそれ以上の善戦を見せるため、映画本編よりは優遇されている。
が、志々雄の配下になった理由は強い側に付き、勝利の愉悦を味わうためというもの。つまりは復讐を諦めるどころか、そもそもそんな気は初めから無かったという事である。
その結果、シンプルな戦闘狂と化した代償として自身最大の個性とも言うべき屈折した内面を失った形になっている。原作のような屈辱を受けなかったのは本人にとって喜ぶべき事なのだろうが....

【余談】

「当初は復讐を目指していたが、志々雄がさらに強くなったのを見て復讐を諦めた」「しかし周囲には復讐を諦めていないように嘯いている」というのは、
主人公と共闘するツンデレライバルキャラを痛烈に皮肉っていると言えなくもない。
ちなみに、和月作品のライバルキャラは「目的の一致で共闘していたが、本心では剣心を人斬りに戻したかった斎藤*2と、斎藤との決着に拘っていた剣心*3」「あくまで決着をつけること最優先、読者から蒼紫はデレるんだろ?と言われながらも決着つけるまで共闘しなかった剣心と蒼紫」
「目的の一致で共闘し、それを果たした後に決着をつけたカズキとパピヨン」とどいつもこいつもそう簡単にはデレたり決着を諦めたりしない。

連載当時、夷腕坊の正体である外印が姿を現すと同時に「もしかして宇水は外印の事を知っていたんじゃないか?」という疑惑が読者の間で流れた。
上述した通りに常人離れした異常聴覚を持つ宇水ならば、夷腕坊の中身を察せていた……寧ろ、察していなければおかしい事になるからである。
既に外印の登場時には宇水も死亡した後だった為、真相は闇の中ではあるのだが……
後年になって志々雄が外印の存在に気付いていたことが発覚したため、宇水も志々雄同様に、存在を分かっていながらも体よく利用するために黙っていたのかもしれない。
そもそも宇水側としては夷腕坊の正体をバラす理由は全くない(むしろ、バラさない方が宇水としては「俺は気付いてるのに志々雄は気付いていない」と自分の自尊心を満たせる)んだから黙っているのは当然ともいえる。

志々雄のアジトに合流する前に斎藤が手配していた警官隊50人を単独で斬り殺しているが
それを聞いた志々雄が「殺した者の中に 左頬に十字傷のある男 と背の高い痩せた狼のような男がいなかったか?」と質問している。
視覚がなく、聴覚で情報を得ている以上、傷跡の有無などわかるわけがないのだが…
志々雄がアホなことを聞いているのか、宇水さんの異常聴覚は傷跡まで把握できるのかは謎。

(追記・修正することの)なにが可笑しい!!

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最終更新:2022年06月23日 19:02

*1 時間制限付きの状況でこのような芸当をこなせるのは十本刀でも宗次郎と彼くらいと張から太鼓判を押されている。

*2 そもそも斎藤は「人を殺さない流浪人」という剣心の思想が認められず否定しようとしただけで、剣心(抜刀斎)と自分のどちらが強いかという「決着」には最初から興味が薄い。

*3 「将来飛天御剣流を撃てなくなる」と知るや否や、斎藤に決闘状を送るという普段の彼からは考えられない行動を取るほど決着に拘っている。